外伝マギアレコード RTA ワルプルギス討伐チャート情報提供者ルート   作:最近ハマってしまった人

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クロワッサンが美味しいので初投稿です








Part35 人はそれをガバと呼ぶ

 

 

 

 

何故かマギウスに捕まってしまったRTAはーじまーるよー

 

 

前回はキレーションランドでちゃんとみかづき荘が鶴乃ちゃんを助け出し、第7章が無事に終わった…はずでした。

いやあまさかパイセンが取り上げなかったキューブがこんな風に利用されるとはなぁ……不意打ちって怖いですよね。やっぱ神浜ってこわいなぁ、とづまりしとこ。

 

 

 

 

 

でもだからって神浜のヤベェイ!アーティストさんは開幕から詩織ちゃんをオモチャにしようとしないでくれ!!!

人のソウルジェムを取ってはいけないって習いませんでしたか!?誰か!警察呼んで!ポリス、へいポリース!!!おまわりさんコイツです!!!!

 

「アリナ的に試したかったコトがあったカラ、丁度いいのがいてタイムリーなワケ。」

 

まさか?まさかだぞ?待って♡あばばばばばばばばばばば

アリナァ!!!魔法少女の魂はデリケートなんだぞ!!!そこに魔力を流し込むな!!!話聞いてるかァ?オイ!!!(語録無視)

体力は減ってない…物理的なHPは減ってないけど、これだと詩織ちゃんの精神的なHPがすり減ってしまうんだが??

 

視聴者の皆さんご存知の通り、ソウルジェムは魔力の貯蔵庫であり、魔法少女の魂そのものです。

よくみかづき荘が魔力を一つに揃えてチーム攻撃をする事がありますが、大抵は他の魔法少女の魔力なんて異物です。

やちよさんが水出したり、鶴乃ちゃんが炎出したりするように、人によってその性質も異なります。

一応毒にも薬にもなりはしますが、それを無理やり身体の中に入れられたら…ねぇ?ありとあらゆる激痛が走りますよ。原作アニメでも水色の子が白タヌキにやられてますし……。

 

だから何回も流し込むんじゃないアリナァ!!!詩織ちゃんが苦しんでるダルルォ!!!!

いやほんと容赦ないな神浜アーティスト……そろそろ詩織ちゃんの疲労が溜まりすぎてバッタリ気絶しそうですけど。

 

あっあっあっ待て待て待て待てあばばばばばばばばばばば

心臓を鷲掴みされているくらいの激痛と、右腕を電流流した金属で押し潰されるような痛みがやばいんですが、そのうち詩織ちゃん心臓発作で過労死したりしないですよね?おいおい大丈夫か?

 

あっオイ待てい!そんなに力強く魔力込めたりしたら……あっ

 

 

 

 

 

 

 

……おはようございまーす(ゲッソリ)

 

 

遅れましたが、今回は前回の続きからになります。

でも続きからとか言ってますが、今現在の詩織ちゃんの状態だと何一つ進めることが出来ません。

 

なんてったって両手両足を椅子に縛られてますからねぇ!

いくら操作をガチャガチャやってようが、ガッチガチにロープで括り付けられて動けねぇぜ!むしろコッチが痛いくらいですよ。

ソウルジェムも取り上げられていて変身する事もできません。走者知ってます、こういう状況を絶対絶命って言うんですよね。

 

いやだって聞いてくださいよ奥さん。

ただでさえさっき某芸術家にオモチャにされたし、挙げ句の果てにまた撮影していったんですよ。

詩織ちゃんは痛みで気絶するわ、起きて気がついた時には椅子に縛られて拘束されてるわ…もう散々な一日ですね。ええ(白目)

 

まあ?マギウスの本拠地であるホテルに入ることが出来たので問題は無いです。誰かに現状を伝える方法もありませんけど。

 

「こんにちは、商人さん。いや、こんばんはって言った方が正しいかな〜?」

 

そしてこういう時に出てくるのが大抵このおガキ様でございます。

話を聞くに多分もう一度勧誘しようとしているんでしょうね。前に会った時の出来事は暴走詩織ちゃんが記憶消したので。

ここで断ったところでどう考えても、洗脳なりなんなりで強制的に参加させられますよクォレハ……。

 

「まあ面倒くさい挨拶は放っておいて、有鷺詩織?もう一度聞くけど私達の組織に入るつもりはない?」

 

無いに決まってます!!って…今有鷺ちゃんの方で名前呼びませんでしたか?

あーあ、詩織ちゃんの操作権がまた無くなってしまいました。迂闊に経歴ガバを確かめなかった走者のせいです。

操作権ガバガバじゃねーかお前んちィ!でもこれで詩織ちゃんが暴走状態になるのは、過去関係の名前もダメだって普通に分かりますね。いやまあ今検証されても困るんですけど。

そろそろNGワード登録してくれません?いや詩織ちゃん的には十分に禁止ワードなんでしょうけど、ほら出ないようにとか…ダメ?そう……。

 

「ソウルジェムは預からせてもらったよ?だって、商人さんが変身しちゃったら色々と面倒だし。」

 

そら(ソロでも戦えて情報支援も出来るベテランとか)そう(ソウルジェムを奪って変身出来ないようにする)よ。

ですが詩織ちゃんの話ぶりからして、なんか別のことを聞いてるみたいですね。別のことってなに???

ああ、もしや例の万年筆を探してるんですか?ほらオーダーメイドとかだと値段的にもお高いですから…おや、違うみたいです。

 

 

 

ん?あれこれ詩織ちゃん、暴走状態っていうか錯乱状態と言った方が正しいような感じですけど…大丈夫ですかね?

いえーい、走者のタイム息してるぅ〜?

えぇ…まだ何もされてないのにめちゃくちゃ精神ゴリゴリ減っていきますよ……やだ…走者の本走、ガバすぎ……?こんなんじゃRTAになんないよ〜。

 

「はぁ?何言って…………!、ソウルジェムは!?」

「あちらの方で……な、なに!?」

「ドッペル!ドッペルだ!」

 

わぁ、これって何でしょうかね?走者には詩織ちゃんのドッペルくんに見えるんですが……随分と大暴れでいらっしゃいますねぇ。

わざと自分の精神を追い詰めてソウルジェムを濁らせるとかそういう…?錯乱状態はそのためでもあった……?

ソウルジェムは離れた場所にあったので濁り具合は分かりませんが、錯乱状態で無理矢理一体型のドッペルを起動したっぽいですね。

ほら見てください、おガキ様と羽根達がバチバチにやり合ってますよ。ドッペルくんのクソでか図体のおかげでまだダメージ来てないですけど。

 

あ、ドッペルくんが大勢とやり合ってる間に、義手くんがソウルジェム持って来てくれましたね。いい子や……。

じゃあそのままドッペルくんも詩織ちゃんの拘束を取ってください!義手くんもオナシャス!

 

 

(HPが減る音)

ドッペルくん!?

 

 

ロープ切るのに足まで切れなんて言ってないダルルォ!?せっかく脱出するのに主人の身体ボロボロにしてどうすんねん!

 

まま、ええわ。

とりあえずドッペルが発動した時に操作権が無事に戻ってきたので、右腕のビックリでドッキリなマジカルアームを使って他の拘束も解きます。

そのあとはガキ様や羽根達の攻撃を避けながらソウルジェムを回収してスタコラサッサします。

 

……そういえば壁を壊すって不味くなぁい?と思った視聴者兄貴姉貴もいるでしょう。

実際、とてもヤバいです。

 

なんて言ったってマギウス本拠地のホテル自体がウワサの一部だからですね。

少しでもホテルを傷つけてしまう、壊してしまうと『兵隊グマのウワサ』と『働きグマのウワサ』が駆けつけてきます。

つまりドッペルくんが大暴れしていたら、それを退治しにウワサがやってくるという訳です。

基本的に大元の『女王グマのウワサ』を倒さない限り、この手下のクマ達は無限湧きするのでスルー安定です。

 

 

 

にしても足に受けた傷のせいで移動速度が本当に遅いですね……。

詩織ちゃん結構素早さに定評はあったはずなんですが、抜け出せたから結果オーライなのか…?

でもこの羽根とウワサとおガキ様の大勢を相手に、弱体化の状態でトンズラするのは(難易度的に)マズイですよ!

 

「や〜っと追い詰めた!もう、逃げ出されたらわたくしとしても困っちゃうんだよね〜。」

 

そう!このホテル自体がダンジョンみたいなもんなのである!!

そこまで構造は複雑ではないんですが、いかんせん室内なので通路を塞がれてしまうと別の方向に逃げるしかなく…そりゃ流石の詩織ちゃんも壁際に追い込まれるよね、と。

まあ走者が一か八かで賭けてみても、こんな状態じゃあそもそも逃げられる確率が低いので、当然運が悪ければこのような状況になります。

そもそもあの時にサッサとアリナパイセンに、不意打ちトラップキューブ返しておけば、こんな事にはならなかったんですけどねぇ!

でもガチで有能アイテムだから返すのが惜しくなってついつい持っててしまうという罠。くっ…まさかパイセンはこれを見越して?

 

「まったく…また逃げるつもりなら、わたくし達にも考えがあるよ?」

 

げぇっ、関羽(受信ペンダント)!?

時期的にそうですもんね!第7章終わったら、2日後に第8章『偽りに彩られ神浜』が開始されるんですもんね!

そりゃあおガキ様も強行手段で詩織ちゃんを勧誘できるし、そのために受信ペンダントのウワサも持ち出してくるわ………。

 

えー説明いたしますと、元々ソシャゲ版で実はこの第8章からマジで文量が跳ね上がりますよね。

いろはちゃんを軸に進んでいた話が、各地の状況を伝える群像劇に早変わりするからです。多分おそらく。

そこで主に前半と後半に分けられる訳ですが、その前半戦のボスを務めるのが『フラワースピーカーのウワサ』。

つまりこの『受信ペンダントのウワサ』の本体でございます。

 

コイツは身につけている限り、マギウスの言うことをなんでも聞いてしまう悪魔のアイテムです。

対象者に付けさせるだけで簡単に洗脳出来るというメリットがありますが、一方でペンダントを体から外したり打ち壊したりすると、すぐさま洗脳が解けてしまうというデメリットも存在します。

いつもなら『使役』とかで「フン雑魚が!」と言えるんですけどねぇ…見てくださいよこのプレイ画面!絶対絶命ですよ!

 

「大丈夫大丈夫!すぐに商人さんもわたくし達の目的に賛同してくれるはずだよ!」

 

うぉおおおおおやめろおおおおお!!ソイツを持ってくるんじゃあない!!!オレのそばに近寄るなああああああ!!!!!

 

 

 

 

 

アッ…………

 

 

 

 

 

いっけなーい!大ガバ大ガバ! 私、走者。年齢不詳!どっかのネット在住!どこにでもいる至って普通のマギレコRTA走者!

でもある時プレイヤーキャラがマギウスに連れ去られちゃってもう大変!しかも受信ペンダントで洗脳までされちゃって!?

一体詩織ちゃん、これからどうなっちゃうの〜!?!?!?

 

 

………本当にこの記録どうなるんですかね…?

 

というわけで今回はここまでにしようと思います。

それではご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▶︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

羽根達に命令して拘束した弓有詩織がいる部屋へと入る。

環いろはやベテランさん達といい、わたくし達の妨害をする者達がそろそろ邪魔になってきた頃だった。

 

そんな中、いつの間にトラップを仕込んでいたのか、アリナがその固有魔法でもってとある魔法少女を捕まえた。

弓有詩織。神浜の魔法少女の中でも、グリーフシードを売買する商人と噂されるベテランの魔法少女。

 

いつの間にアリナの知り合いになっていたのかは知らないが、刃向かってくる戦力が減るのであれば都合が良い。

聞く話によれば、あのアリナに画材やらオモチャ扱いされているらしい。

色々と弓有詩織で遊んで満足したのか、わたくしに貸してもいいとだけ言って、そのまま外に出て行った。

 

「…い゙……あ゙………?…ここ…は……」

「ようやく目が覚めたかにゃ?ずいぶん遊ばれてたみたいだね〜。」

 

それからしばらくして、鈍い身体をゆっくりと持ち上げて弓有詩織は眼を覚ます。

アリナが一体どのようにして遊んだのかは知らないけれど、鈍痛で顔をしかめる商人さんの姿からして、どうせロクでもないものに違いない。

 

まあわたくしには関係無いよね!

とりあえずまだ意識がぼんやりしている商人さんに状況を投げやりに説明して、早速こちらの勧誘についての話に持っていく。

ちなみにこれは強制参加!だって断られてから逃がしてしまったら、ますますわたくし達の目的は妨害される事になっちゃう。

特にこの弓有詩織はまさに一騎当千の戦力だ。それは戦闘面ではなく、サポート面の意味合いが強い。

 

「……!…名、まえ……」

 

『有鷺詩織』と呼び掛けられた弓有詩織はビクッと体を小さく跳ねて、こちらの方を恨めしそうな目で睨んでくる。

なんだかその様子にどことなく見覚えがある気がするけれど…とにかく図星って感じかな?

わたくし達はちゃんと交渉材料を揃えて話してる。商人さん相手にはこんな情報まで知っていると脅しをかけた方がきっと早い。

 

「……………それ……。」

「どこで知ったか知りたい?でもざぁんねん!教えるつもりは無いよー。」

「………ソウル、ジェム…は……?」

 

当然、近くには置いていない。

これでも商人さんの噂とか話はちゃ〜んと集めてるんだよ?人望もあってソロのベテランでもあるって事も。

ただ、弓有詩織は違うと首を小さく横に振って、自嘲気味に笑いながら何事かを話し出す。

 

「……違う、違う…違うんだ……」

「何が違うのかな、商人さん。出来ればわたくし達にもわかるように言って欲しいな〜?」

「……探して、る…のは……それじゃない。」

 

そう言って弓有詩織はその深緑が混ざった瞳をこちらに向ける。

じわじわと下から滲んでいく暗い黄色、それは睨むような視線から一転、獲物を見つけてギラギラとした狩人のような目へと変わっていく。

そして僅かながらに感じる嫌な予感が、脳裏で警鐘を鳴らし始める。

理由はただただ単純に、一瞬、この弓有詩織からした同族(天才)の匂いがわたくしの鼻をかすめたからだった。

 

「……そうだ……私は、探さなきゃ…探さないと、いけないんだ……!」

 

そう声を張り上げた弓有詩織の様子から、わたくしの頭はある一つの可能性に思い当たる。

羽根に奪ったソウルジェムの場所を聞いて、その直後には予感が的中していた。

 

「ドッペル……!」

 

まるで巨大な鳥の怪物に見えるドッペルは弓有詩織が出したモノだ。

ナイフと見間違うほどの切れ味を持つ羽を広げ、猛々しく室内から夜空に向けて雷鳴の鳴き声を吼える。

目測だけでも十分な大きさがあると分かる翼長や、手を模した怪物の部位と地に着けた足の鉤爪は、剣のように鋭くホテルの床を抉っていた。

 

それで商人さんは外に逃げ出そうとしたみたいだけれど、わたくしはソレが逆効果と知っていたから少し微笑んだ。

このホテルフェントホープは『女王グマのウワサ』の管轄内。ホテルを傷つけるということは、必然的にこのウワサを敵に回すことになる。

いくら優位な状況に持ち込んだところで、体力的にも精神的にも消耗した弓有詩織が逃げ切れるとは思えない。

 

 

 

 

「……壁……王手か……。」

「分かったようでなによりだよ、弓有詩織?」

 

拘束を足ごと無理やり外した弓有詩織は当然逃げられるはずもなく、しばらくの鬼ごっこの後に壁際へと追いやられた。

まだこんな事する気は無かったけれど、意外と抵抗するのが早かったし、再発防止のためにもうアレを使ってしまおう。

羽根達に持って来させたペンダントを弓有詩織に付けさせて、そのまま今度はもっと強力に拘束させて部屋の中に監禁する。

受信ペンダントはすぐに使える便利なウワサ、でもその分解除も簡単に出来てしまうからそこまで実用性があるわけじゃない。

 

まああんなに有り余ってる翼達の量なら、かなり使える部類だよねー。歩ならいっぱいあるし、更には強力な持ち駒も一つ増えた!

それよりもやっぱり商人さんは噂で聞く通りの強さだった。単純な火力が無い分、魔法を駆使しての立ち回りを理解している。

あれだけの大勢を相手にして、手負いで数分も逃げ回れたのは素直に賞賛できるところ。

わたくしも意外と手こずっちゃったのは事実だし、ほんとに支援特化の魔法少女って感じ。

 

 

 

 

対処に追われてたらいつのまにか休憩時間のティータイムになってた。

いつものわたくし達の席に向かうと、既に1人居るのが見えた。柊ねむだ。アリナは外に行ったまま、まだ帰ってきていないらしい。

 

「はぁ〜、商人さんって敵だと面倒な性能してるよね。」

「お疲れ様、灯花。ああそうだ、さっき羽根が鳥籠を持っていったけど、件のウワサは弓有詩織に使うのかい?」

「……ウワサ?」

 

その分厚い本から不意に顔を上げたねむが、思い出したかのように疑問を問いかけてくる。

でもわたくしには弓有詩織にウワサを使うだなんて、そんなコトを一言も話した覚えが無い。ましてやホテルに居る羽根ですらにも話した事なんてなかった。

 

そうして疑問符を浮かべながら辺りを見渡して、とあるウワサを入れて中庭に置いていた鳥籠が、何処にも見当たらないことに気づく。

そこまで使い道があるようなウワサでもなく、誰かに融合させたとして結界内に引きこもるような能力しか持っていなかった。

だからわたくし達は特に気に留めてはいなかったのだ。使おうと思っている間に看過できない状況になってきていたから、使うタイミングを逃してしまっていたとも言える。

 

「…………どうやらあと一歩のところで、鴉に逃げられたみたいだよ。」

 

そう言って再び本に目線を落としたねむと、後ろから駆け込んできた羽根の報告で、商人さんを監禁した部屋がもぬけの殻になった事を知った。

将棋の名を冠した現実は王手ではなく詰みにまで行かなければ、いくらでも番狂わせによって挽回のチャンスはあることを失念していた。

つまりは駆け引きの面において、ほんの少しだけ、わたくしはあの弓有詩織に出し抜かれたのかもしれない。

 

 

ムカムカした気持ちのまま席に着き、ねむに「首元に糸くずが付いているよ」と指摘されて。

そこでようやく自分の首に、魔力で出来た細い糸が巻かれていることに気付いたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▶︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、調整屋に魔法少女が集まっていた。

集合した面々は、昨日の夜に由比鶴乃奪還のため、キレーションランドで共に戦った神浜の魔法少女達の一部。

あの夜から未だ一晩ほどしか経っていない中、今日の午後に調整屋へ集まれないかと、八雲みたまから急遽呼び出された面々だった。

 

「それで今日の用件は何でしょうか?」

「ななか、その笑みはやめた方が良いネ。葉月は笑ってても目が笑ってないヨ。」

「あはは…気のせいだと思いますよ。」

 

一騒動が収まったばかりとはいえ、マギウスが行った弓有詩織の誘拐により気が立っている魔法少女も中にはいた。

それ以外にマギウスの目的ややり方に反発する者もいる。

少なくとも昨晩の勝利を喜んだままではいられない状況だったのは、誰の目から見ても確かな事実だろう。

 

せっかくだからと開けられたお菓子の数々はテーブルに広げられていた。口には出していないが、緊張をほぐすように、だとかそんな意味もあるのかもしれない。

静かな空気の中で調整屋の主人、八雲みたまはおもむろに口を開く。

 

「そうね…今回話したいことは他でもない、『弓有詩織』に関する話よ。」

「弓有さんについて……?」

「でも、私が話すよりも適任な人がいるわ。」

 

マギウスの翼などの話題かと思っていたところ、予想外の地点からやってきたその言葉を思わず反復してしまう。

真剣な声のトーンで、しかし心底困ったような顔つきで、八雲みたまはティーカップに注がれた紅茶を一口飲んで息をつく。

 

 

 

それから奥の部屋の方に一言、説明のために出てくるように呼びかけると、1人の少女が姿を現した。

銀髪と内にある黒髪を一つに結んだ小さな少女。弓有さんと似ている瞳の緑は、僅かながらに宝石のような青色が混じっている。

小さな金庫を抱えて出てきた彼女に、隣にいたいろはが思わず声をあげた。

 

「え…マヒロちゃん!?」

「フッフッフ、そう!話がしたいと呼び出したのは、何を隠そう私のことだ!」

 

胸を張って自慢気に主張したマヒロさんは、金庫を慎重にテーブルの上に置き、先ほどと同じように胸を張って告げる。

肝心のみたまは特に何も反応を返さずに、また一口紅茶を飲んで、マヒロさんの方を呆れた目で見やる。

その視線に気づいたのか彼女はこほんと咳払いをすると、陽気な笑顔をすぐさま真剣な表情に変えた。

 

 

ゆっくりと深呼吸をする。

 

 

そうして瞳の緑を更に深く青い空に沈ませて、改めて彼女は自分の名前を告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…… 私の名前は、()()()()

 まひろの、鴉弓真広の親友の…有鷺詩織とは私の事だよ。」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

モンブランが美味しいので失踪します

 

⚪︎ハハ笑い⚫︎フフ笑い

⚪︎名前+ちゃん⚫︎名前呼び捨て

⚪︎甘いもの好き⚫︎苦いもの好き

⚪︎優しさが大事⚫︎親友が大事

 

 

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