ロドス劇場   作:ゆっくり妹紅

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えー、お待たせ致しました。

今回は引き続きコラボの方でございます。

とりあえず本編の方どうぞ~


コラボ回:「皆過保護過ぎない?嫌じゃないけどさ」+天馬ルート(その2)

「ヤマト、訓練手伝ってくれてありがとね」

 

「いえ、そんな気にしないで下さいウィスラッシュさん。あ、俺はこれで失礼しますね」

 

「うん、お疲れ様」

 

「……ふぅ」

 

 僕はボロが出る前にその場を足早に去る。

 2週間。それが僕がまだこの世界にいる期間及び、何とか自分を偽っている期間だ。僕は元の世界にいた人達と同じような態度で接しないように、言葉遣いを変え距離感も少し遠目に取っているようにしているのだが、やはりと言うべきかロドスのオペレーターの人たちはかなりお人好しで色々と気遣ったり声をかけたりしてくれる。その中には、勿論この世界のマーガレットさん達もいて、特にゾフィアさんとは彼女の教導の手伝いとして付き合わされる機会が多く、過ごす時間も比例して多くなってしまっている。正直、いつボロが出てもおかしくない、というより1度うっかりゾフィアさんと呼びそうになって危なかった時があった。あの時は何とか誤魔化せたけど、次同じことが起こったら誤魔化しきれる自信が全くない。

 

「はぁ……どうすればいいんだろ……」

 

「──危ないっ!」

 

「え?」

 

 どうすればボロを出さないように立ち回れるか、そんなことを考えながら歩いてたせいか、僕は誰かの注意の声が耳に入ってからその方向へなんの警戒もせず顔を向けてしまい──

 

「〜~~~~~っ!!?」

 

 物凄く熱いものが顔面にあたり、思わず大声を上げたのだった。

 

 

 

 

 *****

 

 

 

「大変申し訳ございませんでした」

 

「い、いや大丈夫ですから……」

 

 現在、僕の目の前でグローサーさんが見事な土下座をしていた。一応順を追って説明すると、まず僕の顔面に当たったのはエクシアさんが何となくで投げた温められた熱々のパイであり、そして僕の声にもなってない大きい悲鳴を聞いたグローサーさんたちが来て、僕はシャワー室に連れてかれ顔のパイを落とし、ケルシー先生に火傷がないか見てもらった。一応火傷とかにはなっていないのと、当たったのがスズランちゃんといった子供たちではなかったことは不幸中の幸いだった、寧ろ僕でよかったと思っている。あ、エクシアさんにはもう謝罪は受け取って僕もすぐに許しました。そこまで怒ることの内容でもないですし。

 

「本当に、大変申し訳ございませんでした」

 

 それより、問題は未だに土下座での謝罪をしているグローサーさんをどうするかだ。パイをぶつけた本人ではないというのに、態々こうやって謝罪をしてくる人間性というか、心構えは皮肉とかそういうの無しで本当に素晴らしいことだと思う。けど、僕自身そんなに怒ってもないし、寧ろ訓練の汗と一緒に流せたから別にいいかなーって思ってたりするから正直、心臓に悪い。

 

「あ、あの、大丈夫ですから、頭を上げて……」

 

「本当にすみません……怪我がなくて何よりです」

 

「い、いえ、大丈夫ですよ」

 

 やっとこさ立ってくれたグローサーさんを僕は見下ろす形で会話をする。……それにしても、グローサーさんって思ってたより身長低いと思う。そう思ってしまうのも、なんて言えばいいのか分からないが対応が大人というか、そういう感じだからだろうか?

 

「グローサーぁぁぁ!」

 

「あ、Wさんってにゃあぁぁ!?」

 

「!?」

 

 そんなことを考えていたら、突如赤い角のサルカズの女性が大声を出しながらグローサーさんに抱きついた。……なんだろう、サルカズの筈なのに競合騎士になってから仲良くなったペッローの子供みたいな感じがするなぁ。いや、失礼だなこの考えは。

 

「ち、ちょっとWさん、一旦離れて‥」

 

「いやよ、グローサーニウムの補充をしないと死んじゃうわ」

 

「えぇ‥」

 

 なんて現実逃避するためにあれこれ考えていたら、またちょっとよく分からないグローサーニウムという単語が飛び出して来た。ダメだ、何がなんだか分からない……一応声をかけてみるべきかな?

 

「あ、あの……」

 

「あら、貴方誰?」

 

 声をかけられたところでやっと僕の存在を認識したのか、Wと呼ばれたサルカズの女性はこちらを見る。そして僕を視界に入れるや目から光……と言えばいいのだろうか?そのようなものが消えた目で見られた僕は底冷えするような感覚に襲われた。その瞬間悟る。

 

「ネェグローサー?コノオトコダレ?」

 

 ──声をかけるべきでは無かった、と。

 

「ネェ?ハヤクコタエテ?」

 

 全く熱を感じさせないような声を出しながら、グローサーさんの顔を両手で挟んで質問するWさん。戦いの場などで感じる敵意や殺気や殺意、それとはまた違うようなドス黒いナニカが恐怖を掻き立てられる。しかも、僕が感じているのはあくまで余波として流れているものであり、それを一身に受けているグローサーさんは僕が感じているのより数倍は怖いはずだ。実際に物凄く震えている。……どちらにせよ、それを直接向けられているグローサーさんに説明を求めるのは酷な話し、そもそも自分自身のことは自分で説明するのが筋というものだろう。

 気持ちを整えて声をかける。

 

「ナニ?グローサーヲタブラカシタオトコガナンヨウカシラ?」

 

「ぴいっ!?」

 

 思わず悲鳴を上げてしまったがやっぱりだ、この殺気は戦場や競技とかで感じるものとは別物だ。慣れない別物の殺気に思わず震えてしまいながらも何とかして口を動かしていく。

 

「えっとですね、まず僕は訳ありでここで働くことになった者で……詳しい経緯は今話しても、信じられないと思うので省きます」

 

「ふーん……」

 

 よし、ここまではちゃんと聞いてくれたみたいだ。でも肝心なのはここから、一言でも言葉を間違えたり言い方をやらかしたら大惨事確定だ。

 

「それで、僕とグローサーさんが話してたのは、ついさっきエクシアさんが投げた熱いパイがたまたま近くを歩いていた僕の顔面に当たってしまって、そのことで謝罪ということでグローサーさんと話していた、という訳なんです」

 

「なるほどね……ごめんなさいね、早とちりしちゃって」

 

「いえいえ……」

 

 たどたどしく話してしまったせいで思っていた以上に時間がかかってしまったが、物分りが良い人なのかWさんは納得して下さり何とか無事に場を収めることが出来た。

 

「良かったら一緒に食堂行かない?お詫びに奢るわよ?」

 

「は、はい‥」

 

 つい先程の殺気のせいでまだ恐怖が残ってしまっているが、断るのは失礼だと思い、僕らは一緒に食堂へと向かった。

 

 

 

 ****

 

 

「はい、グローサー。あーん」

 

「あーん」

 

 食堂に向かう途中で反省としてとあることを書かれたプラカードを首に下げた上体で正座をさせられていたエクシアさんを回収し、そして現在食堂でご飯を食べているのだけれど、グローサーさんがエクシアさんとWさんに「あーん」と呼ばれる行為をしながら食べている。

 そういえば、この3人の関係ってどういったものなんだろう?友人にしては距離が近すぎるし……でも、聞いてもいい事なのかな?いや、でも気になるし……一応聞いてみよう。

 

「グローサーさんとお二人ってどういう関係なんですか?」

 

「私の世界で一番大切な存在!あと婚約者!」

 

「婚約者ね、掛け替えのない存在だわ」

 

「…………?」

 

 ……?

 

「あ、えっとね。説明してもらうとね……」

 

 Wさんとエクシアさんが言った内容が理解できず固まった僕のために、グローサーさんが説明してくれたのだが、簡潔に言うとお2人はグローサーの恋人の中の一員ということらしい。そして、それの証明のためかWさんがグローサーさんと……そ、そのキスまでした。思わず手で自身の視界を隠してしまったが、失礼だと思われていないだろうか。

 

「そういえば恋人の中の一員って言ってましたけど、もしかして他にも?」

 

「うん、そうだね。あとはテキサスさん、ラップランドさん、チェンさん、ブレイズさん、モスティマさんもですよ」

 

「す、すごいですね……というかラップランドさんまで……」

 

 グローサーさんは本当に凄い。あのラップランドさんまで恋人にしてしまうとは……僕の世界の方だとあの人に会う度に絡まれるからなぁ……模擬戦とかも何回もやる羽目になるし、マーガレットさん達と一緒にいる時に限っていつも以上に距離が近かったりするのもあってちょっと苦手なんだよなぁ。いや、騎士競技の企業の人達と比べたら悪い人ではないのは分かるんだけども。

 

 

 

 *****

 

 

 

「はぁ……なんか疲れた……」

 

 あれから解散した後、僕は疲労感を覚えながらロドスの廊下を歩いていた。ご飯を食べ終わったあと、Wさんとエクシアさんに「グローサーに手を出さないでね?」というような内容のことをあの慣れない殺気と共に言われたからだ。正直な話、最初から僕はグローサーさんのことはそういった目で見てないし、というよりあの話を聞いてから手を出そうなんて考えてなかったから本当に予想外だった。というより、元々住んでいる世界が別だから帰る方法が見つかれば、もう二度と会えないと思われるため余計にこの世界の人に対してそういった風に見ることはなかった。

 

 ……それにしても恋か。今までそういったことに無縁な生活だったため意識したことは無かったけども、今日のグローサーさん達の雰囲気を見ていたら少し羨ましく思ってしまった。

 

「……まあ、僕にはまだ無縁なものなんだろうけども」

 

 僕みたいな男を好きになる人なんていないだろうしね。……自分で言っておいてなんだけども、なんか悲しくなってきた。

 

「おっ、ヤマトー。暇ならこれからスマブ○やらねえか?」

 

「……分かりました。ご一緒させて頂きますね」

 

 まさにベストタイミングと言った所で最近仲良くなった男性オペレーターの方からゲームのお誘いが入り、僕はそれを了承した。

 

 

 因みにその場にはマリアちゃん達もいて、そして僕はボコボコにされたのは別の話だ。




キャラ紹介

ヤマト(天馬ルート):パイを顔面にぶつけられたり、Wやエクシアに脅されたりと散々な目にあった本作主人公。ウブなので耐性は無いが、人並みには興味があったり。この世界の二アール三人娘とはちょっと距離を置いている。因みに途中の、「……?」のところでは背景に宇宙が浮かんでいた。

グローサー:恋人がめっさいる。

エクシア&W:グローサーに手を出したらどうなるか分かってんだろうな?(^ω^#)

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