転生は好きな『物語』でした   作:しゃとす

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微妙な距離感が一番辛い。

 

 

突然だが、皆は『怪異症候群』というものを知っているだろうか?知らない人のために端的に言うと、怪異から逃げてストーリーを進めていく、世でいう所のフリーホラーゲーム。

起源を辿ると、今から約9年前...2011年に『夕闇の季節』というサークルが配布した、フリーソフトであるこの『怪異症候群』はネットではとても人気のある、有名なホラゲーだ。すでに2と3も出ており、人気はいまだに衰えていない。

 

主人公の『姫野美琴』を始め、数々のキャラが出現してくる。まぁ、それについては追々分かっていくことだし、今ここで言うのは色々と怒られそうなので知りたい方は、調べてみるといい。あ、ちなみに今言ったことの7割はネットで調べたことを引用してきたよ!流石、全知全能の神、ゴーグル先生だ。マジリスペクトっす!

 

......結論を出そう。ここはゲームの世界であって、リアルでもある。普通はイレギュラーな事さえ起きなければ、姫野美琴は無事このゲームを終えることが出来る。

 

ではそのイレギュラーな事が起きてしまったら?設定通りに事が運ぶ何てことはまず有り得ないだろう。

そのイレギュラーな存在である引道新聖こと俺は、どう答えればよいのかが分からないのである。もし上記の事を話さえすれば、今度こそ姫野美琴との関係は終わる。別に俺は自意識過剰な訳ではないが(大嘘)、何かしら彼女に影響を与えていると思う。

 

このまま上手く事が運ぶと楽観視しては助からないだろうし、無論、俺ももとの世界に戻れない。いくら二次元が好きでも、故郷は恋しくなるものなのだ。

 

故に俺はこの質問にすぐに答えることが出来ないでいた。それを少し怪しんだのか、姫野さんは俺を少し咎めるような言い方をしてきた。

 

「...ここは由佳.....神代家の家です。失礼ですが、私は由佳とは長い付き合いなので、交友関係は把握してるつもりです...。けれど、由佳の知り合いにあなたの様な方は見たことも、聞いたこともありません...。あなたは.........何者ですか?」

 

うわーぉ、めっちゃ怪しまれてる。いくら初対面だからって、こんなに敵意全快じゃめっちゃ興奮す、こ、恐いじゃないか...。

 

慎重に言葉を選ばないと初っぱなから詰むので、新聖君頑張る!

 

「俺...は、ただこの家の前を通り掛かっただけの一般人です。その際に、姫野さんの悲鳴が聞こえてきたので急いで駆けつけてきました...迷惑、でしたか?」

 

「...いえ、ありがとうございます。ただ...あなたが何者なのなのか分からなくて、安心できないんです。だって、私の高校に引道新聖なんて子、聞いたことがありませんし...見たこともないんです」

 

あヤッベ、ヤッベヤッベ!そうだ、ここが何処かなんて分からないのに、高校が一緒なわけないもんな!...というかゲームの世界に俺の高校があるかどうかも分かんないし...完全に墓穴を掘っちまった。掘る立場は男である俺の方なのに...。

 

ここはさりげな~く誤魔化すのが吉とでた。

 

「今は...俺が何者なのか、議論する必要はないと思います。あの化け物に命を狙われているから逃げる。...それだけで充分じゃないですか。今はこの家から逃げる事が最優先です」

 

所々嘘も交えて話を誤魔化す。ラノベで培った交渉術だ。それに、今もこうしているうちにあの化け物は俺達を探している。見つかるのも時間の問題だろう。そろそろ行動するべきだ。

 

「さりげなく話を逸らされたけど...あまり余裕は無くなってきたよね」

 

追求をしてこない辺り、本当に出来た主人公であるお持ち帰りしたい。あっ、いけね本音でちゃった!

 

けれど考えることは同じなようで、姫野さんも危機感を感じてきてるらしい。

...されと、そろそろ動くべきか...。

 

「姫野さん、そろそろ移動しましょう。アイツが来る前に」

 

「うん、私もそう考えてたところだよ。......ごめんね、由佳...必ず、戻ってくるからね...!」

 

由佳との別れの挨拶を済ませた姫野さんは、ポケットをまさぐると、何かの鍵を取り出した。

 

「これ、由佳のお兄さんの部屋で見つけた『書庫の鍵』。そしてこっちが、一階の寝室で見つけた、『仏壇の鍵』。...よく分からないんだけど、見逃しちゃダメだって、思っちゃうんだ...」

 

どうやら姫野さんには、何かしらの意識が植え付けられているように思える。多分それはゲームのキャラクターとしてなのだろうか。

 

まぁ、そんな事は置いといて...やっったぜ!!まさか二つの鍵を既に回収してくれてるとは!これで化け物に遭遇するリスクが格段に減った!あとはこちらの知識を使って行動すれば、安全にクリアすることができる。

 

「姫野さんがそこまで言うのならば、何かしらの意味があるのだと思います。開けてみてもいいと思います」

 

「そう、だよね...私がこれを無視できなかったのも、何かの意味があって...」

 

よし、これでだいぶ物事が楽に運ぶ。早速開けに行こう!レッツゴー、おし○こー!...程度の低いネタは寒いだけだわ...。

 

そのときの俺は、まさに油断しきっていた。必要な鍵を手にいれたことで、浮かれていたんだ。...だからこそ、怪異に隙を与えてしまった。

 

ガチャリ

 

 

 

 

 

 

 

ミィツケタァ

 

 

 

 

 

 

「「ッ!!!」」

 

ヤバい、完全に油断してた!姫野さんは急に現れたことにより、腰が抜けてしまっている。かく言う俺も突然のことなので尻餅をついてしまった...!

 

人形の皮を被った怪異は、ゆっくりとこちらとの距離を縮めに来る。やべぇ、死がすぐそこにいるのがめっちゃ分かる!分かりたくなかった!

 

頭を働かせろ俺!姫野さんは驚いて今は動けそうにない。確かゲームだと、こいつから逃げるには......!!

 

俺は横にある椅子を持ち上げて、人形に投げつけた。うわぁ、痛そう....何て考える暇なんか俺にはあらず、動き出さない人形を見て、姫野さんの手を引き部屋から飛び出した。

 

「ちょ、い、引道くん!?椅子なんかで効くの!?」

 

「あの化け物にはとりあえず、そこら辺にある物を思いっきり投げつけてください。そして、あの化け物が動き出さなかったらそれ以上は追ってきません......多分」

 

そう、ゲームでは、椅子などのオブジェクトを投げることにより、遭遇イベントから逃れることができる。だがそれはあくまであの世界のなかだけだったので、確証は持てない。確認してもいいが、生憎アイツを見るのは嫌なので勘弁してほしい。

 

俺達は一回に降りて、始めに来た和室へと入った。

だがそこには電気はついておらず、暗いままだった。どうやらあの糞野郎にされたようである。

 

だがしかーし!オタクの力を舐めないでもらおう。これぐらいの事なら対処可能なのだ。仏壇の場所もしっかりと覚えている。....まぁ暗いのは怖いので、早くするのに越したことはないが....。

 

「あ、姫野さん。仏壇、ありましたよ」

 

俺がその方に向かって指を指す。すると、姫野さんは少し驚いた顔でこちらを見たあと、仏壇の方へ歩き出した。

 

「...うん、後ろの方に鍵穴がある。ここに指して.......あ、何かあった!...これは、マッチ?」

 

よし、ちゃんと設定通り、マッチがちゃんとあった。このマッチは、ひとりかくれんぼを終えるために必要な道具の1つなので、なければゲームオーバーになる。姫野さんと一緒に脱出できずに死ぬとかこの世界に転生した意味皆無になっちゃう!そんなのやだ!俺は、姫野さんを堕とすという使命があるんだよぉ!

 

姫野さんはマッチをポケットにしまうと、何かを思い出したのか、俺に話しかけてきた。

 

「そういえば、引道くん。確かさっき、玄関から入ってきたって言ってたよね?」

 

そんな事は言った覚えはないが、間違ってないので否定はしない。...まぁ、入ってくるところって言ったら、普通は玄関だしな。窓から入ってくるとか、本当の不審者じゃん。おっと、ブーメラン炸裂してますね。

 

もしかして、姫野さんが言いたいことって...!

 

「もしそうなら、玄関開いてるかもしれな...あっ、引道くん待って!」

 

俺は、和室を飛び出すと、勢いよく玄関の戸を引いた。

 

が、やはり現実はそう甘くなく、本当に見えない力で閉ざされているようだ。

 

救急車の音が近づいてくるが、すぐに通りすぎて小さくなる。通りすぎたおとの方が、やはり不気味だった。

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ...お、女の子を置いていくなんて、男としてどうなの?」

 

「...すみません。姫野さんの話で、玄関が開いてると思い、頭が熱くなってました...自重します」

 

「ちょ、ちょっと待って、その言い方だと私に非があるような感じになるんd」

 

「さぁ次は地下室ですね!時間は有限、モタモタしてたらあの化け物に殺られます。急ぎましょう!」

 

俺はそう言うと、早足で地下室へと向かった。え、最低だって?都合が悪いことを隠すのは大人のすることですよ...俺高校生なんだけどね。ついでにいうなら、姫野さんの一つ下...。

 

「......」

 

「?どうしたんですか、回りの安全確認なら、俺がしますから、後ろに付いてきててください。そんなに離れていては、守るものも守れません」

 

姫野さんはまた考え事をしていたのか、顔を俯かせていたが、やがて顔を上げて言った。

 

「...女の子を置いていくあなたに、守るという言葉はあまり信用性が無いんですけど...」

 

ぐふぅ!!そ、その通りすぎて、弁論の余地がねぇ...。まぁ俺のプライドなんか安っぽいので、仕方ないことではある。いやホントに屑だな俺。

 

不服そうな顔をしながらも、しっかりと俺の後ろに付いてきた。何このドラクエ感。ちょっと、楽しい。今ならあの化け物にも勝て―――るわけないか...。

 

 

 

 

 

 

階段を降りて、地下室に来た俺達は書庫の鍵を使って、戸を開けた。

 

ギイィ...

 

「わぁ...本当に本ばっかり......この本なんか、英語で書かれている」

 

姫野さんは本棚に入っている本を、流して見ては、取って見ていた。あぁ、あれがゲームをプレイしているときにある物色か。本にいちいちコメントしてる姿を見ていると、ホッコリとしたものが胸の中に広がる。

 

「っと、そんな事より確認確認っと...」

 

調べてみると何もないこの書庫。一見無価値にも思える書庫だが、暖炉を燃やす際に使う物は、ここで確保するのだ。よって無価値ではない。

 

しっかし、本当に本ばっかりである。ラノベ等を読んでいたものとして、気にならないはずもなく、知っているものがないか流し目で見る。

 

「...ん?本の後ろに、なんか漫画が挟まって...」

 

気になった俺は、手前の本をどかし、後ろに隠れていた漫画を取り出した。こ、これは...お宝キターー!!!!これだよこれ!俺が見たかったのはこれだよ!

 

「『超ビッグ、パニパニライフ:ヤンデレ編』...何これ超大当たりじゃん...グヘヘ」

 

そこにあった規制ものの漫画を広げて、熱心に熟読していた俺を見て不審に思ったのか、姫野さんがやって来た。しかし、俺の手元の漫画を見るや否や、俺の頬を強く叩いてきた。

 

「な、何を見ているんですか!この変態!!」

 

 

 

パシン!

 

 

 

「ずびばぜんっ!」

 

だって仕方ないじゃないか。そこに規制ものの漫画があったら、拾って読んでしまうのが男の性。これは古来より変化しなかった人間の部分なので、俺に罪はない。我慢は身体に毒である。

 

あとちょっと気持ちよかったです。新しい扉開きそう...

 

「もう...しっかりしてください。今は非常事態なんですよ。これ以外の部屋はもう私が探索しましたし、行く宛てが無くなってしまいました...」

 

あれ、まさかの探索終わらせてたパターンかよ...本当にサクサクしてんのな。流石主人公。多くのプレーヤーに操作されてきただけのことはある。

 

しかし、そうかぁ...これじゃあ本当に八方塞がりじゃん...。...考えたくはないが、詰んでるとかないよね?

 

「というか、いつ探索してたんですか?」

 

すぐに思った疑問を口にする。

 

「それは...人形から逃げる際に、色んな部屋を回っていたから...。それでもしつこかったので、由佳のお兄さんの部屋の花瓶を投げて、怯んだ隙に由佳の部屋に逃げて隠れてたんです」

 

あぁ、なるほど...その道中で鍵を手に入れたのか...随分と器用だな。あまり詳しいことは聞かないでおこう。これだと話が進まない気がするし...。

 

そのとき、新聖に電流が走った。...もしかして、あそこはまだ見てないのか...?確かめる価値はある!

 

「姫野さん!」

 

「っ、ど、どうしたんですか、引道くん...」

 

いきなり声を上げたことにより、少し驚かせてしまったみたいだ可愛い。いやそんな事より...!

 

 

 

 

 

 

「化け物が現れた所に行ってみましょう!」

 

 

 

 

「......えっ?」




今回も読んでくださり誠に有難うございます!

いやー、探索とかの描写とかいちいちしてると、思ってる以上にグダッてしまうので、主人公補正とか言うやつで誤魔化しました。異論は受け付けます(´・ω・`)

新聖くん、エッチな漫画を読んでしまうのは仕方がないよ!だって男の子だもんね!

なんか釈然としない締め方ですみません。
ではまた次でお会いしましょう!ではでは~
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