ロドス劇場   作:ゆっくり妹紅

11 / 119
アンケートの結果、ペン急ルートの話が選ばれたので投稿です。
因みにBSW八方塞がり済みルートが2位についてることに驚いていたり。やはり修羅場とラスボス化ジェシカを皆様ご所望という事なのか…!

あと、今回の話は個別ルートではなく、修羅場編のペン急ルートのお話となっております。いや、本当は個別ルートにしたかったんですが、アンケートの時間が足りなくて…いや、時間配分しっかりしろって話なんで、本当にすみません…

あ、あと関係ない話ですがアークナイツ公式Twitterでの、バレンタイン動画はまじで良かったです。やはり神運営でしたね。



とある配達員のバレンタインデー

──ん?ああ、君たちか。前に見せた彼とその周りが繰り広げたアレは楽しんでいただけたかな?……え?今度は別の平行世界の場合が気になる?まあ、気持ちはわからなくはないがそう簡単には……おっと、人の話は最後まで聞くものだ、だから早々に帰る支度をしないでくれ。今回はサービスとして彼がとある会社の配達員としての道を歩んだ世界の場合をお見せしよう。……彼女も気になってたみたいだしね。ん?ああ、すまない。こっちの話だ。さて、そろそろ待ちくたびれただろうし、見てみようか。丁度、面白いところから始まりそうだからね。

 

 

 

****

 

 

 

 

「……」

 

この日、ソラは……いや、ペンギン急便の女性陣は一様にソワソワしていた。それは何故か?それは至極単純で、今日がバレンタインだからである。

そしてそんな彼女らが渡したい人物は、今日に限って指名の配達依頼が何件もあったせいで、眠そうなのにも関わらず早朝から慌ただしく配達業務をこなしに行き、そして現在も帰ってきていない。

 

(早く帰ってこないかな……)

 

「ただいま戻りましたー」

 

そんなソラ達の願いが届いたのか、ドアが開く音と同時に待ち望んでいた人の声が彼女達の耳に届き、全員が椅子から立ち上がって入口の方へ顔を振り向かせる。

 

「ヤマト!おかえ…り……?」

 

「やあ、久しぶりだね」

 

が、振り返った瞬間全員が固まった。固まった理由には、ヤマトが片手に持っている紙袋から何かを包んだ包装用紙が溢れるほどに詰め込まれているのもあるが、問題はモスティマがそのヤマトと手を繋いでいる…しかもいわゆる恋人繋ぎをしていることであった。

 

(まさか、モスティマさんもヤマト君を狙ってるの…!?)

 

以前あった騒動後の会議において、モスティマがヤマトに気があるということはない、とエクシアから聞いていたのにと思ったソラがエクシアの方を見ると、その彼女も驚いたような顔をしてモスティマとヤマトを見ていた。

そしてそれを見たソラ、テキサスそしてクロワッサンはエクシアにとってもモスティマがこのような行動をしてくるとは全く予期していなかったことだと、把握した。

 

「帰りにたまたま会ってね。彼に渡すものを渡して早く退散しようとしたら、「エク姉が会いたがってるから来てください!」って言われて、逃げられないようにこんな情熱的な感じで、手を繋がれて連行されてきたのさ」

 

「な、なるほどね……うん?」

 

そしてそれを察したのであろうモスティマが、手を繋いでここまで来た経緯を軽く説明する。聞いてみれば案外単純な内容であり、恋人繋ぎもあのヤマトならば有り得ることでもある。というより、周りから視線を向けられている張本人が「?」を浮かべているような顔であるため、ほぼ間違いないだろう。なので、全員が納得しかけたところでエクシアがあることに気がつく。さっき、モスティマは説明の中で「彼に渡すものを渡して早く退散しよう」と言っていた。

そして今日はバレンタイン。その事から導き出される答えは…。

 

「ああ、忘れるところだった。ハッピーバレンタインという訳で、ヤマト君にはこれをあげよう」

 

「え、これって…!予約1ヶ月待ちで有名なあのチョコ…!?」

 

「ああ、君は甘いものが好きだとエクシアから聞かされていたからね。頑張ってる君のために奮発してあげたのさ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「「「「……」」」」

 

モスティマが差し出したのは龍門であまりの美味しさに予約が1ヶ月待ちまであるということで有名なチョコであった。甘党のヤマトからしたら、喉から手が出る程欲しかった代物でもあり目を輝かせて尻尾を物凄い勢いで振りながら受け取っていた。

 

が、それを見て面白くないのはテキサス達だ。彼女たちとしては、朝に渡せなくて待っていたのにも関わらず、当の待ち人は配達先でほかの女からチョコをもらった挙句、モスティマからのチョコであの態度をとる始末。正直、不機嫌になるなというのが無理な話だ。

というより、いくら鈍感と言えどこれではヤマトはただのドクズ野郎と言えるだろう。

 

しかし、ただのドクズ野郎では終わらないのがこの天然たらしオオカミことヤマト。彼は「あっ」と呟くと、「ここで待ってて」とモスティマを含む全員にそう告げると貰ったチョコを抱えながら奥へ引っ込んでいき、そして数分後、戻ってきたヤマトが持っていたのは数個の少し大きめのカップケーキだった。

 

「えーと、これがテキサスさんので、これがエク姉。クロ姉はこっちでソラ姉はこれ。それで、モスティマさんのはこれです」

 

「え、ヤマトこれってもしかして手作り?」

 

「うん、そうだよ。昨日、皆が寝てから作ったんだ……一応、みんなの好みに合わせて作ってみたんだけど……どうかな?」

 

しかもそれはただの手作りカップケーキではなく、それぞれの味の好みを考えて作った物であった。例えば、テキサスであればチョコチップが混ざった甘めのカップケーキであり、ソラであればしっとりとしたバナナカップケーキであったりと言った具合だ。

 

そう、ヤマトは別に今日がバレンタインという事を知っていた。ただ、彼としては自分にとって大事な人(+とある人物)に渡したかったというのもあり、変に勘づかれないようにと夜遅くにキッチンに忍び込みこっそり作っていた。その結果が、寝不足というのがあるのだが。

 

「…へぇ、エクシアから聞いてはいたけど中々美味しいね」

 

「……ああ、美味しい」

 

「んー、やっぱりヤマトはんの手料理は絶品やな~」

 

「うん、確かに…って、それより!」

 

「はい、これは私からのバレンタインのアップルパイだよー!」

 

「エク姉ありがとう!……これ、もしかして手作り!?」

 

「うん!そうだよー!」

 

そんなヤマト手作りカップケーキを堪能している中、ソラが声をあげたと同時に一足先に気づいていたエクシアがバレンタインのために作ったチョコが入ったアップルパイをヤマトに手渡し、それを見たヤマトはすぐにそれが手作りであることに気がついた。

 

「エクシア、抜けがけするな。……手作りではないが私からはこれを」

 

「ウチも手作りじゃないけどチョコのバームクーヘンあげるで〜!」

 

「私は被っちゃったけど、カップケーキだよ」

 

「うわぁ…!」

 

そして、エクシアに続くようにテキサスはマカロン、クロワッサンはバームクーヘン、そしてソラは手作りのカップケーキとヤマトは大事な人達から貰った物を大事そうに受け取り、嬉しそうに顔をほころばせ。

 

「Wさんだけじゃなくて、テキサスさん達からも貰えるなんて全然思ってなかったよ!」

 

テキサス達にとって劇薬となることを、ついうっかりこぼしてしまった。

 

「……ヤマト、どういうことか説明してくれるか?」

 

「え?テキサスさん?なんで肩をそんながっちり掴……痛い痛い痛い痛い!」

 

「なんであの女から貰ってるのか、私も気になるなぁ?」

 

「え、エク姉…?」

 

「せやなぁ……ウチとしてはその紙袋いっぱいに詰まってる物についても聞きたいところやなぁ」

 

「く、クロ姉まで……?」

 

「ヤマト君……」

 

「そ、ソラ姉、皆の様子がおかしいよ!助け──」

 

「OHANASHI…しようか?」

 

「ひいっ!」

 

テキサスに肩をミシミシと音が出るほどの強さで掴まれ、目のハイライトが消えたエクシアとクロワッサンに迫られた挙句、ソラから笑顔(目は笑ってない)で死刑宣告を受けたヤマトは、例えようのない恐怖に襲われ、何とか生還するためにもまだまともな先輩であるモスティマに必死に助けを求める。

 

「あ、ああ…モ、モスティマさん!お願いですっ、助けてください!何でもしますから!!」

 

「ん?今何でもしますって──「モスティマ?」……うん、すまないねヤマト君。馬に蹴られて死にたくはないから私は退散させてもらうよ」

 

「モスティマさん!?」

 

ヤマトの必死の救援要請を聞いてからかおうとした瞬間に、妹分のエクシアから初めて感じたとてつもないプレッシャーを受けたモスティマは、これ以上は危険と判断し、退散するための準備を始め。

 

「ヤマト君…生きるというのはそういうことさ」

 

「何決めゼリフっぽい感じに言って──あ、待って!本当に助け──」

 

ヤマトにそんな言葉を残したモスティマは、直後に聞こえたテキサス達の問い詰める声とヤマトの悲鳴をシャットアウトしながら、エクシア達をあんな風にさせるヤマトに興味を持ちながらもさっさとその場を去ったのだった。

 

 

「……ねえ、あの子助けなくて良かったの?」

 

「何、彼なら大丈夫だと思うよ……うん多分」

 

「いや、自分に言い聞かせる様な感じに言われてもね……」

 

「ところで、今日のコードネームは?」

 

「……リア充絶対爆破独身ウーマンよ」

 

数分後、腹を抱えながら走るモスティマを顔を真っ赤にして追いかけ回す女性が龍門内で目撃されたとかされなかったとか。

 

 

 

 

****

 

 

 

 

「──ということがあった」

 

「いや、それ100%君の過失じゃないか」

 

「!!」

 

「いや、そんな心外って顔されてもねぇ……」

 

深夜にて、いつもの場所にラップランドに「用事あるから来て」と呼び出されたヤマトはいつも通り1戦して彼女を打ち破った後、テキサス達にやられたことを愚痴ったのだが、まさかの返答が自分のせいだと言われたせいで、軽くショックを受け耳と尻尾を垂れさせ落ち込んだ。

 

そしてそれを渡されたカップケーキを食べながら聞いていたラップランドは相変わらずなヤマトを見て軽くため息を吐いた。正直な話を言ってしまえば、ラップランドとしてはヤマトが他の女に現を抜かす前に力ずくで自分のモノにしてしまいたい。しかし、結局1回もヤマトに勝ててないのが現実なためそれが実行できず、メラメラと嫉妬心が彼女の中で渦巻いていた。

というより、ボコボコにされた(実際はヤマトのギリ勝利)後にこんな話されたラップランドは大変不機嫌であった。

 

(ボクも何か持ってくるべきだったかな?……いや、それじゃあ周りとあんまり変わらないしな…ご馳走様でした。さて、周りの女たちに牽制できて尚且つ特別感を出すもの……あ)

 

「ラップランド?どうかしたの……っ!」

 

いつもであれば、聞いてもいないのにベラベラ喋るはずのラップランドが、食べ終わったのにも関わらず黙っていることに疑問に思ったヤマトは、急に心配になり彼女の顔を覗きこもうとした時、急に胸ぐらを掴まれ引き寄せられた。

あまりにも突然であったのと、警戒が緩んでいたせいもあってヤマトはその動きに対応出来ず、何か攻撃がされる前に離れられるように彼女の肩を掴もうとして、その動きを中断された。

 

何故ならば──

 

「はんっ…んっ…」

 

「っ!?」

 

ラップランドがヤマトの首筋に顔を近づけ、そこを思いっきり噛み、そして舐め始めたからだ。

 

「んっ、な、何を…?」

 

「ん、思った以上に君の血は美味しいね……病みつきになりそうだよ…って、危ない危ない。本命の方やらなきゃね」

 

「?何を言って…っ!うっ…」

 

ラップランドは恍惚な顔で血が着いた自分の唇を舐め、ヤマトが状況を正確に把握する前に再度ヤマトの首筋に顔を埋め、今度は音がなるほど強く吸う。

吸われたヤマトは初めて感じる感覚に戸惑い、そして腕に力が入れられなくなりろくな抵抗が出来ずラップランドにされるがままになる。

 

「ふぅ…うん、うまくついたね」

 

「はぁ…はぁ…?」

 

10秒、1分、またはそれ以上だったのか逆にそれより短かったのか、どれほどの時間そうしていたのか、2人にとって時間は曖昧であった。しかし、ラップランドはヤマトの首筋にしっかりと赤い痕が付いているのを確認して、満足そうに頷いていた。

 

「それじゃあ、ボクはそろそろ行くとするよ……ホワイトデーのお返し、楽しみにしてるからね?」

 

(……え、俺何か貰ったっけ?)

 

機嫌良さげに龍門の夜の闇に消えていくラップランドを見ながら、ヤマトはそんなことを考えたが、「まあ、ホワイトデーに何か作って返せばいいか」と自分を納得させ、首筋に赤い痕が付いているのに気づかずそのまま寮へと帰っていった。

 

 

 

****

 

 

 

 

 

次の日、ヤマトは首を隠さずに起きてきたせいで、鬼気迫る雰囲気のテキサス達から逃げるために龍門を駆け回る羽目になったのだった。




こんな感じでよかったですかね…?

キャラ紹介

ヤマト:ペン急ルートのヤマト。修羅場編での経験を全く活かしきれていないため、結局大変な目にあってしまう。因みに、彼女たちへの好意に気づかないわけは無意識にとあることを思ってしまっているせいで…?因みに紙袋に入ってたチョコは、配達速攻で終わらせた後に、イカズチにカップケーキを渡すために立ち寄ったロドスで貰ったもの。義理が大半を占めるが…?

テキサス:キャラ崩壊が激しいキャラその1。ペン急ルートではヤマトを何としても振り向かせたい一心でキャラ崩壊が激しい。当初は手作りにしようと思っていたが、中々思うような出来のもの(普通に店に出せるレベル)が出来ず結局市販になったという裏話があったり。因みに、失敗作はペン急組全員で美味しくいただきました(処理しきれなかったのを皆にバレた)

エクシア:ゴーイングマイウェイを行く天使さん。自身の料理スキルの高さをフル活用して、チョコ入りアップルパイを作り上げ、そしてヤマトの満点笑顔も貰えてご満悦。モスティマも狙ってるんじゃないかと警戒中。

クロワッサン:ちょっと影が薄かった金欠お姉さん。実は買ったバームクーヘンは美味しいと評判の店のを買ったもので、後にそれに気がついたヤマトが我を忘れて迫るという事件が起きてた。因みにヤマトの紙袋に入ってたチョコは女性組で分けて美味しくいただきました。

ソラ:そろそろパパラッチを気にした方がいい現役アイドル。なお、修羅場になると1番圧が強いのは彼女。良かったな、ヤマト。人気アイドルから愛されてるよ()あと、あくまで個人的な考えなんですが、料理上手そうな気がします。外部の女性に取られる前に自分らで囲ってしまうべきかガチで考え始めた。

モスティマ:掴みどころがないお姉さん。ヤマトには異性としての好意は持ってないものの、エクシア達の反応が面白いため思わせぶりな言動をとっている。だが、やりすぎるとマズイというのを今回の件で察した。

リア充爆破独身ウーマン:モスティマの監視役のお姉さん。彼女の春はいつ来るのか、それは誰にも分からない。

W:出番ほぼなしってどういう事かしら?(^ω^#)

ラップランド:独占欲が日に日に増していくヤベー奴。特にお菓子とか用意してなかったが、しっかりプレゼント渡したからモーマンタイ。ボコボコにされた後にあんな話を聞かされるのは嫌だが、カップケーキの献上は無問題。食べ物には罪はないし、美味しかったからね。

あと、ヤマト君を2頭身+アナログですが描いてみました。


【挿絵表示】


……はい、これが自分の限界でした(白目)
リアルなやつは……多分、無理ですのでそこはすみません(土下座)

感想や批評ありましたら是非お願いします!特に感想は作者のモチベの向上にも繋がるのでお願いします(土下座)

リクエストもR18禁含めて、活動報告で募集してますので遠慮なくどうぞ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。