ロドス劇場   作:ゆっくり妹紅

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リクエストを順次やっていく前にヤマトのもう一つの過去の話を。

あ、それとブレイズ当たって喜びのあまり雄叫びあげたら家族に怒られました()

あ、さきに言っときますけどヤマトは基本的に上の立場の人に対しては敬語です。


オオカミの原点

最近になって、あの施設で過ごした時期を思い出す。

 

──『今から24時間後にこの部屋の中に生きているものが10人以上だった場合は全員処分する』

 

突然、かなり広い部屋に通されて言われたことは無慈悲な宣告だった。

 

──『死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない』

 

死にたくないと壊れたラジオのように繰り返す同じ施設で過ごした人達。

 

──『僕のために死んでくれ…!』

 

生きたいがために俺に刃を向ける人。

 

──『…ふふふふっアーッハッハッハ!!こいつは凄い…!1人だけでしかも無傷だとは…!これは期待が持てそうだ……!!クヒャッヒャヒャヒャ!!』

 

今思えば、俺があの施設に…アイツに拾われた時点で俺の人生はほぼ決まったのだろう…いや、さっさと死んでいればそうはならなかったのかもしれない。

どちらにせよ、俺は多くの屍の上で生きているのは変わりないのだ。

あの夢を見るようになったからだろう、ソラさんに戦い方を教えてそれを感謝された時は凄い苦しいと感じた。それに出来れば彼女には──

 

 

****

 

「昇進…ですか?」

 

「そうだよ。ヤマト、色んな人達と議論を重ねた上での決定だ」

 

ヘラグとの模擬戦から数日後、ヤマトはドクターに呼び出され執務室に行くとそこにはアーミヤ、ドーベルマン、ケルシー、ヘラグそしてドクターがいた。5人中4名がロドスの幹部陣ということもあって、何かやらかしたかとヤマトは怯えていたが、ドクターから告げられた内容に驚きを隠せなかった。

 

「…議論を重ねた上で、と言いましたが俺より適任な人はもっといたはずです」

 

「確かに他に候補は居たが、君の能力やこれまでの戦果。そしてヘラグとの模擬戦の結果を考慮した上で問題ない、と判断した」

 

ヤマトの反論はケルシーの発言によって抑え込まれた。

そして続くようにヘラグがヤマトに声をかける。

 

「だが、昇進するに当たって1つ君に聞きたいことがあるんだがいいかな?」

 

「……?何でしょう?」

 

今更自分に聞きたいことがあるとはどういう事なのか?ヤマトは疑問に思いながらも、ヘラグからの質問を待つ。

ヘラグはドクター、ケルシー、ドーベルマンそしてアーミヤと顔を合わせるとヤマトに向き直り口を動かした。

 

「……君はいつから戦いを…いや、何歳の頃に命のやり取りをした?」

 

「……そう聞いてきましたか」

 

ヤマトはそれを聞くと下を向いて小さく呟くと、顔を上げてへラグたちに視線を合わせる。

 

「…そのことに関しては俺の過去を話す必要があるのですが……」

 

ヤマトはアーミヤの方に少し申し訳なさそうな視線を向けたのを見て、ドクターとケルシーはヤマトが言わんとしていることを受け取った。

 

「アーミヤ、俺がいいと言うまで部屋の外に居てくれるか?」

 

「え?でも…」

 

「ごめんなさい…アーミヤ代表には聞かせたくない話なんだ…分かってくれないか……」

 

「……分かりました」

 

 

ドクターの急な発言にアーミヤは残る意志を伝えようとするも、ヤマトが間髪入れずにアーミヤに懇願してきたのと、ケルシーが目でアーミヤに外に出るように告げていたのもあって、彼女は部屋を出た。

 

「……さて、それじゃあ長くなると思うだろうからソファーに座ろっか」

 

「…そうだな」

 

ドクターの提案にケルシーが乗っかたことでその場にいた全員がソファーに座ったのをケルシーは確認すると目でヤマトに話すようにと告げる。

 

「……今回の話は、俺の幼少期…いや生い立ちからの話になります」

 

ヤマトはそう言って言葉を一旦切り、そして続けた。

 

──自分の血塗られた幼少期の話を

 

 

 

*****

 

俺は産まれて早々捨てられた所を、俺の育ての親…というべきなんでしょうか、その人に拾われたらしいです。らしいって言うのは、俺も後から聞いた話なので真実が定かじゃないからです。

 

そして俺はその人に拾われたのですが…その人…【先生】は孤児院を営んでいて俺はその人の孤児院で生活していました。孤児院には、俺と同じ孤児が沢山いてそいつらと5年ほど過ごしました。

 

けど、そんなある日俺らは突然【先生】に孤児院の真っ暗な地下室に連れてこられて、皆が室内に入った瞬間ドアが閉められて部屋の電気が付けられると、そこは刀剣類、槍、斧、弓矢といった色んな武器が無造作に置かれている広い部屋でした。

戸惑う俺らに、スピーカー越しに【先生】はこう告げました。

 

──『今から24時間後にこの部屋の中に生きているものが10人以上だった場合は全員処分する。生きたければそこにある武器を使って周りのものを殺せ』

 

皆、何を言っているのか最初は分からず戸惑うばかりでしたが、その部屋の中にいたある1人の孤児が地面に置いたあったナイフを取って近くにいたやつを刺し殺しました。

悲鳴をあげるやつもいれば、蹲って死にたくないと呟き続けるやつ、触発されて武器を手に持って殺しにかかるやつと反応が別れる中、俺だけはあの時起こっていたことを受け止めきれずにただ突っ立っていました。

1人だけただボーッと立っているやつがいたら狙われるのは道理で、俺はナイフを持ったやつに襲われました。

 

俺はあの時ただ死にたくなくて必死に抵抗しましたが、相手が俺より背が上だったこともあって地面に組み倒され胸を刺されそうになった時、俺は近くにたまたまあったナイフをそいつの首に突き立てました。

 

それが俺が初めて人を殺した瞬間でした。

そこからはよく覚えていませんが、襲いかかってきたやつを返り討ちにして気がついたら多くの死体と血溜まりの中、立っていたのは俺だけでした。

 

そして【先生】はそこに立ちつくす俺を見て狂ったように笑ってこう言いました。

 

──これは期待が持てそうだ

 

それから、俺は【番号:079】と呼ばれるようになり、更に別の地下室の部屋で時刻が分からない中決まった時間に来る先生の元で武器の扱い方や戦い方、計算や言葉、そして感情を捨てろと【教育】されました。

 

そしてそんな生活が続いたある日、俺はかつて殺し合いがあったあの部屋にまた連れてこられました。

今度は、武器を持った数人の大人と殺し合えというものでした。

……普通であれば恐怖とか感じていたんでしょうが、俺は【先生】の教育のお陰で何も感じませんでした。そして、手に持った刀で大人を殺し、命乞いをした最後の一人もなんの感慨もなく殺しました。

 

その後も色んな【教育】や先程話したような殺し合いをする生活が続いて11歳の頃に、【先生】に呼び出されてこう言われました。

 

──『アーツ適正が上がらないお前には失望した。昨日、アーツ適正がお前より優秀で尚且つ全てがお前より優秀な駒が手に入ったからお前は用済みだ』

 

【先生】がそういった直後、急に武装した男たちが現れて俺に襲いかかってきて、あの時俺は武器を持ってなかったのもあって男たちの攻撃を何とか避けて地下室から何とか出て、孤児院の外に脱出しました。その後は追ってきた男たちを1人ずつ急襲して殺して武器や服を奪って、とにかく【先生】に見つからないようにとひたすら走り続けました。

 

*****

 

 

「──そして、数日間さまよい続けて餓死しかけていたところをムサシに拾われて、後は前に話した通りです」

 

ヤマトはそこまで話すと、息を軽く吐いて視線を下に向ける一方、ドクターとヘラグは幼少期のヤマトを…いや多くの子供たちの命を奪わせたり奪うようなことをさせた【先生】に対して怒りを募らせていた。

しかし、一方でケルシーとドーベルマンは別のことに疑問を抱いていた。

 

「ヤマト、その【先生】とやらは何故そのようなことをしたのだ?」

 

「…【先生】が時折呟いていたことから推測すると、どうやらあの人は優秀な兵士…いや、何でも言うことを聞く優秀な駒が必要だったみたいです…最も、なぜ必要だったのかまでは分かりませんが…」

 

「……その施設と【先生】がその後どうなったのかは?」

 

「…1度だけ、俺が前いた施設の場所を突きとめて現地に行ったんですが…施設があった場所は更地で地下室もありませんでした」

 

ドーベルマン、ケルシーの順で聞かれた内容にヤマトは淡々と答えていく。

ドクターはその中で、何故今のヤマトはこんなにも感情豊かなのか?という疑問が浮かんだが、すぐに自分の中で答えが浮かんだため聞くのを止め、ヤマトに感情を戻してくれた名前しか知らぬ彼の恩人に感謝の念を心から送りつつも話をまとめにかかった。

 

「…とりあえず、さっきの話を加味するとヤマトの本当の戦闘経験は13年になるってことでいいのかな?」

 

「…あれを戦闘と言っていいのか分かりませんが、命のやり取りという点で考えればそうなります……」

 

「そっか…」

 

「ドクター」

 

黙ってしまったドクター達に、ヤマトはソファーから立ち上がるとドクターのすぐ側まで近寄ると、跪いて右手の拳を自身の左胸に当てるという、かつて一緒に戦った傭兵団達が敬意と覚悟を示す動作を取った。

 

「今更こんなことを言われても信用出来ないかもしれない…けど、ドクターやみんなの為に俺の命を捧げる。如何なる時も皆を守る剣として、盾として全力を尽くすことをここで誓う」

 

ヤマトの突然の行動に全員目を丸くするも、その目と言葉から伝わってくる気迫から嘘でないことを彼らは感じ取り、そして彼が心の底からそうであることを決めたようにも見えた。

 

「プッククククっ……ヤマト、悪いけど似合ってないよ……フフっ」

 

「……俺が知っている中で1番相応しいものだと思ったんだけど……」

 

「けど」

 

ヤマトらしくない行動に吹き出すドクターに、ヤマトが少しムッとした表情をするもドクターはそれに構わず言葉を続ける。

 

「ヤマトの覚悟、しっかり伝わったよ。これからもロドスと共に道を一緒に歩んでくれ」

 

「ああ、これからもよろしく頼む。ドクター」

 

 

後日、ドクター直々にヤマトを2度目の昇進をさせることがロドスの全オペレーターに発表され、最初こそヤマトと交流を持たないもの達は疑問を抱いたが、ドクターだけではなくアーミヤ、ドーベルマンそしてヘラグ達の推薦もあったということでその疑問は直ぐにとはならなかったが、沈静化していったのだった。




キャラ紹介

ヤマト:人生の半分以上を戦いに費やして生きてきた狼。ヤマトとしては、幼少期のアレは戦闘ではなく全くの別物だと無意識に考えていたため、書類には傭兵であった期間の7年を戦闘経験のものとして提出していた。そして自分の原点を話したことにより覚悟が決まった。なお、今回の話は皆には他言無用にと頼んだ。曰く、「流石にこの話は刺激的すぎるから…特にソラさんやメッちゃんとかは特にね」とのこと。なお、昇進するに当たってドーベルマンに戦術立案や戦闘技術、他にもアーツコントロールやその他のスキル習得のためにどちゃクソ指導された。

ケルシー:ストーリーでは大活躍の先生。CVが某ドリームな音ゲーのソイヤと同じ。なお、中国版ベータテストで存在していたが余りの性能により星7とも言われ、現在では調整という名の出禁に…いつになったら実装されるんですかねぇ…?

ドーベルマン:星4前衛にて低レア縛り攻略動画でよく見かける教官。使い勝手としてはそんなに悪くはないと思われるが、正直フーちゃんやメランサの使い勝手が良すぎるせいで個人的にはあんまり…あ、教官!?なんでムチを(通信がとだえました)。ヤマトの再指導は彼の学習能力の高さのせいで初日は予定の2倍やってしまうという、うっかりミス☆をした。全力でデレたらどうなるんだろう?と密かに気になっている。

ヘラグ:前の話でヤマトと模擬戦しただけで、ヤマトの実際の戦闘経験が違うことを突き止めたやべーじっちゃん。なお、ヤマトにはあれから本人の希望もあってたまに手ほどきしている模様。

アーミヤ:ヤマトが「優しすぎるから」という理由で退席させられたが、耳を全力で押し当て断片的ながらもギリギリ聞こえてきた内容からヤマトに何があったかを推測していた(しかも合ってる)。けど、気遣ってくれたヤマトのためにもこのことは内密にしている。


【先生】:ヤマトを拾い、彼を【教育】した張本人。後のヤマトの証言から武器や戦闘技術(後者はヤマトも認めたくなかったが)の最初の師であり、今でも勝率は五分だと言わせるほどの猛者。アーツ適正が上がらなかったヤマトを見限って雇った傭兵たちをけしかけて以来、消息不明のようだが…
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