吸血鬼に殺され続けるおはなし   作:微 不利袖

10 / 10
#0

 

 

どぱん

 

 

聞き慣れた音が響き、目の前にあった扉は弾け飛ぶ。木片が勢い良く顔の横を通過したのを見届け、撃ち出されるように部屋を飛び出す

 

 

「おにー...さん」

 

 

そこには、さっきのローブの襲撃者が倒れていた。そして、たくさんのナイフが刺さった、息も絶え絶えなおにーさんの姿もすぐそこに...思わず駆け寄ってしまう

 

 

「おにーさん!ねぇ!?おにーさんッ!!」

 

「......」

 

 

言葉は返ってこない。意識も殆ど無いようで、虚ろな目をしながら虚空を見つめているだけ...ただ、苦しそうに...早く、なんとかしないと...あ、ナイフ!抜いてあげなきゃ...

 

 

「ッ!?...熱いっ...?」

 

 

身体に刺さったナイフを抜こうと触れた瞬間、じゅうっ、と肉の焼ける音と共に鋭い痛みが手を襲う...な、何...?

 

 

『銀だねー...痛そー』

 

「銀...あ」

 

 

爛れた手を見て、そう言われて納得する。襲撃者の標的は多分...私とお姉さま。そういうナイフを使うのも分かる...でも、これじゃあ...

 

 

『壊しちゃえば?』

 

「え...?」

 

『おにーさん、壊しちゃえば?そっちのが早いでしょ』

 

 

壊す?...おにーさん...を?

 

 

「わ...私、が?」

 

『他に誰が居るの?』

 

 

あ......でも...でも『おにーさん、苦しそうだねー』!...私、が...壊す......

 

 

『助ける為、だっけ?ほら』

 

 

助ける、為に...私が、おにーさんを助ける為に...救う為に、壊す

 

 

ゆっくりと、手を開く

 

 

「私が助けるから...おにーさん』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『────もうすぐ死んでしまうでしょう。時間がもう、残り少ないようです』

 

 

 

『私は、不死身なんかじゃない...少し特別で、少し丈夫なだけの、至って...普通の人間』

 

 

 

『大事な家族さえ守れなかった、弱い人間です。これを読んでいる頃にはもう、死んでいるかもしれませんね』

 

 

 

『お嬢様からすれば、不良品...ですかね?恨むなら、商人を恨んで下さい』

 

 

 

『そうだ...フラン、彼女は...優しい娘です。少しやんちゃですが...』

 

 

 

『彼女なら、あんな狂気のような何かも、きっと大丈夫でしょう』

 

 

 

『書きたいことは...これくらい、ですね。案外短い気がしますが』

 

 

 

『少しの間でしたが、色々とお世話になりました。それでは────』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どぱん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『────さようなら』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼は死なない。殺しても死なない。壊しても死なない。そんな玩具を貰った少女と玩具が壊れる迄のおはなし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おにー...さん...?あ...え?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女と玩具が...壊れる迄のおはなし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




活動報告にて、完結した感想置いてますので...それでは、また別の作品で
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。