外伝マギアレコード RTA ワルプルギス討伐チャート情報提供者ルート   作:最近ハマってしまった人

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唐突な過去イベがいかにも続きありそうなので初投稿です










Part26 再走うわさファイル

 

 

 

 

 

 

噂の神社にお邪魔するRTAはーじまーるよー

 

 

 

前回のあらすじ。

マギウスの翼に勧誘された詩織ちゃんは、持ち前の暴走状態で難なく断る事に成功する。しかも有益な情報は得たまま証拠隠滅済み。勝ったなガハハ!

 

でもチャート上1番の癒しポイントで勧誘イベント起きるのはちょっと…といった感じです。

本来なら今後の対マギウス抗争に向けて準備していくはずだったんですけどねぇ。まあ情報が手に入ったのでいいでしょう。

 

 

 

 

それで今回は第3章『神浜うわさファイル』に干渉していきます。

タイトルはやちよさんが持っている神浜市に蔓延る噂をまとめたアイテムです。プレイヤーのメニュー画面にも同名の項目がありますね。

これは噂を聞いた時に情報が自動的に追記される便利なシステムです。中断しても見直す事が出来るので安心!

大抵は人に聞き込んだり、SNS上で発見したりすると、項目に新しく名称と詳細が記入されます。聞いただけのやつとかは未確認と出ます。

 

しかし、今回はものすごいですよ〜!

見てくださいよ!この項目件数の多さ!余裕の表情ですね、馬力が違いますよ。

ただまあ詳細を確認していないモノが大半なので、普通の噂なのか目的のウワサなのかは判明していません。

それでもやちよさんのファイルに引けを取らない程に集まってます。

 

この沢山の情報こそが情報提供者ルートの特徴です。

使い魔の義手くんや『使役』に掛かった動物達を通して構築された神浜カラスネットワーク。神浜市の隅から隅まで行き渡る地獄耳ですよ。

これらの情報を上手くみかづき荘に提供しながら、第1部を攻略していくのがメインのチャートです。

でも基本的にストーリー通りの噂を教えないと、別のサブクエが発生してロスが生まれてしまいます。

なので、このチャートで走りたい人はちゃんと渡す情報を確認してから渡してください(1敗)

 

 

 

さて今回出てくる口寄せ神社の噂ですが、SNS上で話題になっているのですぐに情報は発見できます。調査のきっかけみたいなもんですね。

コイツは夜に水名神社へ行くことで発生します。時間帯がキーワードで、10倍ポイントデーとかにならないと主人公ズが気づいてくれません。

そのため時間帯に関するヒントを出さないと、調査に時間をかけてしまい更なるロスが重なります。

 

「この最強魔法少女、由比鶴乃にお任せだよ!」

 

というわけでコチラ、万々歳の看板娘の鶴乃ちゃんでございます。

普通のRTAであればこっちからヒントを伝えるだけで、彼女が時間帯と噂を結びつけてくれるので、(主人公ズと一緒に行動する必要は)ないです。

鶴乃ちゃん色々ハイスペックなんですけどね…固有魔法も『幸運』とかいうRTA走者が欲しそうなモノですし。

これから走ろうと思っている人は、固有魔法被りで『幸運』チャート作ってみてもいいですね。乱数調整出来るだけかなり楽になると思います。

ただ彼女、持ち前の運が悪すぎて不遇な目に遭うことが大半です。願いとかみかづき荘とか…不幸が積み重なってるんだよなぁ……。

 

「ところで詩織…もう夜だけど、ホントに入ってもいいの?」

 

大丈夫ですよ!さあ入ってどうぞ。

詩織ちゃんと鶴乃ちゃんは現在、夜の水名神社にいます。絶賛不法侵入中ってわけです。

理由は言わずもがな、口寄せ神社の噂を確かめに来ました。パーティーメンバーは2人だけです。

残念なことに一緒に行動できる魔法少女が彼女しかいなくてですね…他の人達はみんな何かしらの用事だったりで都合が悪いらしいです。

だからといって帆奈ちゃんはフラグを満たしていないので使えません。そして一人で行くのも何かあったら困ります。

そのため誰かを呼んだら鶴乃ちゃんが来ました。先に万々歳で頭撫でたりハグしたりしたので大丈夫です、バッチェ甘やかしてますよ。

 

「……これに会いたい人の名前を書くのかな。」

 

ウワサの手下によって絵馬が運ばれてきました。これに書き込んでお参りするとウワサの結界内に入ることができます。

でも万が一で二人とも出られなかった場合に備えて、噂に関して分かったことをメモして義手くん2号に送ってきてもらいます。

やちよさん宛てでもいいですが、フラグの都合上めんどくさくなる事があるので、詩織ちゃんの自室に置いておきましょう。

 

 

さて肝心の詩織ちゃんの会いたい人ですが、これは選択肢と自由入力の二つが存在します。

今回は選択肢の中から選んでいこうと思ったのですが……

 

 

 

・(文字化け)

・(文字化け)

・有鷺詩織

 

 

 

…何だこの選択肢!?まともに名前が表示されているのが『有鷺詩織』しか無いじゃないか!?

っていうか唯一ちゃんと表示されてる『有鷺詩織』も大概おかしいですよ?

前回は過去の名前なのかと思いましたけど、もし自分だったらここに表示されるって詩織ちゃんの精神ヤバいのでは……?

でもまあ名前が同じだけの別人の可能性もありますね。もしかしたら本当に昔の自分が出てくるのかもしれません。

実際ここのウワサは記憶の中を参照して出してくるので、本物ではなくガッツリ偽物です。

 

まあ仕方ないです、今回は『有鷺詩織』を選択して書き込みます。

鶴乃ちゃんの方はーっと、おお『安名メル』ですね。そういえば本当に行方不明になったままでしたよ彼女…今まで音沙汰一つないってことは既に故人になってそうですが。

とりあえずお参りにイクゾー! デッデッデデデデ !(カーン)デデデデ!

 

 

 

 

 

 

 

 

へえ〜ここがウワサの結界内ですか。

それでは早速名前を書き込んだ『有鷺詩織』ちゃんを探しましょう。

 

「……………ねえ。」

 

まあ探さなくてもすぐに見つかるんですけどね。

この子が有鷺ちゃんですか…まだ幼い子供、だいたい小学生くらいですかね?ボサっとした黒髪に青目です。

ん〜?毛先の色と目の色が今と違いますけど、片腕が無いというのは共通してます。同一人物疑惑が高まってきました。

 

「本当の事に気づきながらまだ目を逸らすの?」

 

何?経歴ガバからは逃れられないことですか?それはそうなんですけども、対する詩織ちゃんがビックリするほど無表情ですね……。

いや普段から操作しているのは走者ですが、詩織ちゃんって性格『寡黙』であまり喋らない代わりに表情が変わるんですよ。割と微々たる差ではありますけど。

だからこそそんな詩織ちゃんが完全な無表情になるって相当ヤバい経歴ガバがあるのでは???

 

「今やってる事が罪滅ぼしになるとでも思ったのかな?私は知ってるよ、結局誰よりも許せないのは自分自身でしょ。」

 

ウワサによって記憶からの刺客が襲ってきてます!経歴を!経歴を確認していないから全然話が分からねぇ!

そこの有鷺ちゃんさぁ…もう少し走者にも理解できるように話をしてくれませんか?……多分しないでしょうねクォレハ………。

 

「無邪気なまま力を振るって、願いによってあったかもしれない人生を奪って、昔から君は欲張りさんだね。」

 

これ経歴知ってたらアレかもしれませんけど、話を聞く限り詩織ちゃんってかなりの悪だったのでは?

真面目に考察してみますが、まず『頑固』『寡黙』『博愛』が今の詩織ちゃんの性格です。

実は時々なにか大きな事があったりした場合、キャラの性格が変化する事がシステムの仕様で存在します。今までの経歴の中でどっかが起点となって、今の性格に変わったっていう可能性も考えられるんですよね。

もしかしなくても変わる以前の過去ガバが詩織ちゃんに刺さる?それってぇ…不味くないっすか?

 

「だけど君は悪くない。だって全て過去のことなんだから!ほらそんなに背負わないでいいよ…ここでずっと休んでいこうよ。」

 

嫌です(断言)

なんかウワサが作り出した偽物に色々言われてましたが、実はソウルジェムは別に言うほど濁っていません。うせやろ?

でも濁ってはいないだけでブチギレてはいると思います。

 

「……断るんだ。まぁ、そうだよね…いつまで経っても…っ!」

 

ちょちょちょ詩織ちゃん!?いくらムービー中じゃないからといって、いきなり短槍で突き刺すとか非常識すぎませんか!?

そのくらいブチギレていたんですか…?こわいなぁ…とづまりしとこ。これが本走のプレイヤーキャラってマ?

 

「ふふっ、話してくれないのは相変わらずだ…なぁ………。」

 

それで刺された有鷺ちゃんですけど、まあ散々言ってきた通り偽物です。

断っても本編時のみふゆさんと違って魔法少女になるとかはしなかったですね。ということは有鷺ちゃん、別に魔法少女ではないようです。

 

 

 

「あ!詩織ー!大丈夫だった!?」

 

 

 

鶴乃ちゃんの方も終わったみたいですね。もう少しかかるのかなと思いましたが、なんか早い…早くない?

ふむふむ何?先に来てたらしい魔法少女の子が助けてくれた?偽物のメルちゃんはその銀髪の子が倒したって?

いや誰ですかその魔法少女……今あたりを見渡してもそんな人どこにもいませんよ??せいぜい居るのは詩織ちゃんの義手くんくらいですがね。

 

 

 

しかし謎の魔法少女の話をする前に、早速お出ましのようです。

アレが件の第3章ボス『口寄せ神社の噂』もとい『マチビト馬のウワサ』ですね。(マチビトドラゴンでは)ないです。

コイツは『願い』に関するウワサなので、願いに対する耐性を持っています。つまり魔法少女の攻撃の大半を無力化する反則級の防御です。

倒すためには呪いをかけられるような魔法を使うか、ドッペルを出してそれでやっつけるかの二択があるでしょう。

 

 

今回は最初から倒す目的じゃないので撤退ダァ!義手くん編隊、使役槍!時間稼ぎをよろしく頼むぜ!行くぞ鶴乃ちゃん!

 

「待ってさっきの子が!」

 

何ィ!?さっきの子って謎の魔法少女ですか!?後ろの方に居るなら言って下さい!!!

……ってあれ?後ろは詩織ちゃんの置いていった時間稼ぎとマチビト馬のウワサしかいませんよ…?幻覚かなにか?

んー気にしなくていいでしょう。出てこない方が悪いんだよォ!というか使い魔ズがもたなくなるからさっさと脱出します!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとかなりましたね(経歴ガバ未遂)

 

 

こんなウワサのとこになんかいられるか!走者は家に帰るぞ!義手くん2号!やちよさんにウワサの情報を伝えといて下さい!義手くん3号は水名神社で監視しといて!

ついでに誰か死にそうになってたりしてたら助けてあげて下さい!お前らが1番の頼りだぞ!

 

 

 

 

 

本格的にガバ対策をした方が良いと思いつつ、今回はここまでにしようと思います。

ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▶︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今の神浜市にやって来るのは今日で4回目。

最初は宝崎から魔女を追ってきて、次は小さいキュゥべえと会うため、そして3回目からは消えてしまった妹…ういを探しに来た。

 

改めて思い返してみれば、神浜に来る度に何かしらの出来事に巻き込まれてる気がする。

同じ魔法少女のスズネさんに命を狙われたり、西側のベテランであるやちよさんと勝負をしたり、ももこさんと一緒にかえでちゃんとレナちゃんの仲直りを手伝ったり。

でもその過程で色々な事も知ることができた。神浜の魔法少女事情、魔女じゃない謎の怪物、ういと同室だった灯花ちゃんとねむちゃんが既に退院していること。

 

結果として色んな人に頼りっぱなしだったけど、なんとか次の目標が定まってきたと思う。

灯花ちゃんとねむちゃんに会ってういの事を聞こう。もしかしたら妹が消えてしまったことについて何か知ってるのかも。

 

 

そしてちょっとした勘ではあるけれども、噂に関係する謎の怪物が手がかりになりそうなんだ。

それで噂の調査をやるという事をももこさんに伝えたら、水名区にある神社がどうとかって話を聞いた事があるみたい。

だから今日はこうして水名区に向かおうとしたんだけど……。

 

「ここ、何処だろう…?」

 

道行く人に噂を聞き込みしながら歩いてきた筈なのに、いつのまにか辿り着いたのは暗い路地裏。

人ひとり居ない薄暗い道には、道に迷った私の足音と、数羽のカラスの鳴き声が響くだけ。

来た道を戻っていけば元の通りに出られると思っても、歩いても歩いてもさっきから同じような道ばかり。

本当に大丈夫かな?と不安になってきた時、突然どこかから声をかけられたんだ。

 

「そこの君!もしかして何かお困りかな!?」

「えっ!?だ、誰…?」

「フッフッフ!とぉーう!」

 

目の前に降りてきたというより、降ってきたのは1人の女の子。膝に悪そうな着地の仕方だった気がするけど大丈夫なのかな。

頭にある2つの大きな癖っ毛を揺らしながら、してやったりという顔で立ち上がって、自信に満ちた緑色の目で私を見る。

 

「えっと…あなたは?」

「よくぞ聞いてくれました!」

 

その一言と同時にずいっと距離が縮まって、思わず後ろに一歩下がってしまった。

自分で詰め寄りすぎたことに気づくと、「おっと失礼」と言いつつ距離を取って、コホンと改めて話を始める。

 

「私の名前は『マヒロ』!困っている子を見つけたら救いの手を差し伸べたい…ただのヒーローだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこに行っても同じような道にしか出なくて……。」

「うんうん分かるよ、路地とか廃墟とかホンット多くて困るんだよねー!」

 

マヒロちゃんは普段から配達業のアルバイトをしているらしく、そのおかげで神浜市の土地について大分詳しいみたい。

年齢…は分からない。見た感じでは私よりも年下っぽいから中学1年生あたり?

道端に落ちてる石ころを蹴ったり、身振り手振りで言葉を表現したり、そんな大きい動作をするたびに長い髪が一緒に揺れる。

インナーカラーっていうのかな、後ろの髪の内側が黒く染まってる。いや、元々黒髪でそこから外の銀髪を染めたのかも。

とにかく普通に生活してたらなかなか見かけないから、詩織さんと同じくらい不思議な髪色だなぁって思った。

 

「っと!着いた着いた、ここはいつも通ってる店なんだけどね。」

「マヒロちゃんは中華料理が好きなの?」

「ん〜?普通くらいかな。でももうすぐお昼だし、いろはもお腹空くんじゃないかなって!食べていってから行った方がいいと思うよ!」

 

マヒロちゃんに連れてこられた先は中華料理店だった。促されて『万々歳』という名前の店に入ると、店内は閑散としているようだった。

しばらく辺りを漂っていた静けさをかき消して、慌てたように聞こえてくる足音と一緒に、エプロンをつけた女の子が奥から飛び出してくる。

 

「いらっしゃい!中華飯店『万々歳』にようこそ!一名様でご来店?」

「いえ、もう一人そこに…ってあれ?」

 

店員さんの言葉に付け加えようとして後ろを振り向いたら、気がつかない間にマヒロちゃんが忽然と姿を消していた。

外に顔を出して辺りを見渡しても、結局マヒロちゃんの姿を見つけることは出来なかった。

さっきまでいた場所は足元にカラスの羽が落ちているだけで、一体マヒロちゃんはどこに行ってしまったんだろう?

 

 

そう考えてから、ふとポケットに切り取られたメモ用紙が入っているのに気がつく。

ポケットの中にメモ用紙を入れた記憶なんてなかったから不審に思っていたけれど、入っていたそれはマヒロちゃんからのメッセージだった。

 

『ごめんね!急用が入って道案内できなくなっちゃったや。一応地図も書いたけど、多分人に聞いた方が早いかも!』

 

丁寧に折りたたまれた紙には手書きの文字と簡単な地図がある。

正直に言ってまた迷わないか心配ではあるけど、ここまで親切に助けてくれたマヒロちゃんに感謝するしかない。

 

 

 

とりあえず言われた通り、お昼を食べることにしようかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▶︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分では認めたくないけれど、万々歳はあまり大繁盛しているわけじゃない。もちろん近所に住む常連の人とかは度々来てくれる。

でもやっぱり昔より客足は減っているんだろうなって思う。まあ仕方のないことではあるのだろう。前からずっと言われていたように味が50点というのが、料理店としての致命的な欠点なのかもしれない。

どうすれば味を改善できるかな?詩織はいつも食べてくれるけど、具体的な感想や点数は言ってくれないんだよね。

どこかに弟子入りして料理の腕を磨く…とか?でもどこかってどこなんだろう、詩織に聞いてみても分かる事じゃない気がする。

 

そういった事をあれこれ考えていたら、万々歳の入り口の扉が開く音が耳に届く。

店の奥の方に居たからあまり見れなかったけど、チラッと見えるアレは紛れもなく人影だ。つまりはお客さん。

勢いよく迎えにいこうとして驚かせてしまった。お客さんは一名様で、いいのかな?

 

 

やってきたお客さん…いろはちゃんはどうやら妹を探しに神浜を訪れて、その途中に手がかりとして噂について調べてるんだとか。

今調べているのが水名区で神社がどうこうって話をしてたから、多分それは口寄せ神社の噂じゃないかなと教えたんだ。

 

ちょうどいいタイミングだったのかも、ついこの間の出来事を思い返す。

 

口寄せ神社の噂。

会いたい人に会えるって話題になっているソレを私と詩織は調査していた。

私は師匠の助けになりたかったから調べてたけど、一緒にいた詩織は一体何のために調べてたんだろう。

結局のところ答えは聞けてない。でも多分、怪しいからとか一般人を危ない目に遭わせたくないからとか言われそう。

 

実際に私たちは危ない目に遭った。

あの神社で会ったメルは偽物で、他の魔法少女の子が強引に話に割り込んで、流れに押されていた私を無理矢理助けてくれた。

その女の子は今でも姿1つ見ていない。たしかに会ったはずなのに、霞のごとくどこかへ消え去ってしまった。

名前も聞けずじまいだったから、もし今度会うことができたら何かお礼をしたいな。

 

そして噂と違って結界から帰ろうとした私と詩織に向かって、魔女みたいで魔女じゃない別のものが襲ってきたんだ。

姿はそっくりで似ているのに、禍々しい魔力を持っていなかった。例えるなら…詩織が飼っているカラスに似ている魔力。

 

………………。

……魔法少女の、魔力?

 

「どうかしましたか?」

「あ、いや何でもないよ!それでね、その噂を調べるなら気をつけた方がいいと思う。」

 

得体の知れない化け物が出るから…そう言って引いてくれたらいいなって思ってたんだけど、むしろ噂に関係する化け物の方を聞いてきた。

いろはちゃんは市外から来た魔法少女だったようで、以前来たときも同じような化け物に遭遇したみたい。

この噂に関する化け物達が気になってて、妹探しの鍵になるかもしれないと調べているそう。

 

 

今にでも行動しそうで心配だったから、いろはちゃんと一緒に噂の元に向かうことにしたんだ。

でもまさか詩織がこの事を見越して、師匠を呼んでたなんて思わなかった。肝心の本人は休んでていないのに。

 

 

 

 

夜を待って神社の中に入ってから、例の化け物が出てくるまでそう時間は掛からなかった。

やちよといろはちゃんが事前に知っていたから対処が早かったというのと、一度噂に反した私が戻ってきたからだと思う。

あの時は詩織に止められて対峙しなかったけど、今度こそはコレを倒して被害を食い止めるようにするんだ。

 

「っ!?効いてない…!」

 

そこでやっとあの時何で詩織が逃げようとしたのかが分かった。私の炎もやちよ師匠の槍もいろはちゃんの矢も、全部の攻撃が通っていない様子だった。

似た出来事に遭った師匠の話によれば、あのウワサという化け物は噂に関する耐性や弱点を持っているらしい。

 

口寄せ神社の噂は会いたい人に会わせてくれる話、ある一定の手順を踏んでからお参りする事によって、私達はこの噂の結界の中に入る事が出来た。

会いたい人の名前を絵馬に書く事、神社にお参りをする事。

神さまに頼む願い事。

 

もし対峙しているウワサが『願い』に関する耐性を持っているのだとしたら、私達の攻撃が効かないのにも納得がいく。

だって魔法少女は『願い』によって力を得たのだから。その魔法少女の攻撃は『願い』と言ってもいい。

 

じゃあ魔法少女の反対になるモノは何かと言ったら、やっぱり魔女しか思い浮かばない。

絶望を振りまくような『呪い』の力がウワサの弱点?

でもそんなのどうやって確保すればいいんだろう。私達はそういう力を持ってたりしないから、魔女を連れてきてウワサにぶつけるとか?

いや…それをしたらこの結界内にいる取り込まれた人達が危なくなる危険性がある。そもそも安全に連れてこれる保証もない。

魔女を利用するなんて発想は普通出てこないと思う。こんな時に帆奈みたいな固有魔法が必要になるのかなぁ。

 

「考えてる場合じゃ…ない!」

 

今の私達に打つ手はないみたい。

もう既にいろはちゃんが倒れてしまったし、私も大技を使ってしまった。

ウワサに攻撃は通らないけど、せめて師匠といろはちゃんが結界を出るまでの時間稼ぎをしないと!

 

 

 

 

 

 

 

だけど、その必要は無かった。

いろはちゃんが魔女みたいなナニカを使ってウワサを倒したんだ。

しかもさっきまでのソウルジェムの穢れも無くなってる。今までそういう攻撃は聞いたことも見たこともない。

 

「すごいよいろはちゃん!新しい技を生み出したんだね!」

「え…え?そうなのかな……。」

 

グリーフシードも要らずに浄化するとは画期的な新技だと思う。アレが広まれば詩織もあんなに働かなくて済むのかな。

とりあえず一件落着!

いろはちゃんの妹さんが見つからなかったのは残念だったけど、ウワサをやっつけたからそのうち被害も無くなるだろう。

 

 

 

そして、終わったと一息ついて帰ろうとした私達を引き止める声があった。

 

「行かせないわ。」

 

声のした方に目を向ければ、そこには黄色い魔法少女がいた。

彼女は見滝原市から来た巴マミという魔法少女らしい。最近自分の市の魔女が少なくなっているのを不思議に思って神浜に来たみたい。

それでさっきのいろはちゃんの技を見て、いろはちゃんが魔法少女に紛れた魔女じゃないかと疑ってる。

 

剣呑な空気が流れる。多分、彼女と戦わなければならないんだろう。

相手は3人相手に余裕そうな表情。対する私達は2人が既にガス切れ、まともに戦闘できるのはいろはちゃんしかいない。

いろはちゃんもそれを理解していて自分から名乗り出たけれど、正直に言ってさっきのあの技も何かしら副作用があるかもしれない。

 

「後悔しても遅いわよ!」

 

 

 

そう言って巴マミがマスケット銃を撃とうとした時の事だった。

 

 

 

「ッ!?」

「けほっけほっ、何が起こったの?」

「……また新手…?」

 

突然、互いの間に何かが撃ち込まれた音が鳴り響き、間髪入れずに衝撃によって砂埃が私達の周りを覆う。

それぞれが武器を振るってそれを払うと、そこに見えたのは一本の槍。いかつい見た目をしたソレは見るからにやちよのモノじゃない。

 

「そこの君!黄色い魔法少女よ!今すぐに引くがいい!」

「あー!あの時の!」

「えっ!マヒロちゃん!?」

 

続けて降ってきたのは夜闇に輝く銀髪の魔法少女。見たことある…あの時神社で助けてくれた子だ!

狩衣みたいな服装の袖をたなびかせ、先ほどの槍を引き抜くと、巴マミに向かってそれを構える。

 

「あなたも見てたでしょう。いきなりやって来て魔女を庇うなんて…正気かしら?」

「正気かどうか判断は任せるけど、正しい事をしているっていう自信ならあるよ。」

「………ここは引かせてもらうわ。」

 

いろはちゃんが名前を呼んだマヒロを見て、巴マミは分が悪いと判断したのか私達に忠告して、渋々とその場を去っていく。

 

残ったのは持っていた武器を弓の形に変形させて、巴マミの去った方向をジッと見つめる彼女と私達。なんとか伝えた感謝は届いたのだろう、私達に小さくピースしたマヒロは電柱伝いに飛んで帰ろうとする。

 

 

 

「待ちなさい!」

 

 

 

それを止めたのはやちよ師匠だった。

てっきり何も用事はないかと思っていたけれど、よくよく考えてみれば師匠にとっては初対面なのかもしれない。

だから事情を聞くために引き止めたのだと思っていた。

 

「一つ質問するわ…あなた、昔身体が弱かったりしないかしら?」

「いや〜?実は生まれてこのかた、病院の世話になった事無いんだよね!」

「……本当に?」

「ほんとほんと!だからきっと君が想像しているのとは人違いなんじゃない?」

 

それだけ言い残すとマヒロはどこかへと飛んで去っていく。

その後、ちょうど遅れてやってきたももこにウワサはやっつけた事を教えて、私達はそれぞれ解散することになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただその時チラッと見えた師匠の表情は、普段見慣れぬ珍しいものだったのを覚えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 












寒くなってきたので失踪します








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