ロドス劇場   作:ゆっくり妹紅

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今回、『ヤマトちゃん』実装にあたってリア友にの助言を頂き、こうして話をあげることが出来ました。自分、ファッションセンスが壊滅的なのでリア友には感謝の言葉しか出ません。ありがとう、マイフレンド!

さて、本編の方どうぞ!



ヤマトちゃんの1日〜嵌められたコミュ障狼(後編)〜

「ハア…本当にどうしよう…」

 

昨日の惨劇の翌日、今のヤマトの格好はちょっとサイズが大きめの半袖パーカーに、ショートパンツと黒のレギンスを穿いており、頭にはウィッグをつけてそれをポニーテールにして纏めているというものだった。しかも、意外と筋肉質ではない上に体の線が細いのと童顔なのが相まって、パッと見では男とはバレない具合に似合っていた。

にも関わらず、ヤマトは自室で項垂れていた。

というのも、ドクターから【演習や出撃以外の通常業務は行うこと】というのが追加されたからだ。

つまり、ヤマトはどんなに人と会わないようにこの日を過ごそうとしても、食堂で正式に働くことになった以上はグムとその他厨房メンバーとのエンカウントは避けられないものとなってしまったのだ。

そんなに嫌なら休めばいいじゃないか、とも言いたくなるが飯時の忙しさをヤマトは身をもって経験しているため、皆が頑張ってる中1人だけ個人的な理由で休むというのはひっくり返ってでも出来ないことなのだった。

 

(…悩んでても仕方ない。もう、腹を括って行こう!)

 

覚悟を決めて、いざこれから朝食で戦場と化す厨房へ行こうとドアを開けて───

 

「ヤマト、謹慎が解けたと聞いたから食堂まで一緒に行かない──」

 

「あっ……」

 

たまたま訪れたチェンとばったり会ってしまった。

固まる両者。そして、数秒時間が過ぎた後に先に行動したのは──

 

「わああああ!?」

 

胸を隠すように腕を交差させてしゃがみ込んだヤマトだった。

体をプルプルと震わせている様は正に紛うことなき小動物。

それを見たチェンは──

 

(え、女の子…?いやでもここはヤマトの部屋だし…まさか、ヤマトが連れ込ん…!?…でもさっきの悲鳴はヤマトの声だった…え?)

 

混乱していた。

さて、ここで質問。こういう可愛いものやギャップに弱いチェン隊長(当世界基準)が混乱した挙句、しゃがみ込んでプルプルと震えて涙目でこちらを見ている小動物を見たらどうなるか。

 

「──ゴフッ(か、かわええええええええええええ!)」

 

「え、ち、チーちゃん!?だ、大丈夫!?」

 

チェンは鼻から何かが流れる感覚を味わいながら、意識を落とした。

 

****

 

「……ん、ここは……」

 

チェンは柔らかいものの感触を後頭部に感じ、意識を戻した。

 

(確か、ヤマトと一緒に食堂まで一緒に行こうと誘ったら…)

 

「あ、やっと気がついた?」

 

チェンは上からヤマトの声が聞こえたためそちらを見上げると、先程の少女の顔がすぐそこにあった。

そこで、チェンは自分が置かれている状況を整理した。

まず、後頭部に柔らかい感触。次に今気がついたが今自分は横たわっていること。そして最後に、ヤマトの顔がすぐそこにあることから導き出される答えは──

 

(ひ、膝枕されてる!?)

 

チェンはその答えに辿り着くと、急に心臓の鼓動が早くなってくるのを感じた。普通、異性に膝枕をやられたら緊張するのは当たり前のこと。

それは、やっている側も同じはずであるが……

 

「良かった。前読んだ本で膝枕すると、軽い仮眠ぐらいなら癒されるって書いたあったのは本当っぽいや」

 

「……なあ間違ってたら済まないがお前はヤマト…なのか?」

 

「……ハイ、ソウデス」

 

「……色々聞きたいことはあるが、その読んだ本のタイトル聞いていいか?」

 

「?えーと『異性と仲良く過ごすための方法〜2人っきりの部屋でどうすればいいか分からない人向け!〜』って本だけど」

 

──それは恋人向けの本だ!この天然!

とチェンは突っ込みかけたが何とか飲み込む。

ここで、こんな突っ込みをすればヤマトもテンパり出して収集がつかなくなると判断したからだ。

チェンはため息を吐きながら起き上がり、時間を確認すると10分ほど気絶していたことが分かると、自身の失態に頭を抱えたくなった。

が、その失態を犯す羽目になった元凶になんで女装をしているのか聞かなければならない。

チェンはなるべく見ないようにしていたヤマトに、色々堪えながら聞くことにした。

 

*****

 

「……なるほど、そういうことか」

 

チェンは女装したヤマトの説明を聞いて、色々と頭を抱えたくなった。取り敢えず、今目の前にいる女装が似合いすぎているヤマトを見てどうしたものかと考えた。

 

まず、ラップランドに見せたら間違いなく100%お持ち帰りされて色々なこと(意味深)されるのは予想がつく。

次点でやばいのがエクシア。というのも、彼女の場合だと今のヤマトを見たら散々弄り倒した挙句、写真を撮る(黒歴史永久保存)というとんでもないことをしかねないからだ。

というよりも、ヤマトと交友関係がない者たちが今のヤマトを見たら余計に評判が悪くなるのはどんなアホでも分かる事だ。

 

かと言って、チェンだけで女装したヤマト…もといヤマトちゃんを他の人の視界に入らないようにするのは限界があるのも事実。なので──

 

「ヤマト、お前の女装姿をあまり他の者に見せないためにも、正直悪いと思うがホシグマとフロストリーフに話して協力してもらうぞ」

 

「え……見られたくないけど、仕方ない…よね」

 

(ん"ん"!)

 

普段からお世話になっている2人に女装していることがバレるばかりか、更に自分のせいなのに迷惑をかけてしまうことにシュンとしたヤマトの姿を見て、またチェンは鼻から何かを出しかけたが気合いで耐えきった。

 

こうして女装ヤマト…もとい『ヤマトちゃん』の一日が始まった

 

*以下、会話のみをダイジェストでお送り致します。

 

ケース1:グムの場合

 

「お、遅くなってすみません…」

 

「いや、大丈夫だ……あれ、ヤマト君の声が聞こえたと思ったんだけど…誰、キミ?」

 

「……ヤマトです」

 

「……今なんて?」

 

「……ヤマトです」

 

「……マジで?」

 

「……マジです」(ハイライトオフ)

 

「……皆ァァァァ!や、ヤマト君がヤマトちゃんにぃぃぃぃ!!」

 

「待ってグムちゃん!間違ってないようで間違ってる!!」

 

 

ケース2:フロストリーフとホシグマの場合

 

「……チェンから話を聞いた時は冗談かと思ったが、本当だったとは……」

 

「ええ…これには小官も驚きました…結構似合ってますよ、ヤマト殿」(ニッコリ)

 

「似合ってるって言われるとなんか複雑だなぁ…それとごめんね。俺の自業自得なのに迷惑かけちゃって…」(シュン)

 

「……なんだろうな、普段から保護欲というかそういうのはあるんだが、女装したこいつだと余計に……」(ウズ)

 

「……ヤマト殿、いっその事ずっとその姿で過ごしてみたらどうでしょう?」(真剣)

 

「2人はなんか俺に恨みでもあるの!?」

 

 

ケース3:ペン急メンバーの場合

 

「あははははwwやばいw腹筋がwwww」

 

「わ、笑わないでよぉ!すごい恥ずかしいのに…」

 

「それにしても、えらい似合っとるなぁ…本当は女の子なんちゃう?」

 

「正真正銘、男だよ!!」

 

「えーと…その、女性の私から見ても十分可愛いよヤマト君」

 

「……皆、それ言うけどさ…本当は似合ってないんでしょ…」

 

「そんな事ない!!可愛いよ!!例えば──」

 

「待て、お前ら。これ以上ヤマトを困らせるな」ヨシヨシ

 

「……やっぱりこの中じゃテキサスさんが1番頼りになるよ……けど、なんで頭撫でてるの?」

 

「…すまん、体が勝手に……」

 

(隠し撮り成功ー!それにしても、あのテキサスが気がついたらあんなことしちゃうなんて…そうだ!この写真は『魔性の天然狼ヤマトちゃん爆誕☆』ってタイトルにしよう!)

 

「エクシア、後で話がある」

 

(あ、終わった)

 

ケース4:アーミヤCEOの場合

 

「……ヤマトさん、もう一度聞きますが本当にあなたの性別はなんですよね?」(ゴゴゴゴ)

 

「…そ、そうです…」(プルプル)

 

「……女性として勝ってるのが胸しかないなんて……」(ハイライトオフ)

 

(ヒェッ……)

 

 

 

*****

 

「疲れた……」

 

夕食の仕事が終わり、自室でヤマトは疲労困憊といった感じでそう呟いた。

チェンを筆頭に、本日関わった人達の協力のおかげでヤマトは交友関係がない人物たちとのエンカウントは多少はあったもののかなり少なくすんだ。

ただヤマトの中で疑問に思っているのが、交友関係がない人達が自分を見た時、そんな気味が悪いものを見るようなもので自分を見なかったことと、会って話した人達が全員自分のことが分からなかったことだ。

 

(確かに女装してるとは言え、気づかないほどかなぁ…)

 

ヤマトがそんなことを考えていた中、来客を告げるインタホーンが鳴った。

この時、ヤマトは疲れていたせいもあってか誰が来たのかを確認するどころか、相手が用件を話す前にドアを開けてしまったのだ、

 

「はい、誰で──」

 

「ヤマト?」

 

「────」

 

訪ねてきたのは、任務に出撃していたラップランドであった。

彼女はウィッグを付けて女性物の服を着ているヤマトを見て、驚きの声を上げ、見られたヤマトはピシッと固まるも、直ぐにドアを閉めようとしたが、ラップランドがそれを間に足を挟んで阻止した。

 

「ちょっとなんで閉めようとしたいんだい?ボクはただ会いに来ただけなのに…」

 

「ご、ごめん…気がついたら体が勝手に…」

 

「まあ、いいや。取り敢えず詳しい話は中で聞かせてもらおうかな」

 

****

 

「なるほどね…それで女装して1日過ごしたと」

 

「はい、そうなります…」

 

「全く、ドクターも酷いことするねぇ」

 

──嘘である。

この狼、寧ろこのようなペナルティを課したドクターに心の底から賛美を送っていた。正直、鋼の理性がなければ今頃、ヤマトの耳と尻尾を触るために襲いかかっていただろう。

 

「やっぱり女装って酷いと思うよね?いや、負けた僕が文句言う筋合いはないと思うんだけどさ…」

 

「うん、そうだね」

 

目の前で不満ありげに零すヤマトにラップランドは適当に相槌をうちながら、どうやってヤマトを弄り倒そうか考えていた。当初は女装で攻めたかったのだが、残念なことに結構似合ってるためどこを弄ればいいか分からないのが現実である。

 

「でも、フーちゃんやチーちゃんのお陰で何とかなって良かった…」

 

ヤマトのなんて事がない発言にラップランドはピクっと反応した。

 

「ヤマト、それって…」

 

「ああ、なるべく他のみんなに見られないようにフーちゃん達が助けてくれたんだ…まあ、一部の人は笑って虐めてくるだけだったけど…」

 

ラップランドは何故かそれにムッとしてしまった。確かに今日は任務があったからヤマトの女装を隠すために色々出来なかったとはいえ、2人には話して自分には話さないというのは、面白くない。

ヤマトはそれを気にせず話を続ける。

 

「でも、初見で俺だって分かったのはラーちゃんだけだったよ」

 

「…え?そうなの?」

 

ヤマトの思わぬ発言にラップランドは素で聞き返した。

ヤマトはそんなラップランドに疑問符を浮かべながらもコクンと頷いた。

 

(皆ヤマトだって直ぐにわからなかったんだ…)

 

その事実にラップランドは自分でも単純だと思いながらも、機嫌が治ってしまった。

そして、ラップランドは調子に乗ってヤマトにこんな提案をもちかけた。

 

「ねえ、ヤマト。一目でキミだって分かったご褒美に、ヤマトの尻尾触らせて欲しいんだけどダメかな?」

 

「え!?」

 

ラップランドの突然の提案にヤマトは驚いた声を上げて、どうしようかと考え始めた。というのも、尻尾や耳を触られると色々と恥ずかしいし、気がついたら寝てしまうことあるからだ。しかし、ラップランドに触られるのは嫌いではなく、寧ろクセになってしまうほどなのも事実。

 

ヤマトは散々考えた上で出した結論は──

 

*****

 

余談ながら、ロドスの七不思議に『1日だけしか現れない美少女ループス』というのが追加されたとかされなかったとか。




キャラ紹介

ヤマトちゃん:1日限定実装され、色んな人を惑わした魔性の天然美少女()ループス。因みに、コーデしたメランサが言うには当初はレギンスだけだったのだが、ヤマトが恥ずかしいと言ったためショートパンツを追加した結果、逆にチラリズム的な意味で威力が倍増したとのこと。なお、女装があまりにも似合いすぎるせいでヤマトと交友関係がある者でさえ一目ではヤマト本人とは分からない程だったので、交友関係がない人たちはヤマトだと全く気が付かなかった。ラップランドに許可を出したどうかはご想像にお任せします()

チェン:危うく自ら出した血の海で死ぬところだった。できたら、もう1回なってくれないかなと思ってしまっている。

グム:ヤマトちゃんの違和感のなさぶりに度肝を抜かされた。自分が男だったら惚れてた可能性もあったかも、と後に零した。

フーちゃん:ヤマトちゃんに惑わされかけたものの、強靭な精神で耐えきった。でも今回の件で保護欲的なものが余計に強くなったとか。

ホシグマ:こちらも落とされかけたものの、頼れる姉御だからこそ耐えきれた。何気にヤマトを自分の身長で隠してあげるというファインプレーをしていた。

ボロ雑巾みたいな天使:カメラのデータは消されたものの、SDカードに写していたため何とか残すことに成功。でもバレたらあとが怖いため奥底にしまい込むことにした。

テキサス:保護欲が掻き立てられ気がついたら頭を撫でていた。なお隠し撮りしていた天使とのOHANASHI☆は上手くいったとか。

アーミヤ:落ち込んでいるところをドクターに励まされただけではなく、容姿をべた褒めされて顔を真っ赤にして撃沈した。

ラップランド:一目でヤマトちゃんをヤマトだと見抜いた唯一の人物であり、ヤマトのモフり方を熟知しているベテラン。自分がフーちゃん達に嫉妬していたと自覚できていない。
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