「どう?こういうスポーツってのも悪くはないでしょ?」
「はい!とてつもなくものすごかったです!」
大雄たちはeスポーツの大会の観戦のために、市民ホールに来ていた。
3日ほど前に翼が友達である
「びっくりしたよ、まさか翼くんの友達がeスポーツプレイヤーだったなんて」
「俺も驚いたよ、チケット4枚家の郵便受けに俺宛で入っててさ、それでメールしたら『良かったら友達連れて来いよ。勝利の法則決まりすぎの俺の超天ッ才プレー、見せてやるから。それと俺の自慢の後輩、タッツーの活躍もバッチリミナー!』って、ほぼ押し付けに近かったけどな…」
翼は苦笑いで言った。
「そういうのを見るとeスポーツ自体がまだマイナーなのかもね…。あ、そういえばデイジーのいた世界にもああいうビデオゲームみたいな類ってあったの?」
大雄はふと思ったことをデイジーに問う。
「うーん、ああいうモノもあるにはあったんですが…。ああいうものじゃなくて、物とかが点みたいなので描かれて、音も物凄くチープで…」
「えっ、まさかの8ビット!?」
夏樹的には電脳世界は現実世界と異なり、進んでいると思っていたのか、電脳世界の主流ゲームがまさかの8ビットゲームということに驚きを隠せずにいた。
「あ、ピンクのボディと髪をしたキャラクターが悪者と戦うゲームはやったことあります」
「そんでまさかのマイティアクション!?」
第4話「羨望、乱入」
「さっすが俺、イカしてるぅ!」
市民会館の控室、宮本春貴はトロフィーをまじまじとスマホで撮っていた。
「『祝え!通算9度目のトロフィーゲットの瞬間を!』っと、ヒュッヒュー!」
春貴はその画像を添付してSNSに投稿した。
「さすがですね、春貴さん」
それと同時に春貴の後輩のeスポーツプレイヤーの
「お、たっつんもお疲れー!惜しいところまで行ったのになぁ~」
辰巳は準決勝に敗れ、惜しくも決勝にまで進出できなかった。
「準々決勝で負けるなんてまだまだっすよね…自分」
「んなこたぁねぇって!準々決勝出た時点で丸儲けだって、自身出せよたっつん!豆腐メンタルもほどほどにな!心廃れちまうぞ!」
「そうですよね…。それじゃ、お疲れ様です」
そういうと辰巳は控室を出る。
「春貴さんが羨ましいなぁ、僕なんかどうせ…」
辰巳はふと呟く。
「君はあの春貴という男がまぶしく見える、違うかい?」
辰巳にそんな声が後ろから聞こえた。振り向くとそこにはアーサーの姿があった。
「誰…?不審者?」
「何を言うかなぁ。私は見ての通りただの通りすがりの迷子さ」
「通りすがりの迷子…?何が何だか…」
目の前に突然現れた突然現れたアーサーと「通りすがりの迷子」という言葉もあってか辰巳は若干混乱気味になる。
「コホン、それはともかく、君は今、莫大な悩みを抱えているね…」
「悩み…?」
「逆に不審者感を煽りそうで言いたくはなかったが、私はヒトの心が見えるのだよ。つまり、君の心は私に筒抜けというわけさ。要は、君にはあの宮本春樹という男に憧れがあり、彼は太陽のように見える。君はそんな彼のような存在になりたいという願望がある。違うかい?」
辰巳は自分の思いがアーサーに筒抜けだったのか、目を見開き、黙り込む。
「おー、どうやらその動作をしたということは、図星だったようだねぇ。そんな君にプレゼントだ」
そういうとアーサーは懐からマインドギアを出す。
「なにこれ…」
「いわばお守りみたいな物さ。君が彼のようになりたい、そう祈れば…不思議なことが起こるさ」
辰巳は若干戸惑いながらも、マインドギアを受け取る。それと同時に辰巳の目が赤く光った。
「これで…あの人のようになれるのなら…僕は、どうなってもいい…!」
「そう、それでいい…」
そういうとアーサーは立ち去る。
「君の
そんな言葉を残しながら…
翌日の放課後、移動販売車が所々に停車しているセンター街の広場に春貴と大雄たちはいた。翼と春貴は友達関係であるが、ほかの高校の学生だ。
「凄かったよ。あのバンバンシューティングの決勝戦。友達の留学生も固唾を飲んで見守ってたし、eスポーツのすごさも分かったし」
「うおぉ~!それはありがとう!その留学生の子にも母国に帰ったら『ジャパンにスゲーのがいる』って伝えておいてくれよな!」
「あ、はい…」
春貴は興奮気味に答える。夏樹は若干引き気味に答える。
「ところで、なんで俺たちにチケット郵送したんだ?お前はほかにも友達いるし、別にそっちでも」
「いや~何というか、本能なのかなぁって思うんだよ」
「「本能?」」
郵送した理由が本能ということに大雄と夏樹は首をかしげる。
「いや、冗談冗談!ホントのことを言えば、俺の後輩のタッツーのプレイスタイルがどうだったか見て欲しくてな」
「タッツーって、メールの追伸で言ってたやつのことか?」
「あぁ、俺の超誇れる自慢の後輩だ!」
春貴は自信満々に言う、それほど自慢の後輩なんだろう。
「別に何とも…というか私らゲームはやるけどそんなガチ勢じゃないし…。何ならeスポーツ観戦も初めてだし…」
「うん、そんなの素人にどうだったって言われても…」
夏樹と大雄は正直に答える。
「うーん、あくまでバスケやってる身からだから碌なアドバイスはできないだろうけど、肩の力を抜いてプレイしたほうがいい結果は出せたと思うんだけどなぁ。eスポーツも個人戦であり団体戦、いくらビデオゲームと言えどもちゃんとしたスポーツだからなぁ、2回戦以降若干プレイにぶれは見られたし、恐らく準々決勝まで上り詰めるってことはなかったのか、気を抜いてしまったのが敗因でもあるっぽいけどなぁ」
そんな2人とは対照的に、翼はメモ帳を取り出し、事細かに自分なりの見解を言った。
そんな翼を2人はぽかーんと見ていることしかできなかった。
「…うーん、やっぱりそうか。サンキュ、ちょっとはいいアドバイス言うじゃねーか!」
春貴は笑いながら翼を小突く。
「よせよ、ほめても100円も出さねーよ」
「ところで、そのタッツーって人は?」
夏樹はタッツーこと辰巳のことを問いかける。
「タッツー?今日学校休んだみたいなんだよなぁ。やっぱり気にしてたのかぁ、アレ…って?」
春貴は目を凝らす、辰巳が歩いてこちらに近づいているのだ。
「タッツー!なんだ心配したぜ、学校休んだって…!」
春貴のその言葉を遮るかのごとく、辰巳は春貴を蹴り飛ばす。
「タッツー!?」
蹴り飛ばされた春貴は驚愕の表情を浮かべる。
「春貴さん、自分は苦悩してたんですよ。憧れのあなたみたいにどうすればなれるか、どうすればあなたみたいな立派なeスポーツプレイヤーになるのか…」
辰巳は懐からマインドギアを取り出す。
「あれって、デイジーが言っていたマインドギアじゃ…」
「結論が出たんですよ…。あなたを消して、自分があなたを超えると…!僕が、あなたを超えて…」
辰巳はマインドギアを胸に突き刺す。すると禍々しいエネルギーが噴出し、辰巳の体はコブラの鱗のような鎧を纏い、右腕にコブラの頭部の形のようなアームを装着したコブラギアマリスに変貌した。
「最強のeスポーツプレイヤーになると…!!」
「嘘だろ、タッツーがバケモノに…」
「春貴さん、これでゲームオーバーです。でも安心してください。あなたのセーブデータは、自分が引き継ぎますから…!」
コブラギアマリスは、右腕のコブラアームからRCA端子のような赤・黄色・白のエネルギーを纏ったコブラを春貴の方向へ放った。
しかし、突然現れたセルレオンともう1機のコンドルのような小型メカによりそれは遮られた。
「よかった、間に合いました!」
「デイジー!」
デイジーは大雄たちのもとへ駆け寄る。
「デイジー、あの鳥メカは一体何?」
夏樹はデイジーにセルレオンとは違う、もう1つの鳥型メカのことを聞く。
「あれはモバニアルギア2号機・レコンドルです。カセットレコーダーから変形するロマンあふれる…」
「とりあえず、詳細は戦い終わってからで!」
[アニマドライバー!]
[ライオンギア・ワイルドオン!]
解説しようとするデイジーを遮り、大雄はアニマドライバーを装着し、ライオンサイバーギアを起動する。
[ワイルドギア・セットオン!]
「変身!」
[百獣無双のライオンハート!ライオンギア・サイバーギアップ!]
その言葉と同時にレバーを引っ張り、大雄はアニマへと変身し、コブラギアマリスへと突撃する。
セルレオンとレコンドルはそれと入れ替わるかのようにしてデイジーの掌に納まり、ガジェットモードへと変形した。
街はずれにある廃れた建物そこはかつて、ある電機会社の社屋兼工場だったが、時代の流れによりそこから撤退。それ以来手つかずのまま、そこにある。
その建物の一室で、キーボードを操作する少年の姿がいた。
「やはり意地でもパラノイアからは手を引かないということか、アニマ…」
その少年は、モニターでアニマとコブラギアマリスの戦いを見ていた。
「だったら、挨拶でもしておいてやるか。挨拶という名の、警告を…」
少年は、モニターの電源を切り、ガンブレードのような武器と、クモが描かれたサイバーギアを手に取り、停車してあったレブル500に跨り、建物を去った。
「君はあの春貴さんの後輩なんだろう?なんでこんなことを!?」
「自分はあの人を超える存在になるため…ただそれだけだ…!」
コブラギアマリスは、再びRCA配線のカラーをした3体のコブラを召喚し、アニマに差し向ける。
アニマもアニマルチウェポン・ソードモードを手にコブラを斬ろうとするが、トリッキーな動きをするコブラに悪戦苦闘を迫られる。
「憧れの人を超えたいというのなら、努力を積み重ねればいのに…」
「したさ!何度も…それなのにあの人を超えられる気がしなかった。そこで思いついたんだ、超えられるには、目標となるものを潰すことでその人を超えられると…!」
コブラに苦戦気味のアニマにコブラギアマリスが迫る。その時だった
「やめろよタッツー!」
何者かがコブラギアマリスにしがみついた。春貴だった。
「春貴さん!?」
「俺っていう存在が、お前の生き方の足枷になっていたんだよな。今まで散々お前のことを『自慢の後輩』って言ってきたけど、俺も後ろめたさはあった。あったけど、気か付けば俺も歯止めが利かなくなってた…ごめんよ、タッツー、いや辰巳…。お前の心の闇に気付かなくて…」
春貴は涙ながらに今までのことを懺悔した。
「ライダー!助けてやってくれ、アイツの、辰巳の心の闇を…晴らしてやってくれ!!」
「分かりました。必ず心の闇を…晴らしてみせます!」
春貴はアニマに呼び掛ける。アニマはそれにサムズアップで返す。その言葉に安心感を覚えたのか、春貴はそこから離れる。
「大雄さ…ライダー、これを使ってください!」
デイジーはアニマルモードに変形したレコンドルをアニマに投げ渡す。場の空気に合わせてなのか、大雄をライダーと呼んでいた。
「…これって、もしかすると」
「つまりはそういうことです!」
デイジーの言葉を受けて、アニマはレコンドルを剣の峰にあるスロットにレコンドルを、グリップのスロットにライオンサイバーギアをセットする。
[モバニアルギア・セットオン!]
[ワイルドギア・セットオン!デュアル!サイバーブースト!]
「ふざけた真似を…するなぁ!」
コブラギアマリスは先ほどの春貴の言葉が刺さったのか、足を震え上がらせながら最後の悪あがきと言わんばかりに、右腕のコブラアームにエネルギーを充填、突撃しようとしていたが、アニマの周囲にコンドルのようなエネルギーが出現、意思を持ったかのようにしてコブラギアマリスに襲い掛かる。
「絶対に君の心の闇を、晴らしてみせる…!」
[ライオン!ソード!ウェポンサイバーデュアルブレイク!]
「ライオンレコーダースラァァァァァァッシュ!!」
アニマはそういうとコブラギアマリスに横一閃の斬撃を浴びせた。その攻撃が効いたのか、コブラギアマリスは崩れ落ちるようにして倒れ。爆散。
爆炎の向こうには、辰巳の姿があり、春貴が駆け寄り、辰巳を抱える。
「春貴…さん?」
若干ながら意識を取り戻したようで、辰巳は小さく呟く。
「ごめんな…本当にごめんな…」
「謝るのはこっちのほうですよ…。大切にしてくれていたのに、そんなのに気づかなくて…勝手に抱え込んで…」
「バカ野郎…」
春貴は涙を混じらせながら、辰巳を小突く。
「よかった…のでしょうか。あれで…」
デイジーはふと呟く。
「僕ら人間ってとてつもない闇を抱えちゃうけど、それって一時的な気がするんだ。だって、そばに仲間がいて、その思いをぶつければ、そんな闇は跡形もなく消え去る。そう思うんだ」
デイジーの言葉にアニマはそう答える。
「さてと、帰るか!」
夏樹がそういったその瞬間、銃撃音が響き、足元から火花が散った。
「な、何事!?」
「まだギアマリスがいたってのか!?」
アニマは銃撃音が鳴った方向へ振り向く。そこにはレブル500に跨った大雄と同じくらいの年齢の少年がガンブレードのような武器を構えていた。
「何あれ!?パラノイアの手先!?」
「いえ、少なくともあのような人物はパラノイア側にいなかったはずです…」
突然の乱入者にアニマはおろか、デイジーたちも驚きと恐怖を覚える。
「そこのアニマ1人とニンゲン2人と電子生命体1人に警告する…」
少年はレブル500を降りながらそう言った。
「お前らは俺がロックした…!」
「誰なんだ、お前は!?」
「俺か?俺はクラッカー・
[マスクドライザー…!]
少年・天錠剣はガンブレードのような武器・マスクドライザーを起動した。
[スパイダーギア・ワイルドオン!]
「嘘!?サイバーギア!?」
「サイバーギアはプロフェッサーしか造れないはずです…!?」
[サイバーギア・ブレイクイン…!]
中折れショットガンのように折ったマスクドライザーに蜘蛛が描かれたサイバーギア・スパイダーサイバーギアをシリンダーにセットし、ギアを回転する。
「変身」
[ナワバリ破りのトリッカー!スパイダーメイル・マスクドギアップ!]
剣はその言葉と共に引き金を引く。すると銃口からアニマの変身ゲートに似た歯車のような変身ゲートが展開され、剣の体を包み込む。それと同時に剣の身体は蜘蛛のような鎧を纏った戦士に変身した。
「へ、変身した…」
「仮面ライダートラップ、コレが俺のもう1つの姿だ…!悪いがアニマ、お前には消えてもらおう…!」
剣が変身した仮面ライダー・トラップはマスクドライザーを手にアニマに向かって突撃を始めた。
お読みいただきありがとうございました。
前の話のあとがきで「超スローペース」と言っておきながら数日後に最新話を上げるってどうかと思うんですよ俺…()
というわけで1話から地味に出ている謎の少年こと天錠 剣。そして彼が変身するトラップもよろしくお願いします。