吸血鬼に殺され続けるおはなし   作:微 不利袖

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ゆっくり読んでいってね...なんてね


#2

 

 

私はなんの変哲もない貴族の家庭に産まれた、なんの変哲もない少年だった。

 

父と母からは甘ったるい程の愛情を込められ、可愛らしい妹と共に、なんの変哲もない屋敷で、なんの変哲もない生活を送っていた...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日、歯車は狂った。強盗の襲撃、私を含めた家族、使用人たちは皆殺しになった。

 

私が死なないことを知ったのはそれが初めてだった。強盗は私を見て驚いたものの、見世物としての価値を見たのか、私を連れ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして、私は身を売られた。見世物として、刺され、切られ、燃やされ、砕かれ、喰われ、潰され、割られ、剥がされ、千切られ...殺された

 

 

カシャン、と

 

 

死ぬ度に音が聞こえる。出どころは頭上、数字は切り替わる。2990...また減った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日、飼われていたところが襲撃を受けた。どうやら人を商品にしている一団に目を付けられたらしい。私は無論連れていかれた。また、どこかに売られるんだろうか...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「妹と遊んでやれ。それが仕事だ」

 

「はい?」

 

 

新たな飼い主の言葉に、間抜けな声が思わず口を突いて出た。目の前にいるのは年端も行かぬ少女...に見えるが、齢百は下らない吸血鬼だと言う。隠すこともせず、座る椅子の背もたれからは、蝙蝠のような羽根が覗いている。いや、それにしてもだ...

 

 

「なんだ、不満か?」

 

「...いや、てっきり見世物にでも...」

 

「そんな趣味はない。それとも何か?案外見られたがりとかか?」

 

 

誓ってそんな趣味はない。死なない私を買いつけたからには、それ相応の用途、というか...があるだろうに。それを、妹と遊んでやれ、と言われると...調子が狂うな。

 

 

「...はぁ、グズは嫌いなんだ。妹は地下だ、早急に動け、良いな?」

 

「地下?...まあ、分かりましたよ...えっと...お嬢様?」

 

「...まあ良い、とっとと行け」

 

 

呼び方は一応合っていたらしい。促されるように扉を開けると、使用人...メイドの方が道案内をしてくれるようで、大人しく後をついていくことにした。...痛かったなぁ、あの槍

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちらに妹様は居られます。くれぐれも失礼の無いように...」

 

「はぁ...ご丁寧にどうも」

 

 

多少入り組んだ道のりではあったけれど、件の地下室に辿り着いた。...この屋敷広いなぁ、迷いそうだ。どうやら私はこの屋敷の当主に買われ、使用人?のような扱いらしい。道中でメイドさんが色々教えてくれた。

 

目の前には重厚な扉。とても押し引きして開くような代物には見えない程の威圧感。そんな部屋の前に立っている。こんなところに妹さんが...ねぇ。ひとまずは入ってみようか。扉を押すと、案外軽く開いた。

 

 

「...ご武運を」

 

「?...はぁ...はい」

 

 

戦地に赴く訳でも無いが、背中にそう投げ掛けられる。まぁ、相手は吸血鬼か...そう言われれば納得だろうか。さて、なにで遊ぶのだろうか...

 

 

「?...おにーさん、だぁれ?食料?」

 

「食料て...あぁ、貴女のお姉ちゃんにね、君と遊んであげるように言われたんだ」

 

「そう、お姉様が...貴方が遊んでくれるの?」

 

「あぁ、何してあそ」

 

 

どぱん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

...また壊しちゃった。目の前にはさっきのおにーさんの下半分だけが残っている。上半分は辺りに飛び散っちゃった。ばっちい

 

 

「...つまんないの」

 

 

最近は良く人が来る。お姉様に、遊びに来た人は壊しても良いって言われたけれど...もっと丈夫な玩具が欲しいなー

 

 

「...絵本でも読もっと」

 

「ん、良いね。どれを読んで欲しい?」

 

「えっとねー...このお馬さんの」

 

 

...あれ?私意外誰も居なくなった筈なんだけど...声のする後ろを振り返る。

 

 

「ん、それはあんまり面白くなかったかなぁ...小さい頃読んだよ」

 

「...あれ?おにーさんそっくりのおにーさん」

 

「うーん、他になにか遊びたいものとか」

 

 

どぱん

 

 

同じように飛び散った。ばたりと倒れる下半分。うん、二回目。さっきとおんなじ。

 

 

「あいたた...手酷いねぇ」

 

「!」

 

 

どぱん

 

 

どぱん

 

 

どぱんどぱんどぱんどぱんどぱんどぱんどぱんどぱんどぱん

 

 

...どぱん

 

 

「...これって掃除も私の仕事?」

 

 

欲しかった壊れない玩具...私は歓喜に震えた

 

 

どぱん

 

 

 




ここまで読んで頂き感謝です、それではまた。
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