水橋パルスィの日常   作:parui

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彼女、水橋パルスィはいつだって橋の上で佇んでいる。


第一話《橋姫【水橋パルスィ】》

彼女は橋の上で立っていた。

何故か?

あなたたちがよく思い浮かべる理由を挙げるなら、

 

友達、もしくは恋人と待ち合わせしている。

川を見ている。

 

等の理由が挙げられるだろう。

しかし、あなたたちのほとんどが考えている理由ではない。

なら何故か?

それは至極単純なことである。

 

《彼女は『橋姫』だから》

 

それだけである。

 

彼女、『水橋パルスィ』は妖怪【橋姫】である。

【橋姫】、それは鬼や神に分類される嫉妬の妖怪。

しかし、彼女は神ではなかった。つまり鬼だ。

地底の橋に立っていて、人を妬む。それが彼女の日常。

 

さて、説明はこのくらいにして、本編に入ろう。

これは彼女、『水橋パルスィ』と地底の妖怪達との日常を書き記したものだ。

____________________________________________________________

 

「はぁ············妬ましいわ·······」

「ん?何がだ?」

「私のところに来れるほど暇なあんたたちがよ········」

「それは嬉しいと言っていると考えていいのかな?」

「違うわよ··············」

 

ヤマメがからかう。

適当に返事しながら私は水面に映る私の顔を見る。

酷い顔だ。

顔色は悪く、目の下には隈があって、明るさの欠片もない顔。

だからこそ人を妬んでいるのかもしれない。

そんな言い訳を考えるが、私の心は暗いまま。

 

「酷い顔ね···········」

「そうか?お前の顔は綺麗だと思うがね······」

「別に綺麗じゃないわよ」

 

勇儀が誉めたが、私は否定する。

肯定したら妬みにくくなる。

でも、褒められたのが嬉しかったのか気がつけば顔が火照っていた。

それを隠すように私は水の下をのぞきこむ。

何もいない。

ここは地底なので、当然と言えば当然なのだが、少し残念だ。

 

「そういえばパルスィ············」

「何?」

 

どうしたのかと思い、もう戻った顔で、キスメの顔を見る。

 

「橋姫って元は人間でしょ?どういう経緯で妖怪になったの?」

「ああ········それね········」

 

キスメの質問を聞き、私はこたえようとする。

 

「あー··············」

「どうしたの?」

「なんか思い出せない·······」

「は?」

 

私は自分の記憶を探る。

思い出せない。

何故橋姫になったのか。どういう経緯があったのか。

思い出せない。

何故かは分からない。

私は目を閉じる。

そして、暗闇の中、思い出そうとする。

何故だ。何故か。どうしてだった。どうしてか。何があったのか。

もうキスメやヤマメ、勇儀の声が聞こえない。雑音になっている。

それでも私は思い出そうとする。

頭が痛い。自分が拒否しているかのように思い出そうとすると頭が痛くなる。

思い出す。思い出させる。

何故なら忘れてはいけない気がするから。

絶対に忘れてはいけない忌まわしい記憶の気がするから。

気絶しそうになる。

もう無理か。

そう考えた瞬間ふっと頭に浮かぶ。

 

-そうだ。

 

思い出せなかった記憶が堰を切るように頭に浮かぶ。

さっきまではまったくわからなかったのに

思い出すとかなり鮮明に思い出せる。

 

ーそうだ。

 

ー私は。

 

ーあいつのせいで橋姫になったのだ。




新シリーズ。
パルスィは嫁。
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