二人の高校生
前回のオレライフ!思春期真っ盛りの高校2年生引道新聖こと俺は、友達からの遊びの誘いも断り向かった先は書店へ!星の数ほどあるラノベ中から新刊を手に取り家へ全速力で直行。万引きではありません。家庭内暴力からも耐えきり自室で本を読もうとしたそのとき!俺は眠ってしまっていた。肌寒いと思った俺は目を覚ますと...見知らぬ人の家の庭にいたのだった。不法侵入かも知れないけど、まだ怒られるレベル...だよね?
「くそ痛い...」
拳と頬がじんじんとする。当たり前だ、だって自分の顔を殴ったんだもの。歯が飛ぶまでとは言わないがそれでも充分痛かった。
しかしここは何処なのだろうか。周りを見てみると、どこかの住宅地なのは分かるが、少なくとも俺が知っている地域などではない。しかも結構暗くなっており、体感としては20時を越えた辺りか...。
「にしてもここの家はでっけぇなぁ、屋敷ってレベルだろ」
そう、この家は見るからにでかいのだ。俺の家が一般的な2階建てとすると、この家はその5倍はある。(結構適当)
無論、興味が惹かれるかどうかと聞かれれば、やぶさかではない。だが、まだこの歳で犯罪者になるつもりもないのでここは大人しく回れ右をするのが正しいのだ。当たり前のことでしたね。
取り敢えず家にでも帰ろう。場所が分からないので、恥ずかしながら聞き込みをする他ない。回りは街灯しか点いてないようにしか見えないのは気のせいだろうか?辺りの家はまるで人気が無いように思われるし...やべ、ちょっと怖くなってきたわ。早く家に帰ってご飯が食べたい。
そんな事を考えながら呑気に歩く。屋敷の敷地から出ようとしたそのとき、『それ』は降ってきた。
ドシャッ!!
「.....は?なんだ、これ...ウプッ!!」
俺の身体は恐怖と嫌悪感に抱かれ、強い拒絶反応を引き起こした。少しずつ気持ちを落ち着けていく。.....吐かなかっただけでも上々、初見でこれは仕方がないがない。こんなのはドラマなどでしか見たことがない光景だったのだから。
そこには、頭から血を流し、生気のない眼で俺を見つめる、女性の姿があった。
「フーーー.....よしっ」
深く深呼吸をする。気持ちは落ち着けた、今なら冷静に対処できる自信がある。むやみに叫ぶな、どうしてこの人は降ってきた.....いや、上を見るとベランダがある。どうやらそこから転落したみたいだ。取り敢えず急いでスマホを取り出し119番に掛けなければ。あ、ちなみに俺はテストで間違えて109って書いてしまったことがあったんだよね。何やってるの、もう!.....すみません不謹慎でした。
ギャル並の速さではないが文字を器用に打っていく。よし、これであとは掛けるだけ、あとはエキスパートな人達に任せよう。正直応急処置の仕方とか分かんないから後で脈があるかだけ確認しよう。
そこでふと、またあのときの恐怖が身体を包んだ。
ツーッ、ツーッ、ツーッ、
「は....?...嘘だろ、おい...なんでここが圏外なんだよ...!」
震えた声で愚痴を吐く。圏外という事実が恐怖という形になって俺を襲いにくる。俺は出来た人間ではない。思考が定まらないのは仕方のないことだろう。震える足を動かして、その場を去ろうとする。
「キャーーーー!!!!!!!!!!!!!」
突然、女の子の悲鳴が屋敷中に鳴り響いた。そのお陰か、定まらなかった頭が徐々にクリアになっていく。
「...ハハッ、こんなドラマみたいな展開があるのかねぇ」
そんな軽口が出てくるのだから、気持ち的にも落ち着いてきたのだろう。よかったよかった!
良くねーだろ。今しがた屋敷中に響いた声から察するに、中で何かが起きているのは事実。助けにいなければ。
俺に助けられる?
言うな!
誰か人を呼んできた方がいい。
無理だ!
返り討ちに遭うかもよ?
考えるな!
今の俺は、女の子を助けるヒーローなのだから!
さらに向こうへ、プルスウルトラ!
...俺にも炎とか氷結が使えたらいいのになぁ...
女性の首筋に指を当ててみたが脈は結局動いてはいなかった。恐らく即死だったのだろう。今の俺に弔う時間はあまりないため、せめてもの気持ちで上着を被せた。やがて、玄関へ辿り着くと表札がふと目に入る。
「ここの表札は...神代...神代家か...ん?神代家...?」
どこか...どこかで聞いたことがある....。神代家...俺は再び後ろの惨状を見る。そして屋敷全体を見る。
大きな屋敷、女性の転落死、女の子の叫び声...そして『神代家』...
ここは、いや、この世界は...
「取り敢えず、女の子の元に急いで駆けつけよう、話はそれからだな...」
俺は勢いよく扉を開き―――はせず音をなるべく殺して屋敷へ入った。
お父さん、お母さん、ごめんなさい。今日を持って引道新聖は人の家に忍び込むと言う犯罪を犯しました。
まぁそこは女の子を助けるための大義名分として、許してもらいましょう、マル!!
〈???side〉
「ハァ、ハァ、ハァ......どうして...どうしてよ...っ!!」
廊下を走っては部屋に入る。心臓はもうずっとうるさい。迫り来る恐怖と言う名の怪物が現実となって襲いに来る『それ』に悪態を吐く。
始めは夜中に電話をしてくることに対して疑問に思ったけど、ただならぬ雰囲気を感じた私は急いで由佳の家に駆けつけた。由佳のおじさんもおばさんも見ていない私は不審に思って、家の中を少し歩いた。
そしたら――
「なんで...なんでっ!由佳が死んじゃうの!」
2階から悲鳴が聞こえて、由佳の部屋に駆けつけたときには、お腹から血を流している由佳が横たわってた...。腰を抜かしていた私に追い討ちをかけるかのように、おじさんの悲鳴も聞こえてきて...和室で既におじさんは死んでいた...。原因は分からなかった。
その直後だ。その直後に、あの不気味な笑い声が静かな和室に広がった。
見たくない
本当は分かってた。奥の襖に血が付いてるのを。そして、ナニかがいることも...。悩んだ末に出した答えは、開けて確認すると言うものだった。今思えばすぐに通報して、家から逃げればよかったのに...。
その怪物...クマの『人形』は、おじさんや由佳を刺したような凶器、包丁を持っており、楽しそうに振り回していた。勿論、そんな超常現象みたいなことを目の当たりにしている私は何が何なのか分からなくなり、その人形から逃げることにした。
だけど人形は執拗に私を追いかけてくる。唯一助かったのは体格差だった。歩幅が短い人形では不利なため、しっかりと逃げれば追い付かれるようなことはない。だが、向こうは諦めず私を追いかけてくる。
「あぁ、もうっ、しつこいっ!」
お兄さんの部屋に逃げ込んだ私は人形に花瓶を投げつけた。すると、投げつけられた衝撃か、人形は動かなくなった。
(今のうちに...!)
私は由佳の部屋に逃げ込み、息を殺して隠れた。しばらくすると人形は動き出したのか、ガタガタと物音をたて、ドアを開けて出ていった。少しして、段々と物事の整理がつくと同時に...目元が熱くなった。
目の前では由佳が横たわってた死んでいる。タンスからタオルを出して、由佳に被せた。
ごめんなさい...ごめんなさい...っ!!
助けてあげられなくてごめんなさい。何も出来なくてごめんなさい。弱虫でごめんなさい...。
「くっ......うぅ...っ!」
涙が止まらなかった。何も出来ない自分に反吐がでる。
1人体育座りしている私の耳元では、あの人形の声がまだ鮮明に残っていた。
ミィツケタァ
読んでいただき、本当にありがとうございます!怪異症候群知ってる人ならば、後半の女の子はすぐに分かったでしょう!これからもっと主人公と混ぜ混ぜするのでご期待を!
それでは次の話で会いましょう!ではでは~