どぱん
聞き慣れた音が響き、目の前にあった扉は弾け飛ぶ。木片が勢い良く顔の横を通過したのを見届け、撃ち出されるように部屋を飛び出す
「おにー...さん」
そこには、さっきのローブの襲撃者が倒れていた。そして、たくさんのナイフが刺さった、息も絶え絶えなおにーさんの姿もすぐそこに...思わず駆け寄ってしまう
「おにーさん!ねぇ!?おにーさんッ!!」
「......」
言葉は返ってこない。意識も殆ど無いようで、虚ろな目をしながら虚空を見つめているだけ...ただ、苦しそうに...早く、なんとかしないと...あ、ナイフ!抜いてあげなきゃ...
「ッ!?...熱いっ...?」
身体に刺さったナイフを抜こうと触れた瞬間、じゅうっ、と肉の焼ける音と共に鋭い痛みが手を襲う...な、何...?
『銀だねー...痛そー』
「銀...あ」
爛れた手を見て、そう言われて納得する。襲撃者の標的は多分...私とお姉さま。そういうナイフを使うのも分かる...でも、これじゃあ...
『壊しちゃえば?』
「え...?」
『おにーさん、壊しちゃえば?そっちのが早いでしょ』
壊す?...おにーさん...を?
「わ...私、が?」
『他に誰が居るの?』
あ......でも...でも『おにーさん、苦しそうだねー』!...私、が...壊す......
『助ける為、だっけ?ほら』
助ける、為に...私が、おにーさんを助ける為に...救う為に、壊す
ゆっくりと、手を開く
「私が助けるから...おにーさん』
『────もうすぐ死んでしまうでしょう。時間がもう、残り少ないようです』
『私は、不死身なんかじゃない...少し特別で、少し丈夫なだけの、至って...普通の人間』
『大事な家族さえ守れなかった、弱い人間です。これを読んでいる頃にはもう、死んでいるかもしれませんね』
『お嬢様からすれば、不良品...ですかね?恨むなら、商人を恨んで下さい』
『そうだ...フラン、彼女は...優しい娘です。少しやんちゃですが...』
『彼女なら、あんな狂気のような何かも、きっと大丈夫でしょう』
『書きたいことは...これくらい、ですね。案外短い気がしますが』
『少しの間でしたが、色々とお世話になりました。それでは────』
どぱん
『────さようなら』
彼は死なない。殺しても死なない。壊しても死なない。そんな玩具を貰った少女と玩具が壊れる迄のおはなし。
「おにー...さん...?あ...え?』
少女と玩具が...壊れる迄のおはなし
活動報告にて、完結した感想置いてますので...それでは、また別の作品で