艦これ7周年記念小説

これは、ある駆逐艦が書いたある日の日記

※できるだけ初期艦全員に当てはまるようには書きましたがさすがに無理があるので吹雪寄りの作品です
※いちおうオリ主タグはつけてますがほぼオリ主要素はありません

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言祝ぎ《ある駆逐艦の日記より引用》

 Dete:4/22

 

 戦いが始まった春から数えて、8回目の春が訪れました。

 

 みかん箱の執務机に司令官と私。がらんどうだった執務室には、いつしか家具も増え、明るい声でむしろ騒がしくなっていました。

 

 今日も例外ではなく、まず最初に島風ちゃんに追いかけられてきた雪風ちゃんと天津風ちゃんが助けを求めにやってきて、次に新しいものを発明したと息巻いた明石さん。

 昼食を済ませた後にはお茶会に誘いに来た金剛さんと弓道の勝負を申し込みに来た加賀さん。……と、執務室の棚にあるお菓子を盗み食いしに来た赤城さん。

 夜には川内さんが夜戦したいと言いに来て、顔を真っ赤に染めた隼鷹さんが一緒に呑もうとやってきました。

 

 しかしどうしてか司令官はそういった面倒事がやってくると、いつの間にかそれを察知し、問題が発生したときにはそこにはもういない。

 おかげさまで二人の代わりに追いかけっこに参加させられ、新発明の説明を受けさせられ、喧嘩する二人の仲裁をしながら盗み食いの注意をし、夜戦夜戦と耳元で叫ばれながら、無理やり酒を呑まさせられそうに。

 そしてそれらが終わった頃、執務机の方を見ると、しれっと座っている司令官の姿。「どこに行っていたんですか!」と何度聞いても「ごめんごめん」とはぐらかされるだけで。

 

 そんな日常も、ちょっといいかなって思ったり。でも毎日は嫌だけど。

 明日でちょうどここに来てから7年。いままでそんな毎日だったから、仕事も絶えなかったけど笑いも絶えなかった。

 楽しいことも、嬉しいことも、辛いことも、悔しいことも、たくさんのことが詰まった7年間。これからも増え続ける私の宝物。

 盛大に祝おうかなとも思ったけど、そうするとカンがいい司令官にはバレちゃいそうだから用意は言葉と花束だけにして。

 

 明日に備えて今日は早めに寝よう。

 

 今日の日記はここまで。おやすみなさい。

 

 

 

 

 

     * * *

 

 

 

 

 

 朝、執務室。提督がドアを開くと、そこにはひとりの少女が待ち構えていた。

 

「司令官! 今日でちょうど私たちがここに来て7周年です! だから、えっと、これから……も…………。あれ、後ろに持ってるそのノート、どうしたんですか? 気にしなくていい? ならいいんですけど」

 

 少女は疑問を懐きながらも後ろ手に持っていた花束を前に差し出して、言う。

 

「では、改めまして。8年目……もう結構長い付き合いですけど、これからもよろしくおねがいしますね、司令官!」

 

 願わくば、ずっと、ずっと。提督(あなた)の隣で――。



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