外伝マギアレコード RTA ワルプルギス討伐チャート情報提供者ルート 作:最近ハマってしまった人
描写に不安があるので初投稿です。
実はまだ開始から1日も経ってないRTAはーじまーるよー
前回のあらすじ。
モブとの信頼度イベントが終わったと思ったら、夜道に組長から声を掛けられる事案が発生。
以上!
今回はその続きからです。
ななかさんはご丁寧に名乗ってくれましたので、詩織ちゃんもお返しに会釈して名乗りましょう。
「……成る程、弓有詩織さん…ですか。いきなり不躾な事をお聞きしますが、魔法少女でいらっしゃる?」
ええ、そうっすよ?組長が最初から魔法少女の事を聞いてくるのは珍しいですね。
そっちも魔法少女ですか?何か用件があるなら早めに言ってくれると助かるな!
「では、あなたですね。私も魔法少女として噂はかねがね聞いております。」
……噂?
いやてっきり普通に知名度高くて有名なのかと思ってました。見てくださいよ、この主張が激しい活動歴5年を。ベテランと聞いてきた訳ではないんですかね?
「真偽を見極める事が難しい奇妙な噂が多いですが、今回は本当の事だったようですね。」
えーちなみにどんな噂なんですか?私にも教えて下さいよ〜?
走者は噂について何も知りませんけど、詩織ちゃんの反応を見るにどうやら心当たりがあるようです。え、また経歴ガバなのか?お前ぇ……。
「魔法少女達の為にグリーフシードを売っている商人。しかも、何処にも所属していないのに1人で魔女を狩り続けている、と。」
あっ、それ(商売)か〜!
モブとの信頼度イベントすら巻き起こす詩織ちゃんの名声が早速効きましたね!
まあ話に嘘偽りはないので肯定しましょう。多分商人の話が曖昧なのは、商売対象の魔法少女が弱い部類の子達限定だからです。その子達から周りに漏れ出し、伝わる間に尾ひれが付いて、組長が会いに来てくれる程の噂話になったんでしょう。
ところでそろそろ本題に入ってくれませんか?
「単刀直入にお聞きします。私と組む気はありませんか?」
来ましたね……。
この一連のイベントは、組長がプレイヤーをチームのメンバーに勧誘するイベントです。ソシャゲ版でマミさんが同じように声をかけられています。
発生条件として、キャラの能力値の合計が一定以上、神浜市の中でそれなりの規模で噂されている、といった事が挙げられます。更にそれらを達成した上に確率で発生します。
ここではななか組に入るかどうかを選択できますね。詩織ちゃんは後ろから情報提供するだけの人になりたいので、(どこかのチームに入る予定は)ないです。
でもだからといって、ここで組長との縁を切るのはとても勿体ないです。折角お会いできたんだし、こちとら商人ぞ!?簡単には請け負えねぇぜ!といった感じにやんわりと伝えましょう。
残念ですけど、組長の力にはなれそうにありません。勿論断る時は理由も一緒に伝えて下さい。
「そうですか…致し方ありません。それでは代わりと言ってはなんですが……。
私と戦っていただけますでしょうか?」
ご覧の通りななかさんは勧誘を断ると、代わりに手合わせしましょうと提案してきます。
マミさんの時と同様、手合わせの前に条件を突きつけることも可能です。そうすれば平和的な解決が行えるのですが……。
見て下さいよ〜この辺り一帯の暗さ。
もうすっかり真夜中ですよ?
これでは「これから一杯…どう?」と組長を誘うことが出来ません。
昼間に勧誘されたなら、ファミレスでドリンクバーを布教して、地道に好感度を稼ぎつつ話し合いが出来ます。アザレア前の組長は未だドリンクバーとの邂逅を果たしていないからこそ取れる手段です。
詩織ちゃんは18歳ですが、こんな時間に中学生を連れてファミレスへ行くことは出来ません。それが良いところのお嬢様なら尚更です。
というかこのお嬢様はなんで夜中に出歩いてるんですか?ゲームだからと言えばそれまでなんですけど。
さて、さっきの話で「今度お茶しましょうと誘えばいいじゃん!」と思う兄貴姉貴、いらっしゃることでしょう。
率直に言えば、それは出来ません。
何故なら、ここで逃してしまえば詩織ちゃんに警戒されてしまい、今後の接触ができなくなると考えているからですね。
イベント発生のタイミングが不味すぎるッピ!
ですのでぇ……現在詩織ちゃんが取れる方法はただ一つ。
「では……いざ尋常に!」
答えはコレ!
『魔法少女 常盤ななか』戦です!
このチャート初の対人戦が組長とはたまげたなぁ……。
ななかさんはノーマルでも尋常ならざる強さを誇ります。今の難易度はハードなので、通常よりももっと強いです。
幸いにもこのイベント戦は、勝っても負けても問題ない時間制限付きの模擬戦です。グリーフシードは詩織ちゃんが常備しているので魔力は気にせず戦いましょう。
しかし勧誘イベントの発生条件の通り、この戦闘は熟練プレイヤーを想定して作られています。そのため、組長の強さもそれを考えて設定されていて、そこそこ真面目にやらないと引き分けにすらなりません。
大抵のプレイヤーは勝つ前に時間制限が来て引き分けです。実質グリーフシードを1つも使わないようにする耐久戦だぞ!
だからか、組長の体勢を崩すだけで勝利判定が貰えます。それが凄く難しいんですけどね!
しかも、この勝負で負けてしまうと組長から
「はぁ〜つっかえ…辞めたら?この仕事。」
という感じ(あくまでイメージ)に思われ、詩織ちゃんのイメージが下がってしまいます。手を抜かずに全力で行きましょう。
ただ鶴乃ちゃんとの修行と同じく、この戦闘で得られる経験値は非常に美味しいものです。
走者は運が良いなぁ…(顔面蒼白)。
組長の戦い方はソシャゲで本人が言及しているように、出方を伺ってから相手を見極め、こちらの攻め所を探して揺さぶってきます。
本人が言うには単純な戦い方ですが、これがまた強さを際立たせてきます。流石水のブラストゴリラの中に入るキャラですね……。
詩織ちゃんが接近して近接攻撃なんてするのは、最初の作戦がイマイチだった時の次の手段です。
義手くんは対人戦なので極力外したくありませんし、2体目を呼ぶのは微々たる差ですが消費が普段の倍になりますね、『使役』で洗脳しようにも精神値が高い組長相手では失敗に終わります。
ここはお互いの間合いを考慮して、詩織ちゃんは攻撃する隙を与えない遠距離砲台になりましょう。近づかれたらなるべく別の所へ退避します。
どうしようもなくなったらプラン変更です。
ななかさんの武器は大小ある日本刀で基本近接しかしてきませんが、試走中たまに鞘をぶん投げて遠距離攻撃をしてくるタイプもいました。
今は双方動かずに睨み合ってますけど、こちらが動かないと見た場合、大体初手に居合で攻撃してきます。
おっわ!危ねぇ!今のように近づいて切ってきます!
やめろォ!(建前)やめろォ!(本音)
すぐさま『使役』を掛けた槍で攻撃して後ろに引かせ、詩織ちゃんも組長から距離を取りましょう。
十分離れたら短槍を発射して遠距離から攻めます。
オラ!槍の雨だぞ!食らえ食らえ!当たんねぇじゃねぇかよ!オイ!
発射してる短槍をいくつか『使役』で再利用し、少しでも武器生成の魔力を抑えます。
中には後ろから戻ってくるモノも織り交ぜてますが、流石と言うべきか全然当たってくれません。
なんだお前!?後ろにも目付いてんのか!?
こっちは絶え間なく槍を発射して魔力を消費!あっちは絶え間なく回避して体力を消費!
ずっと膠着状態が続いてますね……。
いくらテクニカルタイプのステータスとはいえ、このままだとタイムリミットまでに詩織ちゃんがもたない!
当たれ!当たってくれ!お願いします!
予定していた作戦Bを使いましょう!
前述したように接近戦は危険ですが、当たらなければどうということはねぇよなぁ!?
『使役』してる短槍以外を消して、第2の義手くん(鳥形態)を召喚し、コンビネーションアタックで組長に突っ込みます。
攻撃!回避!回避回避!攻撃!
進展なさスギィ!このイベントでどんだけ強化されているんだ組長……。
うーん、攻撃の応酬が次の一手にまで届きません。2対1でも駄目すか!?
……ええい!仕方ない!オリチャー発動です!
まだ試してなかったから運用したくなかった奥の手を使いましょう。
まどマギ全般に言えますが、魔法の使い道は解釈によって出来ることが違うというのは皆さん知ってますよね!?
これは詩織ちゃんが義手で、それが使い魔だからこそ出来る技です。
前回の魔女数体との連戦中に思いついたので、一か八か出来るかどうかすら試してませんが、ゲームシステムの仕様上問題は無いはず!
使い魔が魔力によって出来ているなら、この右腕は魔力で構成された、謂わばびっくりどっきりなマジカルアームな訳です。
なーのーでー……
「…ッ!?」
実験は成功!成功です!見ましたか今の!
いきなり腕からパイルバンカーの如く飛び出た短槍で、組長のバランスを崩す事に成功しました!
そこにすかさず槍を突きつけます。
後から見返すとコレ、詩織ちゃんはこの初見殺しで勝つしか手段残ってなかったんですね…。手合わせ終了までの時間制限までが長すぎたんだ……。
勝利条件満たしたぞ常盤ななかァ!これでもまだ続けるかァ!?オイ!
「……見事ですね…。参りました。」
やった詩織ちゃん大勝利!
ななかさんに勝利した事によって経験値がものすごい勢いでもらえます。どういうことだ…モブ信頼度イベントの魔女戦より稼げてるじゃないか……。
では友情の証兼イベント経験値のお礼として、グリーフシードと飴ちゃんをプレゼントしましょう。受け取れぇ!
「ありがとうございます。……あなたはとてもお強い方ですね。」
そりゃ(活動歴5年の大ベテランなら)そう(イベント組長との手合わせも出来る)よ。
ところでもう既に真夜中ですよ?ななかさんも早く家に帰った方がいいんじゃないすかね?
走者も集中して疲れたので、詩織ちゃんを帰宅させたいんですけども。
「貴重な経験を積める良い機会でした。それでは…。」
あっ、おい待てぃ。
組む気は無いけど避ける気も無いから、お互い協力するくらいなら大丈夫だぞぅ!
はいコレ詩織ちゃんの連絡先な。なんかあったら連絡してくれよ〜。
それじゃあの!気をつけて帰れよ!
飴を頬張りながら家に帰ります。
今日はもう遅いので、おやすみなさ〜い。
おっはようございまーす。
う〜ん、今日もいい天気☆
本日は平日みたいですね。詩織ちゃんは学校に通ってないので関係有りませんが。
午前中は万々歳でシフトが入っております。鶴乃ちゃんが学校に行っている間、代わりに勤務してるそうです。
では早速万々歳へ行きます……が、ミニゲームばっかで単調すぎるので…
シフトが終了するまで倍速します。(無慈悲)
おやっさーん、私はお先に失礼するね〜。
というわけで午後になってバイトが終わりました。この後は魔女狩りをしに行きます。日課です。なるべく人気が無い所を進むようにしましょう。
義手くんは鳥型にして情報を駆け集めてもらいます。その中で売買のお手紙が来たら営業しに行きます。詩織ちゃん自身も商売のチャンスがあれば稼ぎにいきます。
人に会う時に義手くんを装備することを忘れないようにしましょう。
はい、いつもの倍速です。
動画の見栄えが無いやん!どうしてくれんの?どうしようもないです……。
話す事がないので、現在の時系列を整理しつつ今後の予定を話題に出します。
基本はバイトしてモブ相手に商売しつつ魔女を狩ります。
序盤が色々と濃すぎただけで、普通の日は特に何か起こらない限りは倍速するだけですね。再三言いますが(見栄えは)ないです。
何故か初日だけ他の日に比べて、イベントの発生率が高いんですよ。
もうななかさんに会う事は出来ましたので、今後は神浜カラスネットワークを駆使しつつ、原作通りに話が進むよう調整します。
ネームドキャラがちゃんと魔法少女になっているかどうかとかね。きちんと監視の目を張りましょう。
そしておそらく次に遭遇するイベントは、安名メルの魔女化イベントだと思われます。原作通りの流れを維持するためには割り切るしかないです。
タイミングについては万々歳が忙しくなる日が目安です。
ここで万々歳シフトが活きてくるぞぉ!
勿論人手の関係上、アルバイトの詩織ちゃんも店に勤務する事になります。
いくらグリーフシードを常備する子でも、その場に居なけりゃ助けられないんだぜ……。
その際、やちよさん達から魔女化の事を伝えられるかどうかは分かりませんが、もし真実を聞いたとしても鶴乃ちゃんには伝えないようにしましょう。
伝えちゃったら第6章で記憶ミュージアム行けなくなっちゃうからね。仕方ないね。
私が一番気になるのは、知人が亡くなったと知った時の詩織ちゃんのソウルジェムの濁り具合です。
自分の為にもグリーフシードは切らさないようにしましょう(戒め)。
まあそんな事を言いつつも、今のところの小目標は次のように。
エミリーのお悩み相談室が出来ているかどうかを確認し、出来ていない場合は無事に開設させる事、です。
難易度ハードの神浜だと心配過ぎて……ね?
そのため時間があれば、毎日のように水徳商店街に寄っていきます。
商店街の一角に机と椅子が設置されていれば、相談室はもう既に出来ている証です。
行っても詩織ちゃんが相談することは特に無いですが、ここでは多くの魔法少女と知り合う事が可能になります。
エミリー先生のコミュ力が凄いんだなコレが。
ちなみに放置してても、そのうち鶴乃ちゃんが「ここの先生は凄いんだよ!」と教えてくれます。
開始2日目の今日では、まだ相談室は出来ていないみたいですね。
もうすぐ夕方になります。良い子はお家へ帰りましょう。
この時間帯になったら迷わず帰宅して、義手くん(鳥形態)を空へ飛ばしておきます。商売チャンスがあったら漏れなく営業を行なって、それ以外は神浜市内の情報収集に明け暮れましょう。
ここまでくれば残ったのは単純な作業だけなので、今回はここまでにしようと思います。
後ろの尺あまりは全て倍速された作業風景だけです。
それでは、ご視聴ありがとうございました。
▶︎
「あ、そうだ。ななかは『商人の噂』って聞いた事ある?」
「いえ、聞いたことありませんね。どのような噂でしょうか?」
魔法少女の仲間を増やそうと色々策を巡らせている頃、最初にチームメンバーになったあきらさんからそんな話を聞いた。
『商人の噂』。
なんでも、魔法少女相手にグリーフシードの売買をする人が居るという。
詳しく話を伺うも総じて名前は分からなったらしい。
なんとなく気になった私は調査の結果、その商人の容姿を掴む事が出来た。
曰く、鴉のような魔法少女。
何処に所属する事も無く、1人で魔女を狩っては対価と引き換えにグリーフシードをくれる存在。
ソロで活動しているのに、グリーフシードを他人に分け与える事が出来る程、その魔法少女は強いのだろうか。
調べていく内にますます興味を持った私は、活動時間を夜に伸ばしてまで『商人』を探す事にした。
その日の夕方は、何故か一箇所に集まっている魔女が多かった。
あきらさんとは既に別れてしまっていたため、危険になったら深追いはしないようにしつつ、数体は狩っておこうとしていた。
最初に入ろうとした結界の中には、別の魔法少女が先に入っていて、あと少しで狩り終わるのだろう。
周辺は魔女が集まっているようだから別の結界を探そう、そう思ったところで丁度結界が消え、中から魔法少女が出てきた。
彼女はおそらく急いでいたのだろう。戦いが終わるとすぐさま別の結界へ行き、そして魔女を倒すという事を繰り返しているようだった。
しかし何より私の目に留まったのは、その衣装。
嘴のようなバイザー、鎧の上にある黒い羽織。もしかしたら彼女が噂の商人なのかもしれない。
成る程そう思うと、見れば見るほど黒い衣装で、鴉と揶揄されるのも理解出来る。
これだけ魔女と連戦をしても、疲れる事を知らないようなその実力。チームに勧誘するのにも申し分無いだろう。
彼女を眺めているうちに、辺りは次第に暗くなってきた。
いつまで狩り続けるのだろうか。そう疑問に思っていると、周囲の魔女より明らかに強い魔力を感じる。
どうやら彼女はその魔女が目的のようで、魔力を探知すると、結界へ一直線に向かい始めた。
槍をまるで銃弾のように軽々と降らし、最後は懐に潜り込み、手元の槍で巨体を薙ぎ払った。
その魔女を倒した頃、ようやく彼女は魔女探しを終えて、帰路に着こうとしていた。
次にいつ出会えるのか分からない。
だから私は変身を解いた彼女に声を掛ける事にした。
私の声に振り向いた彼女は、眠そうながらも強い意志を感じさせる目でこちらを見やり、静かに話の続きを促した。
こちらが名乗りを上げると、お返しとばかりに会釈してその名前を言う。
「…………弓有、詩織。」
それ以上の事は何も言わなかった。でもこの反応は、おそらく自分が何故呼びかけられたかを薄々勘付いている。
前置きとして彼女の噂を聞きつけた話はしたが、結局直ぐに本題に入り始めた。
チームに誘う事。
半分くらいは興味本位でもあったが、概ねそれが目的で尾けてきている。
彼女は幾ばくか間を置いた後に、その首を横に振って勧誘を断った。
ここまでは想定通りだ。きっと今まで通り1人で活動しようとするのも。
実力のある人物と対戦する事は自分にとって良い経験になる。実際彼女がベテランなのかどうかすら私は知らないが、先程までの戦いぶりを見て、実力に値する人だとは分かっていた。
勧誘の代わりに手合わせを願うと、彼女は先程よりも長く考えて、最終的には縦に頷いた。
互いに変身してからは読み合いが始まった。
私は最初の一太刀こそ間合いに踏み込めたものの、宙に浮く槍に行く手を阻まれて距離を取らざるを得なくなる。
彼女は魔法少女独自の物理法則を無視した戦い方を扱うようで、逃げ道こそあるものの近付く事は出来ないよう、的確に得物の槍を降らせてきた。
中には回避しても後ろからまた戻ってくる槍があり、攻め込む隙を探しつつ全方位に気を配らなければならない事を余儀なくされた。
これでは防戦一方で、そのうち疲弊して動きが鈍くなってしまう。
相手を弱らせる事…それが目的なのだろうか。
しかしながら彼女も彼女で消費が激しいらしく、槍の操作に集中力を使うのか、やがては顔の眉間が険しくなっていく。
途中で降り注ぐ槍の雨が…そのうちの数本を残して忽然と姿を消す。
その代わりに大きいカラスのようなモノを呼び出して、こちらに接近戦を仕掛けてきた。
正直なところ、彼女自身の槍の技術は完全に我流のようで、軌道が読みやすい部類で助かったと感じている。
だがそれ以上に、宙を舞う別々の槍に使役するカラスとの連携が噛み合わさって、私とは互角以上の実力を持っているのが即座に分かる。
両者決め手に欠けたまま攻守を繰り返していると、不意に彼女はパターンを変え、おもむろに右手を突き出した。
思い返せばあの時何かを出してくるのは明白だった。
長時間に渡るその戦いで判断力と集中力を失いつつあった私は、掌から突き出てくる槍に意表を突かれて体勢を崩してしまう。
そこから決着はすぐだ。
彼女は隙を逃さず手持ちの槍を突きつけた。
次に動こうとすれば串刺しにしてやる、と言わんばかりに配置された槍で包囲して。
完全に王手を指された。
つまりは、私の敗北。
素直に負けを認め降参すると、さっきまで周りにあった槍はたちまち最初から無かったように消え失せる。
無口で多くを語ろうとしない彼女は何の対価を要求する訳でもなく、常備しているグリーフシードを分け与えてくれた。
ついでに飴玉も1つ。
私は彼女の事をどうしようもないお人好しだなと思う。こんな辻斬り紛いのような事をしても、何でもないように私に笑いかけるのだから。
「……帰ろう?」
その言葉に頷く。
久々に全力で誰かに挑めて気持ちがスッキリとした気がした。復讐の事ばかりを考え過ぎて、いつのまにか眼が曇っていたのかもしれない。
もうすっかり夜だから帰らないと行けないな、と立ち上がって歩き出す。
去り際に呼び止められると、彼女は紙に何かを書いて渡し、手を振りながら去っていった。
手帳から乱雑に切り取られたそれに書かれていたのは、きっと詩織さんの連絡先なのだろう。下の方には小さく「気にしないでね」と私向けにメッセージがあった。
「良い人ですね…。」
そうして私も帰路に着く。
電線に留まっていたはぐれ者のカラスが一羽飛んでいって、彼女から折角貰った飴玉を口に含んでみた。
リンゴ味のそれには、仄かに優しさが染みているような気がする。
展開に見栄えが無さすぎるので失踪します。