ロドス劇場   作:ゆっくり妹紅

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えー、今回の話なんですが普段より長めな上、少しごちゃごちゃしております。

なので、「まるで意味がわからんぞ!」となったら適当に流しながら読んでください…

それでは本編の方どうぞ!


出来損ないの最高傑作

「ドクター!!」

 

ホシグマは反射的にドクターの前に般若を構えて立つと、そのすぐ後に発砲音と共にホシグマの腕に衝撃が伝わり、弾道がドクターの頭であったが彼女の背筋を凍らせる。そして、何よりも

 

 

──ヤマトがドクターに向けて発砲した。

 

 

その事実が、いやヤマトが今なお自分たちに敵意をむき出していることに殆どのものが信じられずにいた。

 

「お前…!ヤマトに何をした!?」

 

ラップランドが怒りを隠しきれずに体を震わせながら少女に向けて声を荒らげながら、睨みつけた。

サイレンスとガヴィルはともかく、ヤマトと交流してきたラップランド達は彼がそう簡単に自分たちを裏切るとは思えなかったからこそ、あの少女が何かしたのではないか、と確信を持った問いだった。

 

 

「んー…まあ、どうせもうお兄ちゃんと会うことなんて無くなるんだから、特別に教えてあげる…お兄ちゃんには今、ちょっとだけ眠ってもらってるだけなの」

 

「は……?」

 

ループスの少女がわざと勿体ぶるような態度で告げられた答えに、その場にいる全員が固まる。それもそのはず、もし少女の言うとおりヤマトが眠っているというのならば、何故今彼はこうして動いているのか?

少女はその反応は予想済みだったのか、上機嫌そうに話を続けた。

 

「このヘルメットは【先生】が手駒を増やすために作った物でね、このヘルメットを被ったら精神崩壊するまでその被った人のトラウマやそのトラウマを元に作った映像を所謂夢みたいな感じで流し続けるの。そのためには意識がない状態にしないといけないから、特殊な方法で意識を無くしてて、今こうして動いてるのはヘルメットの内蔵されてるある装置がお兄ちゃんを動かしてるだけなの。まあ、それを最初からフル稼働させると確かにその人の能力を最大限使ってくれるけど、体のこと全く考えずに動いちゃうから、使い所難しいんだけどね」

 

「そんな…!」

 

今のヤマトの現状を知った者は絶句した。少女の話が本当であれば、ヤマトが見ているのはかつて自分を拾い育ててくれた恩人が死んでしまう光景を何度も見せられていることになる。しかも、それから暫くは弓やボウガンを持っただけで気絶してしまう程の傷を残したものだ。

その上、下手すると体が壊れてしまう程の動きをする恐れがあるのだから、驚きはかなりものだ。

 

「何故だ…何故、兄だと呼ぶヤマトになんでそんな事が出来る!?そんなことをすれば、ヤマトが…っ!」

 

あまりにも非道な行いにフロストリーフが怒りを抑えきれず、激昴しながら少女に問いかける。誰よりも、温もりを求めているフロストリーフだからこそ余計に理解しきれないことをしている少女の対する答えは──

 

「そんなの、お兄ちゃんと私がこれから一緒に暮らしてくために必要な事だからに決まってるじゃん」

 

更に混乱を招くようなものであった。

 

「なにを…いってる…?」

 

「そのまんまだよ。お兄ちゃんは何を言っても『知らない』の一点張りで私のこと全然認めてくれないし、挙句の果てには『皆ともう会えないのかな』って私がお兄ちゃんのそばにいない時に寂しそうに言ってたんだよ?それも【妹】が、【家族】がいるのにも関わらずだよ?最初はどうにかして私のこと認めてもらおうと思ってんだけど…お前達が来た時に思いついたんだ。私だけしか見れないようにお兄ちゃんを壊しちゃえばいいって!」

 

狂ったような笑みを浮かべながら上機嫌そうに言い終えると、少女は唖然とするドクターを後目にヤマトに告げた。

 

「さてお喋りはここまで。それじゃあ…お兄ちゃん、あいつらを殺そっか」

 

「…………」

 

その言葉を合図にヤマトは源石剣を抜いて、未だに呆然としているフロストリーフに斬りかかるが、それをラップランドが間に入って自身の剣を交差した状態でで受け止めた。

 

「ヤマト…しっかりしてよ!早く目を覚ましてくれよ!!」

 

「…………」

 

「くっ…!」

 

「ラップランド!」

 

ラップランドの悲痛な声にヤマトは感情を感じさせない顔のまま、ラップランドを押し込むように力を加え、彼女が苦しそうな声を出したところでフロストリーフは反射的に戦斧を振るい氷結のアーツが込められた衝撃波を飛ばした。

ヤマトはラップランドの腹を蹴って彼女を離すと、飛来してきた衝撃波を盾で防ぎ、2人の様子を観察するように盾を構えながら様子を伺い始めた。

 

「さて、私達も行くよ。私はお兄ちゃんのバイザー割った奴とおじいちゃん引き受けるから、それ以外は任せたわよ」

 

「了解!行くぞ、お前ら!!お嬢に続け!」

 

そして、当然の事ながら少女達も各々の武器を持ってドクターたちに襲いかかり始めた。

 

「ドクター!」

 

「…ヘラグとシュヴァルツは少女の相手を!テキサス、ホシグマとチェンは他の敵を抑えつつ、アーミヤとガヴィルで2人の援護を!フロストリーフとラップランドはヤマトの相手を!サイレンスは医療ドローンをメインで動いてくれ!」

 

 

「了解!!」

 

 

(くそ、これは完全に俺の失策だ…!)

 

指示を飛ばし終えたドクターは戦闘が始まった場を全体的に見ながら思考を働かせる。

当初の作戦では、レッドを除いたメンバーで相手を陽動し、レッドを内部に侵入させてヤマトを救出する、というものだったが予想以上に敵の数が多いことに加え、救出対象であるヤマトが敵側になってしまっていることが状況を悪化させていた。

 

(一人一人の実力はあの少女とヤマトを除けば、こちらが上だ。けど、あの二人を除いた奴らの相手をテキサス、ホシグマ、チェン、アーミヤ、ガヴィルで抑えるのは明らかに無理だ。突破されるのも時間の問題と見ていい。かといって──)

 

「あははははっ!!いいね!お兄ちゃんと闘った時ほどじゃないけどすごい楽しいよ!!」

 

「ちっ…思った以上に素早いし、勘もいい…」

 

「なるほど、ヤマトを破った実力は本物という訳か」

 

ヘラグとシュヴァルツはループスの少女の銃撃と鎖のムチによって間合いを保たれ、中々有効打が打てない状況であり。

 

「………」

 

「くっ…」

 

「…ボクら2人を相手に息切れしないって、本当にすごいよ……」

 

フロストリーフとラップランドは相手がヤマトということもあるが、容赦のなくなったヤマトの戦闘技能と身体能力によって段々と追い詰められていた。

 

(どちらも人数を割くことなんか出来ない。あと数人、もしくはヤマトさえこっちに戻ってくれれば…!)

 

ドクターはそこまで考えてたから、あることに気がつく。1人だけ自分の視界に入っていない人物がいる。

ドクターは目を凝らして戦場を見渡して、赤い影が気配を殺してヤマトの死角から飛びかかろうと機を探っているのが見えた。

そして、それにラップランドとフロストリーフはいつからか気づいており、なるべく自分たちに注意がむくように立ち回っており、それを把握したドクターはしめたと思い、彼もまるで押されはじめていることに焦っていることを悟らせないようにしている指揮官を演じつつ、思考を働かせる。

 

(正直賭けだ。これでヤマトをこちら側に引き込むことが出来れば、戦局はこっちに傾けられる。けど、もし不可能だった場合は撤退戦にすぐに移行しなきゃならない。そうなればヤマトの救出は不可能だ…レッド、頼むぞ…!)

 

ここでヤマトを救出出来なければ永遠に彼を助けられなくなる、とドクターは半ば確信めいたものを抱きつつ、レッドに全てを託した。

 

 

***

 

 

 

 

一方で、ヤマトと戦闘を繰り広げているラップランドとフロストリーフは改めて彼の戦闘能力の高さを実感していた。

距離をとってアーツによる遠距離攻撃を挑めば銃撃と源石剣の刃を飛ばされて無効化にされ、2人で連携をとった近距離戦闘を仕掛けてもその全てに反応し防いだり、避けきるのはもちろんの事カウンターをいれてきたりと、あらゆる場面に対応しきり、そして何よりも脅威なのは様々な武器を装備しているとは思えないほどの高機動戦闘と武器の切り替えを両立している事だ。

 

「このっ!!」

 

ヤマトはフロストリーフの戦斧の一撃を大剣で受け止め隙ができた彼女に蹴りを入れて離すと、大剣を上に投げ腰から銃を抜いて追撃として2発うちこみ、そして後ろから回り込んでいたラップランドの飛び込み斬りに対して、マガジンリリースのボタンを押して空となった弾倉が出始めたところで、マガジンがラップランドに飛んでいくように振るった。

 

「くっ…!」

 

反射的にそれに意識を向けて弾いたラップランドに、ヤマトは銃を瞬時にホルダーにしまい、左腰のホルダーから源石剣を抜刀し横に一閃。それをラップランドは攻撃を中断して双剣をクロスして受け止めるが、空中で防いだがために後ろに弾き飛ばされ、何とか着地し正面を見やると──

 

「っ!!」

 

上に投げたはずの大剣をキャッチし、それを両手で持って垂直に跳びながら縦に回転しながら剣を叩きつけようとしているのが目に入り、後ろに転がるように跳びギリギリ避け、ヤマトの追撃を防ぐためにフロストリーフは氷結の衝撃波を繰り出すと、ヤマトはそれを後ろ下がって避け、大剣を背中に背負うと銃にマガジンを入れた。

 

「死角からの攻撃もやっぱりダメか…」

 

「流石ヤマト…ってところだね(まあ、本命は赤いオオカミだから注意を引くのが優先事項なわけだけど)」

 

 

ラップランドがそう内心考えながら双剣を構えてヤマトにまた向かった頃、、レッドは気配を消しながらヤマトが被っているヘルメットのある箇所を破壊する隙を伺っていた。

当初、彼女はヘルメットを外す算段でいたのだがこうして身を隠してヤマトを観察していると、ヘルメットのある箇所が危機的な場面になった時に微弱であるが光っているのを見つけたからだ。

 

一か八かではあるものの、ヘルメットを外すよりも手間は省ける上、彼女の腕であればそこの箇所だけをナイフで切り刻んで破壊することは可能だ。

後は、ヤマトに隙ができるのを待つだけ。

そして──

 

(今…!)

 

ヤマトはフロストリーフのアーツの衝撃波をかわし、ラップランドの懇親の一撃を避けた体制で受けたせいでバランスを崩した。

その大きな隙をレッドが逃すはずもなく、彼女は素早くヤマトの死角から光っている箇所──ヤマトのヘルメットの頂点を狙って飛びかかりナイフを振るったのと、背後から彼女が飛びかかってきたのをヤマトが気がついたのはほぼ同時だった。

 

(間に合わない…!?)

 

そして、レッドは自身のナイフがヘルメットを貫くより、ヤマトの源石剣による斬撃が先に自分の体に当たると半ば確信めいた予感を感じたところで、ヤマトの手から源石剣が何かに弾かれたように抜けていった。

 

「!?」

 

ヤマトが視線を向けると、少し離れた所で剣を振り下ろした体勢でラップランドの姿が映り込み、遅れて彼女が絶妙なタイミング、そして綿密な狙いでヤマトの源石剣をアーツによる衝撃波で弾いたのだと理解し。

 

「今だ、やれ!!」

 

「っ!!」

 

ラップランドの叫びにレッドは心の内で感謝し、そしてヤマトの右腕の振り払いよりも先にナイフがヘルメットの光っていた箇所を斬り裂いたと同時に、ヤマトの腕がレッドに当たり彼女はその衝撃で後ろに倒れ込み、ヘルメットをナイフで斬られた衝撃で後ろへ後ずさりし──

 

「そ、そんな…」

 

背中の機械仕掛けの片刃の大剣を抜き、盾を背中に背負うと剣の柄をバイクのアクセルみたいに回し、排気音とともに炎を出し先程と変わらない虚ろな目を向け、剣にアーツを込めてその場で回転するように振り回して衝撃波を発生させ、レッド、ラップランドそしてフロストリーフをまとめて吹き飛ばした。

 

「うぐっ…!」

 

 

吹き飛ばされた3人は受身を取るのを失敗し地面を転がり、そのうちフロストリーフは痛む体を堪えながら立ち上がろうとして。

 

「フロストリーフ防げ!!」

 

「っ!?」

 

ドクターの声で反射的に斧を自身の頭の上に掲げると、両腕にとてつもない衝撃と重さが入り顔を上げると、虚ろな目で剣を押し込もうと力を入れるヤマトの姿が視界に入った。

 

「ぐっ……!」

 

「アーミヤ!フロストリーフに援護を!」

 

「ダメです!距離が遠くて…!」

 

「ドクター!正直これ以上は抑えきれない…!」

 

「くっ…!」

 

ドクター達の焦る声が耳に、そして視界には打ちどころが悪かったのか蹲っているレッドと、こちらに痛みを堪えながらも走ってきているラップランドの姿がフロストリーフの視界に入るが、彼女にそれを気にする余裕はなかった。

 

「ヤマト…!目を覚ましてくれ…!!」

 

無駄だとは分かっていても、フロストリーフは目の前の優しい心を持つ友に向けて声をかけるが、変わらずヤマトの目は見ると呑まれてしまいそうな程の虚無なままであり、フロストリーフが諦めかけ顔を下げた時時だった。

 

「……?」

 

ふと顔に何か水のようなものが当たり、そしてそれが断続的に当たっていることに気が付き顔を上げると──

 

「え……」

 

変わらず虚ろな目のままであるものの、しっかりとその目から大量の涙を流すヤマトが視界に入り、そして彼の剣がカタカタと震え両腕にかかる圧も和らいでいることがわかった。

 

「ヤマ…」

 

「ふ…ちゃ……」

 

「っ!ヤマト!?お前…!」

 

そして耳を澄ましても聞き取るのが難しいほどの声量でヤマトの声が聞こえ、フロストリーフは驚きながらも耳に神経を集中させ──

 

 

「お…がい…おれを……」

 

「────────」

 

「っ!!ヤマっ…!」

 

ある言葉が耳に入ったフロストリーフがヤマトに声をかけようとした時だった。

 

 

「ディオ・ヴォーレント!!」

 

 

 

掛け声と共にテキサス達を取り囲んでいた者たちにドクターの後方から銃弾の雨が降り注ぎ、そしてヤマトは反射的にその場から跳び下がり、によるラップランドの双剣に一閃を避けた。

戦闘を行っていた全員が、銃弾を放った者の姿を見て目を見開く。

 

「は………?」

 

「ギリギリセーフだったね!いやあ、間に合ってよかった!」

 

「エクシア!?」

 

「だけじゃないよ!!」

 

少女が予想外の展開に目を見開き、そしてドクターがこの場に現れたエクシアにに驚きの声をあげ、それを彼女がが否定した直後。

 

「行動予備隊A4現着しました。皆、チェンさんたちの援護にいくよ!」

 

「りょーかい!いっくぞ〜!」

 

「ちょ、ガーディ!!」

 

「あー、もう元気いいね〜。そうそう、ボクとマゼラン、エイヤフィトラもいるよ〜」

 

行動予備隊の面々、プロヴァンスにマゼラン、そしてエイヤフィトラが遅れてその場に現れた。

 

「みんな、どうして…」

 

「シルバーアッシュの野郎が、嫌な予感がするっつって俺らを集めてお前らのあとを追わせたんだよ…まあ、結果として正解だったみたいだな」

 

「はっ、エ、エンカク!?」

 

 

「おい、なんだその如何にも予想外って声は」

 

ドクターの無線越しの疑問に答えつつもエンカクは、先程から動かずにじっと見つめるヤマトを見る。

 

「事情は無線を盗ちょ……たまたま聞こえてきたから知ってはいるが、あんな小娘に堕とされるとは随分腑抜けたじゃねえか。お前の醜態を見るのは正直好きじゃねえからよ、さっさと終わらせて…」

 

「待ってくれ、ヤマトの相手は私一人がやる」

 

エンカクとヤマトの間にさも当然かのようにフロストリーフが割り込んだ。

 

「はあ?何を言ってるんだ?」

 

「そうだよ!ボクら2人がかりでもヤマトに押されてたんだ、君1人でどうにか出来るわけ…」

 

「頼む、絶対にあのバカ狼を正気に戻すと約束するから私一人にやらせてくれ」

 

否定してきたエンカクとラップランドにフロストリーフは真っ直ぐに見つめた。

そして数秒程見つめ合い──

 

「…しょうがねえ。今のあいつを倒してもそんなに楽しくないだろうからよ、譲ってやる」

 

「はあ!?マジで言ってんの!?」

 

「マジだよ。それに、こういう目をしてる奴は絶対に譲らねえんだよ。好きにやらしてやれ」

 

それだけ言ってその場を離れてまだ蹲っているレッドの方へ足を進めたエンカクにラップランドは盛大なため息を吐くと、フロストリーフに向き直った。

 

「分かったよ。その代わり、ダメだとボクが判断したらすぐに間に入るからね?」

 

「ああ、構わない。…安心しろ、ちゃんとお前の分まであのバカを説教してやるさ」

 

フロストリーフはそう不敵な笑みを浮かべながら、大剣を構えたまま微動だにしないヤマトへ先程彼が自信に告げた願いの意味を考えながら足を進める。

 

『────────』

 

(あの願いはその言葉通りに受け取るものじゃない。アイツの本当の願いは──)

 

フロストリーフはある一つの答えにたどり着き、ヤマトと少し離れた場所で歩みを止めて戦斧を構える。

この答えはどちらかと言うとこうであってほしいと、自分が望んでいるものだ。それでも──

 

「…行くぞバカ狼!!」

 

──間違いだとは言わせない。

その決意を胸に彼女は目の前の青年に戦斧を両手に突撃した。

 

 




実はヤマトの攻撃方法には某闇魂の狼騎士さんのモーションを入れてたり。



あと、この妹編(仮称)終わったらとあるifルートを番外編として出します(確固たる決意)
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