鉄血のオルフェンズ リベリオン   作:よなみん/こなみん

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厄祭戦から300年。木星圏は商業に溢れると同時に、海賊たちの無法地帯となっていた。

そんな中で生きていく少年たちは・・・何を思うのか。


目覚め

―――木星 ジュピトリア・コロニー―――

 

 

「ルカー!これどうすればいい!?」

「あー!うっせー!そっち回してくれ!」

 

コロニー動力中心部の地下、2人の少年が工具を持ちながら作業に没頭していた。工具を手に取り、修理する所をしっかりと補修していく。またもう1人はパイプを手に持ち、はめる部分にしっかりはめていく。そう、彼らが手をつけているのはただの機械や物ではなかった。

 

それは人の形をしたマガイモノ、人の操りし人形があった。名前はモビルスーツという厄災戦において生まれた人型兵器である。

 

「ふぅ・・・やっと一息つける。コイツの整備も楽じゃねぇなぁ」

「お疲れさん」

 

額に冷たいものが当たる。もう1人の少年が飲み物を持ちながら隣に立っていた。それを受け取り、喉に冷たい水を流し込む。

 

「まったく・・・何だってこんな掘り出し物を」

「厄祭戦のお残しだよ。・・・余計なものをくれるな」

「全部ギャラルホルンってヤツのせいなんだ。仕方ないだろ」

 

ギャラルホルン。それは平和を維持する組織、しかしその実態は利権の独占、地域の管理、監視を行い、反乱分子を虐殺していくテロリスト集団なのである。最近、その動きは活発化していた。

火星でのギャラルホルンの動きはこのジュピトリア・コロニーにも届いていた。そして火星の仲の良かった組織、CGSが名前を変え、鉄華団に変えたことも。

 

そしてその独立する動きはこの木星にも少なからず影響を及ぼしていた。

 

この木星には、多くの商業施設があり、さらに周辺には採掘衛星もある。意外と資源が豊富な場所なのだ。ここでは金星以上にギャラルホルンの支配が行き届いていた。

 

「・・・仕事辛いな」

「仕方ないさ。生きるためだ・・・さ。休憩は終わって戻ろうぜ?」

 

後ろにそびえ立つ三機のモビルスーツ。それは二つの眼を宿した厄祭戦の生き残りであった。

 

 

 

―――ジュピトリア・コロニー 商業区―――

 

 

 

「・・・では契約はこの内容で」

「ええ。我がテイワズへの資源援助、ありがとうございます」

 

部屋には四人の男と女が座っていた。一人はメイド、そしてその前にはソファに座っている少年。彼の名は「ゼロ・レクリオ」若くして独立組織、ドラモンドのメンバーにして交渉担当でもある。

彼の義父である「レイドル・レヴナント」が設立した。工業組織、海賊、どの組織にも平等に、そして金がモットーの会社だ。取引は信用というが補給、物資補助をしてもらって喜ばない奴らはいない。

 

そして定期的に来るギャラルホルンから補給の物資を買い取る。ここまでが一連の流れである。今俺が請け負っているのは同じ組織「テイワズ」への資源補助である。

 

「では。そちらの叔父様によろしくお願いします」

「うむ。これからもよろしく頼むよ」

 

商談が終わり、部屋には二人の男女が残される。メイドは新しい紅茶を少年の前に持ってくる。

メイドの名前は「マリーナ」。白よりの水色の髪が美しいメイドだ。

 

「大変でしたね」

「全くですよ。お義父さんも何を考えてるのか・・・」

 

しかし仕事は終わった。これで多少の自由はとれる。

このジュピトリア・コロニーではギャラルホルンの監視こそあるものの、基本的に使節団などの出入りは自由だ。組織も組織で仕事に来るんだ。

 

それにテイワズ含むいくつかの組織にはギャラルホルンも関わったりと友好関係を築いたりしている。下手にでも出せないだろう。

 

「それに仕事の取引ときたもんだ。向こうも手は出せないだろ」

「お義父様は良く考えられる方ですね」

「全くだ。だが海賊たちがいい顔をしてないな」

「お義父様もだいぶ前までは海賊でしたのに」

 

そう。義父が組織を建てたのは少し前の話。ここでの資源を見つけたのも海賊だった義父なのだ。そして俺はたまたま親父に連れられこの組織に入った。親父は資金援助をしていて組織を建てるように勧めたのも俺の親父だったりする。

 

そして子供の頃からいた二人。「ルカ・フランクス」と「ナギア・ルクスリア」。俺らは親父が拾ってきたいわゆる「ヒューマンデブリ」だが、親父はそれを認めてくれ、さらにこの組織に入ることを勧めてくれた。親父の監視付きで。

 

それがこのメイド。マリーナさんである。だが、不自由はしていない。

 

「さて次の商談が来てますよ。坊っちゃま」

「坊っちゃまは止めてくれ」

「ふふっ。ご主人様」

 

日常は変わらないな。そう思いながら俺は目の前の厄介事を片付けるために働くのだった。

 

 

―――ジュピトリア・コロニー周辺 宙域―――

 

 

「何?海賊がか?」

「はい。近づいているとの報告が入りました」

 

コロニーの隣に増設されている宇宙港では、三隻の戦艦が停泊していた。ハーフビーク級戦艦の旗艦のブリッジには一人の女が艦長席に座っていた。

 

彼女の名は「ローズ・フィスアリア」ギャラルホルンの士官にして優秀な人材でもある。悪や非道を許さなく、時には味方すら切り捨てる。別名、ギャラルホルンの毒薔薇と呼ばれる。

 

「火星圏から来てくれるなんてわざわざご苦労だな。まぁ、アリアンロッド艦隊に任せずとも、我らだけで十分だ」

「お嬢様。補給が終わります」

 

そこに彼女の執事にして優秀な部下「ウィグラム・バリオン」からの通信。補給は無事に終わったようだ。

その後、格納庫から補給物の数え合わせが終わったとの事なので彼女は出撃するように指示を出す。ブリッジにはウィグラムが帰ってくる。

 

「では我々は予定通り火星圏周辺の哨戒にあたる!」

「待ってくださいお嬢様!反対側に敵影・・・これは!海賊です!」

「何っ!?」

 

彼女たちとはちょうど反対側。海賊の船がジュピトリア・コロニーに近づいているのが見えた。船の前線にはモビルスーツ隊も見える。

 

しかし、こちらではなくモビルスーツ隊はそのままコロニーに吸い付けられるかのようにコロニーへと向かっていく。

 

何機かはそのままコロニーへと直進、残りの部隊は旗艦を中心にそのまま駐留する。

 

「まさか!コロニーの人を人質にとる気か!」

「モビルスーツ隊発進!海賊たちをコロニーからおい払え!」

「ならば私も出ます」

 

そう言うと「うむ」と一言だけ返す。ウィグラムはブリッジを後にしてハンガーへと向かう。その後、遅れてモビルスーツ隊が宙域に展開する。

 

しかし数は向こうも多く、こちらの想定していた数より多く敵は存在していた。

 

「くっ・・・私も出る!シュヴァルべも用意しておけ!」

「お嬢様!お待ちを!」

「待てん!非道を行う海賊に対して私は制裁を下さねば!」

 

 

―――ジュピトリア・コロニー 内部―――

 

 

「紅茶が美味いね」

「わぁ!ありがとうございます!ご主人様!えへへ・・・」

「モテモテだな。ルカ」

 

レイドル・レヴナントの屋敷、その食卓にて二人の少年が椅子に座っていた。その隣にはお互いにメイドを控えさせている。

 

ルカの隣に立つメイド、「メイ」は紅茶をトレイに乗せてルカの隣で作りながら感想を聞いていた。紅茶が好評で嬉しさを隠せないようだ。先程からソワソワしている。

 

「ご主人様、こちらをどうぞ」

「ありがと。やっぱ肉だわ」

「お前は相変わらず飯か。牛になるぞ?」

「ならねぇよ!」

 

ナギアの隣にいるメイドは「ラピス」彼女の仕事は食事作成などの主に調理班だが、暇な時はナギアの隣にいつも着いている冷静・・・いや、毒舌なメイドだ。

 

この二人と、マリーナさんは幼少期から共に過ごしてきた仲間だ。俺たちが「ヒューマンデブリ」であろうといつも一緒にいてくれた人達。

 

「だからおぼっちゃまは子供なんですよ」

「んだと!?」

「あわわわ!」

「喧嘩は止めてくれ。紅茶が冷める」

 

屋敷は地上に四階ほど、そして地下に二階ある。大豪邸だ。俺たちの他にも兄貴や姉さんたちが住んでいる。

 

俺たちのスペースは基本的に地下だ。しかし食事、風呂などは二階にあるので二階まで出向くこともしばしば。

 

昔こそハブられていたが、今となっては俺達も家族の一人として数えられていて、姉さんたち兄さんたちも何かと気にかけてくれるようになった。今までになかった温かさが俺達には染みていった。

 

「・・・ん?外がうるさいな」

「私たちが見てみますので。お待ちを」

 

外から音が聞こえる。人が叫ぶ声・・・爆発音・・・テロか?そう油断していたが、油断は思わぬ形で日常を壊していった。

 

先程閉められた扉が勢いよく開く、そこには息を切らしたメイとラピスが立っていた。

 

「大変です!外でモビルスーツが!」

「おぼっちゃま。避難しましょう」

「マジか!?ルカ!」

「落ち着け、いつものところへ避難するぞ。家に残ってるメイド隊も呼んでくれ」

「了解しました」

 

 

―――ゼロ視点―――

 

 

 

「なんだ?警報か?」

 

街の中にも異変は突如として発生した。普段は静かな街に突然警報が流れる。これは敵襲を促すものだ。

 

しかし、平和主義を基本とし、多数の補給を行い、しかもこの周辺宙域はギャラルホルンによって警備網が引かれているはずなのにこれは一体何なのだろう。

 

誤報かと初めは思っていたが、その直後発生した爆発によって直ぐに現実だと理解する。謎のモビルスーツたちがゲートから侵入してきたのだ。

 

「何っ!?」

 

一瞬自分の目を疑ったが、それでも現実は非情だ。目の前の光景が変わるわけではなかった。

 

俺は急いでその場を後にする。マリーナさんは自宅。二人も一緒だろう。そして例の場所へ逃げてるはず。

 

俺は荷物を後回しに急いでその場を離れる。その後、モビルスーツから銃撃音、少し離れた場所では大きな爆発が起きていた。

 

ギャラルホルンへの発砲だろうが少しやりすぎだ。あのモビルスーツはブルワーズでも見た、「マン・ロディ」だ。重装甲が売りのモビルスーツで機動性もそこそこある。関節制御はまあまあだが機動性でカバーするモビルスーツだ。街中で容赦なくライフルを発砲している。

 

「関係ない人が多くいるんだぞ!」

 

俺は夢中で走り続ける。普段はあっという間につく道も今では長く感じてしまう。

 

その時、ちょうど目の前からギャラルホルンのモビルワーカーが俺の目の前を横切る。

 

「ゼロか!」

「兄貴!ギャラルホルンは何をやってるんだ!」

「見ての通りだ。索敵に遅れてこのザマだ」

「・・・」

「心配するな。直ぐに鎮圧してやる。姉さんたちは無事だから!あとを任せるぞ!」

 

兄さんは直ぐにモビルスーツのいる方にモビルワーカーを向かわせる。俺はそれとは反対に、家のある方に走り出す。その時、後ろは一切振り向かなかった。

 

 

―――コロニー 地下格納庫―――

 

 

「待たせたな!」

「ゼロ!遅くなってどうすんだ!」

「予定してた道が封鎖されてたんだ。仕方ないだろ」

 

俺たちのスペース。地下格納庫では、家から避難し、ルカたちが保護したメイド隊、専属のメイドたちがいた。三機のモビルスーツも健在だ。ルカたちは緊急事態でもちゃんと整備をしていてくれたらしい。

 

俺は服を脱ぎ、上半身は全て脱いで肉体を晒す。背中には普通の人間とは違う、突起が二つ着いていた。

 

「ルカ。動かすぞ」

「正気かお前!?これがどういうものか分からないんだぞ!?」

 

俺を押さえつけるように、ナギアの手が俺の肩に伸びる。彼の爪が俺の肩にしっかりとくい込む。

 

厄祭戦時の古い機体・・・それには、「阿頼耶識システム」が搭載されていて、俺たちはそれを操るためにこの阿頼耶識の手術を受けたのだ。いや、受けさせられたと言うべきか。

 

ナギアが言いたいことはわかる。阿頼耶識システムは危険の伴うシステム。ましてや使ったことの無い俺たちがいきなり使えばどうなるかは検討がつかない。

 

「分かるよ・・・お前の言いたいことも。でも!」

 

ナギアの腕を振り払い、俺はモビルスーツの目の前まで歩く。

 

親父に認められた。拾われた恩だけじゃない。俺を認めてくれた人達、受け入れてくれた人達。家族、近所の、仕事仲間・・・。それだけじゃない、このコロニー全ての人にも感謝をしている。

 

「それに親父に「なにかあったら頼むぞ」って言われたんだ。その意味は仕事だけじゃないんだと思う。きっと・・・こういう時が来るってわかってたんだ」

「お前・・・」

「だからって逃げる気はない。俺は・・・俺に出来ることをやるつもりだ」

 

ルカは分かっていたかのような顔で俺たちを見ている。メイドたちも、そしてマリーナさんも・・・。ナギアもその後、服を脱ぎ捨て、俺と同じく上半身裸になる。

 

「分かった。ここで引いたら・・・俺たちのやることが無くなるもんな」

「あぁ。動ける俺たちだから、きっと戦えるさ」

 

その後、メイドたちの動きが慌ただしくなる。機材を退かす者、ハンガーの操作を行う者、整備確認をする者・・・。

 

ゼロたちはモビルスーツのコックピットにいた。少し古めの、阿頼耶識システムをコイツは積んでいた。

 

「テストはなし。そのままコイツらを動かすぞ」

「分かりました。起動します」

 

俺たちの背中は阿頼耶識システムに接続させ、目の前のモニターに起動画面が表示される。モニターには英語で「ERIGOS」と表示されていた。

 

「ええっと・・・ガンダム・フレーム・・・なんでしょう?これは」

「がああああっ!?」

 

マリーナさんが戸惑っていると、途端、俺たちの中になにかが入ってくる。同時に鼻血が出てくる。

 

ルカ、ナギアも同様らしく。俺と同じように悲鳴を上げ、コックピットで固まってしまう。

 

「ご主人様!?ご主人様ー!?」

「ぐっ・・・ぐああああっ・・・」

 

頭が痛い、それ以上に潰されてしまいそうな程の情報量が流れ込んでくる。初めてなだけにこれは耐えきれない。まるで身体は筋肉痛を起こしたように固まってしまう。

 

別のメイドから外の情報が入ってくる。ギャラルホルンの別部隊がコロニーの防衛に入っているようだが、返り討ちにされているらしい。

 

「なんてこと・・・ご主人様たちが動けないのに・・・!」

「ぐっ・・・ガン・・・ダム」

 

いち早く俺は意識を取り戻す、情報は全て頭に入っている。動かし方、戦い方からコイツのスペック、全てが。

 

ガンダム・エリゴス、厄祭戦の機体で当時のリーダーでもあったガンダム・バエルを守護するために作られた機体、しかし、搭乗者が死んだためにこの機体は放られていた。

 

だが・・・今、俺の手によってコイツは今一度目覚めようとしている。厄祭戦という節目を終え、永き眠りに着いていたガンダム・フレームが。

 

「え!?」

「コイツの・・・名前っ!」

「大丈夫なのですか!?」

「へーきへーき・・・お前らは?」

 

同じような状況になってるであろうルカとナギアに目をやる。彼らも意識が目覚めており、今はメイドたちに介抱されていた。

 

「大丈夫問題ない」

「いつでもいいぜ・・・へっ」

「・・・ご武運を」

 

その言葉を最後にマリーナさんはコックピット付近から降りていく。俺を座らせた席はそのままコックピットの中へと入っていく。ハッチが閉じ、辺りは一気に暗くなる。

 

「・・・網膜投影、スタート」

 

その後、目の前、左右の視界が見える。視野が広く、まるで自分が見ているかのように視界が広く見える。

 

そしてガンダムに光が灯される。目に力強く光が灯り、完全にその意識を覚醒させる。

 

「ご主人様。どうしましょう」

「第六、七番のハッチ開放、君たちは気密エリアに移動を」

「了解です。ご武運を祈ります」

 

その後、目の前のハッチが開放される。そして機体を固定していたハンガーが開放される。機体がゆっくり落とされ、脚を付ける。

 

「行くぞ」

 

ゼロのガンダム。ガンダム・エリゴスを中心に、この木星圏の戦いが始まろうとしていた。

 

 

―――ジュピトリア・コロニー 市街地―――

 

 

「もっとだ!もっと距離をとれ!やられるぞ!」

 

地上ではギャラルホルンのコロニー迎撃部隊が戦いを広げていた。相手のモビルスーツは七機ほど、対して現在迎撃に出ているモビルスーツは五機、戦力は僅かに空いていた。

 

ギャラルホルンのモビルワーカー隊はそのモビルスーツ隊より少し離れたところで援護をしていた。しかし、敵のモビルスーツの射程は長く、ここまで簡単に届いてしまう。

 

「ぐっ・・・ゼロ、親父すまねぇ、哀れな俺はここで死ぬかもだぜ・・・」

「モビルスーツが詰めてくるぞ!引け!引けー!」

 

ギャラルホルンの士官が後退命令を下す、しかし僅かに遅く、その士官の乗っていたモビルスーツが敵のモビルスーツの近接攻撃によって落とされてしまう。

 

「マン・ロディ」の斧は的確にグレイズのコックピット部分を潰す。それに乗っていた士官はもう助からないだろう。

 

それに続き、敵のモビルスーツ隊が次々と攻め込んでくる、ギャラルホルンのグレイズが応戦するが抑え込める数ではなかった。次々と攻め込んでくる敵に為す術もなく落とされていく。

 

「ははっ!愚かな!俺たちをこの程度で止めようなど!」

 

敵パイロットの高笑いがオープンチャンネルで流される。残りのグレイズは二機、モビルワーカーを守るように前に出ている。

 

「これでこのコロニーを支配できる・・・外の連中は別部隊が抑えてるだろうしな・・・死ねぇ!」

 

「マン・ロディ」の銃口がグレイズ隊に向けられるその時、「マン・ロディ」のセンサーに反応が灯る。

 

「なんだ!?別部隊か!」

 

その別部隊の反応は目の前から出ているが、目の前にはグレイズ二機しかない。センサーが別のものでも捉えたかと思った矢先、目の前に大きな爆発が発生する。

 

視界は砂煙と瓦礫に一気に覆われ、何も見えなくなる。しかし、センサーに捉えているものは、その目の前で停止していた。

 

そして男の視界に大きな黒い影が映る、やがて視界は晴れ、その大きな影は表舞台に大きな存在として現れた。

 

「も、モビルスーツだと!?」

「いっけぇぇぇぇぇっ!」

 

「ガンダム・エリゴス」、ゼロが乗っているガンダムが地上に出てくる。そしてその手にはソードメイスが装備されていた。

 

そのままエリゴスは振り上げていたその腕を振り下ろす、「マン・ロディ」の大きなフレームは回避する暇もなく、ソードメイスが直撃、そのままパイロットごと潰してしまう。

 

「な、なんだあれは・・・」

「あれが・・・火星圏周辺の友軍から報告のあった、ガンダム・フレームってやつなのか・・・」

 

しかし、その光景は目の前だけではなかった。敵の別機の所でも砂煙とともに煙が発生、別の機体が地上にその姿を表していた。

 

ギャラルホルンの一兵士がデータを照合させる。そのデータは全て、「ガンダム・フレーム」の名を提示していた。

 

正面にいる白い、騎士の風格を持った機体が「ガンダム・エリゴス」、左側に陣取る、大きな大剣のような武器を担ぐ機体が「ガンダム・ベリアル」、そして彼らの左側に陣取る、背中に銃火器をマウントさせている機体が「ガンダム・ナベリウス」、三機のガンダムが彼らを守るようにして立ちはだかっていた。

 

「なんだこれは」

「ガンダムが・・・俺たちの味方に?」

 

ギャラルホルンの兵士と同じく、敵の海賊の兵士も唖然としていた。

 

「ど、どうするんだよ!」

「バカ!ここで叩くんだよ!数ではこっちが勝ってるんだ!」

 

一機の「マン・ロディ」が武器を持ち変え飛び出してくる、少し遅れて、「ガンダム・ベリアル」が「ガンダム・エリゴス」の前に出て、そのまま突撃していく。

 

敵のチョッパーがベリアルに当たる・・・と、思ったが当たるスレスレでベリアルがスラスターを吹かせ、飛ぶように回避する。マン・ロディが上を向こうとするがそのままベリアルが振り下ろした大剣が頭から突き刺さり、串刺しになる。

 

後方の部隊が釣られて射撃をしようとするも、「ガンダム・ナベリウス」のマシンガンがそれを撃ち落とす。

 

その後、敵が武器を変えて詰めてくる。エリゴスとベリアルは前に出る。ナベリウスは距離を取るために下がる。

 

「マン・ロディ」の振るうチョッパーはエリゴスの左腕に装備されていた盾に吸い込まれる。エリゴスはソードメイスを振るおうとしたがその手は反対の手で止められてしまう。

 

そこにエリゴスの足から繰り出される蹴りが炸裂する。離れた衝撃で二機はバランスを崩すが、お互いにスラスターで持ち直す。しかし、エリゴスは逆にスラスターを吹かせ、そのまま「マン・ロディ」目掛けてメイスを振るう。振るわれたメイスは見事コックピットを潰し、モビルスーツを倒す。

 

遠くから撃ってくる敵に対してはナベリウスが対応していた。スラスターと匠の操作で、直撃を回避しながら反撃していた。

 

左に弾丸が来る。なら右に回避してやると、今度は右に来るな、なら左に避ける。敵の銃口が左右に揺れる。

 

グルグルと回る独特の回避しながら、そのままベリアルの肩にマウントされていた大剣がモビルスーツの頭を吹き飛ばす。その衝撃で大きな巨体は後ろに倒れ込む。

 

ナベリウスの方にはモビルスーツが二機接近していた。接近戦ともなるとナベリウスが不利になるかと思ったが、振り下れるチョッパーを瞬間に回避する。

 

その後ナベリウスの拳が頭に直撃する。その後、マシンガンでコックピットを貫く。

 

「どうするんだよ!このままだと全滅するぞ!」

「ダメだ!ギャラルホルンの連中がコロニーに入ってくるぞ!」

 

コロニーの外壁ゲート、そこにはギャラルホルンの機体・・・カラーの違う機体が一機と残りは一般機の三機だった。彼らはガンダムを監視していた。

 

「お嬢様、あれは」

「・・・まさか本当に存在したんて。伝説かと思ったわ」

「いかがしましょう」

「・・・伝説のガンダムフレーム。敵になるならその時は・・・ね」

 

ガンダム・フレーム・・・厄祭戦を終わらせる力。

それは彼らの歯車を回すに過ぎなかった。




ガンダム・エリゴス

「厄祭戦」時にギャラルホルンの象徴となるべく作られた「ガンダム・フレーム」。本編で登場した「ガンダム・バエル」と時を同じくして作られた機体。木星圏の小惑星に埋まっていたのをレヴナント商会が掘り起こし、少年たちが独自に調整していた機体。コックピットには型の古い「阿頼耶識システム」が使用されている。

見た目はイージスガンダム(頭部はガンダム・フレームに適応)の背中にバエルと同じ翼を付けたような機体。
武装にバエルと同じソード、ショートソードメイス、対艦シールド、滑空砲が存在する。
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