王立ビブリア学園から少し離れた場所にて、三人の男女が歩いていた。
「それにしても大将、今回の崩壊現象はいつにもまして瞬殺だったな」
黒髪のロングヘアで大きくスリットの入ったロングスカートにへそ出しワイシャツという服装をした長身の少女がつまらなさそうに呟いていた。
「それでも早急に崩壊現象を止められたのは
つまらなさそうに呟く少女の隣を歩く金髪ショートヘアでビブリア学園制服の上にマントを羽織った小柄な少女は長身の少女の呟きにそう答えた。
「…………」
そんな二人の四歩ほど後ろを歩く膝の部分にトゲがついたレザーパンツに素肌にレザーベストだけを着てほとんど上半身裸の服装をしており口元を隠すように巻かれたファーを身につけた長身の少女よりもさらに高い体躯の大男は静かに歩いていた。
この三人はつい先程まで崩壊現象と呼ぶ、世界各地で観測される重力振動や原因不明の磁場発生によって引き起こる大破壊現象を止めて王立ビブリア学園に向けて歩いている途中であった。
「さてと帰ったらメリエンダの用意をしなくちゃな」
「……いつもすまない」
「気にすんなよ、私もお菓子作りの練習になってるしな」
「…ん?これは……」
長身の少女と大男の二人がそんな会話をしてると、小柄な少女は視界に入ったビブリア学園を見て違和感を覚えた。
「どうした?大将」
「いえ、学園から妙な魔力が……」
長身の少女にそう聞かれ小柄な少女が答えようとした時、視界に入っていた学園の一部が粒子状になり消え始めた。
「「っ!?」」
「崩壊現象か」
突然起こった事態に少女二人は目を見開き驚いたが、大男は冷静に事態の原因を呟いた。
「急ぎますよ、アキオ!!カタクリ!!」
「あいよ大将!!」
「…あぁ」
そう言って三人は学園に向けて走り出した。
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時は少し
ビブリア学園の保健室にて、アラタとリリスはとある少女と一緒にいた。
「"
「"
「私のテーマは"
「っ!!…アラタ!?」
「彼の魔力を抑えている魔道書の制御を崩壊させたわ」
そして、とある少女もといトリニティセブンの一人『
「〈おいおい!!ここでこいつの魔力を暴走させる気かよ!?〉」
アラタの右手にある伝説の魔道書『アスティルの写本』も突然の事態に動揺していた。
「そんなことをしたらこの学園が――!!」
「そう……崩壊現象に包まれる」
「ぐっ……崩壊現象……だと!?……ぐあああ!?」
「っ!?…物が粒子に変わっていく……」
アラタが苦しみ悶え断末魔をあげると同時に崩壊現象が始まった。
「このままでは…危険すぎますアリンさんっ!!」
「そうね、でも私のテーマ"
リリスがアリンに魔術を止めるように言うが、アリンはほとんど表情を一切変えずに自身の考えを述べた。
「ぐっ……そうですが」
「それにしても………これほどとは」
そう言いながらアリンがチラリと保健室の窓から学園を見ると、学園全体におよぶ広範囲に崩壊現象が発生していた。
「―――――」
ついに苦しむ声をあげずにただ破壊の力を出すだけとなったアラタの背中から翼のようなものが生成されていた。
「アラタ!!」
「くっ……魔王候補の力……ここまでとは」
リリスはアラタの名を呼び掛けるが事態が進展するはずもなく、アリンも自身の想像をはるかに超えるアラタの魔王候補の力に冷や汗をかいていた。
「仕方ありません、こうなったら!!」
そして、リリスは崩壊現象を止めるべくアラタを撃つ覚悟を決め銃を構えるが
「なっ!?どきなさい!!」
「させないわ先生、彼は私の旦那様よ?」
アリンがリリスの構えた銃の前に立ちふさがっていた。
「ですがアラタを止めなければ学園も
「私はこの崩壊の先に何があるのか知りたい、それが魔道を追求するということでしょう?」
両者互いに譲らずこのまま学園もろとも消えるかと思われた時
「ならば俺がそいつを殺してやる」
「「っ!?」」
突如聞こえた男性の声に二人が壁に向くと同時に、とてつもない衝撃と共に壁が吹き飛ばされた。
「そんな……たしか
吹き飛ばされた壁から現れた三人の男女にリリスは目を見開き驚愕した。
『
『
『
王立ビブリア学園を代表する検閲官メンバーが現れたのであった。
そして、三人が現れたと共にアリンがある事に気がついた。
「崩壊が……停止させられている……」
「私の魔術で同等の崩壊の力をぶつけ中和しています」
「っ!?」
先程まで起こっていた崩壊現象がミラの魔術によって止まっているのだ。
「私の"
そう言うと、ミラはこの崩壊現象の原因であるアラタを見据えると指示を出した。
「……アキオ…彼を殺してください、彼がこの崩壊現象の起点です」
「あ~、大将それなんだけど」
「なんですか?」
指示を出したにも関わらず指示をためらう相棒にミラがアキオに不思議そうに聞くと
「あいつの始末はカタクリにやらせた方がいいぜ?」
「は?」
「いやその……メリエンダの時間が遅れてかなり…な」
メリエンダと言われてミラがハッとカタクリに視線を送ると
「……………」ビキッビキッ
眉間に深くシワが刻まれ、破裂するのではないかというほど血管が浮き出していた。
「わ、わかりました……カタクリ…彼を殺してください」
「………あぁ」
ミラに指示されカタクリはアラタを始末するべく一歩を踏み出した。
「いけませんカタクリさん!!」
「――っ!?身体が動かないわ…!?」
リリスはカタクリを止めようとするが、アリンと同様にミラによって動きを封じられてしまった。
「悪く思うな…お前に恨みはねぇが……」
カタクリはアラタに近づきながらそう言うと、彼の右腕が黒い鉄のような色に変色し赤黒い稲妻を纏った。
「俺のメリエンダを遅らせた……お前を恨みながら………」
アラタの目の前で立ち止まり右腕を振り上げ
「……死ね!!」
アラタの頭を拳が捕らえそのまま殴り飛ばした。