ロドス劇場   作:ゆっくり妹紅

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今回は剣聖ことメランサちゃんの誕生日ということで、我慢できず書かせてもらいました。いや、攻略で何度もお世話になってますから、多少はね?

最近、ブルアカとapexにハマってしまって執筆する時間が減ってしまっているのを何とかしたい(白目)




メランサ誕生日記念話:大事な君へのプレゼント

突然だが、ヤマトには恋人がいる。

ヤマトはその彼女のことを心の底から真剣に愛しているし、何があっても守り通すと決めているし、全てを捧げたいとも思っている。

 

しかし、そんな決意を持つヤマトは到底1人では解決できない困難にぶつかっていた。ヤマトはどうすればいいのか、1ヶ月ほど悩んだ末──

 

「メッちゃんの誕生日プレゼントは何をあげればいいか分からないので、助けてください……」

 

((((((なるほど、そういう理由で))))))

 

ヤマトのSOSを受けて部屋にやってきたアンセル、アドナキエル、ミッドナイト、シルバーアッシュ、ドクターの計6名はヤマトの言い分を聞いて納得していた。

 

ヤマトの恋人が誰なのか既に察することが出来たと思われるが、ネタばらしすると行動予備隊A4のリーダーであるメランサだ。

そしてヤマトと付き合い始めてからの彼女は明るくなり、笑みを浮かべる機会が増え、元々良かった隊の雰囲気が更に良くなったりと良い意味で彼女とその周りの環境は良くなっていた。

そのため、アンセルら行動予備隊A4の男性メンバーとしてはそのお礼も込みでヤマトに協力しようと同じことを考えた。

だが──

 

「けど、私は女性はどういったプレゼントを好むか分かりませんよ?」

 

「オレもちょっと分からないかな~」

 

「僕もそういった方面はちょっと疎くて……」

 

「そんなぁ…」

 

「すまん、それに関しては俺もお手上げだわ……てか俺が聞きたい」

 

「そんなぁ……」

 

集まって早々戦力の三分の二が喪失。ヤマトにとっては予想外の展開となってしまったともいえ、彼の纏う雰囲気は明らかに悪い方面へと移り変わっており、誰が見ても落ち込んでいるのは明白であった。

だが、1人でその戦力を補う…いやそれ以上の活躍が期待できる男がこの場にいた。

 

「ヤマト、俺らのことを忘れられたら困るな」

 

「そうだ、ヤマト。私達を忘れるな」

 

頼りになるような発言をしたのは、ミッドナイトとシルバーアッシュのナイスガイ2人。そしてその二人を見たヤマトを除くメンバーがなるほどと頷く。まず、ミッドナイトは元ホストなので女性への理解はこの中では完全にトップクラスと言える。そしてシルバーアッシュは最早言うまでもなく、(色々と)頼りになるドクターの盟友。

正直、この2人がいれば今回のヤマトの相談が解決するのは時間の問題。なので、残ったメンバーはそろりそろりと退出しようとして。

 

「ま、これから女性にプレゼントを送ることになった時の参考になるだろうから、ドクターたちもこの場に残ってた方がいいよ」

 

「ドクター、特にお前はアーミヤへの誕生日プレゼントで苦戦するはずだから絶対に残るべきだ」

 

「ふぐぅ…!」

 

「それは俺も同感だね。ドクターは女心というのがヤマトと同じレベルで分かってないからね」

 

「待って、なんか凄い自然に失礼なこと言われた気がする」

 

「ヤマトレベルなんて心外だ!!」

 

「ドクター、あなたの次のお昼はコックカワサキが作ったカワサキスペシャルカレーということにしておくよ」

 

「ごめんなさい」

 

(((凄い手のひら返しを見た気がする)))

 

こうして、ミッドナイトとシルバーアッシュからヤマト達の5人は女心と女性にあげるプレゼント選びのコツなど徹底的に叩き込まれ、ヤマトは最早講義となっていたそれが終わると、早速プレゼントを買いに行くのだった。

 

因みに巻き込まれたアンセルら4名は疲れた表情を浮かべながら、呼ばれた意味があったのか?と自問自答を繰り返していたとかしていなかったとか。

 

 

 

 

****

 

 

 

 

「ヤマト、今日はありがとね」

 

「ううん、俺も祝いたかったから気にしないで」

 

あれから数日後、行動予備隊A4のメンバーと共に行ったメランサの誕生日パーティ終了後、ヤマトの部屋にて部屋の主とその彼女の2人はベッドに腰かけながら話していた。

 

誕生日パーティは「折角だから楽しくやろうよ!」という提案を出したカーディが主導の元、メランサに秘密で準備を進められていたもので、ヤマトもカーディ達に誘われてその準備に協力、特に当日のご馳走を作る方面でアドナキエルと共に働き、メランサ達のお腹を満たしたのだった。

……なお、張り切りすぎて当初は予定していなかったものを勢いで作ったヤマトの財布は少しだけ寂しくなったのだが(割り勘しようと周りは言ってくれたが、流石に申し訳なくて断った)

 

「……実はさ、ヤマトと付き合えるなんて全く思えなかったんだよね」

 

「え?」

 

「ヤマトってさ、ラップランドさんとかWさんとか色んな人に好意を寄せられてたでしょ?しかも、皆さん凄い綺麗で強い人たちだから自信なかったんだ」

 

「そう、だったんだ……」

 

メランサの口から明かされた内容に、ヤマトは戸惑った。まさか、メランサがそんなことを思っていたなんて思っていたなんて全く考えていなかったからだ。寧ろ、ヤマトは自分が想いを告げて、今のように恋人として過ごしていい人ではない、と引け目を感じていた。

 

それでも1歩を踏み出せたのは、ドクターやアーミヤ。そしてどこから聞きつけたのか分からないが、シラヌイが送ってくれた手紙のお陰だった。そしてその1歩がきっかけで、ヤマトとメランサは恋人になれた。

 

「だからね、ヤマトから告白された時凄い嬉しかったんだ。同時に、もう貴方に守られるだけの存在になりたくないって思えたの」

 

「……もしかして、それで俺に鍛錬付き合って欲しいって頼んだの?」

 

「うん、そうだよ。もしかして気づかなかった?」

 

「全然気づかなかった…」

 

少しだけシュンとしてしまった恋人を見て、メランサは任務の時の頼りになる姿とは違う彼を見て笑みを浮かべ、彼と一緒に鍛錬して完成させた技と一緒に彼女達と戦ったことを思い返して直ぐに苦笑いを浮かべた。

 

「あ、そうだ。メッちゃんに渡したい物があるんだ」

 

「え?もしかして誕生日プレゼント?」

 

「ゔっ、流石に分かるよね……」

 

「いや、それはともかく別に用意しなくて良かったんだよ?誕生日を皆に祝って貰えたし、それに私はヤマトとこうやって2人で過ごせられるだけで充分なんだから」

 

「それでも、俺がメッちゃんにあげたいんだ……だめ、かな?」

 

「……嫌とは言ってないもん」

 

(やばい、今のは凄い可愛かった)

 

ヤマトは最後のメランサがちょっと拗ねたような表情で言った言葉にK.O.されかけるも、理性と気合いで何とか持ちこたえロッカーから装飾された袋を持ってきて彼女に手渡す。

 

「俺からの誕生日プレゼント、受け取って下さい」

 

「……良いけど、そこまでカチカチにならなくてもいいと思うよ?」

 

「……女性に、しかも大事な人にプレゼントあげるの初めてなんだから仕方ないじゃないか」

 

(……ヤマト、そういう所だよ)

 

メランサは最後のヤマトが少しだけ拗ねたような雰囲気で言った言葉に精神を揺さぶられるも、息を軽く吐いて心を沈め、彼に一言断って袋を開ける。すると中には。

 

「これって……髪飾り?」

 

「うん、そうだよ」

 

入っていたのは真ん中に花の形があしらわれたべっこう風のヘアクリップ。そしてメランサは最近ヤマトに髪が伸びてきたことを零していたのを思い出した。

 

「もしかして、私が髪伸びてきたって言ったから…?」

 

「まあ、そういうことになるかな……安直だったかもしれないけど」

 

「ううん。ありがとう、嬉しいよヤマト……折角だからつけてほしいな」

 

メランサはそう言うと、髪飾りをヤマトに渡して背を向ける。手渡されたヤマトは少し呆けていたが、緊張しつつもメランサの髪の毛に手を伸ばし何とか髪飾りを付ける。

 

「……やっぱり、似合うね」

 

「そう?ふふ、そう言って貰えると嬉しいな」

 

「メッちゃん、改めて。誕生日おめでとう」

 

そうして2人は笑いあって互いに見つめあって、そして──

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「──っていう話なの」

 

「へー、ってことはお父さんから貰ったのがその髪飾りだったんだ……どうりでいつも付けてるわけだ」

 

「ふふ、思い出の髪飾りだからね。つい、付けちゃうの」

 

「ふーん。あ、そういえばさ。男の人が女の人に髪飾り送る意味に確か、求こ──」

 

「カスミ」

 

「?なにお母さん」

 

「それに関しての話は、また今度してあげるから変に言わないこと…いい?」

 

「はーい!」

 

「……お母さん、俺も気になるんだけど聞いちゃ──」

 

「だーめ。これは女の子の秘密の話だから、ヒビキには教えられません」

 

「……お母さん、女の子って歳じゃ……」

 

「お母さん悲しいよ。お父さんの似なくていいところをヒビキが似ちゃって」

 

「えっ?」

 

「ただいまー」

 

「あ、噂をすれば帰ってきたわね……それじゃあご飯にしましょうか?」

 

「はーい!」

 

「……助かった……のか?」

 

 

──そんな会話が、いつかの未来で交わされることをあの頃(現在)の2人は知らない。




最近、記念日や番外編系列しか投稿してない…?

キャラ紹介

ヤマト:限りなく本編に近い√を辿った上でメランサ√に突っ走った本作主人公。なお、髪飾りをチョイスしたのはミッドナイト&シルバーアッシュの講義の中で「最近の彼女の言動から推察する」と「髪飾りは櫛じゃなければ、プレゼントの中では定番な方ではある」という話から。なお、かんざしを選んでいた場合、その1ヶ月後にメランサのご両親と顔を合わせる羽目になっていた。

ドクター&行動予備隊A4男子ーズ:戦力外通告(自主報告)。なお、ミッドナイトとシルバーアッシュの講義は後々役に立ったということだけはここに記しておく。

ミッドナイト&シルバーアッシュ:この2人の万能感は凄いと思う。因みに普段からヤマトの悩み事をよく聞いてくれるいい兄貴分たちでもある。

メランサ:正妻戦争を勝ち抜いた剣聖。因みにメランサ√は実質裏√扱いでもあったり、この√だとメランサが魔強化されたりと結構凄いことになる。そしてヤマトから髪飾りを送られた時、ちょっとだけ極東風の求婚であることを期待してた。

シラヌイの手紙(一部抜粋):あなたが後悔しない道を、ムサシに胸を張って報告できる選択をしなさい。

ヒビキ&カスミ:一体誰の子供何でしょうかね(すっとぼけ)

メランサ父:娘はまだ上げられないよ?ヤマト君?

メランサ母:いい子ゲットできたのね~

*メランサのご両親は完全に捏造というかオリ設定ですので軽く流してください。

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