紗夜さん推しになってしまったので、この作品を書きました。
まだ始めて1ヶ月も経ってない初心者なので細かい設定や口調がちょっと違うかも知れませんがそれでも良いよと言う心優しい方は是非読んで見てください。
「俺じゃあ、お前ら天才とは釣り合えない。ユウ、お前はこんな所に埋もれて良い存在じゃないんだ」
高校卒業間際。3年間、3人で一緒にバンドをやって来たメンバーの1人に言われた言葉だった。
最初は軽音部としての活動でバンドを組み、色んな曲のコピーなんかもやった。けど、そのウチに、オリジナルの曲なんかも作って、部活の枠を出て箱ライをしたりする様になっていた。
ファンも少しずつ着いてきて、ライブにも呼ばれる様になり始め、これからだと言う時に、俺らはのバンド解散した。
「リョウ、大学けって良かったのか?」
「別にいいんじゃん? 元々、何かやりたくて受けた訳じゃないし。それに俺はバンドやってる時が1番楽しいから」
それから俺は少し考えて、いっその事海外に行ってみる事にした。海外には凄いヤツがいっぱいいる。何て言葉を盾にして、あの頃の俺は本当は少し現実逃避をしたかったのかもしれない。
別に、バンドを抜けたアイツの事が嫌いになった訳じゃない。けど、少し悲しかったりはした。
頭はそこそこ良かったから、少し良い大学には受かっていたが、それを全てけった。
そんな俺に、もう1人のメンバーである、リョウは俺に着いて行くと言い、指定校推薦で受かっていた大学をコイツもけった。
人の事言えないが、そう言えばコイツも後先考えないで突っ走る馬鹿だった。
「けど俺、勉強はからっきしだからさ、ちゃんと英語教えてくれよ」
そんな事を笑いながら言うリョウに、俺は思わずフッと笑い「ばーか」と言いデンコピンをくらわしてやった。
そして、高校を卒業と同時に俺達はイギリスへと飛びたった。
そこで出会ったのだ。本当の天才に。
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ライブハウスCiRCLEにて、Roseliaがバンド練習をしていた。
Roseliaは、最近流行りのガールズバンドの中でも、メジャーデビューの声がかかる程の実力派バンドだ。
そんな、RoseliaでGtを担当している氷川紗夜は練習の休憩時間にスマートフォンを見ていた。
「紗夜さん、何見てるんですかー?」
普段、あまりスマホなどを使っているイメージのない彼女のそんな姿を見た少女、RoseliaのDrを担当している宇田川あこは、紗夜にそんな疑問を投げかける。
「? Tw〇tterですが?」
「えっ!? 紗夜、Tw〇tterやってたの!?」
紗夜の返答に、Ba担当の今井リサは思わず驚きの声を上げてしまった。
彼女の反応も紗夜相手には、おかしな事では無かった。
Tw〇tterと言えば、この社会に生きる多くの人がやっているSNSアプリだが、文武両道を心がけ、高校では風紀委員をやっている様な超がつくほど真面目な彼女がTw〇tterをやっている事に驚きが隠せなかったのだ。
「私だってTw〇tterくらいやります。案外、良い情報ツールですし」
少しムッとした紗夜に、「ごめんごめん〜」とリサが少し笑いながら謝る。
「それで、紗夜はTw〇tterで何を見ていたのかしら」
興味を持ったのか、Roseliaのリーダーであり、Vo担当の湊友希那が問いかけてくる。その問に、紗夜は「これです」と言いながら自分の持っているスマホをメンバーに見えるように手の中で反転させる。
「……Utopia、ですか?」
メンバー全員が画面を覗き込み、その中の1人である、key担当の白金燐子がそう呟く。
そこには、燐子が呟いた通りUtopiaと書かれた公式アカウントが映っていた。
「はい。イギリスを拠点に活動しているロックバンドです」
「2年前に結成してメジャーデビューも果たしてる結構有名なバンドね」
紗夜の言葉に友希那が付け足すように発言する。
「友希那も知ってるんだ」
「ええ。有名な曲だと『Fate』とかかしら」
「あっ! あの、CMに使われてる曲? あれってこのバンドが歌ってたんだ」
「そうですね。バンドにあんまり、興味がない人でも1度は聞いた事ある様な曲が結構あるくらい有名なバンドですよ」
紗夜がそう答えながら、「あとはそうですね……」と少し考えながら、
「宇田川さんが知ってそうな曲だと、『design』とかですかね」
「あれ? それって、りんりんが好きなアニメの主題歌じゃなかったっけ?」
「うん……。凄い、かっこいい曲だよね」
あこの質問に、燐子はコクリと頷きながらそう答える。
そこで、また疑問が生まれたのか、あこは首を傾げながら「でも」と続ける。
「『Fate』って女性ボーカルですよね? けど、『design』って男性ボーカルだった気がするんですけど……」
「Utopiaはスリーピースバンドで、Ba.Voがエミ、Gt.Choがユウ、Drがリョウというメンバー構成です。
Utopiaの曲の殆どが英語の歌詞なのは、ユウとリョウは日本人なんですけどメインボーカルのエミがイギリス人だからですね。
けど、『design』の様に歌詞がほぼ日本語の曲は基本ユウがVoでエミがChoになるので、『Fate』と『design』で歌ってる人が異なっているのはそう言うのが理由です」
紗夜がツラツラと述べているのを見て、4人は「おぉー」と言いながら何か珍しい物を見る様な目をする。
「な、なんですかその目は」
「いやぁ、紗夜が音楽に詳しいのは知ってるけど、何か今は凄い楽しそうと言うかイキイキしてるからさ〜」
「Utopiaは1番好きなバンドですから。もし、尊敬しているギタリストが誰かと聞かれたなら迷う事なく私はユウと答えます」
紗夜はキッパリとしかし何処か恥ずかしそうにそう言うと、そのほんのり赤くなった頬を隠すように、スマホに顔を落とす。
そして、ススッと画面をスライドさせていくと、1番上のツイートに目が止まる。
「えっ……」
思わず声が出てしまい、視線が集まる。しかし今の紗夜にはそんな視線に気づかないほどに同様していた。
「Utopia、日本上陸!?」
紗夜にとってはこれ以上にない程のビッグニュースであった。
「ガールズバンドパーティ……」
Roseliaのバンド練から数週間後、CiRCLEで受け付けをしている月島まりなの目の前でスタジオの予約をしに来た1人の男性は、壁に貼ってあるポスターを見て呟いた。
「あぁ、今度この辺で有名なガールズバンドの子達がこのスタジオで合同ライブするんですよ」
「へぇ、それは楽しそうですね」
「はい。最近ではガールズバンドが人気を上げてきてますし、元々このスタジオもガールズバンドを応援するために作られたスタジオなんですよ」
「えっ、じゃあ俺使わない方が……」
「あぁ、いえ! 別に男性お断りって訳じゃないので自由に使ってください!」
まりなの笑顔に、それは良かったと、ホッとする男性は壁に貼られたポスターを見渡した。
確かに、多くのガールズバンドのポスターが貼られている。ガールズバンド時代なんて呼ばれてるだけあるなと、彼が考えていると、奥の方から1人の少女がこちらに歩いて来るのが見えた。
「あっ、紗夜ちゃんお疲れ様。休憩?」
「はい、少し飲み物を買いに、って、え?」
個人練の休憩の合間に、自販機に飲み物を買いに来た紗夜にまりなが話しかける。
紗夜は丁寧にまりなに受け答えをすると、不意にまりなと話していた男性に目が行った。そして、男性と目が合った瞬間、一瞬かたまり、その次の瞬間には目的であるはずの飲み物も買わずに走って来た道を戻ってしまった。
「えっ、俺なんかしちゃった?」
目が合った事に気づいていた男性は、いきなり逃げるように去っていった紗夜に唖然としていると、紗夜は大事そうに自信の青色のギターを持ち、再び駆け足でこちらに戻ってくる。
そして、男性の前で止まり、バッと顔を上げる仕草に男性は少しビクリとするがそんな事はお構い無しに紗夜が言葉を発する。
「あっ、あの。Utopiaのユウさんですよね?私ファンなんです。よろしければサインくださりませんか?」
「えっ?」
そう言い、自信のギターを前に出し、頭を下げる紗夜に、急な事すぎて、男性、基、ユウは素っ頓狂な声を上げてしまう。
何時もクールでキッチリしている紗夜が、この時は純粋無垢な1ファンとしての顔をしていた。と、この状況に見合わせていた月島まりなは後にそう語る。
夏も間近な少し蒸し暑い季節。この瞬間、2人の運命の歯車は動き始めた。