ロドス劇場   作:ゆっくり妹紅

78 / 119
リア友「今のうちにWの育成に必要なもの調べて集めておいたら?」
自分「せやな…wikiで調べるか」
結果
昇進1:初級源岩×12、初級糖原×5
昇進2:ナノフレーク×4、上級アケントン×7
ナノフレーク=上級合成コール×2+上級装置+400龍門pay
自分「やってやろうじゃねーかこの野郎!!」

という訳で、どうも結局1-7から逃げられず素材集めに奔走してる作者です。

さて、今回はBSWルートとなりますが…多分全ルートの中では1番ドロドロしてる気がします。


修羅場ですよ!ヤマト君!(BSWルート)

突然だが、BSWから来たヤマトはかなり優秀だ。

事務作業はBSWでリスカムから教えられていたのもあって報告書なども丁寧に書かれており、しかもスピードもまあまあ早い。

そして戦闘に関しては卓越した剣技と正確な射撃、そしてアーツを剣に纏わせて術攻撃を行えたりと正にオールラウンダー。

プライベートでは人見知り面が強いため、初対面だったりあまり話したことがない人の前だと、ムサシかシラヌイが傍にいれば自然な形で彼女らの後ろに隠れ、いない場合だと口数が少なくなるといった欠点もあるが、それも1度親しくなればかなり緩和される上、お酒の付き合いもかなりいい。それに人見知りとはいえど、困ってる人がいれば迷わず手伝ったりと性格も問題ない。

さらに言ってしまえば、家事スキルも高くその上甘やかし上手で彼でおぎゃってしまう一部の者も何故かいる始末で、顔もシルバーアッシュやミッドナイト、アンセルといった面々と比べると見劣りはするものの整っている部類であるため、正に優良物件である。

 

そんなモテ男だったり、勝ち組な印象を受けるヤマトはBSWの先輩二人に挟まれた状態で、顔を真っ青にして立っていた。

 

「ヤマト、フランカなんか放っておいて行きましょう?」

 

「あんな堅苦しい優等生といたってつまらないだろうから、私と一緒にお出かけした方が有意義よね?」

 

「え、えっと…」

 

──1人でゆっくり過ごすのはダメですか?

 

ヤマトはその言葉が喉から出かけたが何とか飲みこむ。うっかり口を出してしまえばとんでもないことになるのが流石に分かるからだ。

正直な話、ヤマトは何も言わずに逃げたかった。しかし、それを防ぐかのようにヤマトの両腕はがっちりとリスカムとフランカにホールドされているため、不可能だった。というより、答えを急かすかのように力を込め始めているのか、腕から変な音が出始めていた。

 

(こ、殺される…!)

 

色々飛躍した考えになってしまっているが、両側で圧を放ちながら牽制し合う、しかもそれが自分の上司というのもあってヤマトは真剣に自身の命の危機を覚え始めていた。

だが悲しいことに今のヤマトにこの状況を打破する手段はない。せいぜいあるとすれば、決死の覚悟でどちらかを選ぶか、第三者が助けに来てくれることを祈るぐらい。

 

(やっぱりどちらかを選ぶしかないんだ…)

 

そしてヤマトは散々考えた上で、これまで自分に対してイタズラなどをしてないリスカムを選ぼうとして──。

 

「ヤマト、ここにいたのか」

 

「マッターホルンさん!」

 

そこへマッターホルンが姿を現した。そして彼は嬉しそうに声を上げ、自分を救世主かのように見つめてくるヤマトと、その両脇にいるリスカムとフランカを見て状況を察すと、息を軽く吐き。

 

「非番なところすまないが、子供たちに出す焼き菓子を作るの手伝ってくれないか?」

 

「分かりました.!それじゃあリスカム先輩、フランカ先輩失礼します…!」

 

「「あっ…!」」

 

ヤマトは突然の乱入者に腕を組む力が抜けた二人の拘束を器用にとくと、マッターホルンから出された助け舟に全力で乗り込みその場を後にしたのだった。

 

 

 

****

 

 

 

「こんないい天気の日に、甲板で座りながらお喋りもたまにはいいわね〜」

 

「そうね…たまにはいいわね」

 

「でももっと言えば君たちさえ居なければさらに良かったんだけどね?」

 

「それは私のセリフ。お兄ちゃんも私と2人きりだけの方が良かったよね?」

 

「お、俺はみんな一緒の方がいいかな…って……は、はははっ…」

 

──助けてください。

 

現在ヤマトはロドスの甲板にて、W、リーシー、ラップランド、イカズチに囲まれた状態でココアを飲みながら話していた。

 

マッターホルンに助けてもらったヤマトは、彼がドン引きしかけるほどに感謝の言葉を送りまくった。そしてその後は子供たちにあげる焼き菓子と、途中から来たプラマニクスとクリフハートにお菓子の作り方をマッターホルンと教え、それが終わり彼女らが兄にそのお菓子を上手くあげられることを祈りつつ、自分に宛てがわれた部屋に戻る途中で、ふと冷蔵庫にアイスココアのストックが無いことを思い出し、今日はこれ以上誰にも会いたくないのもあって、ついでに自室で自炊するための食材を買おうと購買部に立ち寄った。そう、立ち寄ってしまったのだ。

 

結果として、購買部にいたリーシーとイカズチに見つかってしまい、そこからWとラップランドに鉢合わせて、あれよあれよと何故か甲板にまで連れてかれてしまい、先程の状況へと陥っていた。

 

「子犬ちゃんはやっぱり優しいわね〜。ほらあなた達も少しは見習いなさいな」

 

「お″ぉ″ん″!?W、あんた前の飲み会で「子犬ちゃんの優しすぎるところはどうにかして欲しいわね〜」って言ってたじゃない!あと巨乳なのムカつく!」

 

「癪だけどリーシーの言ってることは正しいよ。まあ、後者に関してはノーコメントだけど」

 

「殺すわよ?」

 

「そうよ!貧乳はステータス、希少価値っていう名言があるんだよ!それにお兄ちゃんは妹の私のことが好きだから、貧乳好きなの!」

 

イカズチがそう言った瞬間、Wとラップランド(持つ者)がヤマトへ鋭い視線を向けた。正直、ヤマトとしては色々弁解したい所なのだが、下手なことを口にしてしまえばやべー事になるのは簡単に思い浮かぶ。というより、このメンツの時に1回選択肢を間違えてしまったことがあり、大乱闘に巻き込まれたところか、どさくさに紛れて弱い所を触られて酷い目にあったのを体験していた。

 

(というより、イカズチが言ってる好きは前に「私の事、家族として好き」って聞かれて、実際そうだからってことで好きって言ったのに…!それに、む、胸の大きさの好みだって特にないのに…!)

 

最もそれを口にしてしまえば大惨事になりかねないので、ヤマトは震えながらココアを飲み込む。しかし、状況は変わらないどころか、何時になっても答えないヤマトに対して、イカズチは目のハイライトが消えかけ、W、リーシーとラップランドは完全に消えた状態で見つめてきているため、と悪化してしまっている。

 

「子犬ちゃん?」

 

「ヤマト?」

 

「…ヤマト」

 

「お兄ちゃん?」

 

「「「「早く答えて?」」」」

 

「ひっ…!ご、ごめん、ちょっと御手洗に行ってくる!」

 

4人から発せられる圧があまりにも恐くて耐えきれなくなったヤマトは、早口でそう告げるとアーツで身体能力を限界まで上げてその場を逃げ出した。

 

 

 

 

 

****

 

 

 

「はあっ…はあっ…!後、もう少し…!」

 

ヤマトは時折後ろを振り返りながらロドスの中を全力で走り、自分に宛てがわれている部屋へと急いでいた。

 

「ついた…!」

 

そしてヤマトは急いでロックを解除して部屋の中に転がり込み、急いでロックをかけ直す。

 

「はあっ…はあっ…」

 

ドッドッと心臓がかなり早く動いているのを自覚しつつも、ヤマトはそっとドアに耳を当て、アーツで聴力を強化して外の音を聞く。

それを十数分したところで、ヤマトは外から誰かが来るような音がしないのを確認すると、ペタンと地面に座り込んだ。

 

「…なんで、こんなことに……」

 

「そんなの、先輩が誰も選ばないどころか、最近は自分の命を捨てるような戦い方をするからに決まってるじゃないですか」

 

「えっ……」

 

ただ、無意識に発せられた自分への問いを自分の声では無いものが答えた。その事実とは後半の答えにヤマトは冷や汗をかき、そしてまた早く鳴る心臓を抑えながら後ろを振り返る。

すると、そこには──

 

「ヤマト先輩、やっと来てくれたんですね?」

 

「ずっと、待ってた」

 

「ジェシカ…それにレッドまで…!」

 

いつからいたのか、レッドとヤマトの後輩であるジェシカが立っていた。

ヤマトは地面に腰をつけたまま後ずさり、そして湧き上がる恐怖心を抑えながらジェシカ達に話しかける。

 

「い、いつから…どうやって…?」

 

「それに関しては1時間くらい前にそろそろ先輩戻ってくるだろうなって思って、レッドさんにお願いして通気口を辿ってここに入りました」

 

「潜入、成功」

 

(完全に不法侵入じゃ…!)

 

目のハイライトが消えた状態のジェシカとふんすっと胸を少し張っているレッドの対局的な雰囲気に戸惑いつつも、このことに関してはしっかりアーミヤ、ドクター、そしてケルシーに言いつけることをヤマトは心に決めた。

しかし、このままだとそれをする前に色んな意味で終わりそうなので、とりあえずヤマトはドアに行く時間を稼ぐためにも、ジェシカとレッドに話しかける。

 

「そ、それでまた同じようなこと聞くけど、なんでこんなことを…?」

 

「………」

 

「簡単ですよ…先輩の事が狂ってしまうほどに好きなのと、貴方がいつ死んでしまうか分からないからです」

 

「……俺って、いつ死んでもおかしくないぐらい弱い?」

 

「違います!」

 

ジェシカの前者はともかく、後者の発言でヤマトは自分が信じられていないことに少し落ち込みながらも問いを重ねた瞬間、ジェシカは力強くそれを否定した。

 

「先輩、あなたは…!何故か私たちを見る時は、届かない存在を見るかのように見てますよね…そして、ムサシ先輩を見る時は悲しそうに見ますよね…そして、戦場に行く時は…!死に場所を求めるかのような目をしています…!しかも、戦いの場じゃいつも無理無茶ばっかりして、味方を庇って、酷い時は大怪我して戻ってきてますよね!?それを見て、不安にならない方がおかしいじゃないですか!?」

 

「レッドも、不安…ヤマト、いつも怪我してる、胸が痛い…」

 

「私は…いえ、私たちは先輩の過去を知らないです…ですけど、私達はあなたの事を好きになって、愛してしまったんです!そんな大事な人がいつもボロボロで帰ってくるのを見て、悲しいはずが、不安に思うはずがないじゃないですか!」

 

「ジェシカ…レッド…」

 

ヤマトは彼女達の言い分に胸がズキリと痛むのを感じた。

実際、最近ある悪夢を見るようになってからヤマトは自分の生きている価値を見失っていた。自分は生きていい人間なのか?と考えるようになってから、ジェシカ達が遠い存在のように見え、そして自身の至らなさで片腕を失ってしまったムサシにはこれまで抱えたことがない罪悪感を抱くようになってしまった。

 

何も言えないでいるヤマトにジェシカは、軽く息を吐いた。

 

「だからですね、みんなと話したんですよ。もし、今日中に誰もヤマト先輩を落とせなかったら、みんなで囲ってしまいましょうって」

 

「え…」

 

ジェシカがそう告げた瞬間、プシューという音ともに部屋のドアが開き、ヤマトはロックしたはずのドアが開いてしまっている事実に戦慄しながらも、油が切れたロボットのように首をぎこちなく動かして。

 

「はぁ…まさかジェシカの言った通りになるなんてね…」

 

「…まあ、私も予想してはいたからまだいいけども」

 

「ちっ…コイツらとね…」

 

「ちょっと露骨に嫌そうな顔しないでくれる?」

 

「そうだよ…ボクだって不服なんだ」

 

「まあ、お兄ちゃんのためにも妥協するしかないんだよね」

 

「は、ははは…」

 

いつからいたのか、ドアの前に立っているフランカたちを見てヤマトは乾いた笑みを浮かべ。

 

「それじゃあ先輩…私たちを置いていかないでくださいよ?」

 

「え、あ、ちょ、リスカム先輩らなんでベッドに連れてくの!?あ、服脱がさな、やめ、やめろー!って、尻尾触らない…はっ!?」

 

 

 

 

 

 

「うわあああああああっ!!」

 

 

 

 

 

****

 

 

 

「って、なる前に何とかしたいんだけどムサシ、シラヌイさん、なんかありません?」

 

「それってドクターの妄想話じゃねーか!って言いたいけど、まじでそんな目で俺らの事見てるもんな…」

 

「というより、あの子の幼少期知ってる分現実味が帯びてきたわよ…」

 

ドクターの熱弁にムサシとシラヌイが頭を抱え込み始めた。

そう、シラヌイも言っていたようにドクターが話した「ヤマト包囲網完成間近説」はヤマトの過去と彼の最近の行動、そしてジェシカ達がコソコソ裏で何かやってるのを含めると、何故ジェシカがラスボス枠なのか聞きたいが、正直妄想話とは言えなくなってしまった。

というより、今こうしてる間に実現してそうなのがこの説の恐ろしいところであり、シラヌイは冷や汗を流し始めた。

 

「どっちにせよ、何かしら手を打たないとロドス内で×××事件(放送禁止用語)が起こって、ヤマトさんが大変なことに…!」

 

「アーミヤちゃん、真剣に心配してくれるのはありがたいんだけど、R-18系列の言葉は言わないで?キャラ崩壊もあるし、この小説一応健全な中学生以上向けのやつだからさ」

 

「しかし、正直何をしたらいいか分からない…もう、ヤマトには犠牲になってもらうしか…!」

 

「いや、8股は流石に色々とまずいわよ!?そんなの私許さないからね!!」

 

「…いや、ぶっちゃけヤマトを縛り付けるにはそれぐらいした方がいい説ワンチャン?」

 

「あるか!このアホ独身ムサシ!」

 

「ぐはっ…!シラヌイ…言ってはならないことを言ったわね…!ぐふっ…」

 

「ああ!?む、ムサシさんが口から血を吐いて…!?」

 

「いや、どんだけその話題に弱いのよ!?」

 

執務室でこんなやり取りがやられている中、ヤマトはシルバーアッシュの腰元にしがみついていい感じに隠れ、ジェシカ達の修羅場から逃げ出していた。

 




何じゃあ、こりゃあ…

キャラ紹介
ヤマト:ムサシが生きてるルートのヤマト。人の良さが災いして天然フラグメーカーとして数々の女性を引っかけってしまった。結果として、日々修羅場に巻き込まれており、酒の席では「なんで俺なんかを…」とガチで困惑した様子でこぼす姿が…。最近、孤児院のみんなのことを夢で見るようになってて…?ちなみにリスカムの事は「厳しいけど面倒見のいい先輩」、フランカは「優しいけどからかってくる先輩」、ジェシカは「大事な後輩」、Wは「前に一緒に仕事した人(無事でよかった)」
リーシーは「イカズチの面倒見てくれたり、自分が作ったご飯を美味しそうに食べてくれる人」、ラップランドは「なんか自分に気をかけてくれる人」、イカズチは「大事な妹」、レッドは「初めてのループスの友達」と言った感じに見てます。

ヒロインズ:ヤマトガチ勢。ちなみにWはヤマトがBSWで働いていた際にたまたま同じ戦場で戦ったことがきっかけで、リーシーはチンピラに絡まれているところを迷子になっていたヤマトに助けられて、リスカムは素直なところやしっかりしてるのに子供舌というところ、フランカはヤマトの天然ジゴロセリフで…という感じで。

ムサシ:ヤマトってなろ○系主人公なのか?因みにシラヌイの口撃で全治3時間の心の傷を負った。

シラヌイ:そ、その悪かったわよ…。ちなみにこのルートでは数少ない常識人にして、胃薬が手放せない苦労人。

ドクター:俺は絶対にああはならないようにしないと…いや、そもそも俺に好意持つやつなんていねーか、ははは(笑)

アーミヤ:ドクター…

シルバーアッシュ:あまりにも可哀想だったので助けてあげた。

ラスボス後輩:ジェシカ。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。