ロドス劇場   作:ゆっくり妹紅

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えー、今回はリクエストなんですが……すみません、大変申し訳ないのですが、書きやすいものから先に消化させていただきます……。そして今回のリクエストはifルートなのですが、絡むキャラの関係上この√のヤマトは他の√とは根本的に違う点が何点かございます。
詳しい内容は、後書きと設定の方で書きますのでご了承ください。

そして、先に言っておきますと原作の死亡キャラを救おうという描写があるため、それが苦手な方はブラウザバックをお願いします。

それでは、行きます。


ifルート:不殺を志した僧侶の日々

 

───分からなかった。何故、自分みたいなゴミが生きてて、彼女のような良い人が死んでしまっているのかが。

 

 ──彼女を死なせてしまった自分が、世界が、他人が憎くて、全てを恨んで壊そうとした。実際、それを実行した時は少しだけ気持ちが楽になれた。

 

 ──でも、同時に辛かった。結局、自分は誰かを助けることも、守ることも、救うことも出来ず、ただ壊すしか出来ない存在だと突きつけられてるようで。

 それでも、そうしなければいけないという強迫観念の元、歩みを止めることは出来なかった。

 

 ──『……君は後悔してるようだな』

 

 ──あの日、あの人に会うまでは。

 

 

 

 

 ****

 

 

 

 

「はあっ!」

 

 とある寺の裏庭にて、ペッローの少女と()()のループスの青年が木で作られた薙刀で打ち合っていた。いや、正確に言えば少女が打ち込みにいき、青年がそれを全て躱したり防いでいると言った方が正しいだろう。

 

「せやっ!」

 

「ん、今のはいい踏み込みだったね……けどっ!」

 

「うわっ!?」

 

 少女が放った渾身の一撃を青年はいとも容易く受け止め、賞賛の言葉を送り、そして続いて放たれた攻撃を自身の薙刀の柄を使って受け流しつつ、体を逸らし前にツンのめった少女の頭に手刀を軽めに落とす。

 

「体重をかけて威力を上げるってのは間違ってないけど、そればっかりだとこういう風に受け流されたら隙を晒すことになるよ」

 

「なるほど!兄者の言う通りですね!」

 

「さて、それを踏まえた上でもう一度…といきたいけど、そろそろお昼時だからね。ここまでにしよう」

 

「分かりました!付き合って下さり、ありがとうございました!」

 

「どういたしまして。それじゃ、薙刀は片付けてくるから汗を流してきて」

 

「はい!」

 

 ぺこりと頭を下げて礼を言う少女に向かって、ニコリと微笑んでから青年は彼女から薙刀を受け取り、走っていく彼女を見届け、自身は薙刀を早く倉庫にしまうために急ぎ足で倉庫へと向かう。それもそのはず、今日の昼ご飯の準備の担当は青年だからだ。

 

(本当は稽古を断るべきだったんだろうけども……)

 

 彼が考えてるように、昼ご飯の準備を考えれば薙刀の稽古を断ればここまで急ぐ必要はなかった。しかし、青年の性格上断るというのは出来ず、結局稽古をしてしまい、少し急ぐ必要が出てしまったのだった。

 

(さて、何を作るか考えておかないと)

 

 倉庫につき、薙刀をしまい台所へ向かう中青年は頭の中で寺にある食材を思い出しながら献立を考えてる最中、とある件のお礼として沢山貰った油揚げをそろそろ消費しないといけないことを彼は思い出した。

 

(よし、今日はいなり寿司と沢庵、味噌汁にしようかな)

 

 青年は献立を決めると、頭の中でこれからの行動をシミュレーションし始めるのだった。

 

 

 

 

 ****

 

 

 

 

 寺での生活の中には勿論修行がある。最も、この寺には護身術という名目で、武器を使った稽古やアーツ術の研鑽もあり一般的な寺の修行にはないものがある。

 だが、言わずもがな普通の寺で行われるようなものもやっており、そして昼ご飯の後の修行が今まさに行われている坐禅を組むことであった。

 

「……………」

 

「……………」

 

 身寄りのない子供を引き取り、今彼らが住んでいる寺を建てた「住職様」を除いた全員が坐禅を組み、精神を統一させている中、「住職様」は警策と呼ばれる木で出来た棒をもち、雑念が混ざっているもの、又は睡魔に負けそうな者がいないかを見ながら歩く。

 

「…………」

 

「……………」

 

 しかし長年やってきた賜物なのか、雑念が混ざったり、睡魔に襲われたりするどころか全員が姿勢をしっかり伸ばし、精神をしっかりと統一させていた。

 

「…………」

 

「住職様」は、子供たちの成長に感心している中、ふと視界に()()()()()()()()()がいるのが目に入り、そしてその人物が誰なのか分かると、「住職様」はため息を吐きそうになるのを堪えながらも、その人物の背に近寄り、肩に警策をそっと乗せ。

 

「……!」

 

「………」

 

 パシンッ!と少し痛そうでありながらも身が引き締まるような音が鳴り響き、叩かれた者は一礼してすぐに背筋を伸ばして意識を集中させ始める。

 

(…………)

 

「住職様」はそれを見て少しだけ思案するも、ふと視界にカクンと船を漕いでいる者の姿を見つけると、内心でため息を吐きながらその者へと足を進めたのであった。

 

 

 

 

 ****

 

 

 

 

 坐禅が終わったあとは、護身術の修行が始まる。最も、この修行では各々が自身の得物の扱い方や戦い方を互いに教えあったり、又は己が決めた師匠に教わったりと結構自由な形式で行われていた。

 だが、その中で1人だけ異色を放つ者がいた。

 

「…………」

 

 その人物は、昼食の前にペッローの少女に薙刀の稽古をしていた白髪のループス族の青年であり、彼は少し古めかしい書物を片手に持って熱心に読んでいた。周りが木でできた薙刀や木刀、又は杖で打ち合っている中、ただ本を読む青年は明らかに浮いている。

 しかし、それを見ても周りは一切気にするどころか、まるで当たり前かのように、一向に武器を持って稽古をしない青年に対して誰も口を挟まなかった。寧ろ、それが青年にとっての修行ということにして敢えて距離を取っているようにも見える。

 

「…………」

 

 と、ここで青年は本を閉じると近くに置いてある別の本を手に取り、いかにも手作り感が満載な案山子が立っている所へ行くと、そこからまた歩き出して、30m程離れた位置に立つと手に持っている本にアーツを込める。

 すると、本から青白い光が発せられ再度アーツを込めた瞬間、本から青い発光体が6つ飛び出し、青年の近くにふよふよと飛びながら停止。

 

「セット……ファイア」

 

 青年が呟くように小さな声でそう告げると、発光体は凄まじいスピードで案山子の近くへ飛ぶと、なんと青白い光線を放ち案山子を蜂の巣に──

 

「……よし」

 

 することはなく、ただ光線が当たった衝撃で()()()()()()()であり、普通であれば威力が弱すぎたと反省する場面であるはずなのに、青年の顔はまるで、長年の研究がやっと成功した科学者のように晴れやかなものであった。

 

(……ようやく、調整の具合がわかった。あとは他のパターンや瞬時に出来るように──)

 

「兄者!お手合せをお願いしたいのですが、よろしいですか?」

 

 が、それを打ち破るかのように青年に声をかけたのはペッローの少女。周りはそれを視界に収めると「ああ、またか」と言わんばかりに呆れ顔を浮かべたり、「本当にあいつの事を慕ってるんだな」と心が温まっている者と、稽古には無縁な反応を取っていた。

 

「……うん、いいよ。丁度キリが良かったしね」

 

「ありがとうございます!今度は兄者の本気を見たいので、これ持ってまいりました!」

 

 思考を遮られたことに対して、少しだけ思うところはあるのか青年はちょっとだけ間を置いてから、本をパタンと閉じる。

 そしてペッローの少女が渡したのは、木で出来た長さ130cm程の木製の棒。青年は礼を一言告げて受け取ると、少女から少し離れて感覚を確かめるかのように、太刀のように振るったと思えば、薙刀を扱うかのように薙ぎ払い、そして槍で相手を刺すように突きを放ってから、さらに軽く振るうと少女の方へ向き直る。

 

「お待たせ。いつ、かかってきてもいいよ」

 

「それでは……参る!」

 

 少女が自身が持っている薙刀を構えて距離を詰めてきたのを冷静にみながら、青年は迎撃の構えを取った。

 

 

 

 

 ****

 

 

 

 

(……懐かしいな)

 

 とある廃屋にて、眠りから覚めた白髪のループスの青年は夢で見た内容に懐古の念に駆られていた。

 青年にとって、寺で過ごした時間は己を見つめ直し、自身が本当にやるべきことを考えられたものでありながら、同時に今までの人生で最も穏やかな時間でもあった。

 

(……住職様や、他の皆はどうしているのかな)

 

「ヤマト!ここにい……どうした?」

 

 過去に想いを馳せている中、かつてひょんな事でボコボコにしてから旅仲間でになり、そして今となっては自身の親友とも言える人物が部屋の中に飛び込むように入室。その人物は、自分がヤマトと呼んだ青年がいつもの微笑みとはどこか違う笑みを浮かべていることに驚き、思わず声をかける。

 

「……いや、何でもないよ。それで、そんなに慌ててどうしたんだい?」

 

「……お前が予想してた中で、1番最悪なパターンが起こりそうだ」

 

「……そう」

 

 親友から告げられた最悪の報せに、ヤマトは1番可能性があると考えていたとはいえ、起こってしまったこと、そして防げなかった事実に苦虫を潰したような顔を浮かべる。

 

「……どうするんだ?」

 

「……皆はここで待機して、ここの住民に危害が加えられないように守って欲しい」

 

「……一人でいくのか?」

 

「うん、1人の方が動きやすいからね。……それに皆を連れてくと、悪い事が起こる予感もする」

 

 ヤマトは親友にそう告げると、よっこいせといいながら先程までベッド代わりにしていた窓辺から自身のアーツユニットでもある錫杖を杖代わりにして立ち上がると、壁に立てかけてある、彼が知る中で世界一だと胸を張って言える鍛治職人が鍛え上げた最高の刀を腰に挿す。

 が、ヤマトがただ刀を腰に挿したという単純な行動を見ただけにも関わらず、彼の親友は驚いたように声を上げた。

 

「お、おい!それを持ち出さなきゃいけないほどなのか!?」

 

「……うん。出し惜しみをしてられるほど甘くはないみたいだからね……それに恐らく彼女と……」

 

「……?」

 

「いや、何でもないよ。それじゃ、僕が留守の間よろしく頼むよ」

 

「あ、おい!」

 

 ヤマトは自身のつぶやきが追求される前に、足早に部屋を出てすぐに組織のバイクが保管されている場所へ歩き出した。

 

(……予想が正しければ、僕が行くべきなのは龍門の近衛局。そこに向かう途中で彼らに撤退するよう説得しつつ、尚且つ撤退が完了するまで時間稼ぎをする必要があるわけか……)

 

 正直な話、今からやることはかなり無謀で恐らく自分が命を落とす可能性はかなり高いだろう。

 

(これが僕の戦いだから、やらなきゃダメだ)

 

 しかし、ヤマトはそう自分を鼓舞しキーが差しっぱなしのバイクを見つけると、それに跨りエンジンをかけると同時に、錫杖にアーツを込めて弱めの光弾を生成し、それをシャッターの開閉ボタンへ飛ばしスイッチを入れ、錫杖を背中に回してアーツで固定すると同時にアクセルを捻ってバイクをふかす。

 

「な、なんだ!?シャッターが勝手に…うわっ!?」

 

 外に見張りがいたのか、その見張りはシャッターがひとりでに動いて空いたことに驚き、そして次の瞬間凄まじい勢いでバイクが飛び出してきたことでさらに驚き、腰を抜かしてしまった。

 

(おっと、これは悪いことをしてしまったかな……)

 

「な、なななな……ば、バイクドロボー!!」

 

 ──そういえば、許可申請出してなかった。

 

 見張りの声が耳に入った瞬間、ヤマトはそんなことを思いつつも、今は時間との勝負なため仕方ないし、そもそも自分は完全に仏門に入った身ではないからと、寺で修行した者とは思えない言い訳をあれこれ考えながら、盗んだバイクで龍門へと向かうのだった。

 

 

 

 

 ****

 

 

 

 ──これは大事な人を失い、自暴自棄になった少年がある住職の元、とある志を胸に、自分の戦いを貫き通す世界の話。

 

 

 




今回の話を書く中で、「あれ、これいけるのでは」と思って書いてしまいました……リクエスト主さんには本当に申し訳ないです……

キャラ紹介

ヤマト:ムサシを亡くし、ショックで白髪になった挙句闇堕ち仕掛けたところを「住職様」に保護され、そこから悟りを開いた‪√‬のヤマト。……だが、時系列な関係で他の‪√‬とは違い、出産のタイミングから5年ほど早く生まれている。つまり、ヤマト関連に起こった出来事が5年分早く起きたということになっており、他の‪√‬に比べて大人っぽくなっている。が、やっぱりどこか抜けてる。
服装はモンハンライ○の重ね着のカムライシリーズの頭以外を黒くした感じ。
山の中の寺で修行という、自然パゥワーのおかげなのか不明ではあるがアーツを使った術攻撃が出来、基本的にアーツユニットである錫杖を使った術攻撃がメインをとした戦い方をするが……?

ペッローの少女:察しのいい方はわかったかと思いますが、スキルを使う度に「納豆ご飯!」「油揚げ!」と叫ぶ彼女です。何故、赤ん坊の頃から住職様の元で育って来た彼女が、後から来たヤマトを兄者呼びしていたのかというと、向こうが年上というのと、ヤマトに色々と教わることが多いからという理由です。出番少なかったのはユルシテ

住職様:何年生きてるんやろ、この人。

ヤマトの親友:元々はとある感染者の小さなグループの首領であり、旅人や小さい村を襲って生計を立てていたが、たまたま襲った村にヤマトが滞在したせいで、仲間諸共、ヤマトの術と錫杖による肉弾戦でボコボコにされ、メンタルもボロボロにされた後、彼らを殺そうした村人を説得した挙句、「行くあてがないなら自分の旅に付き合ってくれないか?」と言われ、それ以来仲間と共にヤマトと旅をしていた。ヤマトの本当の全力の一端を知る数少ない人物ですが、恐らく出ることはもうないでしょう。

感想や批評などあればぜひお願いします。
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