今回はフロストリーフvsヤマト回。
果たして彼女はヤマトを正気に戻すことが出来るのか…?
「ヤマト…なんで引き金を引かなかったの…?」
「あなたが早く引き金を引けば助かってました」
「ヤマトのせいでメランサが死んだんだよ!」
──もう、限界だった。ムサシを死なせてしまったこと、引き金を引けなかったせいでメッちゃんを助けられなかったことが。
──そして、何よりも。今俺がラーちゃんたちに剣を向けてしまっている事実が俺の精神を抉った。
──やめてくれ、といくら願ってもラーちゃん達を傷つけていく俺。傷ついて倒れる皆。
「お前のせいだ」
──俺の下からそんな声が聞こえてくる。下を見れば、俺が今まで助けられなかった…いや見捨ててきた、殺してきた人達が恨めしそうな顔でこちらを見ている。
「お前がいたから死んだ」
「お前さえ居なければ」
「お前が死ねばよかったのに」
──そうだ。俺さえいなければこんなに死んでしまう人はいなかった。孤児院の皆だって、ムサシだってそうだ。俺が殺してしまった。
──生きるべき人を殺して築きあげた屍の上に俺は立って生きている。
──そして、俺は今大事な人達を傷つけて不幸にしている。
──結局俺は、生きてはいけない、皆に会わなければ良かった存在。
──そう思った時、何故か分からないけど張り裂けそうな痛みが胸を走った。痛い。何でだろう?何で怪我してないのにこんなに痛いんだろう?
──『ヤマト!早く目を覚ましてくれ…!』
──大事な人の声が聞こえた。
──俺みたいなロクデナシに気を使ってくれた優しくて、暖かいあの人の声だ。そしてその人を俺は傷つけている。
──もう嫌だ…嫌だ嫌だ!イヤだ!!これ以上皆を傷つけたくない!剣を向けたくない!!殺したくない!!どうすればいい?どうすれば俺は皆を傷つけない?どうすれば皆を殺さない?
────ああ、そうか。死ねばいいんだ。でも、体は動かせないから自分で死ぬことも出来ない。精々、今の俺にできるのは体が動かないように意識することぐらいしかできない。
──自分でも最低なことを頼む自覚はある。けども、これ以上皆を傷つけたくない。だから──
──フーちゃんお願い、俺を早く殺して。
****
「ふっ!」
フロストリーフは明らかにキレが落ちた袈裟斬りを受け流し、返す刀で戦斧を振るう。
ヤマトはそれをバク宙で避けると突進しながら大剣を薙ぎ払うように横に一閃し、それをフロストリーフは戦斧の柄で受け止めその場に留まり、鍔迫り合いのような形へとなったところで、彼女はある確信を抱いた。
(ヤマト…お前なりに頑張ってくれてるんだな)
フロストリーフとヤマトの力の差はかなりあり、先程のような強烈な攻撃を受ければ普通フロストリーフはその場に留まることは出来ず、後ろへ押されてしまう。だが、そうなっていないということは動きのキレが落ちていることを踏まえるとヤマトの意識が戻りつつあることが考えられ、フロストリーフはそう確信していた。
(恐らく、レッドの一撃でヤマトの意識を奪っている箇所に不具合が起き始めたことが原因。だから狙う箇所は決まっている訳だが…)
「なあ、ヤマト。なんでお前は私に殺してくれって頼んだ?」
「…」
先程言われたヤマトから言われたことに疑問を持っていたフロストリーフの問いかけに、ヤマトは変わらず無表情なままであったが、彼女はそれに気にすることなく口を動かし続ける。
「前からお前の自分を犠牲にするかのような動きには気になってはいたんだ。でも、それはただお前が自己犠牲の気が強いってだけの危うい奴なんだと勝手に決めつけていたが、本当はそれだけじゃなかったんだろ?」
「……」
「お前は、心のどこかでは死にたいと思っていたんじゃないか?」
フロストリーフがその一言を言った瞬間、ヤマトは後ろへ跳んで距離を取り始めたが、フロストリーフは戦斧を構えて距離を詰めるために駆け出し戦斧を振るう。
ヤマトは大剣と体術を駆使してフロストリーフの一撃をいなしていくが、段々と反撃をする回数が減ってきており、それはフロストリーフに自身が思っていることをぶつけられる余裕を作り出していた。
「助けてくれた恩人を死なせてしまったことへの後悔、そして身近な人が死ぬ事への恐怖。それから解放されたいってのもあったんじゃないのか?」
「…………」
「ふざけるな!!」
フロストリーフは怒りを隠さない様子で大声でヤマトを叱責し、互いの武器がぶつかり合い火花が飛び散る中、彼女はヤマトにも聞こえていること信じてを更に言葉を紡いでいきながら、自身の思いを乗せて力強く戦斧を振るっていく。
「それはただの逃げで、お前の境遇を聞いたらその逃げを肯定する奴もいるかもしれない。けど、私はそんなこと絶対に認めない!!」
「……………」
「ムサシがお前に死んで欲しいって言ったのか!?彼女を知らない私でも、そんなこと言わないのは分かるし、彼女はお前に生きて欲しかったはずってことも容易に想像できる!それに、私だってお前に生きて欲しいって思ってる!だから…!!」
「…………………」
「早く目を覚ませ!この大バカオオカミ!!」
「っ!」
ヤマトが大剣を振り下ろす瞬間に戦斧を思いっきり薙ぎ払うように振るい、彼が握っていた大剣を吹き飛ばしたフロストリーフは直ぐにがら空きとなった頭部のヘルメットに戦斧の柄の部分を思いっきり叩きつけた。
それを食らったヤマトは勢いを抑えきれずに顔面から地面に鈍い音を発しながら倒れ込み、そしてヘルメットは一部が破損した。
「はあっ…はあっ…」
「どう…し、て……?」
「!ヤマト、気がついて…」
「どうして、そう思えるの?俺はムサシや孤児院の皆、それまでにも色んな人を殺して、今はフーちゃんたちも傷つけてたのにどうして…?」
フロストリーフはヤマトの口から孤児院の者を殺したという新しい事実に少し戸惑った。しかし地面から顔をだけを上げて、涙を流しながらどこか縋るように問いかけるヤマトが、フロストリーフには彼が迷子になって不安になっている子供に見えてしまった。
「はあ…全く……」
ため息を吐きながらもしゃがんで壊れかけのヘルメットを取り外して、それを放り投げて彼と目を合わせた。
「私…いや、私たちにとって、お前は大事なヤツなんだよ」
フロストリーフはヤマトの上半身を起こしてぎゅっと抱きしめる。そして、ヤマトはやっと自分が最低だとは分かってはいたがどれほど酷いことを彼女に頼んでしまったのか、自覚し震え始めた。
「……フーちゃん、俺……!」
「どうせ、とんでもないことを頼んだとかそんなところだろ?別にいいさ、お前のことで苦労するのは慣れたからな」
「フーちゃん…うぐっ、うううう…」
「泣くな泣くな…全く無駄に世話のかけるやつっ…おい、鼻水つけるな!このアホオオカミ!!」
「だっでええぇ……」
泣き虫な弟をあやす姉のように、フロストリーフはどこか安心感を得ながらもヤマトの背を撫で落ち着かせ始め──
「走れ」
突如、雷鳴が鳴り響いた。
「!?何の…なっ…」
「そんな…!」
何事かと思ったフロストリーフが振り返るとそこには──
──殆どの者たちが倒れふしバチバチと音が鳴る太刀を地面に突き刺しているループスの少女が視界に入った。
1分でわかる(かもしれない)ヘルメットくんの軌跡
「ふむふむ…とりまこのムサシって奴が死んだ時の記憶垂れ流そ→お、ついでにメランサってやつをボウガンの引き金引けなかったから殺されちゃって周りから責められたことにしよ→外はなんかドンパチしそうだなぁ…せや、仲間と戦ってところをリアル体験させたろ→おまけに周りから恨まれる構図を追加しよ→赤いオオカミさんに刺されかけたけどヤマトくんのポテンシャルのお陰でギリセーフ→ん?(ゴロリ感)なんかこいつの意識強なってない?→狐ちゃん??ちょ、そこは強くしちゃらめええ!→オデノキノウハボドボドダ!→ヤマトの自我完全復活」
まるで意味がわからんぞ!って方はとりあえずヤマトは新しいトラウマを植え付けられるところだったことさえ把握してればヨシ!です(現場猫感)
そして妹ちゃん(自称)の様子が…?