ロドス劇場   作:ゆっくり妹紅

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喧騒イベをやってる最中に、元々書こうとしていたネタといい感じに噛み合いそうなので急遽内容と1部展開を変更するという「お前は何やってるんだ」と言われても否定できないムーブをかましたバカはどこのどいつだーい?……自分です(白目)

反省はしてます。けど挑戦できそうならやるというのが今掲げている目標ですのでやりました()

あと、今回の話はロドス時空のヤマトでifルートのヤマトではありません。
それとシリアス+オリキャラ出ます。

なお、イベント攻略中は呆れ顔のテキサス可愛いくて悶えてましたまる



喧騒の夜に紛れる狼(上)

龍門の安魂夜が行われている日の夜。

裏路地のとあるバーに、身の丈ほどあろうアタッシュケースを持った1人のループスの少年が入ってきた。

 

「どうした坊主。本来なら、回れ右してママのところに帰って欲しいが、不幸なことに客が全く居ねーからな。好きなとこに行ってくれや」

 

「……………」

 

客がいないバーのバーテンダーと思しき男性がかけた言葉を無視して、少年はバーテンダーに小声である言葉を発した。

それを聞いたバーテンダーはため息を吐きながら呆れ気味に目の前の少年に言葉を投げかけた。

 

「……客が居ねーのにわざわざ言うなんて、相変わらず律儀なやつだな」

 

「そういうルールだろう」

 

「ったくこっちは気を利かせてそのまま直行していいように、遠回しに言ってやったのによん…ほら、行きな」

 

少年は彼に軽く会釈をすると「staff only」という文字が書かれたドアを開けて中に入ると、迷うことなくその部屋にある本棚の丁度1冊だけ入りそう隙間がある所に、懐から出した赤い本を入れた。

すると、本棚が1人でに動き出しその裏から金属製のドアが姿を現した。

少年がそのドアをなんてことがないように独特なリズムで叩くと、鍵が開くような音がしそれを確認すると少年はドアを開けて中に入った。

 

「やあ、久しぶりだね。ヤマト少年」

 

中に入ると、そこには様々な機材や武器を研ぐための砥石、そして色んな武器が所狭しと置かれており、作業台と思われる机の近くには1人の角が生えたサンクタ人の女性がいた。

その彼女が入ってきたヤマトにヒラヒラと手を振って挨拶をしたのに対し、ヤマトは無言でアタッシュケースを彼女の前に置いた。

 

「こいつの点検・修理を頼む」

 

「おおう…少しはお姉さんの話を聞いてくれてもいいんじゃない?……ふむ、確かにこの具合だと私じゃないと厳しいね。あ、てか、よく私がこっちに来てるって分かったね?」

 

「………たまたまそう聞いたからだ」

 

「うーん、素っ気ないなぁ…そのコミュ障ぶり早く治しなってあれほど…てか、私にはそろそろ心開いて欲しいんだけど?」

 

その女性は、ヤマトに対し色々言いながらも慣れた手つきでアタッシュケースの中にあった合体剣をバラして、一つ一つの不調な、またはもうすぐそうなりそうな箇所に手を加えていく。

彼女の話を聞きながら、ヤマトはふと思い出したように声をかけた。

 

「…そういえば、ここに来るまで何か騒がしかったが何かあったのか」

 

「ん?ああ、なんかシラクーザのマフィアとペンギン急便がドンパチやってるってh「本当か!?」おう!?」

 

女性の答えにヤマトは食いつき気味な反応を示し、それを見た彼女は驚いたように声を上げる。

 

「凄い食い付きだねぇ〜。もしかして、どっちかに因縁でも…そんな熱い視線向けられるとお姉さん困るんだけどな〜。まあ、理由教えてくれたら教えてあげるよ?」

 

「……ペンギン急便に、大事な人がいるんだ」

 

ヤマトがどこか優しさを含んだ顔で答えた内容に女性は、少し間を置いて声をかけた。

 

「………そっか。もう一つだけ聞くけどさ、さっきの話が本当ならヤマトはどうするの?」

 

「出来る範囲で助太刀する」

 

「はあー…、この剣は整備の途中だから使えないのにどうすんの?」

 

「………」

 

 

即答したヤマトに対して女性はため息を吐きながら現実を突きつけた。

合体剣を一時期預けるため、ヤマトは自前の投擲にも使える戦闘用のナイフを数本持っているが相手のマフィアの規模が不明な以上、これだけではいくらヤマトでも心許ないのは事実だ。

それに対し、気まずそうに黙っているヤマトに対し女性は呆れながらも2本の指をヤマトに示した。

 

「当初の2倍の額払うなら、ここにある武器をいくつか貸してあげる」

 

「………いいのか?」

 

女性が金や武器などにうるさいのを知っているヤマトは、遠回しにそんな安くていいのかと聞くと彼女はヒラヒラと手を振って答えた。

 

「昔からの馴染みというわけで今回だけのと・く・べ・つ、に許してあげる。ほら、さっさと武器選びなって」

 

「…すまない」

 

ヤマトは彼女にそう告げて武器を選ぶ。

今回の争いがどういったものかまではまだ不明だが、龍門の中での喧嘩ではなるべく殺傷能力が低めのものを選ばないといけないことを念頭にヤマトは候補を絞っていく。

 

そして、ヤマトが最終的に選んだのは特殊警棒と刀だった。この2つを選んだ理由は、特殊警棒は言わずもがな殺傷能力はここにある武器の中では低めであることで、刀は万が一警棒では対処しきれない相手がいた場合のものだ。

 

「……行ってくる」

 

「ヤマト、これも持ってきな!」

 

「これは…!」

 

武器を選び終えたヤマトが部屋から出ていこうとした時、女性はヤマトに向かってあるものを差し出した。

女性が差し出した物を見てヤマトは戸惑いの声を上げた。それも、彼女が差し出したのが長距離狙撃用のボウガンと殺傷能力がない矢と殺傷能力がある矢が入った矢筒だったからだ。

 

「ヤマトにとってはこの武器を…遠距離系統のやつを使うのは嫌なのかもしれない。でもね、選り好みしてる状況でもないだろ?」

 

女性の有無を言わさぬ態度に、ヤマトは少し考えを巡らせてい意を決したように()()()()()ボウガンと矢筒を受け取りそれらを身につける姿を見て、彼女は励ますように声をかけた。

 

「ヤマト、あいつが…ムサシが死んだのはお前のせいじゃない。あの時のメンツじゃお前以上の奴は──」

 

「…それでも、俺の実力不足でムサシは死んだのは事実だ…俺があいつを殺したようなものだ…」

 

「……ヤマト」

 

「……すまない、あと武器をありがとう。シラヌイ」

 

だがヤマトはそれを遮って自身を戒めるかのように言葉を発した。それを悲痛な目で見る先程まで話していた女性、シラヌイに顔を見せぬようにヤマトは謝罪とお礼の言葉を告げると部屋から出ていった。

 

 

 

「……ヤマト、前よりはマシになったけど…まだ引きずってるんだね…」

 

かつての弟分であったヤマトのことを思ったシラヌイの呟きは、闇に溶けていった。

 

 

 

 

 

 

 

本来であれば、介入するはずのない存在が混ざり合う一夜限りの喧騒はどうなっていくのか…

一つだけ予測できるのは、多少は賑やかになるであろうことぐらいだろう…

 

 




ちょっと待って、今回原作キャラ出てないって…


キャラ紹介

ヤマト:いつもとは違う武器でイベントに参戦。シラヌイの会話からして、かつては遠距離武器も扱っていたように伺えるが…?

バーテンダー:オリキャラ。おそらくもう出番はない(無慈悲)

シラヌイ:オリキャラ。ヤマトの合体剣を作った張本人。傭兵時代のヤマトを知っている人物の一人。なお、裏の世界では結構有名な武器商人という設定。

ムサシ:オリキャラ。ヤマトとシラヌイの会話で出てきた人物だが、会話の内容的に故人。ヤマトが遠距離武器を置いた理由に関係しているようだが…?


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