転生は好きな『物語』でした   作:しゃとす

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皆さん、明けましておめでとうございます!更新が遅れてしまい、本当に楽しみにしていた方すみません!詳細に関しましては活動報告に載せてありますので、よかったら見ていってください。

それではどうぞ!


年明けて、ようやくあげた重い腰

「おら!ここで大人しくしていろ!」

「.....」

「なんだこいつ!?この筋肉バカが、早く部屋にはいれ肉団子!」

「スクワット150を30回出来る俺っちをナメるなよぉ?」

 

ロウソクが照す薄暗い部屋に響く怒声の発声は、ここのトップの足達。公正?な話し合いの後、俺達はこの薄暗い病室に隔離されることとなった。あのキチガイめ、次会ったとき顔面に痰ぶっぱなしてやる。

 

中年のおじさんに強引に部屋に押し込まれる俺達。氷室さんは特に何も言いはしないが、感情表現が豊富な加賀ちゃんは自慢の体格と筋肉を使って全力で嫌がらせを行っている。いいぞもっとやれ。

 

そんな事を頭のなかで考える俺は、屈強な男に右腕で抱えられていた。あれ、なんか俺だけ扱い雑すぎん?それに比べて.....

 

「貴女達も、大人しく我々の指示に従ってくださいね」

「あの.....」

「心配は無用ですよ。ちゃんと大人しくしていれば、必要な物は提供しますので」

 

姫野さん含む女子三人はイケメン男子共に案内されていた。それに比べて俺は.....

 

「おい」

 

俺はあまりの格差に不満を呑み込むことが出来ず、俺を担ぐ筋肉2号に言葉を投げる。

 

「.....」

「おい無視すんなよ!」

 

俺が少し怒声を上げると、筋肉2号はため息を大きく吐いて目線をこちらへと向けてくる。面倒事が嫌いなのだろう、目がそう語っている。『なんだコイツめんどくせぇ』と。

 

「.....なんだ」

「なんだもクソもあるか!何だよこの対応の差!イケメンに手厚く案内されてる女子に比べて...」

 

俺は無言でイケメン共を睨み付ける。しかし、この事に興味が無いのか、あぁ。とだけ溢し、再度俺を見る。

 

「嫉妬してるのか?」

「あぁそうさとも!嫉妬してるね。こんな筋肉2号よりも、美人なお姉さんに手を繋いでもらって連行されたかったよ」

「いやそうじゃない。俺が言ってるのは、お前が仲間の女子に嫉妬してるのかってことだ」

「べべべ別に嫉妬なんかしてねぇし!?あ、いやでも確かに嫌だな。メインヒロイン取られるのは.....」

「何を訳の分からんことを.....ほらよっと!」

 

担いでいる俺を筋肉2号は躊躇もせずに空部屋へと放り込む。放り込まれたため、着地の体制もままならず背中から落ちた。

 

「ぐはぁ!」

「大丈夫引道くん!?」

 

姫野さんが見てると言うのに情けない声をだして...恥ずかしい!え、今までもそうだった?

 

「ぐ、くそがっ.....!」

「な、何でかな。引道くんが情けなく見えてくるんだけど...」

「そんなやつでしょ?」

 

外野がうるせぇ!?なんでこんな時だけホントに勘が鋭いんだよ凄すぎて漏らしちゃいそう。すみません下品でしたね。

 

叩き付けられた背中に鈍い痛みが走り、呼吸が上手く行えない中、必死になって相手を睨み付けているシチュを表現しているのに.....空気が変わるじゃないかそんなこと言われたら(泣

 

筋肉2号がこちらを一瞥したあと、氷室さんたちに視線を向ける。

 

「とりあえずそこで大人しくしていろ。ボスが許可するまで、その部屋から出るなよ」

 

そう吐き捨てると、筋肉2号はチンピラどもを連れて部屋を出ていった。あとボスってなんだよアメリカ人かよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボス。奴らを部屋に隔離しました」

「そうか。それはご苦労様。お茶でも飲んでいくー?そこの自販機で買ったやつだけど」

「いえ、私は結構ですのでそちらの子供にあげてください」

 

俺は別に茶が苦手とかではなく、そこの子供にやる方が良いと判断した。その娘はこっちを強く睨むと一喝してきた。

 

「私は子供じゃない!!」

「こら香織。お茶をもらったんだからお礼を言うのが先だろう?」

 

相も変わらず元気に叫ぶ香織さん。歳は11歳、少年期真っ盛りの反抗期。ショートの黒髪を揺らしながら俺を指差す。大人へ早くなりたいのだろう、子供扱いするといつも怒る。そんなめんどくさい妹を、ボスは扱えるのだから本当に気の毒に思う。それでもボスは香織さんの事を愛してはいるのだが。

 

「でもお兄ちゃん.....分かった。デカダルマ、お茶ありがとう」

「......どういたしまして」

 

ホントにどうして...。何故俺はこうもあだ名を付けられるのか。香織さんにしろあの少年にしろ、礼儀って物をもう少し知らなければならない。

 

俺は少しため息を吐くと、再度気を引き締めてボスに向き直る。

 

「それでボス......奴らの処分はどうするつもりですか」

「処分ね.....なぁ剛力」

「なんでしょう」

 

ボスは言葉の間に一呼吸置くと、俺に問いかけた。

 

「お前はどこまで先を見越している?」

「先、ですか.....」

「あぁ、勿論これからの事だ。あの化け物をどうにかしない限り、俺達はここから出ることは出来ないだろう。全員が倒す事に賛成はするだろうがそこで争いも起こる」

 

ボスが言っていることは最もだ。出るにしろ出ないにしろ、多くの時間を用いることになる。そこで出てくるのがまず食料問題。今でこそこうして統率が出来ているが、食糧難に襲われればたちまち崩壊する。その先に待っているのは全滅のみ。

戦闘面に置いてもそうだ。ここにいる皆は化け物と一度対峙している。そこで充分な恐怖と絶望を味わったことだろう。それを知っていて自ら命を差し出すやつはほぼいない。当然待っているのは責任の押し付けあいだ。ボスはその事を懸念して慎重に事を進めている。だからこそ、こうして俺に問い掛けているのだ。『お前はどこまで理解して行動出切るのか』と。

 

「なら、侵入者を向かわせるのはどうですか」

「妥当だな。だがそれだけではここにいる奴らは納得しないだろう」

「捕まえた獲物を逃がすことになりますしね。ではどのようにして納得させるか――」

「剛力、お前が行け」

 

大体ボスが言うことは分かっていたし、奴らの対処を任された時点でこうなる予想もある程度はしていた。俺は迷う素振りを見せないまま、頷いた。

 

「分かりました。では俺の他にも何人か連れていきますよ」

「あぁ好きにしろ。俺はここから出られたら文句はない」

「分かりました。それでは行ってきます」

 

ボスにお辞儀をすると、すぐに背を向け足早で部屋を出る。まずは仲間に声を掛け、奴らを隔離している部屋に行き命令する。

 

 

 

 

 

「.....あー、牛丼食べたい...。おい香織、お前はここを出たら何が食べたいんだ?.....香織?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう...年明けちゃいましたね......」

 

誰かが呟いたのか、驚くほどその言葉が胸に刺さる。周りを見れば、皆申し訳なさそうに顔をうつむかせ空気は気まずくなっている。

 

なぜ誰もこの事に突っ込まないのか.....。

 

「明けましておめでとうございます。閉じ込められてもう3ヶ月経った気がして止みません」

「「「私も」」」

「「俺も」」

※投稿遅れて申し訳ございません!!

 

 

俺達は話す気力も無いまま、ただ呆然と灰色の床を眺めてるだけでいた。本当はこのままベッドに寝転がりたいけど、どうもそんな気分にはなれないでいた。

 

「......私達、いったいどうなるんだろう」

 

神代さんが小さな声で弱音を吐き出す。しかし車の音すら聞こえない異空間の病院では、そんな小さな声は当然のごとく聞こえてくる。

 

俺も姫野さんも小野さんも、何をすればいいのか分からず黙りこくっていた。

 

「おいおいおい!?こんな暗い空気でよ、怪異なんか倒せやしないぜぇ?自分に自信を持って、少し調子に乗るぐらいが丁度いいんだよぉ!」

 

ベッドの上にいきなり立ち、手をパンパンと叩きながら俺たちを見ている加賀ちゃん。ザ、陽キャの加賀ちゃんにこの空気は重すぎたのだろう。強引な盛り上げ方が面白い。

 

そう、俺達はそんな加賀ちゃんを見て思わず笑みを浮かべていた。あの氷室さんでさえ、苦笑いではあれど口元を緩めている。

 

加賀ちゃんは皆の気持ちを高めるため、一人一人の顔を見ながら自信をつけさせていく。

 

「引道はこれまでの怪異から、美琴ちゃんを守ってこれただろ?」

「そう...ですね」

「姫野ちゃんはそんな引道を支えて助けて乗り越えてきた」

「......はい!」

「由佳ちゃんはあの化け物に恐れを感じず立ち向かったなぁ」

「はい.....」

「小野さんは化け物相手に攻撃面でひけを取らなかった」

「えぇ.....まぁ...」

 

加賀ちゃんが俺達一人一人をしっかりと見てくれているのが凄く分かる。中には今日初めて顔を合わせた人もいるが、加賀ちゃんの言葉はだいぶ響いただろう。

 

そしてベッドから飛び降りた加賀ちゃんは氷室さんの前まで行き、眩しい笑顔を浮かべた。

 

「んでもって.....俺がこうして今生きていられるのも全部氷室のお陰なんだぜ?何度も怪異から俺を救ってくれたお前に、俺はずっと期待しているんだよぉ」

「.....もう腐れ縁みたいなものだけどな」

 

さっきまで苦笑いをしていた氷室さんが、初めて俺たちの前で加賀ちゃんに笑顔を見せた。

「記事を書くためだろう?」と加賀ちゃんに問い掛ける氷室さんだが、その関係は幼なじみみたいだと言ってもおかしくない程、二人はとても凄かった。

 

「.....ま、どのみちじり貧で死ぬオチになるだけだしね」

「そんなこと言わないの。.....ほら、引道くん。また一緒に頑張ろ?」

 

面倒くさそうに言う神代さんを軽く咎めながらも、その目は優しさで満ちている。綺麗な手を取ってベッドをたった俺は幸福感で、胸を抑えずにはいられなかった。

 

(変わりましたね.....姫野さん...)

 

皆の気持ちを統一することができたので、この状況を脱する話し合いをしようとした時だった。

 

「っ!皆静かにっ」

 

小野さんが何かを感じ取ったのか、人差し指で口元を隠す。急なことに驚いた俺たちだったが、上手く音を立てずにすることができた。

 

「.....誰かが来たな」

「なら、さっきの奴らだろぉ」

 

耳を済ますと、扉の向こう側から複数人の足音が近づいていることが分かった。しかも、何やら金属が擦れるような音が度々聞こえてくる。

 

そして足音が扉の前で止んだ途端、急に勢いよく扉が開かれた。

 

「おい」

 

ノックも、ましてや一声掛けずドアを勢いよく開いたのでとてもビックリしてしまった。驚きすぎて言葉を出すのに少し時間が掛かってしまうほど。

 

部屋に入ってきたのは、先程俺を担ぎ投げ入れた体がゴツい筋肉2号。絶対に優しくなんてないと思わせるほどの険しい顔。俺じゃなきゃ漏らしてるね。そして後ろにバットを持った男と、バールを持った男が控えていた。

 

「なんですか」

 

こんな漏らす状況でも臆しない女性、小野さんが先頭に立って言い返す。何この人カッコいい!

まさか女に言い返されるとは思っていなかったのだろう。筋肉2号は黙りこくっている。だがそれも少しの時間だけだった。

 

「命令だ。お前たちにはこれからあの化け物を殺してもらう」

「.....」

 

小野さんは何も言わず、ただ黙る。だが怖い顔はしているのだろう。だって後ろの男たちがビビってるもん。なんならコイツらと対峙したとき、小野さんが投げたバールでバットを折られた奴がいるもん。ちょっと可哀想っつ思っちゃった。

 

「お前達に選択の余地はない。嫌だというのなら、惨いがここで殺すことになる」

 

筋肉2号が変わらない口調でこちらを煽ってくる。殺すと言われ、ビクッと震えたのはJKコンビ。今時の子に殺す単語が聞き慣れていないというのは逆にレアだったのかもしれない。

 

「悪いが、俺たちでは化け物を倒すことは今のところ無理だと思う。だから―――」

「そっちからも人を寄越せってことだろ?そんなん当たり前だ」

「へっ.....?」

 

まさかすんなりとこちらの言うことを聞いてくれるとは思っていなかったために、驚いた衝撃で変な声を出してしまった。

 

加賀ちゃんが疑惑の目を向けながら聞き出す。

 

「そりゃ、こっちとしては願ってもねぇ話だがぁ.....まさかナメられてるとかかぁ?」

 

やばい。加賀ちゃんの聞き方が喧嘩慣れしている人みたいで怖い。その引き締まった筋肉2号にもひけをとらない肉体が余計に圧を引き立てている。

 

「まさか。仮にもあの化け物から逃げ切ったんだろ?それだけで死んだ奴らとは違うことぐらい分かる」

「あなた...亡くなった人達を愚弄するつもり!?」

 

亡くなった人達を目の前で見てきた姫野さんが強めの口調で反論する。強いとか弱いではなく、死んでいい人間なんていないと姫野さんは言っているのだ。

 

筋肉2号はそれを軽く受け流し、話を続けた。

 

「ここでは強い者が正義だ。死んだ人間なんてどうでもいい。話を戻そう......1つは監視として。もう1つは効率を考えてだ」

 

これ以上の争いは無駄と判断したのか、ここのルールを提示して話を戻した。俺も今度似たようなことで反論してやろう。

 

「まぁ、妥当だな」

「ボスはここから出ることを、お望みだ。いや、ボスだけじゃない。お前達もそうだろう」

「......あぁ」

「なら協力だ。安心しろ、味方を後ろから襲う暇なんかこっちにもないんだ」

 

段々と話を進められたが、言いたいことは何となく分かった。正直なところ信用するにはキツいところがあるので、一度全員と顔を合わせる。

 

「ど、どうしましょう」

「ふん。俺は賛成だぜぇ。ここを出るまでの協力ならな」

「私は...皆さんに任せます」

「私も美琴と同じで」

「私は平気です。必要なら手に掛けます」

 

いや怖いわ!!え、小野さん本当にどうしたの?本当に人格が2つあって実は今の小野さんが小野さんなの?あれ、俺は何いってんの?わけわからんが、取り敢えず小野さんが怖い人になったのは確定ですね。今のうちに媚売っとこ。

 

「おい、選択の余地はないと言ったはずだが」

「いや、皆の意思を確認しただけだ。勿論、その話は受け入れる。ただし、こちらに危害を加えることだけはするな」

「当たり前だ。それじゃ急いで支度をしろ」

 

何様だよこのデカダルマ。思わずそのデカ○ン(予想)を蹴りたくなるじゃないか。男と喧嘩するとき股間を狙う。これ常識。

 

筋肉2号に命令されながらも、各自渋々言いながら支度を進める。と言っても、俺の持ち物なんか電池が少ないスマホだけだ。武器?信じれるのは己の拳と強い味方だけですね。

 

「これなら...」

「ん?」

 

ふと気になって神代さんの方を見る。何か固いものが当たる音が聞こえるので目を凝らして見ると、なんと果物ナイフを持っていた。

 

「これであの化け物を...美琴を....」

「由佳!必ず生きてここを出ようね!」

 

流石ヤンデレ。果物ナイフでもよく似合いますねとてもすんばらすぃ。そして姫野さん、それはフラグと言うものですよ。何故か分からないけどどこかで回収しそうなので注意してくださいね。経験者は語ります。

っとその前に...

 

「神代さん、タオルでちゃんと巻いといてくださいね。怪我しますよ」

「あんたなんかに言われなくても分かってるわよ」

「やだ理不尽」

 

やはり丸くなったってのは嘘ですね分かりました。姫野さんの優しさが目に染みるよ...。

 

「準備できたか引道くん。なら行くぞ」

 

氷室さん達が俺たちを待っていてくれたのか、もう既にドアの外に立っていた。俺と由佳さんは微妙な顔をしながらも、何とか顔を引き締めた部屋を出た。

 

「出来たか。なら行くぞ」

 

 

 

 

多分第三ラウンド目開始が、始まろうとしていた。




今回も読んでくださり、誠にありがとうございます!

主ですらうろ覚えでしかない第三ラウンド。自信ないので多分と付けときました。皆さん、ぜひご感想宜しくお願いします!励みになります!

それではまた次回でお会いしましょう!ではでは~...
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