外伝マギアレコード RTA ワルプルギス討伐チャート情報提供者ルート   作:最近ハマってしまった人

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つまるところ初投稿です








Part17 走者育成日記をつけよう!

 

 

 

久しぶりに会ったソイツは随分と様変わりしているようだった。

あまりよく覚えているわけではないけど、腰に届くくらい長かった髪は肩の辺りまでバッサリと無くなってたし、髪色だって前はこんな風に薄くなってくのじゃなくて全体が綺麗な濡羽色だった。

目も2色が混ざった緑色ではなく、宝石のように透き通った青色だった気がする。でもソイツだって分かったのはそれ以外の外見の変化があまり無かったから。

 

なにより一番大きいのはあの時、あたしのハンカチを拾った銀髪のヤツが居ない事。

コイツも魔法少女だったから、きっとあの銀髪も魔法少女だったのかもしれない。それでもここで姿を見かけないのは…死んだか魔女になったかのどっちか。

魔法少女になった以上、これはもう覆せない運命なんだろうなっていうのが改めて感じられた。例えそれはあの見知らぬ人の落し物を拾った優しそうな2人組であっても。

 

なんだか面白そうな事になってるじゃん、困ってる人を救いたい『ヒーロー』さん?

 

舞台は整えた。演者も揃った。じゃあ後は幕を開けて『悪役』を探すだけ!

勿論それでコイツが食らいつかない時を考えて、大事な物を餌にして釣り上げる。あたし知ってるよ?あんなに厳重に仕舞い込んであったこの万年筆が宝物だって事。

難易度をわざわざイージーにまでしたんだからさ…見つけられるよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここか!」

 

やっと来た、来てくれた!そりゃそうだよねぇ、こんな昏倒事件を引き起こしてあんだけ悪い噂が蔓延っちゃえば、ヒーロー気取りのお前は絶対に犯人を見つけようとする。

でもその目はなんなの?他の奴らと違って明らかな憎悪がない、特に感情を抱いている訳じゃない。ただ何も感じずに人を見ているような緑色。

単純に気にくわなかったんだ。だから念のために用意しといた万年筆を取り出した。端の方に小さく『Mahiro』という文字が刻まれた、黒に金で拵えて高級感溢れる、おそらくオーダーメイドのモノを。

 

「……!…それ………。」

 

「返してほしいでしょ?」

 

『暗示』で動けないアイツの目の前までわざわざ持ってって、他のヤツには聞こえないように小声で言う。

するとさっきまでと違って、あたしに向けられていた視線が突き刺さるような視線に変わる。そうだよその目を待っていたんだ!そのまま万年筆を仕舞って、鬼ごっこを始める。神浜市一帯を使った生きるか死ぬかの鬼ごっこ!最高にワクワクしてきちゃうよねぇ?

 

 

 

そうして一番最初にやって来たのは、このゲームが始まる前とは随分と雰囲気が違くなったアイツ。

目の色を変えてまで余程必死なのか、あたしが何かを言う前に攻撃を仕掛けてきた。まだあの場を離れてから1分も過ぎてないのに追いかけてくるなんて、一体どんな手品を使ったのか、それとも数えるのが異常に早かったのかもしれない。

 

「『動くな!』………………!…へぇ、効かないんだ?」

「………………。」

 

『暗示』を使って命令したにも関わらず、アイツは魔法が効いたそぶりも見せないで、次から次へと攻撃を仕掛けてくる。

理由は分からないけど、コイツに『暗示』は効かないみたいだ。能力を打ち消すタイプの固有魔法?今まで何回かコイツがソロで魔女と戦ってるのを見てきたけど、未だに能力の詳細を把握できていない。どちらにせよ、このままだとジリ貧な事に変わりはないだろうね。

向かってくる短い槍があたしのダガーを打ち返して相殺する。絶え間なく発射されるアイツの槍は見た目に反して避けるのは簡単だけど、魔力のコントロールに長けてるのか後ろから戻ってくるのが厄介かな〜?

ダガーと槍の応酬は互いが互いを弾き合い、勢いを失って飛ばされた武器が廃墟の至る所に突き刺さる。途中で捌き切れなかった槍を杖で払って、近づくアイツに対して距離を取っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてあたしもアイツも膠着してきた頃、アイツの後ろから見たことある白色が見えたんだ。確か…和泉十七夜っていう名前のヤツで、東を率いている魔法少女。

良い機会だから隙をついて逃げようとすると、建物の隙間から差し込む月明かりを受けて、視界の端で何かが光ったのを見かけた。新しい攻撃?でも、さっきから槍の本数も減ってきて明らかに疲れてきてる。あたしよりも体力が無いみたいで、地面に片膝をついてまでこちらを見据える。

もうやめた方がいいんじゃないのか、そう言おうと口を開いて気づく。

 

 

 

何もない筈の空中が光ったんだ。

今度は…見間違いなんかじゃない。

 

 

 

不意にアイツが右手を外側へおもむろに引き寄せる。すると辺り一帯の空中が一斉に輝きだして、幾十も張り巡らされた銀色の線が見えるようになった。

 

「…っまさか⁉︎」

 

コイツの武器はあの短い槍じゃない!本当の武器は『糸』だ!

その事に気づいた時には、張った糸が刺さったままの無数のダガーを引っ張り上げ、宙に浮かんだのがこっちに降り注いでくる。

あんまりコレは使いたくなかったんだけど、そうも言っていられない。大技を使う事になっちゃうが、右手に魔力で作った雷を集めて空中のダガーに向けて放出する。

耳を塞ぎたくなるような轟音を鳴らして、元はあたしのだったダガーが散らばっていく。それらが落ちる前にアイツもう一度腕を引き寄せて同じことをしようとしていたけど……。

 

「弓有!待て!」

 

でも残念、迎えが来ちゃったみたいだね〜!それじゃこの隙にあたしは逃げさせてもらうから!

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして逃げてきたのは団地の屋上。

瀬奈は夕暮れの景色が好きだって言ってたけど、あたしはやっぱり今みたいな夜の景色の方が好き。

ちょっとここで休憩してから、また鬼ごっこを再開させよう。一息ついてフェンスの近くから外を眺める。

誰もいない静かな空間はそう長くは続かなかった。

 

「追い詰めたわよ!」

「覚悟するといい、更紗君。」

 

突然周りが魔女の結界のような空間に包まれたかと思うと、魔法少女姿の七海やちよ、和泉十七夜、そしてまだ名前を知らないアイツが乗り込んできた。

どうやらアイツはあたしが知らないモノを隠し持ってたらしい。これも多分、逃げられないようにするための処置だろう。

もう逃げ場がないから後は全力を持って命の駆け引きをするだけ!これはどっちかが死ぬまで続く鬼ごっこ!躊躇ってたらあたしが勝っちゃうよ〜?

 

でも流石に分が悪くなってきた。

ダガーはアイツが全部撃ち落としてくし、東西のベテラン達は今回の件を重く見たのか、珍しく協力して連携攻撃を入れてくる。

この場所だと魔女を乱入させる事も出来ない、やっとの事で『暗示』を使っても3人がそれぞれをカバーし合って攻撃が通らない。

あたしが疲れ切ったのを確認すると、アイツが手を上げて入り口らしき空間から続々と魔法少女達が入ってきた。

 

「サラサハンナさん!あなたは固有魔法を使ってはいけません!」

 

薙刀を持ったヤツの固有魔法によって、あたしは『上書き』ごと能力を使用することが出来なくなってしまった。集まってる面子を見るにおそらくあたしを生きて捕獲する事が狙いなんだろう。

 

「……王手、だよ。」

 

飛んできた槍の柄で手を弾かれ、アイツのカラスにソウルジェムを奪われる。そのままあたしのソウルジェムはアイツの手中に収まった。

完全に打てる手が無くなってしまったみたいだ。王手どころかチェックメイトと言わんばかりに各々の武器を向けられる。

 

悪を懲らしめるのがヒーローなのに笑っちゃうよね。大切な物を盗んだって事件を巻き起こしたって、お前はあたしにトドメを刺してこない。

 

「で、諦める気になった?」

「降参だよ降参、あたしの負け。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして魔法少女昏倒事件は収束する事になった。

常盤ななかの件とか他にもまだ色々といざこざはあったりするものの、神浜の魔法少女達はそれぞれの日常に帰る。

ただ…あたしがその中に加わった事だけが以前の神浜と違っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▶︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元悪役と仲を深めたいRTAはーじまーるよー

 

前回は『散花愁章』をなんとか無事に(?)成功する事が出来ました。拍手の使い所さん⁉︎ですよ。

しかし更紗帆奈を捕獲したばかりのため、仲間にするにはまだ足りないであろう信頼度および好感度を上げていく事を、ひとまずの目標にして今回はやっていきます。

 

とりあえずパイセンから譲り受けたキューブの空間内に帆奈ちゃんの居住空間を作ります。背景ちょっと気持ち悪いかもしれないけどそのうち慣れるっしょ(適当)

残念ながらキューブ内に水道や電気やガスは引っ張ってこれませんので、食事などは詩織ちゃんが持ち込むか制限付きで外に連れ出すかします。

勿論のこと、ソウルジェムは詩織ちゃんがいつも所持しているようにしましょう。気がついたら逃げてしまっているとか良くある事ですからね。ハンナガニゲテル!という状態になりませんように!

 

まだタイマンで外出は危険と判断されているため、一時的にみかづき荘で同居する事になりました。これはみかづき荘リターンズですね間違いない。

これから出入りするために合鍵も貰ってます。やちよさんの基準割とガバガバ過ぎない?大丈夫?このままだといろはちゃんに速攻で攻略されちゃいますよ?

まあそれは置いておきましょう。とにかく帆奈ちゃんと2人きりで出かける事はまだ許されていません。

じゃけん買い物にも人誘って行きましょうねぇ〜。

やっぱ他の人と同居するにあたってどのような事に気をつければいいのか、助言をしてもらうために連れてきました。こちらみかづき荘経営者の七海やちよさんと、たまたま付いてくる事になった御園かりんちゃんです。

主にやちよさんと詩織ちゃんのお財布にご相談しながら、必要な物を購入していきます。

 

最初は連絡用にそこそこのスマホを購入します。流石にこれからもお金使うのに、最新の機種は高くて手が出せないですし。詩織ちゃんのとやちよさんの連絡先を一応入れておきましょう。緊急時用は大切ですからね。

帆奈ちゃん用のスマホはあとでGPS設定をしておきます。一応、一応ね。普段はキューブの結界内の質量無視謎空間で生活してもらうので、これから使う機会はほとんどありませんが、他の人に預けている時は何しでかすか分からないですから。

これが君のスマホだぞ帆奈ちゃん!っておや?かりんちゃんが話しかけてますね。話が終わるまでコッチはやちよさんとお話ししてましょう。

やちよさん次は何が必要っすかね?出来ればその辺教えて欲しいんですけど…どうっすか?

 

「そうね、優先すべきは寝る場所じゃないかしら?」

 

なるほど!寝る場所は一番大事ですからね。

ベットか布団か寝袋…どれがいいですか?ふむふむ、寝袋は選択肢から除外して〜ベットか布団ですが、ここは万人受けするポピュラーなベットにしておきます。

毛布とか枕とかは帆奈ちゃんに自由に選ばせます。それでも高級なヤツは控えてほしいですけど、いずれおバイトさせるかもしれないので、前借り状態とでも思っていてください。詩織ちゃんは多分普通に気にしないでしょうが。

 

「きりんちゃんは凄いの!帆奈ちゃんも一回読んでみると良いの!」

「…見てないで止めてくんない?」

 

早速こっちは打ち解けているようです。コミュ力上がってる気がするんですが気のせいですかね。

 

そんなこんなで必要物資を買い終え、帆奈ちゃんルームが完成しました。詩織ちゃんの財布は…駄目みたいですね、後で口座から引き落としておきます。

やはり貯金はするべきですよ、休日も暇があるときはバイトしてるんで、結構お金も貯まってますしたまにはパーっと使いましょう。

ついでにかりんちゃんから『怪盗少女マジカルきりん』を貸してもらいました。帆奈ちゃんの暇潰しに活用してくれとの事です。

ポータブルDVDプレイヤーも持っておいて、詩織ちゃんが持ってた特撮セットを貸して布教しときます。オラ!お前も見るんだよ!素晴らしさを分からせてやる!

 

ところでかりんちゃんは明日何か用事あったりしますか?よければ一緒に行動して信頼度を上げたいです。

 

「明日は先輩達と固有魔法の研究をするの!」

 

はぇ〜、そうなんすねぇ〜。なんかかりんちゃん走者化進んでなぁい?おっ走者のタイムは大丈夫か?

それに詩織ちゃん付いてってもいいですかね?走者の知らない人だったらあわよくば交友関係を広げておきたいんですけど。

 

「分かったの!でも先に連絡をしておきたいの。」

 

あ、いいっすよ。許します許します。むしろコッチがいきなり押しかけた形なのに、わざわざ連絡してくれて申し訳ないくらいですよ。オッケー出たって?やったぜ。

これはもう、かりんちゃんと今回会う師匠さんに貢ぎ物を贈るしか無いな!良いぜ!金を下ろしてから良いよ来いよ!

 

 

 

「やっほー!こっちこっち!」

「ん?ああ、来たか。」

 

言われるがまま着いた場所は水徳商店街。そしてここはエミリーのお悩み相談所!居るのはエミリー先生と…みゃーこ先輩!みゃーこ先輩じゃないか!

思わぬ収穫ですねぇ……!いやでも一応詩織ちゃんの方が先輩ではあるのか?まあいいでしょう。みゃーこ先輩はみゃーこ先輩です。

初対面なので自己紹介をして連絡先を渡しておきましょう。ちなみに帆奈ちゃんにはキューブの中で引きこもってもらってます。

 

「アタシは都ひなの、噂はかねがね聞いてるぞ。」

 

この方こそが神浜のギスギス東西に挟まれる中央のまとめ役、都ひなのさんです。身長はデリケートな問題なのであまり触れないようにしましょう。

みゃーこ先輩は詩織ちゃんを除いて、やちよさんの次に活動歴が長いベテラン魔法少女です。そこそこ信頼度を上げておけば、何かと頼れる超有能先輩になります。さっすが先輩、頼りになるぜぇ!

それで今回はかりんちゃんの固有魔法の研究って聞いたんですけど、今現在でどんな風にやってるんですか?

 

「グリーフシードを用意しておいて出来る範囲で実験してるんだ。」

「もちろん他に人がいる時にやってるんだよ〜。」

 

ほーん……コレかりんちゃんすっごく強くなってる可能性ありません?少なくとも出会った頃と比べると絶対強くなってますよ。

固有魔法は結構本人の解釈次第で使い方が変わってくるところありますからね。そこに天性の閃きとベテランを加えたら、まあそりゃあまず間違いなく強くなりますよね。

最近出来るようになった事とかありますか?教えられる範囲で構わないんですけど。

 

「私の固有魔法は盗む物との距離を一気に無くす事だって気づいたの!これは新たな第一歩なの!」

 

そこまで気づいてるとは、かなり強くなってますねクォレハ………。

え、何?もしもの時を考えて怖いからやってないけど、もしかしたら姿とか時間とかも盗めるかもしれないって?

いやこわ…かりんちゃん強すぎ問題が発生しますよ?なんでそういう使い方に気づいたんですか?走者、気になります!

 

「全部きりんちゃんを読んでて思いついたの!」

 

……愛読書の『怪盗少女マジカルきりん』を読んでて思いついた?姿を借りられるってことは盗む事も出来るんじゃないか、時間泥棒って言うくらいだから時間は盗める物なんじゃないのか…だって?

それ全部出来てたらパワーバランスで不味い事になってましたねぇ!危ねぇなオイ!「きりんちゃんがそう言ってたならそうなの!」っていう感じのきりんちゃん万能説がありますねぇ!ありますあります。

結論から言っちゃうとそれらは頑張れば可能です。でもかりんちゃんが次元の狭間から戻ってこない場合もあるので、実行可能な事は言いません。そりゃあ危険だからね仕方ないね。

成功した時は簡単にいっちゃうと某怪盗3世になったり、某5部のボスになったりしちゃいます。そういう時に限って味方じゃないと絶望感が溢れ出てきますよ、ええ。何処からともなくデデドンという効果音が聞こえてきますね。

 

実は走者のボツチャートに漫画家ルートというモノがありました(過去形)怪盗少女マジカルきりんの原作者になるルートですが、安定感に欠けていたため、あえなく没送りとなりました。

というのもまず連載のため〆切で忙しくて碌に魔法少女活動が出来ず、また精神状況の落差が激しくてソウルジェムが濁りやすいというデメリットと、かりんちゃんを超強化出来るってメリットぐらいしか無かったからです。

 

これは小ネタなんですけど、周回ごとに怪盗少女マジカルきりんの展開は微妙に異なっているようです。本当に微妙な変化なので、従来のかりんちゃんになるか超強化かりんちゃんになるかの違いしかありません。

ただこの場合の超強化かりんちゃんさんが凄くてですね……まずメンタルが折れません。「強すぎる力には代償が付き物なの!」と言って魔法少女の運命を受け入れます。

そして次に悲惨な過去を持つキャラを光ゾーンへ引っ張り上げます。気がついたら帆奈ちゃんを懐柔していた狂人特攻持ちのかりんちゃんも中にはいます。

うーん、強い(確信)

 

それは置いておきましょう。

とりあえずかりんちゃんの固有魔法研究は瞬間移動の話の一歩手前あたりみたいです。なので詩織ちゃんが入れ知恵して、テレポート能力を仕込んでおきます。

射程が至近距離のみという制限がありますが、そもそもかりんちゃんが強くなればRTA的にも有利になるため、これからガンガン芸を仕込んでいきます。

ついでに後で団地組と一緒にレベリングしに行きます。レベルを上げて損という事はないですからね。

 

 

今回は談笑してここまでにしようと思います。

ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弓に矢を番えて、的を射る。

その恐ろしい程高い集中力は、途中から入ってきた私の存在すら気がつかせないようであった。

もうしばらく時間が掛かりそうだし、大人しく近くの椅子に座って待つ事にする。そして目的の人物の気が済むまで、矢の音をBGMに観察し始めてみた。

正直言って私には弓を射る事についての知識がない。そもそも縁が無かったから、知っても多分無駄な知識だったんだろうなって思う。

銀髪を一つに結んで集中している彼女は、また新たに矢を番え、的に向けてその一射を放つ。

引き絞る摩擦音がした後、綺麗になった弦の音。それから少し遅れて矢が的に届いた音が聞こえてくる。

大体的の真ん中辺り。けど彼女はそれほど当たった位置を気にしている訳ではないらしい。

以前聞いてみたら、これはただのストレス発散とのこと。だから体調が良い時はこうして、ただ射るためだけにここを訪れる。

 

『あ!   ちゃん、来てたら呼んでいいのに。』

 

『だって   は集中してる時、他の事が目に入らないし……。』

 

『いや…まあ…ごめんね?』

 

『別に気にしてないから大丈夫だよ。終わったなら家に帰ろう。』

 

『うん、じゃあ片付けが終わるまで待っててね!』

 

私に出来る事は無いから、外の自販機で無難に水を買っておく。勿論、私の分じゃなくて彼女の分。自分には温くなってる飲みかけのお茶があるし、これだけで十分だ。

玄関先から彼女が出てきたのを確認すると、あらかじめペットボトルの水を前に突き出しておく。

 

『   ちゃーん!ア゙ッ゙!冷たい!』

 

『こうでもしないと私が潰れるでしょ。』

 

『えぇー、ちょっとくらいさ?減るもんじゃないし?』

 

『………………。』

 

『ア゙ッ゙!マ゙ッ゙デ!ヅメ゙ダイ゙!』

 

泣く泣く抱きつくのを諦めた彼女は、私の手から水を受け取ると早速飲み始める。側から見ててもよく分かる豪快な飲みっぷり。

見ていてとても清々しい程だ。

帰ろうと言って歩きだす。半ば強引に手を引かれたけど一緒に帰れる時は意外に無かったから、何も言わずにそのまま付いていく事にした。

これはちょっとした話。何気ない私達の昔の話。いつまでもこのままでいてほしいっていう私の細やかな祈りを込めた、ただの変哲もない話だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

すなわち眠気を感じるので失踪します

 

余談

怪盗少女マジカルきりん万能説をここらで提唱します。

個人的な願望が多いけど、かりんちゃんには多分狂人キャラ特攻入ってそう(偏見)

 

 

 

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