満を持して彼女の登場です。さあ、引っ掻き回してもらおうか…
ゲームのエクストラステージムズすぎて止まってしまいました…読者の皆さんは自分みたいに止まるんじゃねえぞ…
ある日、ロドスの食堂のとある一角のテーブルを他のオペレーター達は遠くから見ていた。というのも
「へー、キミはヤマトの追っかけ…ようはストーカーなんだね」
「人聞きが悪いわね、彼に恩を返したくて私は少しでも力になれたらって思って入ったんだけど?」
「ああ、自分がストーカーだと認めることが出来るほどの知力がないんだね、ごめんよ。気遣ってあげられなくて」
「は?」
「ん?」
「……(ニコニコ)」
「……(ニコニコ)」
(フーちゃん、チーちゃん、テキサスさん、ホシグマさん…いや、もう誰でもいいから助けて…)
ヤマトを挟んで2人の女性が互いにプレッシャーを放ちながらこんな会話をしているからだ。
なお、挟まれているヤマトは2人から発せられる空気に恐怖と謎の胃痛に襲われながらも、心の中で必死に助けを求めていた。
なぜ、こんなことになったのか?それは少し時間を巻き戻す必要がある。
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その日、食堂でたまたま会ったヤマトとラップランドは移動するのも面倒臭いため、食堂のある一角のテーブルで談笑していた。
「そういえば、今日ロドスに事務仕事担当で新しく入った人がいるんだって」
「この時期に…?いや、ドクターのこと考えたら遅すぎるぐらいなのかな?」
ラップランドがふと思い出したように発言した内容に、ヤマトは今頃書類の山に埋もれているドクターのことを考えながら当たり障りのはない返事をした。
「それにしても、どんな人なんだろうね?」
「さあ?ボクもまだ見てないからなぁ」
「へー、ヤマトったらもう私があの時言ってたこと忘れちゃったの?」
「え?」
突如、背後から声をかけられたヤマトは首を後ろに向けると、服装はロドスの制服になっているものの、そこにいた人物はヤマトにとっては忘れることが出来ない人物が立っていた。
「リーシー…なんでここに…」
「何でって…あなたの事を追いかけて来ちゃダメかしら?」
「………」
リーシーの直球な言い分にヤマトは思わず黙り込んでしまう。リーシーはそんなヤマトに近づこうとして──
「待ってよ、ボクとヤマトが楽しく話してる時に急に割り込んでくるなんて非常識じゃないかい?そもそも、キミは誰なんだい?」
ラップランドが待ったをかけた。いきなり現れた何処の馬の骨か分からない女がヤマト近づくのは彼女としては、あまり心地のいいものでは無い。
リーシーはそんなラップランドを一瞥してから、自己紹介した。
「私はリーシー。今日からロドスで住み込みで働くことになった者よ」
「…なるほど、キミが話の新しく事務仕事担当の人か」
ラップランドは目の前の女性が件の新人という意味と、コイツがヤマトの頬にキスしたやつか、という意味で頷いた。
何故、わかったかと言うとラップランドはヤマトからキスした女性の名前を聞いていたのに加え、目の前のヤマトが少し顔を赤らめていることから察することが出来る。
──じっくり話す必要がありそうだ。
ラップランドはそう考えると目の前のリーシーを見据えた。
一方でリーシーは目の前のラップランドが自分の敵でないかと予想した。というのも、ラップランドがヤマトに向ける目には少なからず熱っぽいものが含まれているのを『スラムの恋愛番長(実経験なし)』と呼ばれていたリーシーは見破っていたからだ。
──じっくり話す必要がありそうね。
リーシーも同じことを考えながらラップランドを見据えた。
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そして話は冒頭に戻る。
「それにしても、キミはヤマトとほんの少ししか話してないのに随分と馴れ馴れしいね?ヤマトのことを知ってれば少しは遠慮すると思うんだけど?」
「あ、そうなの…それは悪かったわね。ごめんなさい、ヤマト」
「いや…別にいい」
ラップランドはかつての自分がとった行動を棚に上げて、リーシーのヤマトに対する態度を指摘し、彼女に遠回しにヤマトと距離を取れと笑顔で告げるも、リーシーはそれをしっかり受け止めてヤマトに謝った。無論、ヤマトとしては邪険にする理由などありはしないので謝罪を素直に受け取った。
ラップランドはヤマトからリーシーを離すことに失敗したことに内心舌打ちしている一方、リーシーはラップランドがヤマトに向けている想いをしっかり把握しきれていないことを読み取っていた。
(これなら、うまーく言いくるめればヤマトをゲット(色んな意味で)できるわね)
リーシーはそう考えながらも、ヤマトと2人で過ごすために行動を起こすことにした。
「ヤマト、私まだロドスの中よく分からないから案内してほしいんだけど…いいかな?」
「構わないが…俺でいいのか?」
「ええ、てかあなた以外知っている人いないし」
「そうか…では、ラーちゃんも一緒に行こう」
「「!?」」
ヤマトの提案にリーシー、ラップランドだけではなく見守っていたギャラリーも驚愕のあまり驚いてしまった。
リーシーは予想に反して他の女性も連れて回ろうと提案したことに、ラップランドは自分も一緒にと言ってくれたことに、周りはさっきまで2人に挟まれて震えていたのに、ということでだ。
「えーと、ボクも一緒でいいのかい?」
「え?逆にダメなの?」
ここでリーシーにとっての誤算が2つ。1つはヤマトが天然だということ。もう1つは──
「ラーちゃん1人だけ残してなんてこと出来ないよ」
ヤマトにとってラップランドは恋愛的な意味こそ
「…ふふ、ありがとう。ヤマト」
「?どういたしまして?」
機嫌が少し良くなったラップランドに疑問符を浮かべるヤマトだったが、考えてもよく分からなかったので「ま、いっか」と流しリーシーに構わないかどうか声をかけた。
「リーシーもそれでいいか?」
「ええ、いいわよ。考えてみたら同性で話せる人も欲しいしね」
──半分嘘である。
後半の話せる云々は本心であるが、ラップランドが同行することに関してはあんまり良くないどころか、許されるなら言いくるめてヤマトと2人っきりでロドス内デートをしたかった。だが、変にここで意固地になってヤマトに悪い印象を与えるわけにはいかないため妥協すべきだと、彼女は冷静に判断した。
ヤマトがそんなリーシーの葛藤を知らずに呑気に「それじゃ行こっか」と言って立ち上がったところで、リーシーはヤマトの腕に組むように抱きついた。
「!?」
「…ねえ、敢えて聞いてあげるけど何してるの?」
「何って…はぐれないようにしてるだけだよ?」
ヤマトが腕に伝わる柔らかい感触に驚きながらも顔を赤くしている一方で、ドスの効いた声で質問したラップランドに対し、リーシーはなんて事ないように言ってのけた瞬間、ラップランドにビキっと青筋が入った。
「別にそんなくっつかなくても大丈夫だろ?それよりヤマトは初心なんだから、そんなことしちゃダメだって知らなかったの?」
「あら?ヤマトはこれぐらいで狼狽えるほど初心じゃないわよ?これより凄いこと…私のハジメテ上げたんだから」
「え!?」
突然の爆弾発言にヤマトが驚き、見守っていたオペレーター達がどよめく中、ラップランドは鼻で「フッ」と笑いながらそれを払いのけた。
「ハジメテって、頬にキスでしょ?ボクはそれより凄いこと…ヤマトのハジメテを貰ったからね?」
「なんですって!?あ、あなた、ヤマトと──!?」
「待って!!ラーちゃんもリーシーも変に誤解生む言い方しないで!?頼むから!!」
10数分後、騒ぎを聞き付けたフロストリーフを初めとしたヤマトの保護者が駆けつけて、大声で争い合うリーシーとラップランドを静か(物理)にさせた。なお、その時のヤマトは顔を可哀想なくらい真っ赤に染めて「もう…部屋に帰るぅ…」と呟いていたとか。
さらに余談ながら後日、ヤマトの本性をしったリーシーは「それはそれであり!」だと1人盛り上がっていたとか。
キャラ紹介
ヤマト:食堂で自分を巡って修羅場を展開された本小説のヒロイン。ラップランドのことはなんやかんや大事な人であり、これまでの話でもラップランドに対してはいろいろ甘いところが見受けられる。なお、自分がリーシーに好意を寄せられていることに気がついてないように見えるが…?
ラップランド:まだ自分がヤマトに抱いている物がはっきり分かっていないループス。今回、ガンガン攻めるリーシーに凄いイライラしていた一方で、何故こんなにもイライラするのか不思議に思っていたとか。
リーシー:オリジナルキャラにして、『喧騒の夜に紛れる狼(下)』から数話で満を持して登場。想像では恋愛に関しては無敵(自称)で、基本的な作戦はガンガンいこうぜ!。早速ラップランドと修羅場を展開させた。なお、ラップランドが言っていたハジメテが尻尾耳モフモフと言うことがわかって安心半分、羨嫉妬半分な気分になったとか。なお、ラップランドの方が自分よりある箇所が大きいことを知った時は舌打ちした。
保護者メンバー:今回のメンツはヤマトのオカンフロストリーフ、頼れる姉御肌ホシグマ、ヤマトが絡まなければ頼れる隊長チェン、無自覚イケメンテキサスの4人。正直、あの2人を止めるには過剰戦力。
見守っていたオペレーター達:今回の騒動で、大声で突っ込んだり最終的には顔を赤くしてちっちゃくなったヤマトを見て、色々考え直したとか。