プリコネ短編集(仮 作:サツキ
「さーて、なんかいいクエストはないかねーっと」
その日、キャルはクエスト掲示板を見に来ていた。
彼女が所属するギルド、【美食殿】はあらゆる美食の追及・・・という名目のもと、健啖家であるペコリーヌの魔物料理が振るわれることが多い。しかし、どんなに美味しくともキャルからしてみたら、ゲテモノ料理である事に変わりなく、普通の料理が食べたい彼女の意向でクエストでお金を稼ぐ必要があった。しかし、問題であるペコリーヌがそもそも大食いであるため、クエストを吟味し、小売りのいいものを選ばなければならない。
(どうせ食べるなら、美味しくてあいつらが満足するものの方がい・・・違う違う違う! 私が美味しい物を食べるためよ!)
心の中で一人葛藤しながら睨むように掲示板に張られているクエストを眺める。
(増えすぎた魔物の討伐、薬草の採取、付近で目撃されている大型モンスターの調査・・・内容はともかく報酬がねえ)
なかなかいいクエストを見つける事ができないでいると、後方から聞きなれた大声が聞こえる。
「あ、いました。おーい、キャルちゃーーーーん!!!」
「・・・はぁ。大声で叫ばなくても聞こえるわよペコリーヌ」
声の主である少女、ペコリーヌと同じギルドメンバーであるコッコロとユウキに目を向ける。
何が楽しいのか、いつもテンションの高いペコリーヌが駆け寄ってくる様子を見るとげんなりする。なお、このとき嬉しそうに揺れる尻尾に本人は気付いていない。
「ようやく見つけました。実は今日のギルドの活動についてキャルちゃんにも話そうと思って」
「それで私を探してたってわけ?」お
「そうでございます」
途中から会話に参加するコッコロの手にはバスケットが収まっている。ほのかに食欲をそそるにおい。
「遠出? ピクニックでもする気?」
「はい! 実は気になっている場所がありまして。そこにみんなで遊びに行こうかと」
「主様も楽しみにしておられます。私もそんな主様を前につい昼食の用意に力が入ってしまいました」
心なしか、いつもよりテンションの高いユウキの横を定位置とでもいうように確保しているコッコロ。どうやらみんな準備万端のようだった。
(ま、本当は適当にクエスト終わらせたらゆっくりしようかと思ってたけど、ここまで準備できてるならいっか。三人が誘うから仕方なく。仕方なくよ)
「いいわ。行ったげる。ちょうど暇してたしね」
三人がキャルの尻尾に目が行ってたことに本人は気付いていない。
*
「いいペコリーヌ。よーく覚えておきなさい」
「なんですかキャルちゃん」
「命の危険がある状況に身を置くことを、ピクニックっては言わないのよ!!!」
同時、準備の完了が終わった魔法が自分達の背後から迫る魔物に直撃する。
「あはは、ヤバいですね☆」
「はい。ヤバいでございますペコリーヌ様。援護いたします。」
__みんな!
ユウキが持つ強化の力を受け、ペコリーヌとコッコロが駆ける。
「ありがとうございます主様。はぁっ!」
「全力全開でいきますよー!」
一閃、二閃と斬撃が魔物を切り裂いていく。
「充分に時間は稼げたわ。こいつで、トドメー!」
大規模な魔法が行使される。魔法陣が包むように視界内の魔物に展開され、連鎖するように大爆発を起こした。
「ふぅ、これでひとだんら__」
__キャル!
「え?」
ザシュ、とユウキの剣がキャルの背後から近づいていた魔物を斬りつける。倒す事は出来なかったが、戻ってきたペコリーヌとコッコロによって処理された。
「あ、ありがと」
「キャルちゃん、無事ですか!」
「ええ。こいつのおかげで無事・・・って、ペコリーヌーーー!」
「わわわ、キャルちゃん痛いです! 杖で叩かないでくださーい!」
「あんた、あんたね! これのどこがピクニックよー!」
超高度。雲を突き抜けさらに上。断崖絶壁落ちたら地上まで真っ逆さまの急勾配の山。現在美食殿の面々がいる場所だった。
「これじゃいつもの活動じゃない!」
「はい。いつもの美食探求(ピクニック)です」
「ふ~ざ~け~る~な~!」
「い、いひゃいれすひゃるひゃん! ふひゃへへまへん!」
「キャル様。落ち着いてください。野宿の準備も万端にございます」
「まさかの数日コース!? 聞いてないわよ!」
「はい! サプライズです」
「いい加減にしなさいよあんた! ぶっ殺すぞ!」
「うぅ、怒られました」
落ち込んだペコリーヌの姿を見て、ため息一つ。
「はぁ。いっそ、あんたが幼ければ私が教育し直してやるのに」
__え?
「・・・その「え?」は、なんのえ? なのかしらねぇ」
こちらに飛び火したと慌てたユウキは記憶の中から有益そうな情報を一つ思い出す。
__心当たりがある。
「「「え?」」」