仮面ライダーアニマ   作:ちくわぶみん

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待たせたな!(聖剣ソードライバー)

と言いつつ恐らく誰も待っていないと思いますが6話です。


第6話「逆転、飛翔せよ!」

「やはり、完全なロールアウトのためには何かが足りないのでしょうか…?」

 

平野書店の地下室、デイジーはパソコンに向き合い呟いた。パソコンの画面にはコンドルとクジラのグラフィックと「SYSTEM LOCKING....と『戦士、何のために戦う』」と書かれていた。その机には白いサイバーギアが2つ転がっている。

 

「あれ、デイジーまたそれと格闘してるの?」

「えぇ、なんとかサイバーギアのリアライズまでは完了したんですが…」

 

地下室に夏樹が入ってきた。

 

「それってパスワードとかそういうのじゃないの?」

「えぇ、キーボードを押しても何も反応しないどころか、入力のインターフェースが表示されないのを見るとパスワードではありませんね…。おそらくこの『戦士、何のために戦う』ってのがヒントなのかと」

 

デイジーはため息交じりに言った。

 

「そう言えばあの2人を見かけていませんね、どちらに?」

「あー、翼くんはバスケ部の練習試合で、大雄くんはあの心情を見る限り科学博物館に行ってるのかなぁ」

「科学博物館に?どうして?」

「大雄くんって意外ににああいうの好きだから…。全く私には男のロマンというのがよくわかんないけど…」

「いや、私は分かりますよ!この前夏樹さんのお父様から『メ滅の聖刃』のDVDを…」

 

デイジーは立ち上がるや否や、先日健介からもらったマンガの話を始めた。

 

「そういえばここにもいたぁ…」

夏樹はすっかり忘れていたデイジーのロマン好きということを思い出して嘆いた。

 

 

第6話「逆転、大飛翔!」

 

 

 葉久瑠歴史科学博物館、ここは近代日本の情報テクノロジーや工業技術の歴史を専門に様々な物が展示されている葉久瑠学園都市では有名なスポットだ。

今日は休日というのもあってか、たくさんの人で賑わっている。

その博物館内の情報テクノロジーブースに大雄はいた。そこに展示されている大型コンピュータをじっと見ていた。

 

「じいちゃん…」

大雄は呟いた。

この大型コンピュータを開発したのは、大雄の祖父にあたり、人工知能などのテクノロジー分野のエキスパートの獅戸来生なのだ。

大雄にとって、来生は憧れの存在であり、ヒーローであったが、9年前に前から患っていた肺がんでこの世を去っていた。

その功績を称え、生涯を過ごした葉久瑠学園都市の科学博物館にこのコンピュータが展示された。

大雄にとってはここに来ればいつでも来生に会える。そう思える場所がこの科学博物館なのだ。

 

「やっぱりここにいた」

 

大雄の背後から声が聞こえた。部活の練習を終えた翼だ。

 

「翼…」

「お前のことだからどうせ何かあるたびにここにいるだろうなって。そうじゃねーのか?」

「それは…」

 

翼の一言で大雄は思わず拳を握り、言葉を詰まらせる。

 

「図星なんだろ、そう言いながらお前が拳握っているってことは」

「…」

 

大雄は黙り込むしかできなかった。

 

 

「…お兄ちゃん!お兄ちゃん!!」

 

真っ暗闇の部屋、幼い少女が黒い手によってパソコンの中に引き寄せられようとしていた。

 

「結衣!」

 

少年が手を伸ばすが、その手は空を切り、少女はパソコンの中に吸い込まれていった。

 

「結衣…結衣ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」

 

少年は誰もいない部屋の中で叫ぶしかなかった。

 

「…またあの夢か…」

 

剣はふと目を覚ます。パソコンの画面には、監視カメラの映像が代わる代わる表示されていた。

 

「結衣を取り戻すためなら、たとえアニマだろうが容赦はしない…。戦士は、ライダーは、俺だけでいいんだ…」

 

そう言いながら、剣はキーボードを操作し始めた。

 

 

「やはり、『ハグルマジンシステム』を完成させるには、彼らの戦闘データと人間の負の感情がいるというわけか」

 

廃工場、アーサーはモニターに移った画面を見てそう呟く。

 

「コレを大量に消費しかねないが…背に腹は代えられないか…」

 

そういうとアーサーは、目に留まった戦闘機の模型に5個のマインドギアを入れた。

すると戦闘機の模型が人型に変形、ファイターギアマリスへと変貌した。

 

「せいぜい頑張りたまえ、尖兵クン」

「はっ!」

 

誠意いっぱいの敬礼をしたファイターギアマリスは廃工場の天井を突き破り、空高く飛んでいった。

 

 

大雄と翼は、博物館の外のベンチに座っていた。

 

「なぁ、大雄のイメージしているヒーローって、戦うことだけがヒーローなのか?」

 

翼は大雄に問いかけた。手には「オレンジンバーレモン」というエナジードリンクの缶を持っていた。

 

「いきなりどうしたの…?」

「いや、なんとなく気になったから」

 

大雄はいきなりそんなことを聞き出した翼に怪訝そうに聞き返す。

 

「なんとなくって…。そんなわけないじゃん。ヒーローって、誰かを笑顔にしたいとか、ラブ&ピースのために戦うとか…」

「それ、アイツにあるように見えるか?」

「えっ…?」

 

翼が笑いながら言った言葉にふと戸惑う大雄。アイツとは(トラップ)のことだ。

 

「まぁ、確かにヒーローって戦うことも第一だと思うけどさ。でも戦うだけのヒーローなんて、らしくないじゃん。『勇者ヒイロの冒険』のヒイロも幻夢帝国のクロノスに囚われのお姫様のサキを救うためだし、『波乱バンジョー』のリューガだって師であり親友のセントにかけられた兎の呪いを解くために戦ってんだ。物語の主人公たちってみんななんかの理由があって戦っている。そうだろ?」

「戦う理由…」

「そうですよ。戦うだけのヒーローだと、ただの戦闘マシンと同等ですからね」

 

2人は声がした方向へ振り向く、そこにはデイジーと夏樹がいた。

 

「やっぱりここにいた~…」

「というか、なんでここに?」

「何でここにって、大雄くんのことだから何か背負い込んでここにいるんじゃないかなぁって算段」

「実を言えば、一回学校の図書館とかいろんなところ探し回っていたんですけどね…」

「ちょ、デイジー!それ言わない!!」

「そのことならもう大丈夫だよ。身近なヒーローに励まされたからね」

「身近ヒーローに、ですか…?」

 

デイジーは首をかしげるが、どういう意味かを察した夏樹は翼と顔を見合わせる。

その時だった、大雄のポケットに入っていたライオンサイバーギアのアラームが鳴り響いた。

 

「場所は…近くの市民広場か…」

「大雄さん。ちょっと待ってください」

 

デイジーは大雄に白いサイバーギアを1つ投げ渡す。

 

「デイジー、これって!?」

「私、大雄さんに賭けてみようと思うんです。恐らく大雄さんの心があればメイルチェンジシステムが完全にロールアウトされるのではないかと」

「えっ、どういうこと!?」

「『戦士、何のために戦う』です!その答えを大雄さんが示せるかどうかにかかってるかもしれませんので!」

「戦士、何のため…。分かった。どうにかやってみるよ!」

 

そういうと大雄は400Xに跨り、博物館を出ていった。

 

 

市民広場に向けて400Xを飛ばす、しかし目の前にレブルに跨った剣が飛び出してきた。

大雄は急ブレーキをかける。

 

「そこをどけ!僕は急いでいるんだ!!」

大雄のその言葉を遮るかのように、剣はマスクドライザーで威嚇射撃をする。

 

「『そこをどけ?』命を拾ってもお前は愚かさは変わらんな。戦う覚悟もない腰抜けは引っ込んでろといったはずだ」

[マスクドライザー…!]

[スパイダーギア・ワイルドオン!]

 

剣はマスクドライザーを構え、スパイダーサイバーギアを起動した。

 

[サイバーギア・ブレイクイン…!]

 

マスクドライザーに蜘蛛が描かれたサイバーギア・スパイダーサイバーギアをシリンダーにセットし、ギアを回転する。

 

「変身…!」

 

[ナワバリ破りのトリッカー!スパイダーメイル・マスクドギアップ!]

 

剣はトラップに変身し、大雄に歩み寄っていく。

 

「僕が戦う理由のない腰抜けなのは分かっている」

[アニマドライバー!]

 

大雄はドライバーを装着し、手には白いサイバーギアを持っている。

 

「ほぉ、分かってるじゃねぇか」

「僕は誰かの笑顔のためになんて戦えないかもしれない。けれど、この力で僕は、知ってる誰かだけじゃなく、顔も知らない誰かの未来を切り開く!それが僕の戦う理由であり、戦う覚悟そのものだ!!」

 

その大雄の言葉に呼応して白いサイバーギアが光を発し、コンドルのグラフィックが描かれたオレンジ色のサイバーギアに変わった。

 

[コンドルギア・ワイルドオン!]

「新たなギアだと!?」

 

大雄はすかさず、コンドルサイバーギアをアニマドライバーのスロットにセット。

 

[ワイルドギア・コネクトイン!]

「変身!」

 

戦う覚悟を決めたかのような「変身」の言葉の後に、ドライバーのレバーを引く。

 

[上空アグレッサー!コンドルメイル・サイバーギアップ!]

 

3連の歯車のようなゲートが出現、赤と黄色のライオンメイルとは変わり、オレンジと戦闘機のような紺色のマーキングが特徴的のアーマーを装着していく。

 

今ここに、アニマ第2の形態(フォーム)・コンドルメイルが誕生した。

 

「穿て、コンドルハンター!」

 

その台詞と共にアニマはトラップに駆け出した。

トラップは気だるそうにマスクドライザーでアニマに弾丸を撃ち込むが、コンドルメイルとなったアニマはそれを翻し、一気に接近、トラップに飛び蹴りを浴びせた。

 

「なるほど、スピードタイプってことか!」

「なめた真似しやがって…!」

[ライザー・スラッシュ…!]

 

トラップはマスクドライザーの撃鉄を引き、アニマをたたき斬ろうとするが、アニマはマスクドライザーを踏み台にして高く跳躍した。

彼方で爆撃音が鳴り響いている。

 

「そろそろ決めないとマズい!」

[ファイナルブースト!コンドルギア・サイバーブレイク!]

 

アニマは再びグリップを引っ張る、左足エネルギーがコンドルの爪のような形状へと変化していく。

 

「コンドルソニッククラッシャー!!」

 

かかと落しの要領でトラップに一撃を放つ。その一撃を食らったトラップは吹き飛ばされ、変身を解除された。

その隙にアニマはマシングランダーで現場へと急いだ。

 

「くっ…。ヤツもメイルチェンジを扱えるようになったか…」

 

剣はそう呟いた。その剣の手には蝙蝠のグラフィックが描かれた濃紺のサイバーギアが握られていた。

 

 

「破壊!破壊!破壊!なのであります!!」

 

ファイターギアマリスは右腕の機関銃と左腕のミサイルランチャーで、目に映る全ての物を破壊しつくしていた。

 

「なにがどうなっているんだよぉ…」

 

炎と爆炎だらけの中で、1人の男性が取り残されていた。

 

「む!人間発見!破壊なのであります!」

「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

ファイターギアマリスが男性に迫る。その時だった。

マシングランダーに乗ったアニマがファイターギアマリスを刎ね飛ばした。

 

「早く逃げて!」

 

その言葉に安心した男性は、いち早くこの場を後にした。

 

「えぇい、標的をアニマに変更!破壊!破壊なのであります!!」

 

ファイターギアマリスは背面のウィングでで猛スピードで宙を舞いながら右腕の機関銃をアニマに向けて乱射するが、アニマはアニマルチウェポン・ソードモードで弾き返す。

 

「あんな銃弾の雨霰じゃ迂闊に近付けない…。どうすれば…」

 

アニマは思考を巡らせる。するとアニマルチウェポンが光を発した。

 

「そういうことか!」

 

先端のソードパーツを取り外し、ミドルパーツをグリップパーツの前に装着し、弩級型のバスターモードに変形させた。

 

「さぁ、第2ラウンドだ!」

「そんなこけおどしなど通用しないであります!」

 

そういうとファイターギアマリスはまるでハエのように飛び回りながら機関銃やミサイルランチャーを発射する。

アニマも負けじとコンドルメイルの特徴である俊敏性を利用してそれを回避する。

 

「隙の糸、見えた!!」

ファイターギアマリスの一斉掃射の隙を狙い、アニマはアニマルチウェポンの引き金を引く。

 

「なっ!?ぐぉぉぉぉぉ!!」

 

アニマの放った銃撃はファイターギアマリスのウィング部に命中。たまらず墜落する。

 

「おのれぇ、こうなれば貴様もろとも特攻で果てるであります!!!」

 

ファイターギアマリスは胸にあるボタンを押した。すると身体が赤く発光し、アニマに向かって走り出す。

 

[ワイルドギア・セットオン!サイバーブースト!]

 

アニマはコンドルサイバーギアをアニマルチウェポンにセットし、ギアを回す。

 

[コンドル!バスター!ウェポンサイバーブレイク!]

「コンドルソニックシュート!!」

 

アニマはアニマルチウェポンの引き金を引く。2対の銃口からオレンジと青のエネルギー弾が発射される。そのエネルギー弾はファイターギアマリスを貫通するほどの威力だった。

ファイターギアマリスは断末魔を上げる間もなく爆散した。

 

 

「メイルチェンジのロールアウトに成功した?」

「そうです。やっぱり大雄さんに賭けて正解だったようです」

 

平野書店の地下室、デイジーは大雄たちにそう話した。パソコンの画面にはコンドルメイルの模式図がワイヤーフレームで描かれている。

 

「いや、デイジーのおかげでもあるよ。あの時デイジーが言った『戦士、何のために戦う』って言葉、あのおかげで戦う理由を見つけ出せたし」

「へぇ~。で、その答えって?」

「知ってる誰かだけじゃなく、顔も知らない誰かの未来を切り開く、それが僕の戦う理由なのかなぁって」

「おー。なんか如何にも『ヒーロー』って感じがしてていいじゃん」

「頼んだぜ、俺らのヒーロー!」

 

翼はそういうと大雄の背中を思いっきりよく叩こうとするが、目前に現れたクジラのような小型メカが飛び込んできた。

 

「うおっ!?クジラ!?」

 

クジラメカはフラッシュで翼に目くらましを仕掛ける。すかさず翼は後ろに倒れる。

 

「デイジー、アレもモバニマルの仲間?」

 

「えぇ、モバニマル三号機・フィルマーホエールです」

 

フィルマーホエールはデイジーの手元に収まり、小型のポラロイドカメラに変形する。

 

「やっぱりレトロものなんだ…」

 

夏樹は苦笑いを浮かべながらつぶやいた。

 

 

「見事な働きだったよ。傭兵くん」

 

誰もいない廃工場、アーサーの声が大きく聞こえる。

 

「ついに完成した…。ハハハハハハハハハハハハ!!」

 

アーサーは声高らかに笑う。その手には銃のグリップのような装置が握られていた。




いやマジですみません。(リアライジング土下座インパクト)
リアルがこんな忙しくなるとは予想だにしていなかったもんだからもう…。

てなわけでフォームチェンジ登場回です。フォームチェンジ初登場はやっぱり燃えるなぁって思うんです。ちくわぶ的にはドライブのタイプワイルド登場回みたいな初戦闘がライバルってシチュエーション大好き人間なので今回はそれをやってみました。というか改めてみるとまんまだな…。
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