転生は好きな『物語』でした   作:しゃとす

12 / 31
二人の処遇

 

 

「君は何故、この事件が『怪異』だと知っていたんだ?」

 

「.....っ!?」

 

思わぬ質問に対し、心臓がばっくんばっくんと跳ね上がる。戸惑いにより思考が定まらなくなり、緊張で手汗がすごいことになっている、多分。

 

いつの間にか加賀さんもこちらを見ており、その目は嘘も通用し無さそうなほどの眼力である。

 

...が、情報を持っているのは俺なので嘘かどうかは、ボロが出なければ指して問題はない。全ては答え方次第である。

 

「どうした?答えられない事だったか?」

 

「い、いえ...」

 

いつまでも返事がない様子を見て怪しんでいるのか、言葉に少しトゲがある。

 

俺は無理矢理にでも頭を整理し、投げ掛ける言葉を順番に並べていく。少しでも言い間違えれば相手に一瞬で漬け込まれるので、超慎重になる。

 

「突然そんなことを言われても...そもそもどうして俺が知っていると思うんですか?」

 

質問には質問で返す、これ常識(嘘)。まぁ多分、姫野さん経由で知ったからだと思うので、この返し方事態にあまり意味はない。

 

「姫野くんから聞いた。君が彼女と出会ったときに、怪異やひとりかくれんぼ云々言っていたと。...腹を割って話してもらえるか?正直、今の君の立場は結構危ういものなんだ」

 

腹を割るって、シックスパックになれってことっすか?絶対に無理ですね、なんなら最近出始めた広告で『鍛神』とかめっちゃ流れてるから試してみようかな?いや、あれは金をむしりとる回収車だ、止めておこ。

 

「...人形が動き回る都市伝説って、ひとりかくれんぼ位しか知りません。それにネットでも、『怪異』というワードは結構有名です。今回人形に襲われたことから、俺は怪異だと判断したまでです」

 

嘘は言っていない。実際に怪異というワードはネットでも有名だし、人形が動き回る都市伝説なんか、ひとりかくれんぼしか知らないのだ。

 

「...そう、か」

 

「はいそうです」

 

反撃の暇なんか与えない。相手が困ることを全力でしていく俺は、ゲームの中じゃネチネチと言うあだ名をつけられたぐらいの男だ。やだちょっとエッチ!

 

「...はぁ、分かった。これで事情聴衆は終わりだ。ご協力感謝する。.....後で二人には応接室へ来てもらう。これからのことで話があるからだ」

 

「分かりました、後で姫野さんと一緒に行きます」

 

一緒にの所を強調した俺は、無理やり笑顔を浮かべた。

氷室さんは椅子から立つと、加賀さんを横に連れて出ていった。

 

「.....はぁ、つっかれたぁー」

 

先程の緊張感が無くなり、疲労の波が襲いかかる。しょうもないことは考えていたが、しっかりと対応の仕方にも頭を回していた。だから余計に疲れたのだ。

 

だ、け、ど...

 

「やっも姫野さんと会えるぅ!俺のメインヒロインよ、待っていてくれ!」

 

嬉しすぎて、つい騒がしくしてしまう。メインヒロインが可愛すぎるのが悪い。けど姫野さんに罪はない、つまり俺に罪がある。はいぃギルティ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し長い廊下を歩く。チラチラと他の通路を見るが、職員はほとんど見かけない。すれ違った人も2人だけだ。おいおい大丈夫かよ警察署...これだけで回してるとしたら結構なブラックじゃね?

 

公務員は目指しても警察はやらない、と心に決めた辺りで姫野さんが休んでいるという安静室へと辿り着いた。

 

数回ノックを繰り返す。すると中から「入ってきていいですよ」と、了承がでたのでドアを開ける。

 

「姫野さん...無事で何よりです」

 

「うん、引道くんと由佳に助けられたからね...引道くんも、無事で安心したよ」

 

そこにはベッドに腰を掛けて朝御飯を食べている姫野さんがいた。コンビニ弁当みたいだが、見るだけでお腹が減ってくる。

 

「...?あ、この弁当ね、氷室さんがさっき持ってきてくれたの。怖そうな顔してるけど、結構優しい一面もあるんだね」

 

「ウンソウダネ、アノヒトハイイヒトダヨ」

 

おっと、ちょっと殺意が芽生えすぎて機械みたいな喋りになってしまった。自重しないとね、テヘッ?

 

多分目のハイライトがオフになっているだろう新聖くんに何も気づかずご飯を食べる姫野さん。...まぁ、ご飯をもってくる辺り、氷室さんも優しい人なのは確かだろうけ、ど.....

 

「俺...もらってないんだけど」

 

アイツ絶対にゆるざん。

 

 

 

 

 

 

「はい、あと半分は引道くんにあげるよ」

 

「ありがとう、ございます.....」

 

姫野さんに朝御飯を譲り受けて頂き、いざ摂食。姫野さんの使っていた箸がご飯に触れていたのを合法的に食べることが出来るのはこうふ...嬉しいはずなのに、滅茶苦茶申し訳なく思ってしまう...。

 

あのすかしたイケメン白髪野郎に蟲毒でも送りつけてやろうかと内心冗談で(嘘)考えていた俺は、ひたすら無言で箸を動かす。

 

気まずい?姫野さんが吐いている空気を体内に入れるだけでも幸福だよ。変態?世の男子高校生は皆こうじゃない?気持ち悪い?でなきゃ変態なんてやってられない。

 

無言でいるのが気まずいらしく、姫野さんが話しかけてくる。

 

「い、引道くんは...この後一緒に応接室に行くんだよね...?」

 

口のなかをモゴモゴさせながら答える。極力ご飯が溢れないよう上手く話すのがコツだ。

 

「ほうでふねぇ...ングッ、氷室さんに集合かけられました。まぁ、何言われるかは大体理解できますが...」

 

そういうと、俺は再度箸を動かす。

姫野さんもそこら辺は大体分かっているらしく、何も言ってこない。ただ指を弄って俯いているだけだ。

 

 

 

暫くして集合の時間も近くなり、俺は急いでご飯を掻きこむ。.....梅干しは端っこに除けといたけど。

そうしてパックを洗い、外に置いてあるプラゴミへと突っ込む。

 

「じゃあ...いこっか」

 

「確か応接室って2階でしたっけ?」

 

姫野さんは頷くと歩きだした。正直アイツとは顔を会わせたくない。加賀ちゃんとならイロイロと話が合いそうだけど...確か、可愛い子がいたら即ナンパするぐらいだったはず。

え、そう考えると教えてもらうこと沢山あるんだけど...主にナンパの仕方とかナンパの仕方とかナンパの仕方とかn――

 

 

 

 

 

 

 

コンッ,コンッ

 

「失礼します...氷室さんに呼ばれたので来ました...」

 

「あぁ、いらっしゃい。とりあえずそこに掛けて」

 

氷室さんは、テーブルを挟んでいるソファの1つに座っており、前のソファに座るよう促した。

 

仕草がいちいちカッコいいんだよブッコロすぞなんて考えながら、笑顔で座る。加賀さんは、氷室さんが座っているソファに座らずもたれ掛かっている。流石加賀ちゃん、カッコいいよ!

 

俺達が座ったことを確認すると、まずは挨拶代わりの会話を交わす。といってもすぐに終わったが。

 

「今回の事件についての処遇を言い渡そう」

 

「急ですね、そんなに今は余裕ないんですか?」

 

「あぁ...なにぶん今回の事件、『怪異』は規模が大きすぎる。普通なら死人が出ても一人か二人程なんだが、被害者が多すぎる、明らかに普通じゃないからな」

 

わお、清々しいほどペラペラ話すね...まぁこの後の展開も大方知っているし、ボロを出さず話だけ合わせれば変なことにはならないだろう

 

ピコンッ!

 

「?どうした、引道くん。顔色が少し優れないように見えるが...まだしんどいか?」

 

「いえ、なんでもありません...!」

 

何かフラグが建った気がしたが、気のせいだろうか。「俺何かやっちゃいました?」みたいなノリの異世界俺TUAAAAAAAAAAではないのだ。もっとしっかりと現実を見据えているリアル人なのだ。何それオモシロ。

 

姫野さんも心配そうにこちらを見るので、大丈夫ですよと声をかける。それでも心配なのか、表情は晴れない。

 

「あの...怪異って、なんですか?私たちが巻き込まれたひとりかくれんぼが、怪異ってことですか?」

 

姫野さんが首をかしげて疑問を突きつける。それを氷室さんは答えることなく、あろうことか俺に押し付けてきた。

 

「それは、彼に聞いてみるといいよ。...引道くんなら分かるだろう?」

 

「お、俺ですか...」

 

今すぐにでも首を横に振りたい。が、そんなことはもう通用せず、下手に黙秘すれば余計に怪しまれること待ったなしだ。

 

また加賀さんに睨まれながら、ポツポツと答える。

 

「...怪異ってのは、この世に在らざる物達が俺達人間や、社会に影響を与えること。これによって出た被害などの事を怪異といいます。.....多分、知りませんが」

 

軽いポルターガイストや、ラップ音なども怪異に含まれるかと言われたら微妙なところではあるが。そこまで聞かれたら答えられはしない。

 

氷室さんは目の前の珈琲を口に含む。飲み終わると、加賀さんにカップを渡す。嫌そうな顔をしながらもカップを持っていく辺り、結構躾られているように見えた。

 

「引道くんが話していることで大体合っている。今回のケースだと、悪霊の類いなどがひとりかくれんぼという一種の降霊術により具現化し、殺戮を始めた。これが今回の怪異だ」

 

ご丁寧に説明する氷室さんを細目で見ていると、カップを運び終わった加賀さんが口を挟んできた。

 

「俺は今まで色んな怪異を記事にし、公開してきた。それは世間でも少し注目されるほどだ。まぁ、怪異の影響で起こった事件は全て、隠蔽されてきたがな」

 

「加賀......今こいつが言った事は全て事実だ。怪異によって死亡した人間の責任を取らされるのが、その場に居合わせた人間、もしくは自殺で処理されている」

 

「.....」

 

姫野さんはただただ目を伏せる。今回起こった怪異に関して、今聞いた話と照らし合わせているのだろう。かくいう俺は、小指で耳を弄っていた。

 

「.....んで今回集められたのは、その事件についての俺達の処遇ですよね。世間から見れば、俺達は大量殺人の容疑者ですから、警察の人も隠蔽工作とかで忙しいでしょ」

 

「その通り。こう言っちゃ悪いが......君達が襲われた人形とやらも現実離れし過ぎて誰も納得しない。いたとしても加賀みたいな奴だけだろう」

 

そこでだ、と氷室さんは言葉を加えた。

 

「君たちには事件が終息するまでここにいて欲しいんだ。幸い、由佳くんは入院をしているため、そこで待機して貰っている。退院次第、ここに来てもらうことになっているからな。姫野くんがいなければ彼女が悲しむだろう?」

 

うわぁ...いくら危険だからって、由佳さんを引き合いに出さなくても...。目で抗議を送ってはいるが、それを軽々しく流される。こんにゃろ...

 

友人の危機とあらば、放っておくことができない姫野さん。もちろん二つ返事で答えた。

 

「そんじゃ、これで終わりですね。部屋割りしましょう。あの刺激臭満パンの部屋で過ごすとかもはや自殺ですよ。じ、さ、つ!」

 

これ見よがしに言いつける。俺だって?こんなことはしたくないものだ。だけどね、刺激臭はないよ刺激臭は。中学の頃に理科の実験でアンモニア嗅いだことあったけど、あれも相当ひどかったのにその2倍だよ、2倍!!姫野さんと俺で差ありすぎてしょ!

 

これを有耶無耶にされないよう、しっかりと言及してやる。さぁこいや!!

 

「そういえば、まだ引道くんの処遇を言い渡してなかったな」

 

「What did you say?」

 

え?処遇言い渡していたよね?数行前に言い渡していたよね?ね?ね?俺達は警察の目の届くここで過ごせと、そういうことですよね?

 

そんな事は通じず、無情にも俺の処遇は言い渡された。

 

 

 

 

「引道新聖、君を特務科で監視することにする」

 

 

 

 

 

 

 

「はあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」

 

は!?え?俺中年の兄貴に監視プレイされるとかレベル高すぎて無理!じゃなくて、普通に無理!いくら怪しいからって、束縛はないよ!

 

もちろんこれには理由があるらしい。いや理由なかったら出ていってたよここ...行く宛もないけどね。

 

なんて、途方に暮れとる場合か!意識をしっかり持てよ俺!監視したいのは姫野さん監視したいのは姫野さん監視したいのは姫野さん監視したいのはh――

 

「引道くんには幾つか怪しい部分がある。今それを言うのは犯人に弱点を教えてしまうことになる。怪しかったところが分かれば、隠すことは難しくないからな」

 

「もう犯人扱いされちゃってるよ...」

 

姫野さんが遠慮がちに慰めてくる。何それダサすぎて笑えてくるんだけどハハッ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セミ兄貴の鳴き声を背に、俺と姫野さんはこのクソ暑いなかをトボトボと歩く。一応金はあるものの、道中にコンビニは見当たらなかった。やっぱり途中で購入しときゃ良かったと公開し始める救いようのない愚図。(自分)

 

氷室さん一同の特務科は、どうやら事後処理に追われているらしく、送り届ける暇がないんだと。そこで、俺にボディガードを頼まれた。

 

んまぁ、経緯について話すと少し長くなるから短縮すると...由佳さんのお見舞いに行きたいと、姫野さんが言い出した。スマホはあるので場所ぐらいは分かる。ちなみに家に電話をしたが、繋がりはしなかった。俺が知る物も幾つか無くなっていたとのこと。

 

随分適当になったが、要約してまとめると...

姫野さんと一緒に病室に行く。由佳さんに会う。車で迎えに来てもらって、警察署に帰る。

これが一連の流れとなる。あれ、これ要約って必要だった?二度手間な気がするのは僕だけでしょうか?

 

これも設定なので、別に文句は言わない。設定には...だけどさぁ、やっぱり思うのよね。俺は溜まりに溜まったストレスを吐き出す。

 

「おいおい、普通は車で送り届けるところだろうに...今こそ大人の力使うべきでしょ!アフターケアないの!!!???」

 

ひたすら長い道路を歩く。交通機関?不思議な力でバスもタクシーも使えなかったよ。どうやらこの世界は、意地でもストーリーを進めて欲しいようだ。

 

だから当然、この後の展開は予想できる。

 

 

 

 

 

「私たち...どうしたら...」

 

周りは緑豊かな自然の大地。いるだけで短パン小僧にでもなれそうな場所で、俺達は迷子になっていた。

 

 

「始まっちゃったよ、くねくね.....」




ということで、今回も読んでくださり誠に有難うございます!!
いやぁ...なんか、パンチが足りないんだよね...文章の。こればっかりは、量をこなすしかないのかなぁ...(;・ω・)

さて、とうとう始まる一歩手前!普通のストーリーなんかにさせやしない!色々とアレンジしていくので、次も読みに来てください!!

それではまた次でお会いしましょう!ではでは~
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。