ロドス劇場   作:ゆっくり妹紅

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えー、というわけで散々悩んだ挙句天馬ルートの年越し話です。まあ、たまには団欒系の話もいいですよね?ってことで上げさせていただきました。

それでは本編の方どうぞ。


年末年始の過ごし方(天馬ルート)

早速であるがヤマトの両親は自身の運営する会社の社長とその秘書ということもあって、かなり多忙だ。愛息子であるヤマトが幼い頃は年末年始だけは何とか休みを取っていたが、その彼がトランスポーターひいてはロドスのオペレーターとなってあちこち行くことになってからは、子離れをする時期だろうと2人は考えて休みを取ることは無くなっていた。

 

だが、今年は違った。何故かというと──

 

「まさか、あの子に嵌められてしまうとはな」

 

「その通りね……」

 

端的に言うとこの2人は実の息子であるヤマトと自身の会社の社員、ひいてはドクターを始めとしたロドスの人達によってロドスのヤマトが借りている部屋にぶち込まれたのだ。もう少し掘り下げると、この2人はドクターから「ロドスとの提携について再確認として直接話し合いがしたい」という旨をヤマトから伝えられ、社長であるユウキと秘書であるムツキは何の疑いも持たずノコノコとロドスに行き会議終了後、ヤマトに「それじゃ年末年始はここで過ごしてもらうから」と告げられ、その直後に自社の幹部から「暫くはご子息とゆっくり休んでください。こちらは大丈夫ですので」という電話が入り、ヤマトの部屋で過ごすことになってしまったという訳である。そしてこの計画を発案者が自分らの愛してやまない息子だというのだから、余計に2人は驚きどこで育て方を間違えたのか、と真剣に悩ませたほどだった。

 

が、ユウキとムツキにとってこのヤマトの罠は悪いことばかりではなかった。まずその1つとしてかつて自社の競合騎士として雇い、そして友人として接していたクラウスとその妻であるムサシにちゃんと顔を合わせられたこと。クラウスは強引に去ったということをした手前若干気まずそうにしていたが、ユウキとムツキにとってはやっと友人に会えたということで抱きついたお陰で気まずい雰囲気は無くなり、その日は3人で夜中まで積もりに積もった話が出来、そしてムサシは先輩お母さんのムツキとの連絡先を交換したりと充実した時間を過ごした。

 

2つ目としては、自身の息子であるヤマトが思っていた以上にロドスのオペレーター達と打ち解けていたことが分かったことであった。元来ヤマトはかなり内気な性格であり、今ではかなり仲がいい幼馴染とも言えるマーガレット達と打ち解けるのにも時間がかかったほどであり、そんな息子が知らない人だらけのところで上手くやれているか心配であったのだが、色んな人物と廊下で楽しそうに談笑している姿を見て心底安心した。なお、これを知ったヤマト本人は不貞腐れてしまったが。

 

そして3つ目は──

 

「それじゃ今日は年越しそばってことで、僕が作るから2人はのんびりしてて」

 

「いや、でも──」

 

「い い か ら」

 

「「はい……」」

 

「あはは……お兄ちゃんの圧凄かったね」

 

「そうね……あそこまでプレッシャー与えるほどなのかはわからないけど」

 

「まあ、ヤマトとしてはユウキさんとムツキさんのお2人にはのんびりして欲しいんだろう。力が入っても仕方ないかもしれないな」

 

久しぶりにヤマトと家族同然の付き合いである二アールの3人と過ごせることだろう。欲を言えば、ムリナールやクラウス達とも過ごしたかったがムリナールの方は「仕事があって忙しい」と辞退され、クラウスは「久しぶりの団欒を邪魔するほど腐ってねえよ」と言われてしまい残念ながらいない。マーガレット達も最初こそ渋っていたが、ヤマトらカグラ一家のお願いということで了承しこの場に来ていた。なお、この3人は料理ができるアピールもしくはヤマトと一緒に調理というのを夢見ていたのだが、残念ながら「久しぶりだしゆっくりしててよ」と言われてしまい撃沈している。

 

「それにしても……マーガレットちゃんたちちょっと見ない間に本当に綺麗なったわね~」

 

「ムツキさんこそ、相変わらずお綺麗です」

 

「あら、嬉しいこと言ってくれるわね〜」

 

「本当に若いままだよね。僕はちょっと老け込んじゃったよ……」

 

(いや、正直言って、ユウキさんとムツキさんのお2人ってヤマトの兄姉って言っても通用するぐらい見た目若いままなんですが……)

 

(なんか、秘訣とか……いやこの人たちの場合はないだろうなぁ)

 

「皆ー、年越しそば出来たよー」

 

見た目が20代前半にしか見えないカグラ夫妻の容姿に3人は戦慄としている中、丁度年越しそばの方が出来上がったらしくヤマトはそれを置いていく。

 

「さて、それじゃあ……」

 

『いただきます』

 

 

 

****

 

 

 

「玉ねぎと紅しょうがのかき揚げにかしわ天、美味しかったな~」

 

「前にちょっとしたトラブルの解決に手伝ったところの村の人達からお礼にって玉ねぎが大量に送られてきてね。ロドスに寄付してもちょっと量が多くて困ってたんだけど、消費する機会が出来て良かったよ」

 

「あー、それでやけに最近スープの具に玉ねぎ入ってたんだね」

 

「そういえば、蕎麦の汁ってさもしかして……」

 

「うん、今日は父さんたちに食べてもらうから自作だよ。流石に麺の方は市販のだけど……」

 

「本当にやると決めたら徹底的にやろうとするわよね、あんたは……」

 

「ふふ、そういうところも可愛いでしょ?」

 

「親バカだなぁ……」

 

「……可愛いはなんか複雑だなぁ」

 

食後、実は麺以外は全てヤマトの手作りであったりそこからムツキの相変わらずな親バカにマリア達が苦笑いを浮かべながら会話をしていた。そこでふと、ユウキはこんなにゆっくりと穏やかな時間を過ごすのは何時ぶりなのかという考えが頭によぎった。自身の幼少期や学生時代は実家の家庭環境的にそんな時間は存在せず、企業してからはヤマトの子育てのために時間をなるべくはとってはいたがそれでも少なかった。そしてそのヤマトが自分らの反対を押し切って競合騎士になり、ロドスと自社の橋渡し役のトランスポーターになってからは全く無かった。

そしてその様子に気がついたゾフィアが声を潜めてユウキに声をかけた。

 

「ヤマトの奴、ユウキさん達が最近仕事漬けで全然休めてないの凄い気にしてたんですよ。まあ、あいつの事ですから久しぶりにユウキさん達と一緒にのんびりしたかった、っていうのもあるでしょうけど」

 

「そっか……」

 

それがヤマトが今回の計画を立てた理由であった。彼の記憶の中でも両親であるユウキとムツキが自分と過ごす時間はあっても、ゆっくりと過ごしていることはなく、そして最近に至っては自分がトランスポーターとして働き始めたのもあって余計に休みを取らなくなっているのを知ってからは、ロドスの幹部陣や自社の社員や幹部たちにコンタクトを取りどうにかして両親を休ませたい、と懇願した。結果として、ヤマトの人柄などもあってこの計画は無事に遂行された。なお、これに関してドクターはかなりノリノリであったことをつけ加えておく。

 

「ゾフィアさんに父さん?何を話してるの?」

 

「……何でもないわよ」

 

「うん、何でもないよ。それよりヤマト」

 

「?何、父さん?」

 

「ありがとう。僕とムツキのためにこの時間を作ってくれて」

 

急にユウキからお礼を言われたヤマトはキョトンとした顔を浮かべていたが、暫くして意味が分かったのか顔を少しだけ赤くしてそっぽを向き。

 

「……どういたしまして」

 

「お兄ちゃんが珍しく照れてる!」

 

「確かに中々珍しいな……ちょっとこっちに顔を向けてくれないか?」

 

「きゅ、急になん……ゾフィアさん!?なんで羽交い締めしてくるの!?」

 

「いや、こうでもしないと見せないでしょーに。マリアー、写真よろ」

 

「任せてー!」

 

「マリアちゃん!?」

 

「その、撮ったら後で私にも……」

 

「マーガレットさんまで!」

 

「ヤマトの照れ顔1つでここまで騒がしくなるなんてなあ……」

 

「ふふっ、それほどヤマトのことを慕っているんですよあなた」

 

照れ顔を取らせまいと必死に抵抗しようとするも、羽交い締めしてるのがゾフィアというのもあって本気の抵抗が出来ないヤマトから遠慮なくパシャパシャと携帯端末のカメラのシャッターを切るマリアとそれを見て微笑むマーガレット、そして故意的に胸を押し付けてヤマトの動揺を更に狙うゾフィアという地獄絵図を「慕っている」の一言で済ませる妻にユウキは苦笑いを浮かべ、ふと時計を見てもうすぐ年越しであることに気がついた。

 

「もうすぐで年越しだから、止めてあげようか」

 

「そうですね……ふふっ、私としては3人ともあの子と結ばれて欲しいものです」

 

「ムリナールさんが胃痛で倒れそうなことを簡単に言わないであげて……」

 

思った以上に賑やかな時間となったが、改めて息子とその幼馴染との時間を過ごせることにユウキは改めて感謝しつつ、未だに騒いでいる4人を止めるために声をかけるのだった。

 

なお、ヤマトが寝た後に二アールの三人娘はムツキからとあるお言葉を貰うことになるのだがそれはまた別の話である。




改めて、ロドス劇場を今年もよろしくお願い致します。

キャラ紹介

ヤマト(天馬ルート):親をロドスに連れ込んで仕事をさせないということをやってのけたヤベー奴。なお、天ぷらも全て自作であり結構こだわったとの事。なお次の日朝起きたら、何故かマーガレット達に挟まれている状態になっており、宇宙ループスになっていた。

ユウキ:ヤマトのお父さん。家族のことを心の底から大事に思っているのだが、その分自分に対して厳しく自分のために休んだことは全くなく、そのせいでロドスに連れ込まれた。息子がハーレムルートに進んでしまいそうなことにちょっと心配。

ムツキ:ヤマトのお母さん。ムサシとは先輩お母さんとして色々助言をしている模様。そして二アールの三人娘を焚き付けてしまった。

二アール三人娘:母親公認で3人で囲っていいというのを貰った。

ムリナール:近い未来、胃痛で倒れることが確定した。

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