仮面ライダーアニマ   作:ちくわぶみん

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第3話「女王蜂、嫉妬する」

「お願いです!僕の写真のモデルになってくれませんか?」

 

放課後の葉久瑠高校、辺りは学生たちで賑わっている。その片隅で夏樹は同じクラスの写真部の部長の佐々木 隼人(ささき はやと)にそう言われた。

突然そう言われた夏樹が驚愕過ぎて持っていたカバンを落とした。

 

「「…モデル?」」

 

その隣にいた大雄と翼が口をそろえて言った。

 

「うん、写真部のシーズンコンクールが控えているしから」

「だとすればなんで私に?ほかにいいモデルの人ならいっぱいいるはずなのに…」

 

夏樹は隼人に聞いた。どうやら夏樹はほかの人を差し置いて自分が選ばれたことに少し納得いってない様子だった。

 

「今回は普通の女子で勝負したいなぁって…」

「普通の女子…か」

「初対面のデイジーを容赦なく引っ叩ける時点で普通じゃないけどね…」

 

大雄と翼は夏樹に聞こえない程度の音量で囁いた。幸い、夏樹には聞こえていなかったようだ。

 

「いいよ、やってあげる」

 

夏樹はそう言った

 

「「えっ!?」」

「本当!?だったら場所と日時が…」

 

その光景を物陰で見ている女子高生・がいた

 

「私じゃダメ…?」

 

恨めしそうに彼女はそう呟いた。

 

 

第3話「女王蜂、嫉妬」

 

 

「…みたいなことがあってさぁ」

「美鈴さんが写真のモデルですか?」

「まぁ、写真部のコンクール用だけどな」

 

そんな会話を繰り広げている大雄と翼とデイジーはある場所にいた。そこは平野書店の地下室。開店当時には使われていたが、増築などを経てしばらく使われていなかった。夏樹はどうやら前の戦いの後にこの地下倉庫を使うように健介に願い出たらしく、再びこの場所が日の目を浴びることとなった。

当の夏樹本人は今、上の店で応対している。

 

「というかデイジーはそのパソコンで何をしようとしているんだ?」

 

ふと翼は年代物のデスクトップパソコンで何やら作業をしているデイジーを見て声をかける

 

「これですか?こういうことです!」

 

デイジーはキーボードを操作する。すると同じ机に配置されていた3Dプリンターのようなメカからスライド式の2基ケータイが出力された。

 

「ケータイ?」

「しかもガラケーだ…」

「いーや、ただのケータイではありませんよ!」

 

デイジーは出力されたガラケーを手に持ち、テンキーを押した。すると一瞬のうちにスライド式ケータイはライオンのようなメカに変形した。

 

「すごい!ライオンに変形した!これもあのバイクと同じ電脳世界の技術力なの!?」

「えぇ、モバニアルギアと呼ばれるアニマ支援ツールです。これはセルレオンと呼ばれるツールです」

 

セルレオンは机を所せましと駆けまくる。

 

「どう?使い物になりそうなのとかあった?」

 

そう言いながら夏樹が地下室に入ってきた。

 

「えぇ、もう充分過ぎるくらいです、このパソコンというデバイスがあればプロフェッサーが遺したアニマのシステムを熟知できそうです」

「そういえばあの時の戦いでもバイクを出すために空中にタッチパネルみたいなの出してたけど、それでもいいんじゃないの?」

 

大雄はこの前にリザードギアマリスとの戦いでマシングランダーを出現させるときにデイジーが何もない空間にタッチパネルみたいなものを出現させたのを思い出した

 

「それは…ロマンですよ!ロマン!私たち電子生命体は投影能力を持っていますけど、このパソコンの武骨なデザイン、気に入りました!」

「なぁ、夏樹。デイジーになんかヘンなの見せた?」

「私じゃないけど、昨日父さんがデイジーに日本のカルチャーの勉強にって『超時空魔王ロボ キングジオウ』を見せてて…」

「あちゃー…そりゃぁロマンに目覚めるよ…」

「もしかするとコレもロマンだったりするのかな…?」

「でもこれはさっきのデイジーが言うにはデフォルトの支援メカっぽいけどね…」

 

夏樹は机でちょこんとお座りしているセルレオンを指さしながら、昨日の健介の出来事を若干憂いた

 

「あ、そう言えば写真部のモデルの件、2人とデイジーにも手伝いに回ってもらうかも」

 

夏樹は先ほど話題になっていて写真部のモデルのことを話始めた。

 

「本当ですか!?

「うん、一応写真部からも数人手伝える人呼ぶらしいけど、人手が足らないって可能性も考えてって事みたい」

「ずいぶんと大がかりな撮影じゃないのに…」

「あいつああ見えて心配性だからなぁ…」

 

 

 同じ時刻、公園の誰もいないステージ。ここはイベントが開催されない限り、自由に解放されている。

そのステージにロックサウンドな音楽が鳴り響き、奈央が踊っていた。彼女は葉久瑠高校のダンス部に所属しているが、部活がない日でも日々練習に明け暮れている。

曲が終わると同時に奈央の耳にはパチパチと拍手が聞こえた。

 

「いやぁ素晴らしいねぇ、ニンゲンというのはここまで素晴らしく踊ることができるなんて」

 

声の主はアーサーだった。アーサーはステージに上がる。

 

「アンタ誰?芸能事務所のスカウトかなんか?」

「いや、その『ゲイノウジムショのスカウト』とやらではない」

「じゃぁアンタ何者よ?」

「それに答える前に一つ私からも質問だ。君は何か心に抱えている、そうではないかい?例えば、自分はチャンスを得たのにも関わらずに選ばれなかったとか…?」

「っ…」

 

アーサーの言葉が図星だったのか、奈央は黙り込む。

 

「どうやら図星だなようだねぇ」

「そうよ、写真のモデルなんて、私だけで充分だったのに…なのに…!」

「所謂『嫉妬』と呼ばれるニンゲンの感情か…面白いねぇ…」

 

そういうとアーサーは奈央にマインドギアを刺した。

 

「ちょっと、いきなり何を!?」

「君の心<マインド>、いただくよ」

 

アーサーのその声とともに、奈央の体はメカの女王バチの鎧を纏った蒼い身体をしたクインビーギアマリスへと変貌を遂げた。

 

 

 翌日、この日は土曜日で学校は休みだったが、部活動が盛んな葉久瑠高校は休日でも開放していた。

「…それで、写真部の人達が倒れて来れないって!?」

 

夏樹の大声が校舎の入り口に響き渡った。

 

「うん、今朝連絡が入って殆どの人が具合が悪くなったって…」

 

隼人はそう答える。

 

「大丈夫なんですか?」

 

デイジーは隼人にそう問いかける。

 

「一応問題はないかと思います」

「だったらちゃっちゃと始めようか」

 

夏樹の言葉がきっかけで撮影は着々と進み始めた。

ただ、それを物陰で見ている陰がいることを知らずに…

 

「ならいいわ、あの女を私の毒で永遠に眠らせて、私がモデルに…」

 

 

「うわぁ、今の写真の技術って素晴らしいんですね!」

「昔はソフトとかじゃないと調整できなかった部分が今ではカメラでもできるんですよ」

 

デイジーは隼人が写した写真を見て興奮していた。どういうわけか、隼人とも若干意気投合している。

 

「しかし、なんで夏樹はモデルを引き受けたんだ?」

「あ、それ僕も気になった」

 

その光景を見ながら、翼は夏樹にモデルを引き受けた理由を聞いた。

 

「私もああいうの、あこがれだったし…」

「あこがれ?」

「うん、これでも小さい頃はモデルさんとか、アイドルになりたかったんだ。中学生の時に何十回も芸能事務所のオーディションも受けたんだけど、見事に落ちちゃって…。それでアイドルの道を諦めて、実家の本屋継ごうってなったわけ。でもさ、心のどこかでやっぱり諦めきれなかったところがあって、それで本心がそうしろって言ったんだろうなぁ」

 

うつむきながら、夏樹は話した。高校から知り合った大雄と翼にとっては初めて夏樹がアイドルを目指していたことを知って驚いていた。

 

「夏樹がアイドルかぁ…」

「それだからなのかな?ほら、このキーホルダー」

 

大雄は夏樹のカバンにつけてあったキーホルダーを指さした。そこには「K.R.G.S」と文字が彫られている。

 

「これって今でも活動しているアイドルのグッズでしょ?まだ諦めきれていないどころか、まだ可能性があるって思っているってことじゃない?」

「えっ」

 

大雄の言葉に夏樹は驚いた。

 

 

 すると。

突然、校庭の方向から悲鳴が聞こえてきた。それと同時にライオンサイバーギアからもけたたましい音が鳴った。

 

「近くにギアマリスがいるってことか!?」

「ともかく、行こう!」

 

3人は校庭に向かって駆け出した。

 

「あの男はどこだ…?!」

「し、知らねぇよ!!」

 

3人が駆け付けると、そこでは野球部員がクインビーギアマリスに首を掴まれていた。

 

「知らないか、ならば…ここで眠りなさい…!」

 

クインビーギアマリスは、右手に持っていたレイピアで野球部員を刺そうとしていた。

 

「マズい、止めなきゃ!」

 

その時、3人の背後からセルレオンが飛び出し、クインビーギアマリスにダメージを与えた。その隙に野球部員は一目散に逃げだした。

 

「デイジー!助かったよ!」

 

デイジーが駆け付ける、どういうわけか隼人も駆けつけてきた

 

「セルレオンを持ってきておいて大正解でした!」

「なんなんだ!?あの怪物!?」

 

隼人の言葉を待たずに、クインビーギアマリスは隼人に襲い掛かろうとする。

そういうと大雄はとっさにアニマドライバーとライオンサイバーギアを取り出し、ドライバーを腰にセットする。

 

[アニマドライバー!]

[ライオンギア・ワイルドオン!]

 

ライオンサイバーギアをドライバーのスロットに装填する。

 

[サイバーギア・コネクトイン!]

 

それと同時に、夏樹の前に立ち、クインビーギアマリスの攻撃をブロックする。

 

「変身!」

[百獣無双のライオンハート!ライオンギア・サイバーギアップ!]

 

その言葉と同時にレバーを引っ張り、大雄はアニマへと変身した。

 

「何よ、あんた…!」

 

クインビーギアマリスはアニマに攻撃を仕掛けるが、変身と同時に装備されたアニマルチウェポン・ソードモードによる先制攻撃を受ける。

 

「こっちだ!」

 

アニマはそういうと高校の外へとクインビーギアマリスを誘導する。

 

「なんでギアマリスが隼人さんを…?」

 

デイジーはクインビーギアマリスがなぜ夏樹に攻撃を向けたのかが気にかかっていた。

 

「もしかすると、あの怪物は…」

 

隼人は口を開いた。

 

「佐々木、何か知っているのか!?」

 

 

アニマとクインビーギアマリスの戦いは、近くの立体駐車場に移っていた。

クインビーギアマリスのスマートな戦い方にアニマは若干翻弄されるが、戦いを2度経験しているからか、若干アニマが優勢に持ち込む。

 

「なんで隼人を狙っているんだ!?目的はなんだ!?」

「あの男は、私を差し置いて、あの女をモデルに使った!私という存在がいるのに…!」

 

アニマは戦いながら、クインビーギアマリスに呼び掛け。クインビーギアマリスもそれに答えた。

 

「あの男って…どういうことだ!?」

あの男という言葉に引っ掛かったアニマの隙を見て、クインビーギアマリスは肩のハチの巣型のアーマーから、働きバチのような弾幕を張った。

その攻撃をくらったアニマは後ずさりをする。

 

「口ほどにでもないな…」

 

そういうとクインビーギアマリスのレイピアの切っ先には禍々しいエネルギーが蓄積されていく。

 

「まずい…」

 

アニマは絶体絶命の境地に立たされた。その時だった。

アニマの前に人影が立ちふさがった。

 

「…夏樹!?」

 

その人影の正体は夏樹だった。

 

「へぇ、自らやられに来たったことか?」

「あなた、写真のモデルに選ばれなかったからそうなったんでしょ」

「えっ!?」

 

夏樹の言葉にアニマは驚きの声を上げた。

 

「なんでそのことを…」

 

「もしかするとなんだけど、心当たりはあるんだ」

 

さかのぼる事数分前のことだ。校庭で隼人は焦り気味に話し始めた

 

「もしかすると、ダンス部の岩本さんなのかもしれない…」

「どういうことだ!?」

 

翼は隼人に問う。

 

「実はかなり前の話なんだけど、去年の校内パンフレットのモデルのオーディションに落とされて、写真部を恨んでいるって話をよく耳にするんだ」

「それが理由ですか!?いくら何でも小さすぎではありませんか!?」

 

デイジーも思わず驚く。それと同時に夏樹が校庭から走り出す。

 

「ちょっと、夏樹さん!?」

「とりあえず、追いかけたほうが良さそうだよな…」

 

翼たちは夏樹を追いかけた。

 

 

「ねぇ、世界にいる成功者も幾つかの失敗があって今があるって事、知らない?」

「…何を言う。当然のことよ。世界は失敗があって成功がある」

 

夏樹の言葉をクインビーギアマリスは冷たくあしらう。

 

「私が言うのもアレだけど…。テレビのアイドルのオーディションも、何百、いや何千人もいるオーディションを勝ち抜いて選ばれているの!その中には選ばれずに、涙をのんだ人だってごまんといる!その人達だって、それを糧にして次のステップを踏んでいってるの!あなたがやっていることはそういう次元じゃない、ただ逃げているだけだよ!それに、モデルになりたいって意欲がまだあるなら、諦めきれていないって証拠でしょ!?」

 

夏樹は涙声を混じらせながらクインビーギアマリスに呼び掛ける。

 

「可能性を信じようよ…。まだチャンスだって必ずあるって!そう考えれば失敗だって苦じゃない!」

「黙って聞いていれば、たかがそんなこと!!」

 

クインビーギアマリスは怒り気味に夏樹に向かう。

 

「そうだ!失敗だって、次への糧だ!だからこそ、次へ歩み続けられる…!」

 

それをアニマが遮る。

 

「失敗から逃げている者に、成功なんてない!」

「大雄さん!これを使ってください!」

 

駆け付けたデイジーがセルレオンを投げ渡した。

 

「デイジー、これって!?」

「それを使えば、一時的に敵の能力を下げることができます!」

「そうか、アレならあの働きバチを抑えられるのか!」

[モバニアルギア・セットオン!]

[ワイルドギア・セットオン!デュアル!サイバーブースト!]

 

グリップにライオンサイバーギア、剣の峰にあたるスロットにセルレオンをセット。待機音声と共に刃にエネルギーが蓄積されていく。

 

「小賢しい真似を…!」

 

クインビーギアマリスはレイピアの斬撃を飛ばすとともに、肩のアーマーから働きバチの弾幕を再び張った。

 

[ライオン!ソード!ウェポンサイバーデュアルブレイク!]

「ライオンモバイルスラァァァァァァッシュ!!」

 

アニマは縦にアニマルチウェポンを振りかざす。すると斬撃は獅子のような形状になり、働きバチの弾幕を一瞬にして消滅させた。

 

「何!?」

 

クインビーギアマリスが怯んでいる隙に、アニマは一気に接近、すれ違いざまに一刀両断した。

たまらずクインビーギアマリスは爆散。爆炎の向こうには気絶していた奈央が見えた。

 

 

数分後、葉久瑠高校とこの立体駐車場を含めて、緊急車両のサイレンの音が一体に鳴り響いていた。

「何とか、奈央さんの命には別条もないですって」

「あ、部員から返事が来た。『体調良くなりました』…って」

「もしかすると部員たちもあの女王バチの餌食になっていたのか…」

 

翼ら3人が話している光景を、大雄と夏樹はベンチで見ていた。

 

「夏樹、さっきはありがとう」

「いや、お礼を言うのはこっちのほうだよ」

「えっ?」

 

夏樹の言葉に大雄は思わず小さく驚く。

 

「だってさっきの『諦めきれていないどころか、可能性があるって思ってる』って言葉」

「あー、それか…」

「ぶっちゃけ、もう無理かなぁって思ったけど、決めた。私、アイドルになれるようにまた努力してみるよ!

 

夏樹は立ち上がり、隼人のもとへと向かう。

 

「そあの、隼人さん。今度は奈央さんをモデルにしてくれない?

「分かっているよ。奈央さんが選ばれなかった分、取り戻すつもりで撮るから!」

 

夏樹は隼人に次は奈央をモデルにしてと懇願する。隼人も笑みを浮かべながらそれを承諾していた。

 

 

「やはり潰されたか…」

 

路地裏、アーサー立体駐車場のカメラをハックして、アニマとクインビーギアマリスの戦いを見ていた。

 

「まぁ、とんでもない収穫もあったからねぇ…」

 

アーサーは別の映像に変える。

 

「まさか、驚いたなぁ。ギアマリスを刈る者はアニマ以外にもいたとはねぇ…!」

 

その映像には紫のライダーがギアトルーパーと交戦している映像だった。




お読みいただきありがとうございました。
女って怖いですね…()

というわけで相変わらず超スローペースで瞬瞬必生クオリティでお送り出来たらなぁと思います…。楽しめてもらえているのか怪しいですが()

余談ですが、奈央がステージで踊っていた曲はイメージ的にKAMEN RIDER GIRLSさんの「SSS ~Shock Shocker Shockest~」です。
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