折角読んでくださったり、感想を書いてくださった皆様に深く謝罪致します。次からはこんなことがないよう、気をつけて参ります。
それでは本編の方、どうぞ。
「~♪」
行動予備隊A4の面々と友好を深めたり、食堂で正式に働くことになったヤマトは、ここ数日機嫌が良かった。
どれくらい良いのかと聞かれたら、ヤマトのことをよく知らない人物が見ても機嫌がいいと分かるぐらいにだ。
そのせいだろうか、その日ヤマトは気が緩んでいた。
気が緩んでいるということは、気配の察知なども遅れるのは当然のこと。
つまり、何が言いたいかと言うと──
「ハア……ドクターの匂い……」
「(!!?!!??)」
ロドスのCEOがやべーことをしてるところを事前察知出来なくても仕方ないよね?ということである。
****
「(あ、アーミヤ代表がなんで洗濯場であんなことしてんの!?)」
自分の洗濯物を入れたカゴを抱えていたヤマトは半ばパニックになりながらも、反射的に入口の近くに身を寄せて中のアーミヤからは見えない位置に陣取った。
すぐに対処したおかげか幸いにも、アーミヤはヤマトに存在に気がついている様子はない。
それにヤマトは安堵するが、事態は悪い方向に進んでいく。というのも…
「ドクター…フゥ…好きですぅ…本当はもっと甘えたいし、一緒にいたいですぅ…んっ…」
アーミヤがドンドン自分の世界に突入していって、知ってはいけないことを色々とぶちまけてしまっているからだ。
ヤマトとて、早くこの場を離れなければならないと頭では分かっているものの、下手に動いて音を立てて見つかってしまえば、口が達者でないヤマトでは誤魔化したりしらを切ることは出来ない。
結果、どうなるかは…正直考えたくもないが、
どうすればこの場を切り抜けられるか、とヤマトが必死に脳をフル回転させていたその時だった。
「あれ?ヤマト、こんなに突っ立っててどうしたんだい?」
「ヒンッ!?」
「…そこまで驚くことか?」
突如、視界外から声を掛けられて驚き小さい悲鳴をあげてしまったヤマトに声をかけた人物であるラップランドと一緒にいたフロストリーフは怪訝そうな目でヤマトを見る。
ヤマトはめちゃくちゃ早く鼓動を打つ心臓を抑えるように深呼吸をして、ラップランドに返事をしようとした時だった。
「あれ、ヤマトさんにラップランドさん、それにフロストリーフさん。洗濯物を洗濯機に入れに来たのですか?」
アーミヤが部屋からひょっこりと顔を出してヤマト達に声をかけた。
その時の声や様子はいつも通りであり、先程までトリップしていた彼女とは全く様子が違っていた。
「ああ、ボクたちはヤマトがそこで立ってたから何をしているのかと思って声をかけただけだよ」
「!?」
「え…」
ラップランドはさも普通にアーミヤの問いに答えたが、ヤマトとしてはたまったものではない。これでは、ラップランドがくる前からそこにいたというのをバレてしまったも同然である。
(こ、殺される!!)
ヤマトが内心ガクブル状態の中、アーミヤは「そうでしたか」と言うと
「とりあえず、その洗濯物を洗濯機に入れたらどうですか?ずっと持ってるのも大変でしょうから」
そんなことを平然と言った。
もしかしてバレてない?助かった?とヤマトが思った時、アーミヤはすれ違いざまに小さい声で
「後で執務室に来てくださいね。聞きたいことがありますので」
「(ひぇっ…)」
ヤマトに死刑宣告をしたのであった。
現実は残酷である。
****
洗濯物を洗濯機にぶち込んだあと、ラップランド達とちょっとだけ話をしたヤマトは内心恐怖で発狂したくなるのを抑えながらアーミヤの執務室の前まで来ていた。なお、安定の無口+ポーカーフェイスのおかげですれ違ったオペレーター達はヤマトの心情を全く察していなかった。
(ああ…皆、せっかく仲良くなれたのにごめんね…俺はもうダメかもしれない…)
ヤマトは執務室のドアをノックする前に心の中で三人に謝罪した。
そして深呼吸を2、3回すると覚悟を決めて執務室のドアをノックした。
「ヤマトだ。アーミヤ代表、入ってもいいか?」
「はい、どうぞ」
「失礼する」
ヤマトはドアを開けて中に入る。なお、この時ポーカーフェイス+無口による言葉少なさは通常運転である。
中に入ると、アーミヤでニッコリと微笑んでヤマトを出迎えた。…最も、ヤマトからしたらその微笑みさえSANチェックものの恐ろしさを秘めているのだが。
「さあ、どうぞ。お座り下さい。これからお茶をお持ちしますので」
「いや、別に構わない。それより話とは?」
ヤマトはここであくまでしらを切ることに進路を転換した。
ずっと知らない、聞いてないを貫き通せば何とかなるとヤマトは考えたのだ。口がそんなに回らない自分でもこれならしらを切れる!とヤマト渾身の作戦は…
「嘘探知機もありますので、ちゃんと正直に答えてくださいね?」
「アッハイ(終わった…)」
無情にも、無駄に準備のいいCEOの前には無意味だった。
****
「そうですか…知ってしまいましたか…」
「(ふ、フーちゃん、テキサスさん助けて…)」
結局ヤマトはアーミヤの質問に全て正直に答えた。
その結果は、目のハイライトが消えたロドスのCEO爆誕☆という目を背けたくなるようなものだった
アーミヤから発せられる圧に、ヤマトが思わず助けを心の中で求める始末だ。
しかし、そんな状況でもふとヤマトはある事が気になった。
聞くかどうか、一瞬迷ったがここまで来たら全て聞いても結果は変わらないだろう、と開き直って聞くことにした。
「代表、何故あんたがドクターの服を持っていたんだ?」
「…今、聞きます?デリカシーというのをヤマトさんは知らないんですか…?」
「心外だ、それぐらい知っている」
アーミヤはそんなヤマトにため息を吐きつつも、やけくそ気味に口を動かす。
「ドクターの服などの洗濯は私がやるって自分から言ったんです。少しでも、ドクターの役に立ちたいですから」
>チーン
「………本当は?」
「……だってだって!最近ドクターは私のこと秘書にしてくれないんですよ!?お陰様で一緒にいれる時間が少なくなったから、つい魔がさしちゃったんですよ!!」
自らが用意した嘘探知機によって嘘だと暴かれたアーミヤは投げやりに本当のことを言うとわあっと机に突っ伏した。
それを見たヤマトは微妙な表情を浮かべていた。というのも
(ドクターとアーミヤ代表、両想いじゃん…)
という事だったからだ。
実は、ヤマトはいきなり呼び出された際に「アーミヤが好きなんだけどどうすればいいかな?」的なことをドクターに相談されたことがあったからだ。
恐らく、アーミヤを秘書に任命する機会を無くしたのはドクターが心臓がもたないからという理由からだろう。とヤマトは考えていた。
実は、この考えは当たっている。ヤマトは伊達にミッドナイトから教えを受けているお陰で察しも良くなっていた。
ヤマトは、そんなアーミヤにドクターの想いを告げようとして──嫌な予感がしたので辞めた。何故か分からないがヤマトの本能が危険信号を発していたため口を結んだ。
(でも、何もしないのままだと進展しないだろうし…)
ヤマトはそこまで考えて、ふと傭兵時代の相棒が自分に無理やり読ませたある本の内容を思い出した。
(あの方法を手伝うってことならセーフかな…?)
ヤマトはそう考えると、目の前のアーミヤに声をかけた。
「代表さドクターと恋仲になりたいか?」
「こ、ここここ恋仲!?そ、そんなこと望んでるわk「チーン」……はい、なりたいです…ううっ…」
ヤマトの質問に慌てて否定しようとしたアーミヤだったが、無常にも嘘探知機が反応したせいで、顔を赤くしながらも正直に答えた。
ヤマトはそれを見て、いたたまれなくなってきたのもあってさっさとある提案をアーミヤに持ちかけた。
「代表、良ければ手伝う」
「……へ?」
「昔、読んだ本によると惚れた相手を墜とすには胃袋からとあった。料理であれば、俺でも手伝えるが…どうだ?」
ヤマトの突然の提案に、アーミヤは考え──
「はい、お願いします」
「分かった、精一杯やらせてもらう」
その提案に乗ったのだった。
キャラ紹介
ヤマト:ドクターとアーミヤをくっつける為のキューピットとして頑張るぞい☆
フロストリーフ:実は、ヤマトが面倒事に巻き込まれたのを何となく察していたが、介入してもヤマトのためにならないだろうと敢えて放置。完全に保護者ムーブ
ラップランド:ヤマトの尻尾をモフる機会をじっくり伺っている…
アーミヤ:ロドスのCEO。今作ではドクターへの想いを拗らせているが、結構初心。何だこの可愛い生き物。ところで、ネットの検索欄にアーミヤって打ち込むと後ろにヤンデレが着くのはなんでだろう()