王立ビブリア学園の完璧超人   作:滅悪狩人

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更新が遅くなりましてすいませんでした

仕事が忙しくてチビチビ書き進めてようやく完成しました。


魔王降臨(デーモンロード)と完璧超人

城壁を破壊してリベル学園の中に侵入したカタクリは見聞色の覇気を発動してミラたちの気配に向けて移動していた。

 

「……妙だな、なぜミラたちの気配しかないんだ?」

ミラたちの気配を探るために見聞色の覇気を発動させていたカタクリは奇妙な事実に気がついた。

ミラたち以外の気配が一切ないのだ。

人間どころか野生動物の気配すらない、まるで隔離された空間にいるような感覚をカタクリは感じていた。

 

「転移が失敗したのか?…いやそれは無いな学園長がミスをするとは思えん………もしくは転移に干渉した際にこの空間に引き込まれたか……だがいったい誰が、何のために」

ファーの上から顎に指を添えてカタクリは今回の転移の干渉やこの謎の空間について考察をしながらブツブツと呟いていた。

 

そんなカタクリの背後からはどこからともなく現れた魔物が迫ってきていた。

考え事をしているカタクリを見てチャンスと思ったのか魔物達は一斉に飛びかかったが、魔物達は飛びかかった体勢のまま空中で止まってしまった。

 

「ふっ、マヌケな奴らだ」

空中で身動きがとれなくなり混乱している魔物達をよそに、考え事をしていたカタクリが振り返った。

そして、魔物達を見据えながらカタクリが人差し指をクイッと動かした瞬間、魔物達は細切れに切断されてしまった。

 

「“モチ糸”……レヴィの〝(えい)()(ばく)()〟を俺なりに再現した技だが、俺には合わないな」

過去にユイが引き起こした〔眠りの崩壊現象事件〕の際に、レヴィとの戦闘があったとき彼女が使った技をカタクリがモチの能力で再現してみせたものであったがカタクリの表情から察するに彼の戦法には合わなかったようだ。

 

「やはり……直接殴るか斬った方が早いな」

そう言って、体の中からモチモチの能力でしまっていた三叉槍"土竜"を取り出して前方にまだ残っていた魔物達の群れに向かって突撃していき魔物を三叉槍で切り裂き、ときには覇気を纏った拳や脚で殴り蹴り飛ばして次々と現れる魔物達を蹂躙していった。

 

「数が多いが……無意味なことだ“豆モチ”」

倒しても倒しても数を減らさない魔物達を前にしてもカタクリは一切動じず手からバスケットボールほどのモチの塊を作ると上に向かって放り投げた。

モチの塊は空中で滞空するや否や周囲に豆まきのように豆サイズの弾丸を撒き散らし始めた。

弾丸をくらった魔物達は蜂の巣にされていく中、カタクリにも弾丸の雨が降り注ぐが弾丸が当たる部分のみをモチに変化させて回避していた。

 

「これで終わりだな」

数分間、滞空していたモチの塊から放たれた弾丸の雨が止むとカタクリの周囲にいた大量の魔物は殲滅されていた。

大量の魔物を殲滅出来てカタクリがミラ達の捜索を再開しようとした瞬間

 

 

ピシリッ

 

 

「んっ!?」

カタクリを中心に建物の床や壁にひび割れが走った。

どうやら“豆モチ”の弾丸の雨は魔物達のみならず建物までも蜂の巣にしていたようで、ほぼ建物としての機能を果たしていない状態になっていたようだ。

 

「少し……やりすぎたな」

カタクリの呟きと共にリベル学園の一部が崩落し、彼自身も崩落の波に飲み込まれていったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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一方、その頃

 

 

「うおっ!!なんだ!?」

 

「この揺れはいったい!?」

カタクリの反対側の門からリベル学園の内部に侵入していたアラタとミラは、突如起こった揺れに驚き倒れないようにしながら踏ん張っていた。

しばらくすると揺れはおさまりアラタ達はホッと一息ついた。

 

「すごい揺れだったな…地震……なわけないよな?」

 

「今の揺れからするとどこかが崩落したのかもしれませんね、揺れに混じって瓦礫の崩れるような音も聞こえましたので……」

 

「つーことは、校舎を壊すほどの敵もいるってことかよ」

ミラの言葉を聞いて、更なる敵の予感を悟ったアラタは項垂れるがすぐに気持ちを切り替えた。

 

「文句を言っても始まらねー!!とりあえず現状の確認だ」

 

「そうですね」

そう言って、二人はこれまでの経緯の確認をした。

 

 

 

まず転移魔術の光が治まったとき、アラタとミラ、そして魔道書のソラはリベル学園の正門の前に立っていた。

 

そこでアラタは自身が魔道士になるきっかけであり救いたい人物である『春日(かすが)(ひじり)』と再会したが、彼女は本物ではなく『イーリアス断章(だんしょう)』という魔道書が(ひじり)の姿を模しているものであった。

 

短い攻防の末イーリアス断章は姿をくらまし、その後ソラの考察によりこの空間が結界により現実世界から完全に切り離されたリベル学園だということが判明した。

 

そして、この空間から出るためにイーリアス断章を見つけるため三人はリベル学園に侵入するが校舎内にて大量の魔物達と遭遇、排除するべくミラがメイガスモードに変身しようとしたが突如としてミラの服がすべてはじけ消えるというアクシデントが発生。

 

その場の魔物達を純粋な魔力存在ゆえに攻撃魔法の使えるソラに任せて、二人は逃走して現在の空き教室にいるという現状であった。

ちなみに服が消えてしまったミラはアラタから渡されたYシャツを着ており、裸Yシャツ状態である。

 

 

「さてと現状の確認はこれでいいとして、次はこの状況の打破だな……こういう場合結界を生み出してる奴を倒す以外に方法があったよな?」

 

「そうですね結界の術者を倒す以外に、結界の要…つまり基点を破壊する方法ですね」

 

「それだそれだ!!」

 

「ここの結界の形を見る限りおそらく基点は中心にあります」

 

「そこまで分かれば十分だな、ミラはここで休んでてくれ」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!?」

休むように言って一人で行こうとするアラタをミラは引き止めた。

 

「まさか一人で行くつもりですか?」

 

「ああ、まぁ魔物に出くわしたらしっかり逃げるさ」

 

「危険です!!」

 

「かもな……でもやらないとなんともならないだろ?」

ミラの警告を聞いてもなお行こうとするアラタを見てミラも決心を決めた。

 

「……わかりました…私も一緒に行きます」

 

「おう?」

 

「あなた一人ではリベル学園の構造を知らないでしょう、それに貴方にこれ以上借りを作りたくありませんから」

 

「ハハハ……相変わらずハッキリ言うなお前」

いつも通りのキリッとした表情でハッキリ言うミラに、アラタも思わず苦笑いしてしまった。

 

「そんじゃ気を取りなおして、リベル学園探索に行きますか!!」

そう言って、アラタとミラは時計塔に向けて学園探索を再開したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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一方その頃

 

 

 

 

「そんじゃこっちから行くぜ」

魔物達の相手を任されたソラは、春日(かすが)(ひじり)の姿に変身したイーリアス断章と戦おうとしていた。

 

そして、ソラが先制攻撃を仕掛け始め手を軽く振るい魔法陣を展開するとそこからいくつもの光線のようなものが放たれた。

 

「ふふっ」

攻撃されたにも関わらず笑みを浮かべたイーリアス断章が一歩後ろへ下がると周囲にいた魔物達が彼女の前に移動して身代わりになって消滅してしまった。

 

「やれやれ魔物達を使い捨ての盾にするとはな、これじゃ悪い魔道士じゃないか……そいつらは元々この学園の生徒だったんだろ?」

 

「こうなってしまっては彼らには………もう意思なんてありませんから」

リベル学園に現れた魔物達が元々は生徒だったという衝撃事実をソラが口にするが、イーリアス断章は気にした様子もなく平然としていた。

 

「違いない……ならもう遠慮はいらないな!!」

イーリアス断章の言葉を聞いて吹っ切れたのか魔物ごとイーリアス断章を倒すつもりで、ソラは魔力を高めて特大の魔法陣を背後に展開した。

そして、ソラが勝ち誇った表情を浮かべ特大魔術を発動させる瞬間イーリアス断章は余裕の笑みを浮かべたままパチンッと指を鳴らした。

 

 

強烈な閃光と共に大爆発が起き、ソラとイーリアス断章のいた廊下と窓は無惨にも破壊されて周囲は黒煙に包まれた。

 

 

「……ふぅっ…やっつけたか!!」

特大魔術を使いイーリアス断章を完全に消滅させたと確信したソラが満面の笑みを浮かべるが

 

「ん?……げっ!?やべ!!!!」

ふとソラが視線を横に向けると黒煙の中から黒い箱のような物体が現れ、ソラはそれがなんなのか知っているのか焦り逃げようとしたが黒い箱から強烈な光が放たれた。

 

 

一瞬の閃光が止むとソラの姿は消えて黒い箱が廊下の床に転がった。

 

 

「あらあら、大きな魔法のあとは隙が出ますよって何度も(ひじり)に言われてましたのに……」

そう言いながら〝無傷〟のイーリアス断章が黒い箱を持ち上げると中には小さくなったソラが捕らえられていた。

 

「次はアラタさんと邪魔者の女だけですがもう一人邪魔者がいましたが………魔力をほとんど持っていないようなので無視しても大丈夫そうですね」

イーリアス断章はアラタとミラ以外の侵入者カタクリを警戒しようとしたが、魔力を持っていないことを知ると無視してアラタ達の方へと向かっていった。

 

 

 

のちにその判断が間違いだったとも知らずに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ソラがイーリアス断章に敗れた時と同じ頃

 

 

 

「ふぅ、やっと着いたぜ」

 

「そこに時計塔の下に上へ行くためのハシゴがあります」

アラタとミラの二人は魔物から逃げながら、ミラの案内のもとようやく時計塔の下に辿り着いていた。

 

「それじゃあ………きゃっっ!?」

 

「おっ!!」

ミラが先行してハシゴを登ろうとした瞬間、強風が吹きミラの着ているYシャツの裾が捲れそうになりとっさに裾を押さえたがアラタは何か見えたのか嬉しそうな表情でミラの尻を凝視していた。

 

「ふんっっ!!」

 

「ぶごっ!?」

しかし天罰はやはり下るようでミラの正拳がアラタの鳩尾(みぞおち)に深々とめり込んだ。

 

「こんな大変な時にどこを見ているんですか………以前アキオとカタクリから人体の急所と殴り方を教わってましたので、こう見えて私素手でもそれなりに強いんですよ?」

 

「げほっ!?……しゅびばせんでした…」

アラタは鳩尾(みぞおち)を押さえながら自身の行動を反省して謝罪するのであった。

 

 

その後、苦渋の決断としてミラがアラタに背負ってもらって登るという形で時計塔を進むことになってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

時計塔のハシゴの中間まで登ってきたアラタはふと気になったことを背負っているミラに聞いてみた。

 

「そういえば魔道士の〝テーマ〟は自分とは正反対のものを選ぶって聞いたけどよ、ミラってもしかして昔はかなりの不良だったりしたのか?」

 

「そんなわけないでしょう!!」

 

「ぐえっ!?ギブギブ!!」

おかしな質問をしてくるアラタにムッとなったミラは背負われるために首に回していた両腕に少し力を込めて締め上げた。

 

「いやちょっと気になってよ、リリスやレヴィの選んだテーマはなんとなく分かるんだけどお前の選んだテーマが正反対とは思えなくてな……昔のミラってどんなだったんだ?」

 

「……昔の私が変われたのは、アキオとカタクリのおかげです…」

アラタの質問を聞いてポツリと呟いたミラは、アキオとカタクリに出会った頃のことを思い出していた。

 

 

 

 

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‐私は元々、あまり自己主張できない引っ込み思案な性格でした‐

 

 

「ミラさん」

 

「…あっ」

席に座り俯いたままのミラに三人の女性生徒が声をかけてきて、三人はミラにそれぞれの話題を話していた。

 

「ミラさんって髪サラサラでキレイだよねー、どんなシャンプー使ってるの?」

 

「今度、新しく出来たお店に一緒に行かない?」

 

「それとも一緒に洋服を見に行きませんか?」

 

「……っ!!」

 

「あっ!?ミラさん!!」

しかしミラはおもむろに席を立つと教室から走って出ていってしまった。

 

 

‐魔力が高すぎるせいで暴走する可能性を持っていた私は、誰にも近寄らず話しかけず━━━みんなも私に近寄らずに過ごしていたんです‐

 

‐リリス先生はその頃から心配してくれましたけど、私は何も返せなくて……‐

 

 

「…うっ……くぅっ」

大きな木の下に座り込んだミラは、目尻に涙を浮かべたまま声をころして泣いていた。

 

そこへ一人の人影が近付いてきた。

 

 

「なーにメソメソしてんだ?」

 

「っ!!」

人影はミラにスッと手を差し伸べ、ミラはそれに気付き顔をあげるとその人影と目が合った。

 

ミラは、その人物の差し伸べた手に自身の手を重ねるのであった。

 

‐そんな時━━━私の手をアキオが取ってくれたんです‐

 

 

「ほら行こうぜ!!」

 

「あわわわっ!?」

アキオに手を引かれ、ミラは引っ張られるようにアキオと共に学園へと向かっていったのであった。

 

そしてアキオはミラを連れ回して、時には食事を共にしたり、時には共に同じベッドで寝たりなど常に一緒の行動を続けていた。

 

 

‐そしてある日、アキオが一人の男性と会わせてくれたんです‐

 

 

「あの先輩……今度はいったいどこに?」

 

「ん?…あぁミラに会わせてやりたい奴が居てよ、まぁ優しい奴だから安心しな……あっ、いたいたアイツだよ」

 

「えっ?……ヒッ!?」

アキオが指差した先を見たミラが見た途端、ミラは小さく悲鳴をあげた。

ミラの視線の先には口元を隠すように長めのファーを首に巻いた一人の男が木に背中を預けて腕組みをして立っていたのだが、その身長が問題であった。

学園の中でも身長が高い方であるアキオよりも、その男の身長の方がさらに大きく、さらには不機嫌そうに深く刻まれた眉間のシワが一層威圧感を高めていた。

 

「お~い!!カタクリ~!!」

 

「せ、先輩っ!?」

しかし、そんなことはお構い無しにアキオが大きく手を振りながら近づいて行ってしまいミラも男の威圧感にビクビクしながらもアキオのあとを追いかけた。

 

「悪いなカタクリ、遅くなった」

 

「…気にするなそれほど待ってはいない……それでお前の後ろの奴がそうか?」

 

「ああ、ミラってんだほら」

 

「ちょ、ちょっと待ってください先輩!?」

そう言ってアキオは、後ろに隠れていたミラの肩を掴むとグイッと男の前に移動させられてしまった。

 

「……………」

 

「あぅっ」

男の無言の前にミラは威圧されてしまい、そのまま俯いてしまい両者ともしばらくの間沈黙の時が続いたが

 

「大丈夫だミラ、こいつ恐い顔してるけど女には紳士的だからよ」

 

「…おい」

 

「ハハハッ、悪いなミラが緊張してるみたいだからほぐしてやろうかと」

 

「……ふっ」

 

「あの……」

アキオがミラのために場を和ましたおかげで、緊張も解けて決心したミラは男に話しかけた。

 

「わ、私は山奈(やまな)ミラと言います……えっとその……よろしくお願いします!!」

 

「お前のことはアキオからよく聞いている……俺はカタクリだ」

 

 

‐それがカタクリとの初めての出会いでした‐

 

‐それからは三人一緒で行動することが多くなり、その中でカタクリの優しさや強さを知って交流を深めていきました……そして‐

 

 

 

 

「「ミラッ!?」」

空き教室に駆け込んだアキオとカタクリは、気を失い倒れたミラの姿を見つけたのであった。

 

 

 

「んぅ?……ここは…」

一定の間隔で感じる振動によって意識を取り戻したミラが目を開けると

 

「おっ!!ミラの奴、起きたみたいだぜ」

 

「目が覚めたか?」

 

「ふぇ!?……せ、先輩っ!?それにカタクリさん!?」

 

「……落ち着け」

最初にアキオの顔が見えて驚いたが、ミラは自分がカタクリに背負われていると分かると顔を真っ赤にして狼狽えていたがカタクリの一言を聞いて落ち着きを取り戻した。

 

「ごめんなさい先輩、カタクリさん……私…実験に失敗して……」

 

「なぁ…ミラよ」

 

 

-ある時、アキオとカタクリが言ってくれたんです-

 

 

「せっかくデカい魔力を持ってるなら……それでビシッとしちまうのも手なんじゃないか?」

 

「…先輩」

 

「だが無理はするな……必要な時はオレ達がいつでも手を貸してやる……一人で抱え込むな…オレ達は仲間だ」

 

「カタクリさん……」

 

 

-その時のアキオとカタクリの言葉は私の中にストンと落ちて……私もストレートに格好良く…強くなれたらいいなって……-

 

 

「だから私は自分も……自分の力に責任を持つ人━━〝正義の味方〟になりたい……そう思ったんです」

 

「………なんだいい話じゃないか」

 

「はい……アキオとカタクリはかけがえのない大切な仲間です」

話を聞いたアラタの純粋な感想の言葉に、ミラは小さく頷いた。

 

 

 

 

そんな会話をしている間に二人は時計塔の上にある展望テラスのような場所に辿り着いた。

 

「……どうだ…?罠は?」

 

「見たところ大丈夫そう……ですが…」

 

「……?…あれは……!?」

ミラがそこまで言った辺りで、アラタはテラスの中央にある物に気が付いた。

 

それは台座の上に置かれた黒い箱のような物体の中に囚われたソラの姿があった。

 

「!?…ソラっ!!」

 

「お待ちしてましたよ、アラタさん」

思わずソラのもとへ駆け寄ろうとしたアラタだったが声を掛けられ足を止めて視線を向けた先には

 

(ひじり)…!!」

 

「いえ……あれはイーリアス断章です!!」

(ひじり)の姿をしたイーリアス断章が立っていた。

 

「さあアラタさん、貴方の魔道書は封じ……そして魔力もこうして封印しました………あとはそこのイレギュラーで混じってしまった女を排除すれば私と貴方の二人だけ……」

そう言いながら、イーリアス断章は両腕を大きく開いて

 

「時間も空間も全てが止まったこの地で……(ひじり)がこの世界全てを滅ぼすその時まで、私と共に過ごしましょう…!!」

ニヤリと笑った瞬間、アラタとミラを包囲するように無数の魔物が二人を取り囲んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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アラタとミラが魔物に取り囲まれ絶体絶命の状況になった同じ頃

 

 

 

いまだに学園内を徘徊する魔物がまだ多く残っていたが

 

「━━━ッ!?」

 

「━━━!!」

魔物達の間を高速で移動する人影が通りすぎた瞬間、一匹また一匹と細切れに切り刻まれて消滅していっていた。

 

 

「待っていろ……ミラ」

 

廊下を走り抜ける人影は小さくそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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場面が戻り時計塔のテラスにてミラとアラタ、ソラの三人は絶体絶命の危機に陥っていた。

 

ミラは無数の魔物達に組伏せられ触れられた所から魔力を吸われ、黒い箱の中に囚われたソラも魔力を術式から吸い出され苦悶の声をあげていた。

そしてアラタは、黒いロープのようなもので四肢を拘束された姿で二人の苦しむ姿を見せつけられ内に眠る力が解き放たれようとしていた。

 

「そんなの……支配でもなんでもないじゃねぇかよ」

 

「━━っ!!イーリアス断章!!!!マスターを止めろぉ!!!!」

アラタの身体から黒いオーラが出始めたのに気付いたソラが最悪の事態を止めようと声をあげるが時すでに遅く、アラタの身体から大小様々な骸骨の形をした瘴気が溢れだした。

 

「…あっ……ああぁ…」

あまりにも禍々(まがまが)しい瘴気を感じ取ったイーリアス断章は恐怖のあまりの座り込んでしまった。

そして、禍々しい瘴気を振り払い現れたのは黒一色に統一された服装をして西洋兜のような仮面を付けた魔王だった。

 

 

箱の中に囚われたままのソラが冷や汗を流しながらその者の名前を呟いた。

 

 

「あれが真の魔王候補『春日(かすが)アラタ』に秘められた存在━━━〝アストラル・トリニティ〟だ」

 

 

 

 

 

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