ロドス劇場   作:ゆっくり妹紅

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えー、今回から暫く続く修羅場編はとあるリクエストを実行するのが難しかったため、リクエスト主さんに代案を話して、その結果このような形となりました。リクエスト主さんには本当に感謝の言葉しか言えません。

それでは修羅場編トップバッターのペン急ルート、いつもの倍以上長い上にキャラ崩壊してますが、それでも大丈夫だという海より広い心でお読みください。どうぞ


修羅場ですよ!ヤマトくん!(ペン急ルートの場合)

「おい、ヤマト。ちょっと聞きてえことがあるんだ」

 

ある日の昼、ペンギン急便のトップでもあるエンペラーは書類仕事(主にエクシアとクロワッサンによる被害の後始末関連)を様々な理由で二徹で何とか終えデスクに突っ伏しているヤマトに声をかけた。

因みにこの時、エクシアとクロワッサンは「私は加減ができないバカな社員です」と書かれたカードを首から提げて正座、テキサスはポッキ○をモゴモゴと食べ、ソラは疲れているヤマトにブランケットをかけようとしていた。

 

この時、ヤマトの意識が半分飛んでいるのに踏まえ、自然の流れで聞かれたこと、そして聞いてきた人物が自分を拾ってくれた恩人ということで彼は無警戒で寝ぼけ眼で覇気がない声で応答した…してしまった。

 

「はい…なんですか…?」

 

「お前、この前一緒に歩いてた隣のサルカズの女は彼女なのか?」

 

瞬間、場が凍りつきヤマトは一斉に視線を向けられたことで眠気が一気に吹っ飛び、反射的に顔を上げてエンペラーに文句を言いかけたが、自身の勘が「それだけはするな」と警鐘を鳴らしたため、机に突っ伏したままでチラッとエンペラーを見ると…

 

「………( 'ω')b」

 

(初めてあの人に対して殺意抱いたかも)

 

やり遂げた!と言わんばかりにイイ笑顔(恐らく)でサムズアップする拾ってくれた恩人に対し、密かに復讐をヤマトは決意したが状況はよくならない。

 

ヤマトは傭兵時代で培ったスニーキングスキルを利用して周りの気づかれないように様子をチラ見する。

 

まず、ヤマトによって説教され正座しているクロワッサンはニコニコしている…が、よく見ると目が笑っていない。その隣にいるエクシアも同様に笑ってはいるが…目のハイライトは残念なことに出張中である。

 

次にペンギン急便の中でヤマトが個人的に1番頼りになると思っている先輩のテキサスは、一見興味がなさそうな素振りを見せているが、敏感なヤマトは彼女がハイライトが消えた目で自分の方に注意を向けて、さらに言うとどこかソワソワしているのを察知した。

 

(テキサスさん、それは貴方のキャラじゃないでしょ…!)

 

いつものクールで頼りになるかっこいいテキサスはどこに行ってしまったんだ、とヤマトは嘆いた。

 

そして最後に自身にブランケットをかけようとしてくれたソラは…何事も無いようにブランケットをヤマトにかけた。

 

(これは、ソラ姉はこの話題は気にしない感じ…?)

 

そう感じたヤマトはソラに助けを求めようとして、その瞬間ソラはヤマトの肩をぐっと掴んだ。そして、同時に感じる圧にヤマトは瞬時に彼女も助けを求めるのはダメだと認識した。

 

(まずいまずいまずいまずい)

 

助けてくれる人がいない。

ヤマトはその事実に冷や汗を流し、この雰囲気が重くなってしまった状況をどう切り抜けるべきか、頭を働かせ始めた。

 

その1:寝たフリをする。

…正直、バレてると思うし上手く通せたとしてもあの愉快犯なら起こしに来るはず。結局問題を先延ばすだけなので却下。

 

その2:逃げる

…逃げようと思えば逃げれるが、ソラ姉が肩をミシミシと鳴るほど力強く握っているため振りほどくみたいな拒絶するようなことはしたくない。なので却下。

 

その3:黙秘権の行使を宣言する。

 

 

(……いや、ちょっと待って)

 

その3が出た時点でヤマトの頭にふとある疑問が浮かび上がった。

何故、テキサスを含めた4人はエンペラーの質問にこんな反応を示しているのか?

 

(あの人とそういう関係じゃないけども、皆が気にするような内容でもないはずなんだけどなぁ…)

 

それに、あの時はたまたま会って「どうせ暇でしょ?ちょっと付き合いなさい」と強引に連れてかれたのだから、こっちに非はない。

ならば、自分が言うべきことは。

 

「あの人は傭兵時代にお世話になった人で、そういう関係じゃないですよ」

 

ヤマトは顔を気だるげに上げながら正直にその女性との関係を答える。

 

「ヤマト君、それ本当だよね?」

 

「本当だよエク姉」

 

「ホンマなんやろうな?」

 

「ホンマですよ…」

 

「嘘じゃないよね?」

 

「ソラ姉まで…嘘じゃないって」

 

「嘘だったら剣雨千本飲ますぞ」

 

「べつにい…ちょっと待ってください。それ、マジで実行したら俺死にますよね?嘘じゃないですけど」

 

「……そうか」

 

(何とかなった…のかな?)

 

何故かほっとした様子のテキサス達と肩から手をどかしたソラを見て何とかなったとヤマトは安心し、睡眠欲を満たすために目を閉じて意識を飛ばす──

 

「でも、あの後お前そいつに抱きつかれてたよな?」

 

エンペラーのその言葉が耳に入った瞬間、ヤマトは自身の生存本能が命ずるがままに席から転げ落ちるように離れた。

 

 

 

 

******

 

 

 

 

「はあ…!はあ…!」

 

龍門のとあるスラムのところでずぶ濡れのヤマトは壁によりかかって荒い息を出しながら、息を整えていた。

 

席から転げ落ちるように離れた瞬間、自分が座っていた席にテキサスの源石ハリセンverの剣雨といつ持ってきたのかエクシアのVectorから放たれたゴム弾によってズタボロとなったデスクを見て、命の危機を感じたヤマトは追ってくる彼女たちを振り切るために事務所を飛び出し逃走した。

 

普通であれば、ペンギン急便の中では1番の身体能力と未来予知レベルと言われるほどの直感を持つヤマトなら直ぐに彼女を達を撒ける…はずだった。しかしどういう事なのか、彼女たちはそんなヤマトの全力逃走に離されないどころか、彼の直感を掻い潜って先回りしていたりとヤマトからしたら泣きたくなるような事をやってのけていた。

 

最終的にたまたま下を通った観光関係の船に飛び移るというという奥の手を使う羽目になったのが。因みに飛び移った船の着地点がプールだった時は本気でヤマトは死を覚悟した。

 

その後はジタバタプールで溺れないように手足を動かしていたところを引き揚げられ、ヤマトの必死の弁護を聞いた飲み仲間の船長に「次からは飛び込まないこと」「暇な時娘と会って欲しい」の2つの条件の元許され、停泊した場所で降りそこからシラヌイのところでほとぼりが冷めるまで匿ってもらうために全力疾走したのがここまでの経緯だった。

 

「……よし、もう少しがんば──っ!」

 

「あら、レディにいきなり銃向けるなんて失礼じゃない?」

 

後ろに気配を感じ反射的にホルスターから拳銃を抜いてそちらに銃口を向けると、そこには今回の騒動の発端でもあるサルカズの女性、Wが余裕そうな顔で立っていた。

 

「なんだ、Wさんでしたか…驚かさ──むぐっ!?」

 

「悪いけど、ちょっと静かにして頂戴」

 

「おい、ヤマトはいたか?」

 

いきなり口を手で塞がれたことに抗議をしようとして、その直後にテキサスの声が聞こえた瞬間にヤマトは体を強ばらせ、口元に人差しを当てて「シーっ」と言うWにコクコク頷く。

 

「いや、いなかったよ…あの船の停泊位置とシラヌイ義姉さんの隠れ家の場所的にここら辺にいると思うんだけど」

 

ヤマトが何故そこまで予測されていたのか分からず困惑の表情をうかべる中、合流したのかクロワッサンとソラの声も会話に加わり始めた。

 

「いや、もしかしたらすでにシラヌイさんの所にいる可能性もありますよね?」

 

「そうやなぁ…ヤマトならもう既に行ってるかもしれんへんな」

 

「では、クロワッサンとソラはシラヌイお義姉さんの所に。私とエクシアはもう少しここら辺を探す。見つけ次第抜け駆けはせずに連絡しろ」

 

テキサスのその言葉を合図に足音が響き、そして次第に小さくなっていき音がヤマトとWの静かな呼吸の音しかしなくなった所で、Wはヤマトの口から手を離して仕方なさそうな雰囲気を出して話しかけた。

 

「全く…ちょっと目を離したら変なことに巻き込まれてるんだから…とりあえず事情を話してくれる?」

 

「え、えっと…実は」

 

恩がありそれなりに信頼している人物であるWが投げかけた質問だったため、ヤマトは戸惑いつつも警戒せずにここまでに至る経緯を伝えた。

 

ちっ、敵が増えたわね…

 

「Wさん?今なんて…?」

 

「いや、なんでもないわよ。それよりヤマト、これからどうするのよ?そのシラヌイって所には逃げられないんでしょ?」

 

「うっ…」

 

実際その通りであった。頼みの綱であるシラヌイのところはソラとクロワッサンに抑えられてしまっている。かといって、潜伏する場所の宛も無ければ、かといって闇雲に逃げ回るのも現実的ではない。というより後者に関しては体力が持たないだろうし見つかるリスクが高くなる。

 

だが、ヤマトとしてはもう諦めてしまった方がいい気がしてきていた。逃げてしまった手前、恐らくというより100%ボコボコにされるだろうが、逃げてしまったことを誠心誠意込めて謝罪し、ハグの件もWが自分をからかうためにしてきたということを説明した方がいいのではないか思い始め──

 

「あの、俺。皆のところに行って事情を説明しようと思うんです」

 

「…そう、なら私もそれは同行するわ」

 

「え?」

 

それを告げた結果、何故かWも着いてくる形となったのだった。

 

 

 

 

 

******

 

 

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

(く、空気が重い…!)

 

龍門のとある喫茶店の端っこのテーブル席でヤマトとその隣にW、対面側にテキサス達が座っていた。当初ヤマトに呼ばれたテキサス達は、逃げたこと、そして何故その女性にハグされたのか問い詰めようと意気込んで来たのだが、ヤマトの隣に座るWを見て固まった。

 

「あなた達が子犬ちゃんの仕事の先輩さん?とりあえず座ったらどう?」と余裕そうな顔でWが言った時はその場だけ温度が急激に下がったようにヤマトは感じ、直ぐにその場を離れたくなったが自分の不手際でWを付き合わせてしまっている以上逃げずにその場に残ったのだが。

 

「…とりあえずお前は何者だ?」

 

「私?私はそうね…この子犬ちゃん…ヤマトと深い関係にある女…って言えば分かるかしら?」

 

瞬間、4人からのハイライトがない視線と圧がヤマトとWに注がれ、ヤマトはあまりの怖さにカタカタと身体を震わせ始めた。そしてそれをチャンスと見たWは次の行動に出た。

 

「もう、あなた達が変な圧かけるから子犬ちゃん怖くて震えちゃってるじゃない…よしよし、怖くないわよ〜」

 

「「「「っ!?」」」」

 

「ちょっ、Wさん!?」

 

Wは自分の胸にヤマトの頭を引き寄せるように抱くとそのまま彼の頭をあやす様に撫で始め、驚くテキサスへ不敵な笑みを浮かべる。

瞬間、テキサス達は察した。

 

──この女、敵だわ

 

あんな風にヤマトを胸に抱いて頭を撫でるなど羨まし…一緒の空間で生活している自分たちでさえやったことがないことをしているWへの敵意は急激に高まり、最早内輪もめしている場合ではなかった。

 

(皆、ものは相談だけど…)

 

(分かっとるで。ここは一時休戦や)

 

(そうですね…まずはあのクソ×××からヤマトを離さないと…!)

 

(…それは同感だが、ソラ。せめてアイドルとしての最低限のメンツは保て)

 

一瞬のアイコンタクトで互いの心情を伝え合い、そしてやるべき事を共有すると早速エクシアが動いた。

 

「お姉さん、悪いけどヤマトは一緒に暮らしてる家族みたいなものだから、あまりヤマトを困らせることはしないで欲しいなー?」

 

「困らせる?私はそんなことしてないわよ?怯えちゃってるこの子を慰めてるだけよ?」

 

「…ヤマトはウブなんだ。お前のその無駄にある脂肪に挟まれて困惑しているのが分からないのか?」

 

「自分より私の方が大きいからってその言い方はないんじゃない?爆破するわよ?」

 

「野蛮やな〜。ヤマト、悪いことは言わんから今すぐウチらの隣に来た方がええで?」

 

「ヤマトを追いかけ回してたあなた達が言っても説得力ないわよ?」

 

「それ言われたら何も言えないですけど…でも、同じ会社で働く仕事仲間としてヤマト君が悪い人に引っかかってないか心配だったので…」

 

「へー?因みにその悪い人って誰かしら?私もそいつぶちのめ…話してくれたら手伝うわよ?」

 

(お、お腹が痛いしこわいよぉ…)

 

水面下で始まった女たちの戦いの余波を受けているヤマトはなぜ彼女たちがここまで殺気立っているのか、自分が原因なのは分かるものの肝心な所が分からずどう解決すべきなのか震えながら考えていた。

 

(まずはこの空気をどうにかしないといけない…なんか変な一発芸やって場を静めるのがベストなのかな…)

 

「〜♪〜♪〜♪」

 

「あれ、これ私の歌…」

 

その時だった。どこからかソラの代表曲が流れ始め、ヤマトはそれを聞いた瞬間この場を静める計画が鮮やかに脳内で書き上げられた。

そしてヤマトはそれを実行すべく防水仕様のおかげで無事で、今そのソラの曲を流している連絡端末を取り出し通話に出た。

 

「はい、もしもし!ヤマトです!あ、シラヌイ?」

 

『?いや、ちが──』

 

「あー!そういえば今日この後新装備のテストやるんだったね!忘れてたよ!」

 

『ヤマト?勝手に話を──』

 

「そういえば場所変えたんだよね!それで、俺だけで来るようにって話で集合場所はあそこだったよね!うん、今行くから!それじゃ!」

 

『ちょっと?ボクを無視──』

 

通話先の人物が何か言う前にヤマトはプツッと通話を着ると、歴戦の猛者でも見切るのが難しいほどの手腕で端末の電源を切ってポケットに突っ込むと、申し訳なさそうにテキサス達に振り返り。

 

「ごめん。そういう訳だから今日はお開きにしてまた今度話し合おう?」

 

明らかな話題転換で尚且つ露骨な解散を促すような動き。この場にいた全員はそれに気がついていたが、ここで変にそれを無視してヤマトを傷つけるような真似をしたくなかったため、テキサス達とWは腑に落ちないものの敢えてヤマトの言葉にのる形にした。

 

「子犬ちゃんいないなら仕方ないわねぇ…それじゃ、子犬ちゃん。しっかり場所作っといてよ?」

 

「…私達も戻るが、用事が終わったら真っ直ぐ帰ってこい。いいな」

 

そうしてテキサスが店を出ていったのを見届けたヤマトは安堵の息を吐き、強引に通話を進めたしまった人物に謝罪するために携帯端末の電源を入れ──

 

『○○時に****で待ってるから来てよ?』

 

「ひぇっ……」

 

数十件の着信歴と新しく受信したメールの内容に思わず悲鳴をあげたのだった。

 

 

 

******

 

 

 

それからこっそり自分が借りている宿舎の部屋に戻り、ある準備をしたヤマトは先程のメールの主が指定した場所に時間の10分前に来て、戦闘の時のように神経を張り巡らせ、そしてそれを悟られないように突っ立っている振りをしていた。

 

 

──そして、背後から飛んできた黒い衝撃波を腰のホルスターにしまっていた、テキサスのより2倍ほど長めの源石剣の柄を取り出すと、人を殺さないギリギリの量のアーツを流し込んで刃を出して斬り上げるように衝撃波を上に飛ばし、そしてヤマトから見て斜め前方の上空から振り下ろされた特殊なデザインの極東風の双剣を源石剣で受け止めると、その双剣を振り下ろした人物は狂った笑みを浮かべてヤマトに声をかけた。

 

「ハハッ!流石ヤマトだ!限界まで気配も殺気も消したのに気づかれるなんてね!」

 

「……」

 

「相変わらずだんまりかい?つまらないねぇ…」

 

ヤマトはアーツで身体能力を強化して力任せに源石剣を振るって、ラップランドを押し飛ばしたが、ラップランドは危なげなくまるで舞台の演者が観客に魅せるような動きで着地して楽しそうな笑みを浮かべる。

そう、先程の通話とメールの送信者はラップランドであり、ヤマトは月に彼女からの連絡がある度にこうして戦っていた。

 

何故このようなことが始まったのかを一言で言ってしまえば、ラップランドをテキサスと会わせないため。もっと分かりやすく言うならば、ラップランドはヤマトを負かしたらテキサスと会ってもいいという馬鹿げた契約をヤマトとしている──というのがヤマトの解釈だ。

 

 

 

ラップランドを挑発して自分の目の前に引っ張り出し、こちらの出した要件に従う気もなく去ろうとした彼女を、不意打ち気味に地面に倒して上に跨って彼女の首元に合体剣を添えたことで、ようやくやる気を出させてそのあとの勝負で打ち負かしたことでこの契約を取り付けることが出来た。

 

(今思えばテキサスさんには申し訳ないことしたなぁ…)

 

「ああ、そうだ。ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかい?」

 

 

──という人生で初めて勝ち取った契約を思い出してヤマトは遠い目をしながら思い返したところで、ラップランドに声をかけられた。

 

「…なんだ?」

 

「さっき君の近くに行った時に、テキサスやそのお友達以外の女の匂いがしたんだけど…そいつ、誰?」

 

「………………」

 

ヤマトのついさっき見たような、聞いたようなやり取りに冷や汗を流し、そして急に腹痛が走るも、何故戦い合う仲の彼女がそんなことを聞いてきたのか疑問に思い、質問を投げかけた。

 

「…関係あるか?」

 

「関係あるさ。だって、キミはどちらかが死ぬまで一緒にいてくれるんだろう?」

 

「………?」

 

ヤマトは珍しくキョトンとした様子で返答したラップランドから目を離さずに最初彼女を倒した時のことを思い出す。

 

──確か、あの時「キミになら殺されてもいいかな」って言われて、でも俺はそんな諦めた感じのラップランドさんが嫌で、彼女の頭掴んで頭突きして「殺す気は無い。俺は俺かアンタが死ぬまで(最初に話した契約内容でいいならあんたにとって)一緒(に戦い合う相手)になる」って言って…──

 

確かに言ったことは言ったがどこをどうすれば、先程の話に結びつくのかヤマトには分からなかった。だからこそヤマトは言ってしまった。

 

「(どんな人と交友関係持ったとしても)俺の勝手だろう。そもそも(契約内容的に俺を殺すはずの)お前には関係ない話だ」

 

「…フッ、アハハハッ!アハハハハハ!…そう、テキサス達は仕事の関係上仕方ないからって許してたのがダメだったのかなぁ…いやでも…」

 

「………?」

 

顔を俯かせた状態でブツブツ呟くラップランドにヤマトが「?」を浮かばせ、それが2分ほど経った頃に流石に心配になって声をかけようとした時、ラップランドは顔を勢いよく上げ、ハイライトが消えた目でヤマトを見つめた。

 

「…やっぱり手錠使うか、四肢を斬り落として一生外に出れないようにするしかないみたいだね…!」

 

「いや、待て。そんなことされたら配達かできな──」

 

「最初からボク一筋にすればよかったのに…浮気なんか出来ないようにしてあげるよ!!」

 

(ダメだ、全然話を聞いてくれる感じじゃない…)

 

どっちにせよ、ラップランドとの戦いを自分の勝利で納めなければならなければ落ち着いて話すことは出来ず、負ければ大事な人であるテキサスに被害が及ぶ。

 

ヤマトは息を吐きながらサイレンサーをつけたカスタマイズベレッタ92Fを左手に、そして右手にもつ源石剣に更にアーツを流し込んで柄の反対側の方にも刃を出して構える。

 

「今日は月が綺麗だね…ヤマト。」

 

「……そうだな」

 

 

******

 

 

 

その後、ボロボロの状態で深夜に帰ってきた所を寝ずに起きていたテキサス達に見つかったヤマトはラップランドとの契約のことを誤魔化すのに悪戦苦闘したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




キャラ紹介

ヤマト:天然無自覚フラグメーカー。今回の話だけ見るととんでもないクズ野郎ですけど、ヤマト君は惚れただの恋だの愛だの全然分からないピュアな子なんです!だから、恋心なんて全く分からないんです!だから許してあげてやってください…!因みにテキサス達のことは「大事な人」、Wは「自分を助けてくれた大事な恩人」、ラップランドは「なんか放っておけない人」と思っています。なお先言っておくと基本的にヤマトは誰かに惚れた場合その人のことを死ぬまで一筋で浮気なんてしません。

テキサス:こちらのルートではヤマトガチ勢。基本的にはクールでヤマト的には頼りになる先輩なのだが、たまにポンコツになる。今回の話をきっかけにアピールするようになるも、ヤマトは「いっぱい話しかけてくれるようになってくれた…!」と勘違いしている。

エクシア:上に同じく。ヤマトとしては後処理的な意味で頭を悩ましている人物1号。今回の1件でヤマトと2人で一緒にガンショップに行ったり、アップルパイを食べに行ったりと2人だけの時間を増やしている。

クロワッサン:上に同じく。ヤマトとしては備品クラッシャー的な意味で頭を悩ましている人物2号。今回の1件でなるべくヤマトに迷惑をかけないように気を遣うようにし、気分転換にご飯を食べに行く機会を増やした。なお、備品が壊れる頻度は変わらなかった模様。

ソラ:上に同じく。ペンギン急便の良心だとヤマトは思っており、実際ペン急メンバーの中では1番教えてくれたのも彼女で、過ごした時間も長い。着信音に自分の曲が設定されてたことが嬉しくて、暫く顔がゆるっゆるだった。今回の1件をうけて、一緒にご飯を作る時間を増やしている。

W:まだ未実装だけど参戦。後々各ルートの設定は開示しますが、とりあえず「幕間:女傭兵との因縁」の話はペン急ルートでも通っています。ヤマトの前ではお姉さんぶってあれこれやってますが、実は大抵勢いに任せてやってたり。

ラップランド:なんやかんやあってこちらのルートでもヒロインとして参戦。こっちでは最初負かされた直後こそ「自分より強いヤツ」程度にしか思ってなかったが、コミュ障による言葉の省略によってプロポーズ紛いのことを言われ、しかも毎回(ギリギリの時が多いが)負かされてしまうため、ドンドン彼女の中でヤマトへの株が上がっていき気がついたらヤンデレ1歩手前に。因みに勝ったらヤマトを持ち帰れる上、自分が望むテキサスが戻ってくると考えてたり。
因みに話し合いはしっかり出来たため、誤解は解けた。(根本的なものは解けてないが)



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