「チクショウ!こいつ一体どんな力してやがるんですか!?人形のパンチなんて気持ちいいぐらいで強くはなかったはず!これも怪異の影響かよ!」
「どどど、どうしよう...!なにか、何か使えるものは!」
俺達は今、窮地に立たされていた。
ドアを開け、目の前には出待ちしてたであろうクソ野郎が、嗤いながら立っていたのである。驚いた俺は、すぐにドアを締め、鍵を掛けてもたれ掛かるようにして、必死に抵抗していた。
が、怪異の影響なのか、人形の力は人よりも少し強く、力を抜けばぶち抜かれるだろう。可愛い姿して恐ろしい子!人形がひとりで動いてる時点で恐怖の対象でした。
姫野さんは何か対抗できないかと、部屋のなかを必死に探る。すると何か思い付いたのか、椅子をドアの直線上に置いた。
「引道くん!私の合図でドアを開けて!人形が向かってきたところを思いっきり椅子でぶつけるから!」
なるほど、恐怖でパニクってたかと思ってたけど、ちゃんと考えれてるじゃん!さすが俺のヒロイン!...なんか世界を敵に回した気がするが、きっと気のせいだろう。
それに...化け物の方もめんどくさくなってきたのか、ドアに体当たりしてきてる。丁度いいタイミングだ!
「分かりました。合図をお願いします!」
姫野さんは小さく頷くと、数え始める。
「3...2...」
俺はドアの鍵を開け、合図を待つ。姫野さんの椅子を握る手に力が入る。
勝負は...
「1...」
「「ここ(だ)!!!!」
バァン!と強く開いたドアにくっついてくるかのように、猪の如く包丁を向けて突進してくる。
それでも姫野さんは怖じ気つかず、椅子で思いっきり化け物を引いた。
「きゃっ!?」
だが、そうそう上手く進まない。化け物の突進が思った以上に強かったらしく、椅子でぶつけた衝撃により、姫野さんは後ろに倒れてしまった。
そんな姫野さんに包丁を刺そうと、すぐに立ち上がる。
マズイマズイマズイ!!このままじゃブスりだ!とりあえず動け!
固まる体に言葉と言う名の鞭を振るう。
人形の手が大きく振りかぶり、包丁を振り降ろした。
「あらよっと!!!」
ズコン!
あっぶねぇー間一髪だった!振り下ろされる直前に、人形の足を引くことで、人形をこかす事に成功した。
どうやら姫野さんに意識が集中していたらしく、俺の接近には気が付かなかったみたいだ。
そんな状態で、俺は人形の足を引いた。体から地面に向かって倒れるので、包丁は振り下ろされず、離して落としてしまった。
「姫野さんは先に!後で由佳さんの部屋で合流しましょう!」
「で、でも、引道くんを置いていけないよ!」
あぁ、もう!こんな時に変な正義感は邪魔なだけだって!少々言い方は荒いかもしれないが、仕方ない。
「人形の足止めに成功したんです!二人ともここにいては邪魔になります!今こうして押さえているんですから、姫野さんは逃げてください!」
「で、でもっ!!」
それでも俺を置いていきたくないのか、姫野さんも頑なに否定する。
「だいじょーぶです元より俺は死ぬつもりはありませんよ、俺が死ぬのは...大切な人が死んだときだけだ!!」
俺は、近くに落ちていた包丁を蹴って、廊下に出した。
「大切な......うん、分かった。引道くん、後で絶対に合流だよ!無事に逃げてね!」
「はいっ!必ずあとで!」
そう言って姫野さんは部屋を出て、走って行った。足音が遠ざかるのを確認すると、俺は人形の足を持ち、俺の体ごと回し始めた。
「おらおらおらおらあぁぁ!!!必殺、ハリケーンクラッシュー!!!」
技名を叫ぶと共に手を離し、ドアとは対象にある壁に叩きつけた。
(決まったze!)
説明しよう!引道新聖が扱う技、『ハリケーンクラッシュ』とは、アスリート競技などである、ハンマー投げを真似た技である。素人でも出来る簡単な回し方なので、困ったときはこれで一安心!あっ、本家のハンマー投げはレベルが高いので、簡単ではありません。
いるんだよね、見た感じできそうとかいって、実際にやってみると腰を思いっきりやる人。(経験談)
まぁ簡単に言うと、人形の足をもって思いっきり壁に叩きつけたと考えればいいさ。
流石の化け物も、俺のハリケーンクラッシュを食らったので、立ち上がれども少しふらついていた。
(これだけでも充分!)
包丁を持っていないこの化け物は、もうただの人形である。
俺は、目の前にある椅子を引き寄せ投げつけた。そしたら今度は人形がその椅子を受け止め、俺に投げ返してきた。
ごめん嘘ついた。ただの人形でも、力は人並みだったわ。
俺は咄嗟に体を反らして、人形の方に向き直る。そのときだ、いきなりノイズのような声が部屋に響いた。
アッハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!サスガ、『インドウ、シンセイ』クン?
化け物の声である。しかもノイズなせいで、余計怖くなる。と、いうよりも......
「おいおい...俺はお前に会ったことがないのに、そんな馴れ馴れしく話し掛けんな。恥ずかしいだけだぞ」
そんな調子よく言葉を返すが、内心は結構混乱していた。どうしてアイツが俺の名前を知っているのか、会ったことがあるのか...
動揺してる様がバレないようにしている。だが、次の一言で、思わず表情がこぼれてしまった。
アッタコトハナイヨ?デモネ、シンセイクン...きみ、この世界の住人じゃないでしょ?
「っ!?」
ニタァと化け物は嗤う。それと同時に体をクネクネさせてきた。...というか気持ち悪っ!!
キミのことガモットシリタクナッてきちゃッタ、ハヤクバラバラにしてみてミタイ!
すると突然化け物は、厨ニ病になったことがある人なら一度はしたことがあるこのポーズ、
『俺の右手がぁー!!』をし出した。
するとどうでしょう?人形の右手が弾けて米が散ったかと思いきや、中からは包丁が出てきた。人で例えるなら、右手が包丁になったみたいなやつ。
ごめん嘘ついた。こいつやっぱり化け物やった。
俺は一目散に部屋を飛び出し、一階の和室へと走り込んだ。
後ろからは、以前よりも速さが増しているクマ野郎が追っかけてきている。俺は急いでタンスを開けて、中をあさる。
化け物が後ろまで来て、飛び掛かってきた。
...と、同時に俺はタンスの中から『アースジェット』を取り出し、振り向くときの回転を利用して、バットのごとく振った。
すると化け物は、打たれた勢いで、テーブルの上にある料理を散らしながら吹っ飛んだ。
「俺、野球部入るのも悪くないかも」
入ったらきっとモテモt...いや、丸刈りになるぐらいやったら、入らん方がマシやな。お爺ちゃんみたいな頭にはまだなりたくねぇ。ごめんよお爺ちゃん、こんどワカメ買ってきてあげるから!そっちに戻れたらだけどね、ハハッ!!
俺はすぐに隣のドアから廊下に出て玄関に行き、青色の傘が目に止まったので、それを手に持ち、2階に向かう。
後ろを振り返ると......そこに、化け物の姿は見当たらなかった。どうやらさっきのアースジェットが効いたらしく(物理)、追いかけては来ないらしい。
俺は早足で、由佳さんの部屋に入った。
ガチャ
「姫野さん、無事ですか?」
するとそこには、初めて俺たちが会ったときみたいに、体育座りで顔を埋める姫野さんの姿が、そこにあった。
「...姫野さん?」
俺が再度声を掛けると、いきなりビクッとし、こちらを勢いよく見た。そして立ち上がり、肩を強く掴んでくる。...ほら、もっとガシッとガシッと!!
「大丈夫だった!?引道くん、怪我はない!?」
俺の体をまじまじと見つめる彼女にこうふ...驚いていると、どこにも傷がなかったのを確認したのか、いきなり泣き始めた。
「うっ、く......ごめんね...私のせいで、あんなことになってしまって......ホントにごめん......」
姫野さんはひたすら俺に謝ってくる。事情を聞いてみると、どうやら俺と別れた後、無事に由佳さんの部屋に辿り着いた。が、俺を置いていったのはやはり間違いだったのかと思い始め、ついには全部自分のせいだと自虐するようになっていたらしい。
胸がきゅっ!と締め付けられる感覚に襲われるが、悪いモノではなかった。
それでもまだ泣き続ける姫野さんを、俺もあまり見てはいたくなかったので、また渾身の面白いネタ(白目)をすることにした。
「姫野さん、そんなに泣かないでください....でないと、俺の嗜虐心がウズいちゃって仕方がないの」
「............」
その場には、永遠と言って良いほどの沈黙が支配をした。しかも、姫野さんからは物凄い眼光で睨まれているので、表情筋が強張るばかり。
やはり、俺が言うよりも、R18ヒーローに任せるべきだったようだ。ミッドでナイトな人が言う方が、絶対に興奮すru場の空気を和ませる事が出来たのに!......えっ?すごく検討違いだって?バーロー!ね、ネタですよネタネタ!!
はい、ということで、今回も読んでくださり誠に有難うございます!!っえ、締め方ショボすぎ?許してください...( ;∀;)
主は眠たいのでここまで...
後悔が渦巻く姫野さんに、いったい新聖は何を言うのか!
それではまた次でお会いしましょう!ではでは~