外伝マギアレコード RTA ワルプルギス討伐チャート情報提供者ルート 作:最近ハマってしまった人
走者が増えて喜びを感じるので初投稿です
本編唯一の癒しポイントと言っても過言ではないRTAはーじまーるよー
前回はがっつりいろはちゃんの神浜来訪に関わり、詩織ちゃんのチュートリアル性能の高さを見せつけてやりました。
第1章をクリアしたので、今回はその続きからです。
実は次に始まる第2章『うわさの絶交ルール』は特に走者が介入せずとも、いろはちゃんとやちよさんとかもれが何とかしてくれます。
それでも時々ヤバい事になりはしますが、難易度ハードで高い安定性…誇らしくないの?
なーのーでー、今回は平凡な休憩回です。
……と行きたかったんですけどねぇ!
現在詩織ちゃんがいるのは栄区、目の前にあるのは廃墟の博物館、いつのまにか消えていたみふゆさん。そして詩織ちゃんは知らないだろうけど、走者には見覚えのある幼女、改めおガキ様。あっ……(察し)
ええ、まあ…みふゆさんに呼び出されたんですよね。
そうなるともう思いつく用事は一つです。
「あなたが噂の商人さんだね。今日は聞きたい事があってわたくしがみふゆにお願いしたの。」
「お久しぶりですね詩織さん。招待に応じて頂き、ありがとうございます。」
だってもうあからさまに狙ってますよこれ!走者には分かりますよ!詩織ちゃんをマギウスの翼に勧誘するつもりでしょう!?
と分かってはいても、今詩織ちゃんには断る術がありません。そのための理由もないですし、そもそも性格からして断れません。
謀ったなァ!梓みふゆゥ……!今まで何処で何してたんすかねぇ?(すっとぼけ)
「私は今、『魔法少女の救済』を目的とする組織に所属しています。そうですね…まずはそこからお話ししましょう。」
というわけでみふゆさんの過去語りを背景に現状を解説いたします。
実は現在の詩織ちゃん、非常にマズイ状況です。
栄区、廃墟の博物館…と聞いたら、視聴者兄貴姉貴達はピンと来るんじゃないでしょうか?
そう、第6章の舞台の『記憶ミュージアム』です。
マギウスルート走者達の間では過労死枠のウワサですね。君ちょっと…便利すぎちゃう?出来る事の応用がスゴい(小並感)
この記憶ミュージアムでは他人の記憶を人に見せて洗脳する事ができます。
しかも記憶の本を見たら記憶を抜き取られない限り、外に出られないという罠も完備しています。
詩織ちゃんも一応『使役』で似たような事は出来るんですけどね…肉体・精神操作系の魔法でかなり上の性能なので。
というか同じカテゴリの固有魔法の中でも珍しく、『使役』は物理的な操作が強いんですよ。使役槍とかがいい例です。
高度な技術とシビアなタイミングを要しますが、剣戟の最中に相手の持つ武器の操作権を奪う事だって出来ます。
相手からしたらさっきまで自分が持っていた武器が勝手に止まって、しかも自分に向かって攻撃してくるんですから凶悪極まりないです。
考えてみれば詩織ちゃん、どっかの不倫騎士みたいな技使えんのな……?
ただその戦法の欠点はビームだったり弓矢だったり、遠距離武器には効かない事です。発射する弓とかを乗っ取ればいけそうですが。
ともかく本題に戻りましょう。
今回詩織ちゃんが幸運だったのは、みかづき荘の事情をある程度知っていた事ですね。
そのおかげで魔法少女の講義に参加しなくて済むので、記憶ミュージアムを利用しなくて良くなります。
「単刀直入に聞くよ、弓有詩織。わたくし達の組織に入らない?」
勿論のこと答えはNOです。当たり前だよなぁ!?
詩織ちゃんが出した選択肢によれば、『人に優しくできないから』だそうです。そりゃマギウスの活動は一般人にも被害は及びますからね。
「商人さんも魔法少女を助けようとしてるんでしょ?だったら目的は同じだと思うけど。」
確かに魔法少女相手のグリーフシード売買はしてますけど、流石の詩織ちゃんでも一般人を巻き込んだりするのはNGです。
一応マギウスってアレな目的以外はちゃんと魔法少女救済してるんですよね…ドッペルシステムとか世界中に広まれば、今後の魔法少女問題も解決できますし……。
それでも用事が勧誘だけだったら詩織ちゃんは帰りますよ?こんな所にいられるか!走者は部屋に戻るぞ!
……ウォワーーーッ!!右腕がーーーーーッ!!!
里見灯花ッ!貴様もしかしなくとも『変換』の固有魔法を使ったな!?義手の構成魔力を『変換』しましたねコンチキショウ!
……って、あれ?待ってください。
右腕の魔力を『変換』できる事を知っててやったなら、このおガキ様は最初から詩織ちゃんが隻腕な事を知ってた事になりますよね?
詩織ちゃん、里見灯花と知り合い説が?
いやでも初期交友関係に名前は載ってませんでしたし…一方的におガキ様が知ってた方は可能性ありますね。
だけどどんなに呼びかけたところで、(マギウスの翼に入る気は)ないです。
「……それじゃあ言い方を変えるよ。有鷺詩織、本当に魔法少女の救済に興味がない?」
有鷺って誰だよ……。
んー、詩織ちゃんの前の名前とかですかね?偶に親が再婚したとか経歴にあると苗字が変わるんですよね。
それでも有鷺の方と今の詩織ちゃんが同一人物だったら、おガキ様が交友関係に載ってないのはおかしいと思うんですけど(名推理)
「……っ灯花!」
ん?おや?詩織ちゃん?また操作効かないんですけど!?ちょっと!?頼むからマギウス相手に喧嘩売るとかしないで下さいよ!
いやもうそれっぽい事してますね…よりによって暴走詩織ちゃんはおガキ様に『使役』を掛けたようです。
なんかさっき出てきた『有鷺詩織』という名前に執着してるっぽいですね。お!また経歴ガバか?
おガキ様はどうやら単純に、同じ名前で隻腕のヤツはそうそう居らへんやろ…名字変えてるって事は多分餌に使えるな!といった感じで引っ掛けただけですってよ!
正直言って走者にも詳しく分かりませんが、もしかしたら詩織ちゃんの地雷ブチ抜いてる可能性ありますねクォレハ……。
とりあえず大した情報は得られなかったのか、流れるように証拠隠滅しましたね詩織ちゃんね。
不意さえ突ければマギウスだって洗脳出来ちゃうの強いなぁ…やっぱラスボス張れるスペックしてるんだよなぁ……。
今さっき暴走詩織ちゃんがおガキ様を気絶させたように、相手の意識を落とすのにも便利な『使役』くん流石。
ついでに目撃者のみふゆさんの記憶も消して、ようやく操作権が返ってきたのでさっさと帰りますか。
ついでに置き土産としてメモを残しておきましょう。サヨナラ!
さて胡散臭い宗教組織の勧誘も断ってきた事なので、もう第2章が始まってるかどうかを確認したいですね。
というわけでちゃんと義手くんを装備して、ついでに義手くん2号達にかもれの様子を見に行ってもらいます。
詩織ちゃんはこのままお家に帰りますか…今回でマギウスの翼の情報を色々と知れたので、4章あたりからやっと情報提供する事ができます。
今の時点で知らせてもいいんじゃないか?と思う視聴者兄貴姉貴もいるでしょうが、現段階で知らせてしまうと様々なフラグが折れます。
段階追わないと展開について行けないし…ま、多少はね?
来たな義手くん2号!かもれの様子はどうでしたか?
え?なんか結界らしき謎の場所から出てきた?相手は魔女ではなかったぽいって?かもれの他にいろはちゃんとやちよさんがいた?
それってもしかして絶交階段のウワサ撃破されてませんか?
……だいぶ早くなぁい?いやまあ別にいい…いいのか?いや良いから大丈夫ですけど。間接的に走者のタイムも縮まりますし。
ん?その時に自分も援護してたって?何やってくれてんの、義手くんさぁ……。
まあ、いいでしょう。過ぎたことです。
これにて第2章『うわさの絶交ルール』クリアだな!早々に終わってしまって暇になってしまいました。
という訳でね、暇になったらやっぱここですね。ええ、ここですよここ!分かりますよねぇ!?水徳商店街の相談所ですよ!
さて今の時間は誰がいますかね〜?誰か居てくれると嬉しいんですけど。
「了解したネ、またあれば連絡してほしいネ。」
「誰からの電話だったの?蒼海幇の人?」
「あながち間違いでもないヨ、でも私の個人的な部下の方が正しいネ。」
「へぇ〜…あっ詩織さん!こんにちは!」
こんにちは〜。まあ詩織ちゃんは用事という用事もなく、ただ顔出しに来ただけですね。
奥で相談してるのは…ななかさんですか。もうすっかりここの常連客ですよね組長。そろそろ詩織ちゃんにも相談事明かしてくれないでしょうか。
ところで今日は美雨さんも相談所に来てるんですね。さっき何か電話していたみたいですが、はぇ〜…美雨さんに個人的な部下っているんすねぇ〜。
「詩織も興味あるのカ?…けど例の件の時、狙われた子の市で噂を流していた人ヨ。」
「そっか、いろはちゃん隣の市だもんね。」
これ多分『CROSS CONNECTION』の時の話ですよね。
確かいろはちゃんがスズネ=サンにロックオンされてたから、一応宝崎市にも噂を流してたんでしたっけか。
あぁ、なるほど?噂だけだと不安だから、念のためにそのまま滞在しているんですね。アフターケアもバッチリな蒼海幣をみんなヨロシクゥ!
「音楽が趣味だから何処かで聞くかもしれないネ。」
音楽やってるんすかぁ…もしギターやってたらさやかちゃんにギター教えたりできるんですかね?マギレコ時空のさやかちゃんは殆ど心配無いとはいえ、ギター時間軸なら楽器やっといた方が損は無いです。
「あの…詩織さん、ちょっといいですか?」
おっ、組長ですか。何か用ですかね?
走者側からすると組長に頼るチャートが多いので、組長から呼びかけられるの体感では少ない気がします。
それで用事って何ですか……いやちょっと待ってください!それってもしかして伝家の宝刀、壁ドンってやつじゃないですか!
「………………。」
うーん、やはり顔が良い。でもこの光景、側から見たらシュールすぎでは?
どうすればいいか戸惑いっぱなしの詩織ちゃんと、ずっと真顔のままの組長がただ向き合っているだけですよ?
他の人達に助けとか求められないですかね…あっ!そこ!そこ目を合わせてください!おっと…完全に目を逸らされています。
うん?あれ、ななかさんコレ余裕そうな表情でドヤ顔してますけど、目を閉じたまま固まってませんか?
とりあえず何かされるわけでもないなら、未だ相談事を明かしてくれない信頼度のために、組長の頭を撫でておきましょう。
ところで組長、それ以上傾くと地面に倒れてしまいますが。組長、組長…?え、待ってななかさん本当に危ないですよ!
「まだ早いようネ…。」
「うん…詩織さん、そこの椅子に寝かせてあげて……。」
じゃあ遠慮なくお借りして寝かせます。
一応働いてくれてましたけど、この調子だといつダメになるのか心配なので、貴重な詩織ちゃん枕でも提供しておきますか。
結局ななかさんの相談事は謎のまま終わってしまいましたね。
これまで色々と信頼度のために画策してきましたが、いつか本当にその謎が明かされる時は訪れるんですかねぇ……。
キリがいいので今回はここまでにします。
ご視聴ありがとうございました。
▶︎
『魔法少女の救済』。
それが現在私が所属している組織、マギウスの翼の目的です。
活動は数多く存在し、時にウワサを広めて守ったり、はたまたある時は敵だったはずの魔女を飼って保管したりします。
その影響で関係ない人々を巻き込んでいますが、ドッペルという魔法少女の魔女化を回避するシステムをもたらしたのも事実です。
残酷な真実から逃れようとした者達が集まってできたのが、このマギウスの翼という組織でした。
かくいう私…梓みふゆはマギウスの翼と、彼女達の幹部であるマギウスを繋ぐ役割を担っています。
神浜市で数多くの魔法少女を勧誘し、マギウスの翼の目的を広め規模を拡大してきました。
私を慕って集まってくれた子達のためにも、かつての親友のやっちゃんのためにも、ここで挫ける訳にはいかないんです。
「だから、私は戻るつもりはありません。」
「………そう。」
私の宣言に返された言葉はたったそれだけでした。
そう聞くと目の前にいる彼女が冷淡な性格で、他人に対して非常に無関心な人物のように思えるでしょう。
しかし弓有詩織という人物は自分にまったく利益が無いのにも関わらず、弱い魔法少女たちにグリーフシードを与えたり、郵便鴉として手紙を送り届けたりしています。
特に商人の活動は利用している魔法少女達にとって、生命線と言っても過言ではない程に重要なものです。
そういった意味では詩織さんの目的と、我々マギウスの翼の目的。目指している『魔法少女の救済』は一緒なのではないでしょうか。
だからこそ賛同してもらえないか、この記憶ミュージアムに招待してまで勧誘を行いました。
灯花も噂の商人について知りたかったのかもしれません。弓有詩織を勧誘しようと言い出したのは彼女でした。
「単刀直入に聞くよ、弓有詩織。わたくし達の組織に入らない?」
灯花の誘いに対し、詩織さんは首を横に振ります。つまるところコチラの勧誘は失敗したのでした。
最初からダメ元でやっていたところはあるので、そこまで衝撃を受けた訳ではありません。マギウスの翼をいずれ理解することにはなるでしょうから。
「……人、に…優しく…でき、ない……から…。」
確かにマギウスの翼のしていることが、素直に肯定出来るような事ではないのは分かっています。
しかし『人に危害が加わるから』などではなく、詩織さんは『人に優しく出来ないから』と断りました。
ニュアンスの違いなのでしょうか?その詩織さんの返答に、少なからず違和感を抱いたのは確かです。
用件はそれだけで済んだと思ったのか、それともただ単に顔の通り眠かっただけなのか、詩織さんは踵を返してこの場から去ろうとします。
「…………!」
その右手を掴んだのはわずかに不機嫌そうな灯花でした。
驚くべきなのはそのすぐ後の出来事です。アレを驚かずしてどうしろと言うのでしょう。
詩織さんの右腕が突如として姿を消したのですから。
話を聞くにどうやら元々、詩織さんの右腕は魔力で構成された義手だったようで、魔法によってその魔力を霧散させたそうです。
分かる人には詩織さんに触ったときから、なんとなく右腕に違和感を感じるそうで…私には全然分かりませんでした。
まあ今は置いておきましょう。
ともかく今の私は先ほどのように、場違いの感想しか頭に浮かんできませんでした。驚いて言葉を失うほかなかったんです。
呆然として立ったままの私、一通り話し終えた灯花、次の言葉を待つ詩織さん。静けさに包まれた場を破ったのは、またしても灯花の声です。
「……それじゃあ言い方を変えるよ。有鷺詩織、本当に魔法少女の救済に興味がない?」
その言葉を聞いて詩織さんは目を見開きます。
有鷺詩織…状況と詩織さんの反応から考えて、前の名前だったりもしくは本名だったりするのでしょうか。
結局のところ、私には真相を推測するぐらいしか出来ません。
「……君。」
「…っ灯花!」
詩織さんが灯花の腕を掴みかえし、魔法少女の姿に変身しました。
当然、私達に戦慄が走ります。一歩間違えると、敵対関係になるのは明白でしょう。辺りの空気を謎のプレッシャーが包んでいました。
灯花を助けに行こうとしましたが、突如何かに腕を引っ張られます。
それは光に照らされて銀色に輝く糸でした。
腕に巻きついて離れない糸は果たしていつからあったのか…いや、微かに感じるこの魔力は間違いなく詩織さんのモノです。
背筋を伝う冷や汗がこの空間の異常を語っています。言わずとも原因は弓有詩織その人でした。
「………知ってるの?」
「教えてあげてもいいけど_ッ!」
「……ねぇ、答えてよ。知ってるかどうか全部。」
前よりも語気が強まった言葉は、普段の詩織さんから考えて異質に感じます。
ひとまず灯花から詩織さんを引き離そうと武器を投げましたが、宙に浮く槍に行く手を阻まれ弾き飛ばされてしまいました。
いえ、それどころか私がこれ以上妨害出来ないように、地に伏せられ槍で磔にまでしてきます。攻撃はまるで他にも目が付いているのかと思わせる程に的確です。
「だから、何で勝手に…!」
「いいから続けて、君の知っている事を話してほしい。」
焦りを感じつつやけに詳しく語る灯花は、どこか表情と行動が一致していません。そもそも最初からこんなに説明する子ではなかった筈です。
となれば何かしらの魔法、状況から見て詩織さんの固有魔法しか考えられません。
思い返してみれば詩織さんが固有魔法らしきモノを使っているところや、誰かに詳細を話していた記憶なんてありませんでした。
彼女は徹底的に固有魔法を隠していたのです。それも今まで誰にも悟られる事なく。私達には勿論、他の魔法少女達にも。
大した腕ですよ、本当に。能ある鷹は爪を隠すとは、まさにこの事を言うのでしょう。それよりむしろ、私達が眠れる獅子を叩き起こしてしまった…という方が正しいのかもしれません。
「それだけ?それだけかぁ…ハ、ハハ… ここでの事を忘れて。」
「…何を!」
「じゃあね、おやすみ。」
おそらく気絶させられたのでしょう。崩れ落ちた灯花の体を床に寝かせると、地面に這ったまま動けない私に向かってきます。
うつ伏せで顔は見えません。しかし小さく…耳を澄ませないと聞こえない程でしたが、詩織さんから掠れるような笑い声が聞こえます。
私の気持ちを例えるのならば、蛇に睨まれた蛙でした。知っていた存在が未知に変わった時、そこに恐怖を感じるのは至って正常だと思います。
「……君もここで起きた事は忘れてよ。」
目の前に立ち止まった詩織さんが屈んで、伏せていた私はようやくその顔を見る事が出来ました。
目を細めてニッコリと笑う顔は、いつか見た詩織さんの優しい笑みとは似て非なるナニカです。
私を見る眼差しだけは依然として変わりない事が一番の恐怖でした。
「あなたは、誰なんですか…?」
率直にただただ直感で生まれた疑問は思わず口から零れ落ちます。
今の彼女が隠されていた本当の弓有詩織なのかもしれない、そういう可能性は何よりも大きかったでしょう。
しかしながら私が信じたのは、この人物は既知の弓有詩織と別人であるという勘でした。
質問を聞いてから笑っていた表情は、一転して目を閉じ何かを考え込む顔になります。
しばらくして薄く目を開けた彼女は自嘲気味に笑いかけてきます。その時だけ弓有詩織と知らない誰かが重なっているように感じました。
「………私、にも…分かん、ない…かなぁ。」
緑から分けられた色がこちらを見るのを最後に、私の意識は暗転します。
「ちょっとみふゆ〜?何であなたまで一緒に寝てるの〜!?」
「…ん、んん?あれ、ここは……。」
灯花に体を揺すられて、私は深い眠りから目を覚まします。どうやらいつのまにか眠ってしまっていたようです。
何かやっていたような気がしますが…はて、一体何をしていたんでしょうか。唸っても唸ってもその内容は詳しく思い出せません。
「今日は商人さんの勧誘がある日でしょ?まさか呼び出した方が遅刻するなんて……。」
「あ、いえ確か勧誘は失敗して終わった筈ですよ?何言っても無駄だったですよね。」
そういえばそうでした。自分から言っておいて先に自分が納得してしまいます。
確か私達は詩織さんをマギウスの翼に勧誘するために、この記憶ミュージアムに呼んで交渉をしていました。
結果はコチラ側の惨敗、詩織さんはサッサと帰って行ったのだと思われます。
一回伸びをするために立ち上がると、懐から一枚の紙の切れ端が落ちてきました。当然ですが私にはこうした紙を持っていた記憶などありません。
拾った紙には詩織さんからのメッセージが書かれていました。
二人とも疲れていたようだったから家に帰ってしっかりとした休養を取ってほしい。そんな感じの内容がそこにありました。
灯花の方にも書き置きがあったようで、僭越ながら中身を見させてもらったら、そこにはただ簡素に『交渉決裂』の文字が書かれています。
私に対しては友人としてのメッセージ、灯花に対しては商人としてのメッセージなのかもしれません。メモを読んだ灯花は更にムスッとした顔になってしまいました。詩織さんの気遣いには悪いですが、これは帰ってからも負担が続きそうです。
けれど、一つ心残りがありまして。
書き残したメモの優しさを感じて、少し背中に冷や汗が伝ったのは気のせいだったのでしょうか?
シチューが美味しいので失踪します