転生は好きな『物語』でした   作:しゃとす

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優しくない現実

トコ,トコ,トコ...ガチャ、バタン

 

 

 

オニゴッコタノシイネ...シンセイクン?

 

 

 

 

 

 

〈新聖side〉

 

 

「うわっふぅん!?」

 

「ど、どうしたの!?引道くん!」

 

「い、いえ...ちょっと悪寒がしまして」

 

えっ、なに!?何か滅茶苦茶怖い感覚に教われたんだけど!漏らす一歩手前なぐらい怖かったんだけど!...いや、あとでちょっとトイレ行ってこよかな...。

それよりも何だ今の感じ。漫画でいう殺意ってやつか?あの化け物が出してるとしたら、殺気だけで俺の心折れそうなんだけど。まぁ、我らの女神姫野神がいるからね!悪霊退散もっての来いのキラーだからねめちゃつよいお。

 

今俺達は二階に行くための階段にいる。一階で索敵してから行こうと言ったのだが、姫野さんに「リスクが大きすぎるよ!」って言われたから直行で向かってます。だって仕方ないもん!胸の前で手を握るとか一昔前のぶりっ子かよご馳走さまです!!...勿論警戒は怠ってない。姫野さんをお守りするのが騎士の務めだからなキリッ!っえ、キモい?

 

「そういえば、あの化け物について何か知らないんですか?ほら、由佳さんがそれっぽいこと話してたりとか」

 

ある程度は押さえてはいるが、あまり知ってる風に進めると俺が怪しまれるため、少し話をずらす。

 

姫野さんは顎に手を当てて深く考え込んだ。少しして分かったのか、俺に話した。

 

「そういえば昨日、学校の休み時間に由佳が変なこといってたよ。都市伝説に興味あるとか聞いてきて、私そんなの興味ないって答えたんだけど、由佳は楽しそうに都市伝説について話してた。内容はほとんど覚えてなくて、ごめんね?」

 

「いえ、変なことを聞いてすみません」

 

やはり、姫野さんは今回の事態について知らないでいる被害者だったか。一応、物語が変わってないかの確認でもあったので、これはこれで好都合。この後の展開は大体わかっている。

 

話したり考え事してると、すぐに大広間の扉の前に来ていた。姫野さんに手で制して、ゆっくりと扉を開き中を確認する。

部屋の中には、奥に襖が二つと暖炉が一つ。...そして中央には由佳さんのお父さんの死体があった。どうやら酷く刺されたらしく、周りには血が飛び散っていた。

 

「......誰もいないみたいですね。姫野さんは極力見ないようにして進んでください。安全確保は俺がしますので」

 

「うん....付いてきて」

 

姫野さんは一度深呼吸すると、早足で奥の血のついた襖へと向かった。やはり主人公、心は強いみたいだ。俺も一度深呼吸すると、急いで姫野さんのあとを追った。

 

(この死体、本当に死んでいるのか?今にも動き出しそうなくらい眼が開いてるぞ)

 

見るたびに恐怖する、その光景に。実際問題、怪異なら死体ぐらい動かしてくるので、おじさんがいつ襲ってくるかっていう可能性もあり、油断ができない。

 

原作だと確か頭と胴体がサヨナラした由佳の兄が二階で襲ってくるという設定もあったので、油断ならないのだ。ちなみに動きは遅いため逃げやすい。

 

襖の前へ辿り着くと、そっと開けた。

中には、光の反射で光ってる鍵が置いてあり、そこには『西部屋の鍵』と記されていた。

 

「...ありました、『西部屋の鍵』と記されています。姫野さんはどこか知ってますか?」

 

あえて知らないふりをして姫野さんに聞く。まぁ知らなくても、大方場所くらいは分かるものだ。だって西部屋だもん。東にあったらこの鍵を折るまである。

 

「うん、一階の玄関から奥に左の部屋だと思うよ」

 

「そうですか...ではそこに向かいましょう」

 

俺達はまた息を殺して部屋を出る。やはり何度見ても、動き出しそうな死体であった。リザレクションでも掛けてあるかのよう、というかあるなら俺に掛けてほすぃ。

 

部屋を出て、一階の西部屋の前まで来た俺達はドアを開けた。...うん、やはり設定道理、由佳の親父の部屋のようだ。問題のパソコンも置いてある。

 

「ここが、西部屋...というよりは、おじさんの部屋、なのかな?見た感じがそうだし、臭いも...」

 

「えっ!?臭いとかで分かるんですか?今の中々な発言ですよ。実は姫野さんもこっち側だったんですね」

 

臭いで分かるとかそれもうスペシャリスト、テクニシャンである。可愛く大人しげな顔して実は超が付くほどの変態であったのか。よかったね!俺と一緒だ!

 

「ち、違うよ!おじさんとはよく由佳がらみで話とかするから、その時の臭いを覚えちゃったんだよ。ほら、その......加齢臭みたいな...」

 

申し訳なさそうに目線をキョロキョロとさせ説明するその姿はまさに女の子!どうやら悪いように思ってるそうだ。

 

まぁ、安心したよ。これでもし姫野さんがパパ活でもしていたら、あのおじさんに撲殺天使向かわせてたところだからね。天使の輪っかとか、日本刀の切れ味みたいだしね。なにそれ某数字のつくウルトラマンの技使えるじゃんすごい。

 

「そうですか、ちょっと驚きました...じゃ、俺は棚の方を見るので、姫野さんはパソコンとかデスクをお願いします」

 

「分かった......でも、次もまたエッチな本見てたら、警察に連れていきますよ、ここを出てから」

 

「ぜ、善処します」

 

やべぇ、目が訴えかけてきてる!流石JK、睨まれるだけでこうふ緊張してくるぜ!

 

それに男がその手の本を見るのは仕方がないのだ、そもそも昔かr(以下略)

 

 

 

 

「ないなぁ...ホントにない」

 

ホントに何もない、手掛かりになりそうなものもR18の漫画も官能小説も。お宝ナッシングである...あれ、こう見ると、ホントに俺泥棒じゃねぇか。ごめんなさい父ちゃん母ちゃん、俺悪い子になりました。

 

というかよく考えたら俺、今無一文じゃねえか。財布と虎の子は部屋に置いてきたし...ここから借りてもいいよね?

 

掛けてあるフードのポケットをまさぐると、四角い膨らみがあった。金の臭いがする。

 

「あ、あとで返すんだし......い、今だけ......」

 

そ、そう、今は一時的に必要なだけであって、いつ戻れるかは不明なのでこれは致し方がないというか、世の定めというか、マリオネットプレイというか...

 

「引道さん、ナニシテルノ?ダメだよね、窃盗は罪が重いよ。特に、由佳は容赦がないから、出てくるのはいつ頃になるんだろうね」

 

え?由佳さん鬼すぎない?いや窃盗を働こうとした俺もあれだが、由佳さん実は内面氷の女王だったりするんですかね...

 

姫野さんの見る目が鋭くなってきたので、手をパーにしながら、何も盗ってないと意思表示する。

 

「...うん!そうそう、犯罪はしたらダメだよ?次そんな事したら、由佳の玩具にされちゃうから」

 

玩具!?ナニソレ怖い!ナニされるの!?滅茶苦茶貞操の危機を感じる。

 

ゴクリと唾を飲んで一呼吸おくと、俺は姫野さんに尋ねた。

 

「それで、何か収穫はありましたか?」

 

「それが...何もなくて。でも、『風呂場の鍵』は手にいれたよ!」

 

うわお...風呂場の鍵、通称『お兄さんのお肉工場』である。ゲームでは、風呂場に入ったときにまず飛び込んでくるのは、ブラッドにカバーされた由佳兄貴である。しかも質の悪いことに、上半身と下半身がさよならしてるのである。

 

ゲームでもそれなりに驚き要素ではあったため、行くのには結構戸惑いがあるのも仕方がない。男?プライドとその他は置いてきました。

 

けれど、まだこの部屋ではパソコンを見ていない。これを見なければ、先には進まないのだ。

少し強引かもしれないが、俺は無理やり話を繋げる。

 

「そういえば姫野さん。由佳さんは都市伝説について調べてたんですよね。なら、このパソコンを使って調べてたんじゃないですか?もしかしたら手掛かりが掴めるかもしれませんよ」

 

少々強引だったが、姫野さんは特に気にする素振りもなく、確かにと呟いてパソコンを開いた。

 

ピッ!

 

「きゃっ!び、ビックリした、休止モードだったのね......これは、『ひとりかくれんぼ』?」

 

おけ、ここまで想定道理だ。驚きの表情ごっつぁんでした。

 

「確かに...ひとりかくれんぼですね。やはり由佳さんは、都市伝説を調べてましたか...見てみましょう」

 

「う、うん」

 

姫野さんは恐る恐ると画面を見る。そこには『ひとりかくれんぼ』についての情報が事細かく記されていた。

 

 

 

『ひとりかくれんぼとは、別名「ひとり鬼ごっこ」とも呼ばれるものです。本来は降霊術や呪術などの、儀式みたいなものに使われるようです。

 

浮遊霊など、成仏できずにいる霊は実体を欲しがっているので、呼び寄せて人形に乗り移らせるということです。そうすることで、霊とコンタクトを取ったり呪術師としての質を高めることが目的です。

 

ただし、霊感がある人、霊媒体質の人はひとりかくれんぼをすることはお勧めできません。もしも、ひとりかくれんぼをするのであれば自己責任でお願いします。何があっても当管理人は責任を負えません。』

 

読めば読むほど、バカらしくなってくる内容。今どきの学生なら、鼻で笑って、ヘソで茶を沸かすだろう。

 

だが、それは一般人の感想。何も知らない、ただうわべだけで語る成りきり論。

 

だがもし、そんな現象に似たような事態が身の近くで起これば?嫌でも頭はそちらの方へ考えるだろう。姫野美琴もその一人である。

 

「つまり...今、私が置かれてる状況って......『ひとりかくれんぼ』が原因ってこと......?」

 

「はい、人形にまつわる怪異はいくつかありますが、ひとりでに動き、なおかつ包丁と背中に紡いである赤い糸。俺が知る限りでは、ひとりかくれんぼ以外知りません」

 

ただの知ったかぶりである。俺はハイスペックではないので、なんでも知ってると思ったらそんな事ない。都市伝説についても、小説で知ったもの以外は知らない。

 

姫野さんは俺の話を聞くと、顔を強張らせてパソコンと向き合う。

 

「何か解決法を探さないと...!きっとこのサイトに...」

 

カタカタと、画面をスライドさせる。片方にすこし露出が多い広告が載るが、気にする素振りを見せないのは、それだけ焦っているのだろう。

 

やがてマウスの音は止まり、そこに書かれていることを姫野さんは読み上げる。

 

「あった!ひとりかくれんぼの終わり方!ええと...」

 

 

『その1。コップに塩水を入れ、半分口に含む。準備ができたら、ぬいぐるみを探す。

その2。ぬいぐるみを見つけたら、口の中の塩水とコップの残りの塩水を吹き掛ける。

その3。ぬいぐるみに向かって「私の勝ち」だと三回言う。

これ「ひとりかくれんぼ」は終了です。その後、必ずぬいぐるみは燃やしてください』

 

読み終えた後、姫野さんは肩をワナワナと震わせる。表情は見えないが、怒っているのだろうか。

 

「何よこれ......こんなの......ただの遊びじゃない!!今起こってることは......ここに書いてあることとは全然違う......。なんの解決法にもならないよ......」

 

おかしな事が書かれていることに腹を立てたのか、それとも否定したかったのか、姫野さんは怒りを露にした。それに合わせるかのように、雷がなる。かみなりよ、いかづちじゃないわ。どっかのお艦が言っていたことを思い出した。マジ萌える。

 

俺は、そんな姫野さんに言葉を掛ける。

 

「でも、もしかしたら、何かヒントがあるかもしれませんよ。少なくとも、ここに書いてあることと一致してる箇所はいくらかあります。参考にしなければ、これ以上の知恵は絞れません」

 

俺とて人間、いくら妄想に強い男子高校生でも、これ以上の案は出ない。出たとしても、期待できないだろう。

 

姫野さんもそこは分かってるのか、口を挟んだりはしない。

 

「塩水、人形を燃やす...。これらはひとりかくれんぼを終わらすための手段です。試す価値は充分にあります」

 

「で、でも...そんなの、危険すぎるよ...」

 

それでも、危険だと思い、行動に移せないでいる姫野さん。それらしく、怖いことが書かれていれば、誰でも怖くなるのは当たり前。俺?脇の辺り多分というか絶対濡れてるよ。怖くないわけないもんね!

 

仕方ない...これはあまり使いたくないてだったが。

 

「あ、そういえば塩って何でもいいんですかね?もしそうなら、態々台所に行くのも面倒ですし、現地調達にしましょう」

 

「現地調達...?そんなこと出来るの?」

 

えぇ出来るとも!水と塩を混ぜなくても、始めから混ざっている潮水。

 

「はい。姫野さんは女性が気持ちよくなって絶頂すr」(殴

 

グハァ!!こ、こいつ、やりおる!しかも殴ったの腹ではなく、みぞおちなため、余計に痛い。

 

「それ以上口を開くと次は指で逝きますよ」

 

「この度は誠に申し訳ございませんでした」

 

こ、こえ~!ゴミを見るような目でガッツリ睨みに来るその姿は、先生がするあれ!今回ばっかりは興奮しません、だって命の危機感じたもん。逝くって言ってたし、明らかに漢字違ってたし...!!

 

「いつから姫野さんは暴力ヒロインになったんですか...」

 

「ナニカイイマシタカ?」

 

「い、いえ!少し手元が心もとないと思い、武器を探してたであります!」

 

やべぇ、一歩でも道を外せばあの世へゴーだよ!鬼に殺される前にヒロインに殺られるよ!?なにそのクソゲー!!??

 

必死に答えた言い訳も、パンチは弱い。...が、姫野さんはそれを聞いても何も聞き返してこず、ドアの方へ向き直った。

 

「とりあえず、台所に行くよ」

 

「は、はいぃ...分かりました」

 

未だに緊張は抜けてとらず、変な返事になってしまった。

 

...ん?あ、あれは...!

俺は見てしまった。姫野さんの耳がものすんごく赤くなっているのを。

 

(恥ずかしかったんだ、だから赤くなってる顔を見せたくなくてそっぽ向いたんだね...やべぇ萌える)

 

鼻血が出ないのが残念でならないほど、今の姫野さんの姿は可愛らしかったのであった。

 

「は、早く向かうよ!?」

 

ちょ、慌てないで慌てないで!どうやらからかい過ぎたようで、少しヒートアップしてるようである。

...まぁ、元気になったのは良いことだ。この流れを途切れさせないように、慎重に行動しよう。

 

ピコン!

 

......なにかフラグが建ったような気がするが、それはきっと気のせいだろう。俺にお約束は通じない。フラグを回収するような世界にいたのなら、現実は優しいものである。何故かって?逆説的に捉えれば簡単さ。

 

姫野さんに限らず、女性に扉を開けさせるのは紳士ではない。男なら女性を守るため、安全を考慮し、自分からやるのが男なのだ。いわゆるレディーファーストである?

ということで、ドアを開けるのは俺ということになった。本音は嫌である。

 

「さぁ、いきましょか!」

 

自分に自信を持ち、勢いよくドアを開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前には、あの化け物が愉しそうに立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バタン!!

 

 

「ああああああいつ!部屋の前で出待ちしてましたよ!青鬼かよ、賢いなチクショウ!!」

 

「えっ!?どうしたの!?も、もしかして」

 

不安になってきている姫野さんを煽るように、化け物は嗤いながらドアをトントンと叩く。

 

ミィ~ツケタァ!!

 

アソボ?キットタノシイヨ!

 

「え、え......う、嘘...私たち、ここから出られないよ!!」

 

姫野さんが悲痛な顔で叫ぶ。恐怖に犯されてしまったようだ。

 

...しかもこいつ、ドアを叩くのが思った以上に強い。誰だよトントンなんて可愛いこと言ったやつ!殴りてぇ!

 

とりあえず、言わなきゃいけないことあるよな...

俺はヤケクソ気味に、自虐の意味を込めて叫んだ。

 

 

 

 

「フラグ回収おつぅーーーーーー!!!!!!」

 

 

 

ドンドンドン!!!

 

 

 

現実はやはり厳しかった。

 




と、いうことで...今回も読んでくださり誠に有難うございます!!フラグ回収?お約束ですね(*´・ω・`)b

ゲームだとガバガバの人形さんですが、この話では普通にやりおる敵キャラであります。角や階段に引っ掛かってる?愉しそうに追いかけてきてますよ。(泣)

流石に汚かった表現もありましたが、緊張をほぐすには丁度よかったでしょう。鋭いパンチがみぞおちにねじ込まれたぐらいだしね!
果たして、二人の運命やいかに!


それではまた次でお会いしましょう!ではでは~
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