犬吠埼ちゃんは紫色の物体x作れるってマ???www 作:ハイイロ
「おはよう」
「樹ちゃん昨日大丈夫だった?」
「犬吠埼さん昨日倒れったって聞いたけど大丈夫?」
「うん、体に別状はないって」
「よかったぁ、前みたいに声が出なくなったりしないか心配だったんだからね!」
朝学校に登校して教室に着くと真っ先にクラスメイトに取り囲まれる。
一時期とある事情で声が出せなかった期間がある為か風だけでなくクラスメイトも若干過保護になっていた。
話しかけに行きたい人があるのにあいにく彼はこの集団の中にはいなかった。
大人しい彼女にとって心配してくれる人達を放置するという事は難しかった。
「犬吠埼が心配なのは分かるけど早く席に戻らないと先生に怒られるぞー」
男子の声が集団の外から投げられる。
次の授業の担当の先生は怒ると怖いことで有名な先生だ。
クラスの中から投げかけられた声に反応して取り囲んでいたクラスメイト達が一斉に自分の席に戻り始める。
クラスメイトから解放されて思わずため息をこぼしそうになる樹。助けてくれた男子が誰なのか声がした方を見て見ると雨宮と目が合った。
思わず頭を下げあう二人。
ありがとうを伝えようとしたが残念ながら先生が入ってきてしまった。
頼み事をするならお昼休みにしよう。
「良かった、来てくれたんだね」
みんながお弁当を食べ終わった時間帯。場所は人があまりいない図書室の端っこ。
「……そりゃあんな風に言われたら断れないだろ」
それは30分前の事。
昼休みが始まり、思い思いに弁当を広げてお昼を食べる時間のことだった。
授業が終わり朝と同じように囲まれる前に樹は動いた。
「あの雨宮君、ちょっと話したいことがあるんだけどいいかな」
「あー犬吠埼、教室だと怖いから別なところでしようか、な?そうだな……30分後に図書室とかでいいか?」
むけられた視線の数に思わず居心地が悪そうな顔をする雨宮。
「じゃあまた後で」
「うん図書館で」
「犬吠埼無事みたいでよかったよ」
「昨日はお騒がせしてごめんなさい」
深々と頭を下げる樹。
「いやー目の前で倒れられたから流石にビビったわ」
あははと笑った後に
「それよりもさっきの方が迷惑かかったかな……」
どこか遠い目をする雨宮。
教室で樹に話しかけられた後、一緒に昼飯を食べてるメンバーに問い詰められて大変だったのだ。
「うぅ……ごめんなさいっ……ごめんなさいっ」
自分の配慮が至らなかった結果更に迷惑をかけてしまった事実に思わず頭を下げまくってしまう樹。
思わずかわいいと雨宮は思ってしまったが話がこのままだと進まないことに気づいた。
「それで話って?」
「えーとその……雨宮君に頼みたいことがあってですね……」
「頼みたい事?」
「雨宮君って料理が上手じゃないですか」
「同学年の中だったらできる方だとは思うけどそれで……?」
深呼吸をして覚悟を決める樹。
「私に、料理を教えて下さいっ!」
「別に教えるのは構わないんだけどなんで俺?勇者部の先輩に俺よりうまい人いるでしょ」
「そのですね……」
「成程、勇者部には秘密にしておきたいわけだ。まぁそういう事なら」
「受けてくれるんですか!?」
「まぁいいけど、上手く教えれるかどうかは分からないからね」
「それでも問題ないですっ、よろしくお願いします!」
「じゃあこちらこそよろしくお願いします」
「「ふふっ」」
二人で頭を下げあったことがなんだか面白くてつい笑いあう二人。
ここに新しい師弟関係が生まれたのだった。
さて教室に帰った後会話の内容を問いただされるのだが関係ないのでカット。
放課後
「そういえば練習場所どうするの?」
「え、家庭科室とか……」
「いや、勇者部の部室近いしバレちゃうでしょ」
「…………」
「その……うち来る?」
という事で練習場所に決まった雨宮家。
突発的に集まることが決まったので家にいる母親の許可をもらってる途中だ。
初めて来た家の前で一人で待っていると改めて実感してしまう。
(うぅ……男の子の家に行くの初めてで緊張するよぅ……。手土産何か持ってくるんだったかな……)
長く感じる時の中、うろうろしながら待っていると玄関のドアが開く。
「上がって来ていいって」
「お、お邪魔します」
中に入るとそこそこに整えられている。そこそこというのは所々急いで片づけたような跡があるからだ。
普段はもう少し生活感があるのだろう。
「で、料理上手くなりたいって話だけど具体的にはどうする気?」
「取りあえず調理実習でちゃんとしたものを作れるようになりたいなって思ってます」
「成程、取りあえず卵焼き作れるように頑張ってみましょうか犬吠埼さん」
「わかりました先生!」
「先生できました!」
「ちゃんと見てたはずなんだけどな……」
完成したのは一日前と同じ紫色の物体。
食べれるものを作れるようになるにはまだまだ時間がかかりそうだった。