ロドス劇場   作:ゆっくり妹紅

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えー、ちょっとブランク気味なのとダイパリメイクやっていたら遅くなってしまいました……本当に申し訳ございません。

そして今回の話はリクエストの方にあった内容を修羅場編に組み込んで頂きました。それではどうぞ。


修羅場ですよ!ヤマト君!(天馬ルート)

「ヤマトお兄ちゃん、プール行こうよ!」

 

「えーと……急にどうしたの?」

 

「だから、プール行こうよ!」

 

「うーん、唐突」

 

それは正しく唐突であった。ロドスでヤマトが借りている部屋で2人っきりでお茶会をしているタイミングでブレミシャイン──マリアはプールの誘いをヤマトに吹っ掛けた。が、すれ違った人10人のうち10人が「美人」と答えるだろう容姿をしているマリアのプールの誘いを吹っかけられたヤマトは少し困った様子である。

というのも。

 

(あまり、泳ぐの好きじゃないんだよなぁ……)

 

この通り、泳ぐのがあまり好きではないからである。しかし誤解しないで欲しいのは、ヤマトは泳げない訳では無いということだ。というより、ヤマトが泳げないのならば、幼少期からの付き合いで知っているはずのマリアの先程の誘いが鬼畜なものとなってしまう。

さて、そんなヤマトが泳ぎがあまり好きではない理由、それは至って単純でショタヤマトの時に初めてのプールで両親の制止の声を聞かずに大人用のプールにダイブして溺れかけたからというもので、正直自業自得である。なお、どれくらい嫌いになったのかと言うと、大好きな父親相手でも「泳ぎの練習するぞー」と言われた瞬間、ショタヤマト(6歳)が「およぐのヤダ!パパだいっきらい!!」と声を大にして泣き叫ぶぐらいに。なお、溺愛する息子の拒絶を食らった父親であるユウキはSANチェックに失敗したのか、膝から崩れ落ちながら口から泡を吹き、白目を向いてぶっ倒れたとかなんとか。

 

閑話休題

 

結果として、ヤマトは元の身体能力の高さと「自分たちが助けられない時のために」と心配性な両親との必死の練習によって今では水泳が得意、と胸を張って言えるぐらいには泳げるようにはなった。しかし、だからといって泳ぎに対する苦手意識と言えばいいだろうか、それ自体は克服出来ていなかった。

そのため、マリアからの誘いにもあまり乗り気では無かったのだが──

 

「その、久しぶりにゆっくりしたいなって思ったんだけど……だめ、かな……?」

 

「……うん、いいよ。行こっか」

 

(よしっ!!)

 

ここが勝負ところだと判断したマリアによる涙目+上目遣い+落ち込んだ様子というコンボを受けたヤマトは、元来のお人好しな性格に加えて、妹みたいな存在である彼女の願いを突っぱねることなどできず、受け入れた。

そして、マリアは内心で計画通りと思いながらも胸を撫で下ろす。ここでヤマトが首を縦に振らなかった場合、強硬手段に手を出さざるおえなくなってしまうからだ。

 

(あとは私の水着姿で悩殺すれば──)

 

「ゾフィアさんとマーガレットさん達とも一緒にゆっくりするなんて、久しぶりだね」

 

は?

 

「え?」

 

ヤマトの口からさも当然かのように出された言葉にマリアは思わず低い声を漏らしてしまった。そしてそれを聞いてしまったヤマトはびっくりしたように固まる。それほどまでに、マリアが出した声は普段の彼女からは想像つかない声だったのだ。

 

が、マリアがそんな声を出したのも仕方ないことだ。

泳ぎが苦手なヤマトでも楽しめるプール施設探しから始まり、それを見つけ次第ヤマトが好きそうな水着を厳選し、更に自分の姉であるマーガレットと叔母のゾフィアが任務や教導で手が空かず、尚且つヤマトが非番の日を狙って約束を持ちかけるという、かなり手を込んで誘ったというのに当の相手がこんなことを言うのだ。普通であれば不満の声を1つや2つが出てくるのも仕方ないのだが、1文字だけで済んだのはマリアの強靭な精神力のおかげだろう。

 

「う、ううん。何でもないよ。ただ、その日お姉ちゃん達は仕事があるらしくて、せめて私たちだけでも行ってきなって(お姉ちゃん、ゾフィア叔母さんごめんなさい!)」

 

「うーん?それなら仕方ないかぁ……」

 

「そ、そうだね!(良かった、ヤマトお兄ちゃんが騙しやすくて…でも、正直心配だなぁ……)」

 

マリアはついた咄嗟の嘘を簡単に飲み込むヤマトを見て、安堵すると同時に少しだけ不安になる。ヤマトは親しい人、正確に言えば彼が心を許した人物に対してはとことん無防備になる。それこそ、その人が言ったことをよっぽど嘘くさいものでなければ疑うということをしない。事実、マリアの記憶の中ではヤマトが自分のことを疑ってきたことはなかった。

 

そのため、ヤマトが自分以外に心を開いている異性に騙されてホイホイ着いていき性的な意味で食べられてしまうのでは無いかと不安になってしまった。

 

(これは、何としてでもここで落とすか、せめて妹じゃなくて一人の女性ってことを強く意識させないと……!)

 

そう、ここが勝負になるかどうかの分かれ目。ここで意識させることが出来ればまだ勝負の場に上がれる女性になり、ダメだった場合は一生妹扱い。そうなれば待っているのは「僕と○○さんの結婚式招待するね!」「結婚式のスピーチお願いしてもいい?」と愛する人からお願いされるという最悪な未来!もはやNTR(そもそも付き合ってすらないのだが)となり、マリアの心が木っ端微塵になるのは確定した事象となってしまう!

 

(大丈夫、お兄ちゃんの部屋にある本やお兄ちゃんと親しい人から色々聞いたし、策もある。絶対にこのデートで意識させてみせる……!)

 

マリアは自身の覚悟を再確認すると同時に、手を強く握りしめたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

は?

 

「む、これはまずいな……」

 

それをとある手段で聞いていた者たちがいるとは知らずに……

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

そして待ちに待ったプールデート翌日、マリアは早速自分の計画にはない想定外なことに直面していた。それは何かというと──

 

(マリアちゃん、まだかなー)

 

(顔と筋肉が良すぎる……!)

 

割とそんなに重大なことではなかった。が、今マリアが考えたようにパーカーを羽織っているとはいえ、低身長でありながらもヤマトの鍛え上げられた筋肉と整った顔立ちがいい感じに混ざりあって(良い意味で)とんでもない感じになっていた。というより、そもそもマリアは異性の上裸などを見た回数はかなり少ない。それに男性慣れしていないというのに加え、意中の人の引き締まっている体というのはマリアには刺激が強すぎた。

 

(ど、どどどどうしよう!?なんか急に恥ずかしくなってきた…!)

 

今更になって自分の水着姿を見せること、そして2人っきりのデートという事実を改めて認識したマリアの頭は沸騰寸前だった。もし、漫画やアニメの世界であれば、今頃彼女の頭からは「プシュ〜」という効果音と共に湯気が出ているだろう。つまり、マリアは混乱していた。

 

だからこそ気づくのが遅れてしまった。

 

「あ、マリアちゃん!そんな所にいてどうしたの?」

 

「ひゃっ!?お、おおおおお兄ちゃん!?」

 

「?どうしたの?」

 

「な、なんでもないよっ」

 

いつの間にか近づいていたヤマトに気が付かず、心の準備をしていなかったマリアは声をかけられた瞬間変な悲鳴を上げてしまい、ヤマトに心配されるも何とか誤魔化す。が、今の彼女の脳内はパンク寸前だ。ここで変に追求されてしまえばボロを出すことになるだろう。

 

「うーん、それならいいんだけど」

 

(良かった……何とか誤魔化しきれ──)

 

「あと、ちょっとごめんね」

 

「え?」

 

誤魔化しきれたと安堵した瞬間、ヤマトの顔がマリアの視界にドアップで入ると同時に何かを肩にかけられ、彼女は何をかけられたのかはヤマトの上半身が映った瞬間把握した。

 

「オ、オニイチャン?ソノ、ナンデパーカーヲ……?」

 

「ああ、マリアちゃんの水着姿すごい似合ってて可愛いから、他の人に言い寄られないようにってことでね。悪いけど、プールの中に入るまでは羽織ったままでいてもらってもいいかな?」

 

「!!!」

 

そう、今マリアにかけられたのはヤマトがつい先程まで来ていたパーカー!そして、彼女の鼻にはその人物の匂いがダイレクトにイン!男の癖に何故か柔らかい優しい匂いに加え、彼女にとってはとてつもない威力を誇る殺し文句+上裸のヤマトの姿の連続攻撃を受けたマリアは。

 

 

「………きゅう」

 

「ま、マリアちゃーん!?」

 

情報を処理しきれずぶっ倒れたのであった。

 

 

 

 

 

******

 

 

 

 

「う、ん……」

 

「あ、起きた?」

 

「ん……?お兄ちゃん……?」

 

さて、マリアが意識を取り戻して早々であるが問題を提示しよう。今、彼女の視界には自分を覗き込むようにヤマトの顔が写っており、後頭部には少し硬いものの少し温かみのある感触がする。さて、この状況は一体どういう状況だろうか?正解は──

 

(ひ、膝枕されてるー!?あ、でもこれはこれで……)

 

そう、膝枕であった。正直逆じゃないかと思うが、されている本人が混乱しつつも喜んでいるため大丈夫だろう、ヨシ。そして、彼女が膝枕をゆっくり堪能しようかと真剣に検討し始めた時だった。

 

「ヤマトー、マリアは起きた?」

 

「!?」

 

「あ、ゾフィアさん。今起きたところだよ……ってあれ、マーガレットさんは?」

 

「!!?」

 

「マリアが起きた時になにか飲めるようにって自販機に行ったわよ」

 

「ん、分かった」

 

「???」

 

「あ、なんで2人が来てるか分からないよね?一応説明するとね」

 

さも当然のように現れたウィスラッシュことゾフィアとその彼女の発言からして、自身の敬愛している姉のマーガレットが来ていることにマリアは驚いた。それもそのはず、直前までに確認した段階では2人とも仕事が入っていたはずだからだ。ロドスの仕組み上、直前で休みを取るのは不可能なはずなのにどうやって?それより、何故バレているのかとマリアが思考の渦に飲まれかけた時、彼女の困惑を感じ取ったのかヤマトが説明を始めた。

 

曰く、ヤマトとマリアがプールに行くというのを2人が計画を立てた日に聞き、何かあったらと思い急いで有給を申請したこと。

曰く、2人だけで行くというのだから変に邪魔しないためにギリギリまで休暇を取っていることを内緒にして欲しいとドクターに頼んでいたこと。

曰く、マリアが気絶したため見守るどころじゃなくなり登場したとのこと。

 

以上のことをヤマトから聞いたマリアは即刻思った。

 

(これ、絶対盗聴してたでしょ!!)

 

そうでなければ、誰にも漏らさなかったこの秘密のデートがバレるわけがない。因みにヤマトは盗聴のことを全く疑っていない。無条件に人を信じすぎるのも如何なものだろうか。

 

それはさておき、状況はマリアにとってかなり深刻だ。それもそのはず、自身の恋敵として警戒レベルがトップのゾフィアとマーガレットが水着姿で来ているのだ。深刻じゃないと考えない方がバカだ。しかも、ゾフィアの水着は完全にヤマトが好きそうなのをチョイスしており、実際にヤマトはちょっとだけ意識しているように見える。

 

(まずい、このままじゃ意識させるどころの話じゃなくなってくる)

 

まず、前提としてゾフィアのスタイルはかなりいい。世の女性が羨むボンッキュッボンであり、しかも容姿も美しいと来た。対してマリアはどうかというと確かにスタイルはいいが、まだ成熟しきってないためゾフィアには劣る。加えてマリアには「妹」というフィルターがヤマトの視点では掛かっているので、更にきついものへとなる。

 

(しかもお姉ちゃんも来てるから、余計にまずい……どうすれば……)

 

(ってマリアは考えてるでしょうね……私としてもまさかマーガレットさんまでくるとは思わなかったから、慎重に時には大胆に動かないとまずいわね……)

 

「それにしても、4人揃って何処か遊びに行くなんて本当に久しぶりだよね……」

 

バチバチと女同士の心理戦が繰り広げる中、ヤマトが珍しく昔を懐かしむような声でぽつりと呟き、それが聞こえた2人はその呟いた本人に顔を向け記憶を探り始めた。

 

確かにマーガレットが故郷を去るまでは4人は顔を合わせることはあったし、お茶会をすることもあった。だが、ヤマトが言ったように4人一緒にどこかに出かけて遊びに行くというのは何時ぶりだろうか。マーガレットが競合騎士になる前か、はたまたヤマトが競合騎士になる前か、もしくはヤマトの元からクラウスが去る前からか。いつの頃から遊びに行かなくなったのか、マリアもゾフィアも答えられなかった。

 

 

「……たまには、こうやって皆で何処か遊び行けるように予定とか合わせられたらいいね」

 

「……そうね」

 

「待たせたな、今戻っ……どうした?なんかちょっと雰囲気が静かだが……」

 

「……ううん!何でもないよ。さっ、マリアちゃんの調子が良くなったら泳ぎに行こっか!」

 

しんみりとした雰囲気になったタイミングで戻ってきたマーガレットは、その雰囲気に首を傾げるも彼女に余計な心配をさせないようにとヤマトは明るい声を出しながら、笑顔を浮かべるのであった。

 

なお、この後ヤマトが逆ナンされて二アールの三騎士がマジの殺気を出したり、マリアが攻めすぎて逆に撃沈したのを見てゾフィアの目からハイライトが消えたり、そんな様子を見たマーガレットとヤマトがオロオロしたりと、なんやかんやあったものの4人はまだ大きなものを背負ってなかった頃に戻ったかのようにこの時間を過ごしたのであった。




世代バレしますし様々な意見がありますけど、やっぱりダイパリメイクは懐かしい気分になれましたし、地下探検は面白いし、可愛い2頭身シロナさんとかっこ美しいリアル等身シロナさんを見れて個人的には大満足です。けどこの前地下探検で会った初手自爆ゴンベ、おめーだけは絶対許さん。


キャラ紹介

ヤマト(天馬ルート):修羅場製造機でありながら、同時に修羅場破壊機でもある天然タラシ。顔には出してないものの、マリアの水着姿には結構ドキドキしてた。が、その後に来たゾフィア達の方が余計にドキドキした。1番得意で好きな泳法は背泳ぎで理由は疲れた時はプカプカ浮けるからとのこと。

ブレミシャイン(マリア):今回の騒動を作った原因。なんとか意識してもらおうと頑張ったものの、全て空回り(マリア視点)で終わってしまったためちょっとしょんぼり。でも、膝枕して貰えたのは普通に良かった。

ウィスラッシュ(ゾフィア):ヤマトの部屋に盗聴器をしかけてるヤベー奴。ヤマトのことはこの中では1番長く想っているため少々行動が過激になる。後日、ヤマトに膝枕を所望したとか。

二アール(マーガレット):ヤマトの部屋に盗聴器を仕掛けるというとんでもないことをしてる。が、実態は3人で仲良くヤマトを囲もうと考えており、盗聴器もマリアとゾフィアが抜け駆けした時に防ぐために仕掛けているだけ。現在の目標は如何に2人を説得して囲む準備を終えるか。

ヤマトママ:孫の顔はまだかしら〜。

ヤマトパパ:息子と奥さんにだけはかなり弱い。

ムリナールおじさん:ヤマトが3人のうち誰か一人を選んでも、はたまた3人に囲まれても結果としてお腹を痛める未来は決定している。


感想や批評お待ちしております。

あ、あとちょっとした宣伝ですが原作ブルアカの新作を投稿しておりますのでそちらも宜しければぜひ。
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