ばたん、と閉じるドアの音。どうやらおにーさんはお姉様のところに行ってしまったらしい...きっとすぐ返してくれるよね?だって私のだもん...でも
「......早く死にたい...?」
ベッドに横になったままそう復唱する。どういうことなんだろ...おにーさんは壊しても壊しても元通りだから、死んだりしないでしょ?ずっと、私の...フランの側でお話聞かせてくれる...でしょ?
壊されながら、それでも笑いながらお話してくれたおにーさん。久しく触れていなかった優しさに、壊す手を止められなかった、とっても嬉しくって、壊しつくしたくなった...でも
...急に背筋が凍りつく。血溜まりのできたこの地下室がいつにもまして狭く、冷たく...私がここに独りである、という事実を鮮明に感じさせる。撫でられた頭に残っていた温もりが、少しずつ失われていくのを感じる。やだ、怖いよ...誰か...
「...おにーさん」
疲労と恐怖に押し潰されてしまったのか、そのか細い声を最後に、私の意識は闇に閉ざされた...
「......」
「......」
酷く紅い館、その廊下を歩く私とメイドさんとの間には床を踏み鳴らす音以外、何も聞こえない。そんな沈黙が地下室からしばらく続いている。正直、少し息苦しいね...
「...あの」
「ん、なんですか?」
突然、メイドさんの方から話しかけられた。こちらを見る目には、恐怖や畏怖、困惑の色が見て取れる...ま、そりゃあそうだろう。
「貴方は、一体...」
「吸血鬼がいればこんな人間もいますよ...とだけ言っとくよ」
死なない人間なんて、おとぎ話の世界の中だけ...まぁ、吸血鬼が私にとってのソレだったけれど。残念ながら、人は未知に恐れを抱く生き物...知らない、分からないことを嫌う。
「しばらくはこの館にお世話になると思いますが、どうぞよろしく」
「...はい」
友好の印にでも、と出した右手は空を切る。...これは、嫌われてしまったかなぁ...。曲がりなりにも同じ従者、のようなものなんだけどね。再び、二人の間には長い沈黙が訪れた...
「どうだった?うちの可愛い妹は?」
「えぇ、とても可愛らしかったですよ...それこそ、何度も死んでしまうくらいにはね」
皮肉の効いた返答に、飼うことに決めた自分を褒めてやりたくなる...血が多少くどいこと以外、どこをとっても理想的な贄...従者だ。大枚はたいた甲斐もあったというものだ
「それと少し、お話ししても?」
「構わん、機嫌が良い」
なにやら、あちらから少し話したいことがあるという。まぁ、今は酷く機嫌が良い。珍しくはあるが許す...で
「して、内容は?」
「彼女は内側に何を飼っている?」
空気が凍る。私が発した殺意にも近い魔力の奔流...おっと、付き添わせたヤツが倒れたか。死んでないなら構わんが
「貴様は知らずとも良いことだ」
「彼女が私を壊すのは本心からでは無いだろう?」
「気分が悪い、話は終わりだ、さっさと部屋で休め」
「彼女は...いや、アレはなんだ?」
「...あぁ、部屋が分からんか。案内させよう」
「何故ガッ?!......ぐ、うぇ...ギッ......」
気に障る事...いや、言しか吐かぬ口に真紅の槍を見舞ってやる。少しは人の話を聞け、犬が
「二度言わすな、貴様は知らずとも良い」
「......」
よし、利口な犬で助かる。さて案内は...あぁ、そういえば...使えんな。今日はそこでおすわり、していろ
不定期気味になりますが、少しずつ進めて行きます。それでは、また