突然ですが、今、オルクス大迷宮というところに来ています。
正確に言えば入り口の正面の広場なんだけどね。
いやーもうわくわくですよ。ウッキウキですよ。やっと実戦なんですからね。
入場するときにステータスプレートを提示しなければいけないらしい。
なんでも出入りを把握することで死者数なんかを把握できるようにしたり、犯罪者が迷宮を拠点として使ったとかいう過去があるかららしい。一番の理由は戦争が近いから死人が増えるのは大変困るとのこと。そりゃ戦う人が減ったら戦力差も大きくなっちゃうからね。
さて、こんな考え事は放棄して戦いますか。
今考えてる戦闘スタイル…といっても敏捷が高いのでスピード重視になる。
ダメージディーラーもできるだろうけど暗殺者とは何だろうか。
やっぱり後ろからさくってやろうかな。それっぽいし。
というかなんでか知らないけどパーティ自体が組まれなかった。完全にソロである。
まぁ死なない程度にやりますか。
武器は、日本で使っていた小太刀。なんであるのかというといつも制服の下に隠しているから。
警察に見つかった瞬間、銃刀法でアウトな代物を持っています。
だいたい刃渡りは15~20cmくらい。なかなか切れ味もいい。
そんなわけで戦います。
最初の相手はラットマンというらしい。名前のとおりの見た目だけれど気持ち悪いなぁ。
とりあえず様子見がてら相手の攻撃を挑発して誘ってみる。
「かかってきなさい。気持ち悪いの。」
我ながら適当である。
けれどしっかり挑発に乗って殴りかかってくる。
残念かな。私のスピードが速すぎて敵の攻撃が当たる気がしない。よけてるけどね。
そこまでお面白くなかったからさっさと終わらせよう。
「フッ」
スッと後ろに回り首を小太刀で一閃。
頭がころりと落ちて魔石になった。
「あっけないなぁ」
一つ、わかったことがある。どうやら私は戦うのが好きな感じらしい。
日本だからってのもあるけど、日本じゃ仕事の時あまり気乗りしなかったから割と意外に思う。
人数が人数なのと勇者たちのせいで一匹しかやれなかった。
もっとやりたいのになぁ。
どんどん階層を順調に下って行って現在20階層。
暇で暇で仕方がない。レベルが上がることもあってさらに敵が弱くなってる気がしてならない。
特異体質の恩恵が大きすぎる。
現在レベル12だけれど筋力が920。どうやら筋力はレベル1あたり80上昇するようだ。
けどね?ひどいのは敏捷でいま1560。どんだけよ。しかも均等に上がってるわけじゃないからどこまで伸びるかわからない。他のやつはこの二つに比べて少ないながらもそれなりに上がっていた。
あ~考えるだけで嫌になってくる。
ナーフしてもいいんですよ?
具体的にはステータス上昇量増加(大)の消去。
って祈っても意味がないのは知ってるけど。
「はぁ~」
盛大にため息をついた。
するとメルド団長に呼ばれた。
「おーい。渡辺!ちょっとこっちにこい!」
「あ、はい。分かりました」
なんだろうね。
「団長、急に呼んでどうしたんですか?」
「いや、お前の戦いを見てたら光輝にも引けを取らないと思ってな。そこで光輝たちと一緒に戦わないか?」
「パーティに加わるってことですか?」
「そうだ。」
うーん。嫌いな勇者とですか。でも最前線ってことになるから多く戦えるかな。
たぶん戦闘が邪魔されることはないはずだから、大丈夫かな。
「わかりました。参加してみます。」
「おおっ、そうか。分かった。じゃあ今から行こう」
そう言われてついていく。
「光輝たち。渡辺をパーティに入れてやってくれ」
「えっとメルド団長。その…彼女は強いんですか?
「ああ、強いぞ。光輝に引けを取らないくらいな」
天之河を含め全員が息を呑んでいる。
何もしないになんか警戒されてる気が…まぁいいや。
「よろしくお願いします」
「あ、あぁわかった。もしものことがあっても俺が守るから安心しろよ」
戸惑いながら天之河がいってきた。
君に守られるほど弱くないつもりだけど。
21階層。
まだまだいけるね。と言っても疲労とかを考えないといけないからそろそろ切り上げてもいいかも。
その時になったらメルド団長が言うだろうし少し気にする程度でいいかな。
「擬態しているぞ!周りをよく注意しておけ。」
すると野生(?)のゴリラみたいなのが現れた!
擬態能力持ちのゴリラって…さすが異世界と言わざるをえない。
「ロックマウントだ!二本の腕に注意しろ!豪腕だぞ!」
確かにそうだなぁ。いっちょやりますか。
豪腕というだけあってなかなかの迫力。
「でもまだまだだなぁ」
小太刀をふるい傷を負わせていく。相手の攻撃はこちらには当たらない。
とどめに胸の真ん中を思いっきり突き刺す。
天之河たちはというと
ロックマウントがロックマウントを投げるとかいう珍妙なことが起き、投げられたロックマウントは某有名な泥棒(だったっけ?)みたいな感じで白崎さんたちにダイブしていた。
顔が引き攣ってるよ。あれはみんな引き攣るよ…
白崎さんたちが動けなくなってるのに気づいたメルド団長が助けに入った。
そんな様子を見てた勇者がきれた。
「貴様…よくも香織達を……許さない!」
なんだろう。彼女たちが死の恐怖でも感じたと思ったのだろうか。
聖剣が輝いてる。眩しい。
「万翔羽ばたき、天へと至れ-天翔剣!」
なかなかの大技だけどこの洞窟みたいな場所でうってどうするのさ。崩落したらどうするんだろう?
同じことを思ったのだろう。メルド団長が勇者に拳骨を食らわせていた。
「へぶぅ!?」
「この馬鹿者が。気持ちはわかるがな、こんな狭い所で使う技じゃないだろうが!崩落でもしたらどうするんだ!」
いいゾ、もっとやれメルド団長。
先ほどの技で崩れた壁に青白く光る鉱石があった。
「きれいだなぁ」
誰かが言った。
すると檜山が
「俺らで回収しようぜ!」
とか言って崖を登り始める。
どうなっても知らないよ…
「団長!トラップです!」
ほら言わんこっちゃない…
そうして私たちは光に包まれてどこかに飛ばされた。
「お前たち!すぐに立ち上がって、あの階段まで行け!急げ!」
さすがベテラン。判断と指揮がはやい。
でも飛ばされて終わりってわけでもないでしょう。
ほら、巨大な魔物が現れてるよ。
「ふぅん。あれがベヒモスかな。」
こんな時なのにテンションが上がってきた。今の状態で勝てるかどうか。
分からない。強敵に挑みたい。死にたくない。
色々な感情が混ざってる。
それでも結局は
「逃げるか」
安全をとった。
さて逃げようにもベヒモスの反対側は骸骨さんが埋め尽くしている。
骸骨なら倒せるだろう。
3,4回切りつけたら倒せた。どうやらまだまだらしい。
数も多いし、あまりやりたくないけどレベル上げがてら倒しますか。
そういえば刃こぼれは…今のところ大丈夫だね。
よし。どんどんいっくよー!
「さすがに数が多いんですけど…ていうかかなりハイペースで倒してるのにそれよりわく数のほうが多いってどういうことよ。」
100くらいまで数えてやめた。めんどくさくなった。
メルド団長が声をかけてみんなも立て直してきてるから大丈夫だろう。
って思ったけど大丈夫じゃなさそうなのが一人いるね。
骸骨の足元が隆起し始めた。その隙をついて骸骨を倒す。
「園部さん、大丈夫?」
「あ、ありがとう」
「それにしても南雲やるじゃない。」
「そんなこと言ってる場合じゃないと思う。園部さん早く前へ行って。大丈夫。冷静になればあんな骨くらい、どおってことないよ。うちのクラスは僕を除いて全員チートなんだから!」
「うん!南雲君もありがとう!」
そう言って駆け出した。
「さて南雲。これからどうする?」
「天之河君に撤退するように説得する」
「わかったわ。途中の敵は任せなさい。」
ベヒモスと戦ってる勇者たちの方へ行く。あんなこと言ったけどほとんど敵はいなかった。
そして今、南雲が団長に作戦を伝えてる。
私はというとベヒモスの相手をしている。後ろで勇者がうるさいが今は無視だ。
勇者でも無傷だったベヒモスをさすがに手抜きで相手できるとも思ってないので、魔力操作による身体強化を使う。取り合ず居合切みたいな感じですれ違いざまに切ってみたけどかすり傷しかつかない。
硬すぎる。どうあがいても刃が通らない。
けれど、少しとはいえ傷をつけた私を警戒したのかこちらに攻撃してくる。
「当たらなければどうということはないよ」
回避して回避して回避して隙ができたら攻撃する。
2回くらい繰り返したら合図が来た。
「渡辺さん!下がって!」
「了解。あとは頼むよ。」
作戦はこうだった。
南雲の錬成で地形を変化させてベヒモスを包み拘束する。
その間に後ろで魔法による砲撃の準備を整える。これは南雲が逃げる時間を稼ぐため。
私はというと南雲がメルド団長に話している間の足止めをお願いされた。
だからこうやって相手してた。
正直南雲は強いと思う。ステータスとかじゃなくて精神的な方で。
現に絶対に勝てないであろうベヒモスを目の前にしながら拘束し続けてる。
それでももう限界が近いだろうし。
「坊主!下がれ!」
団長が声をかけると同時に南雲がこちらへ走る。
魔法の砲撃も行われる。
映画も真っ青だね。この光景は。
なにせ頭上をたくさんの魔法がとびかってるんだから。
さてもう大丈夫かな。
と思ったのも束の間。一つの火球が南雲にむかってとんで命中した。
それでふっとばされた南雲は橋の崩落によりベヒモスと一緒に落ちていった。
うっそだろお前。あれがなければ南雲は無事だった。
じゃあ誰が?いくつか候補は浮かぶ。
あれ?檜山が笑ってる?それに曲がった火球は檜山のほうから飛んでいた。
白崎さんは団長に気絶させられたから問題ないとして。
檜山を問い詰めてみますか。
「ねぇ。クラスメイトが落ちたのに何で笑ってるの?あの曲がったやつって檜山の火球じゃないの?」
「な、なんだよ急に。」
「いいから質問に答えて。笑ってるのはあなただけなんだよ?それに見てたからね。」
「お、俺の得意な属性は風だぜ?な、なに言ってんだよ」
「見てたって言ったよね?得意な属性をわざと使わずに制御できなかったとか言うんでしょ?」
これを見てた団長が
「そこまでにしておけ。今は撤退が最優先だ」
「わかりました。」
うーん。もう少しだったんだけどなぁ。
仕方ない。帰り道の魔物に八つ当たりでもしよ。
南雲とはそこまで関係があったわけじゃないけどクラスメイトがいなくなったんだから、しかもその原因を追及するのは普通だよね?
まぁいいや。あとで考えよう。
そのあと私たちはどうにかこうにか帰還した。
最後までお読みいただきありがとうございます。
もう少し進めれるかなと思っていたのですが進みませんでした。
投稿ペースについてですが、休校中の間は時間がたくさんあるので数日おきに投稿できますが、一定の間隔にはならないです。休校が終わったあとはおそらく時間がほとんどないので何週間に一回みたいな感じになると思います。