作「ホントですねー」
エ「なかなか面白いことになってきたじゃないか。UAも500を超えあがって、生意気だぞ駄作者」
作「なかなか辛辣なお言葉ですねー」
『ふぅ~。ずいぶんと過激なプレゼントだなぁ、んん?』
いきなり後ろから弾幕が飛んできたから咄嗟にエボルテックフィニッシュを放ったものの、さすがのこの俺もあれに対して対抗なしで喰らったら無傷では済まなかっただろうな。
腕組みをして俺を睨みつける少女⋯⋯⋯⋯博麗霊夢を見る。
赤の大きなリボン、脇の見える赤白の巫女服、油断も隙もない態度、数々の激戦を繰り広げてきたかのような面構えに雰囲気。
なるほどなぁ。奴が幻想郷最強と言われている博麗霊夢か。こりゃあ一筋縄ではいかなそうだ。
ん? なんで幻想郷に来たばかりの俺が霊夢について知っているかって? 神崎零夜の記憶を見たんだよ。
忘れているかもしれねぇが、俺はこの世界に来て神崎零夜という少年の体に憑依している。その際にこいつから幻想郷に関する記憶をある程度見ていたのさ。
だがまぁ、まさかいきなり攻撃されるとは思っていなかったがなぁ。
「アンタが誰でどんな目的でここにいるのかなんてどうでもいい。ただ怪しいから退治するだけよ」
『そんな理由で退治する巫女ってかなりの理不尽者じゃねーのか?』
やれやれというかのような態度に霊夢の眉がぴくっと動くが、さすがは幻想郷最強とでもいうべきか。これぐらいの挑発には乗らなかった。
『悪いが、今日の所は相手してやる気が無くてな。今度たっぷりと遊んでやるよ』
そう言ってトランスチームガンを取り出した俺は、毎度のごとくビルドたちの前から消えるのと同じやり方でその場から姿を消した。
「待ちなさいよ!」
消える際に巫女の怒鳴り声が聞こえたが、無視でいいだろう。
~~次の日~~
仮面ライダーエボルではなく神崎零夜として博麗神社に来た。
なぜかって? 昨日、人間の姿に戻った俺が人里にある俺の部屋(エボルトのではなく宿主の零夜の)に一枚の手紙が置かれていたからだ。
手紙の内容はこうだ。
『私はあなたの事を知っているわ。知りたいのなら博麗神社に来なさい』
そう書かれていた。別に俺のことがばれることについてはどうだっていいが。
そんなこんなで博麗神社に来ていた俺は、エボルドライバーをいつでも出せるようにしつつ不敵な笑みを浮かべる。
「何がそんなに面白いのかしら?」
突然隣からそんな声がかかるが、特に驚くこともなく隣を見る。
「おいおい。記憶を見たから知ってはいたが、本当に空間を移動するようだなぁ。こりゃたまげたぜ」
「そういう割には全く驚いているようには見えませんが?」
「まぁな。俺がいた場所では瞬間移動の類は別珍しくもないしな」
そう言ってにやりと笑った俺は、実際に隣に現れた女ーー八雲紫(記憶から推定)の後ろに現れる。
「あら、神崎零夜の口調でいかなくていいのかしら?」
「どっちみちばれてんだから無駄だ。だったら、潔く素手いく方がいいだろう?」
「それもそうね」
扇子で口元を隠した紫に多少の警戒はしつつ、今後の事を考える。
場合によってはこの幻想郷を消滅させるかもしれないが。ま、こんな面白そうな世界を簡単に壊してしまうのがちと味気ない気もするがな。どうせなら楽しんでから壊すのがいい。
ま、そうやって楽しんでいたから生前はビルドに負けて消滅することになったんだが。
「今日貴方を呼んだのは、幻想郷についての説明と「それは記憶見たからいい」⋯⋯⋯⋯私からのちょっとした忠告よ」
言葉の最中で俺に遮られて多少不機嫌な表情をするが、それでも流石大妖怪というべきか、表情をほとんど動かすことなく俺を見据える。
「彼の記憶を見たなら知っていると思うけど、私はこの幻想郷を創った創始者である八雲紫。私はこのスキマを使って外の世界をのぞいている時かあるわ。その時偶然にも貴方たちの戦いを見たの。だからこそ、この幻想郷の住人の中で誰よりも貴方の力とその力の脅威さも知っている」
「ほう?」
「だからこそ忠告するわ。今この幻想郷に囚われこの世界で生きていくしかないあなたに。もし幻想郷を危険にさらしたらただじゃ置かないわよ。それとこの世界で生きていくなら、貴方が憑依している神崎零夜の真似するといいわ。彼は誰からも愛されるような人間だから、生きていくのに不自由はないと思うわよ?」
そう言ってスキマを開いた紫はその中に消えていった。
(別に最悪この世界を消滅させるかもしれないだけで、しばらくはやらねーよ。戦兎との戦いで人間がどういう者なのか多少は知っているつもりだ)
だが、紫が言うようにこの世界で生きていくしかない俺は、しばらく神崎零夜として生活した方がいいかもな。
「あら? 零夜じゃない。何しているの?」
後ろから声を掛けられて振り向くと、そこには昨日会った脇巫女がいた。あれ。寒くねーのか?
「あ、あー。霊夢さん、ちょっと博麗神社に用事ありまして、もう終わったので帰りますね」
霊夢の横を通って階段に足をかける。だが、俺の経験が言っている。どんな時もそう簡単にはいかないってな。
背中に迫ってきた弾幕を紙一重で躱した俺は、いきなり弾幕を放ってきた霊夢を睨む。さすがの俺もそう簡単にはゲームオーバーにはなりたくはねぇ。
「いきなり何をするのですか?あれ殺すつもりでやりましたよね?」
「いつまで神崎零夜の仮面をかぶっているつもりかしら? 貴方が昨日の仮面ライダーであることは勘で知っているわ」
ありゃ? 勘ってなんだけ?
「いつもだったらすぐ退治するんだけど、貴方には選択肢をあげるわ。私に今すぐ退治されるか、それとも戦って退治されるか」
選択肢ってなんだっけ?
「それは選択肢って言わないんだが、知ってるか?」
「ええ、知っているわ。でも、幻想郷の素敵な楽園の巫女直々に退治するのよ? 誇りに思っていいわ」
だめだこいつ。
「はぁ、めんどっちぃが、仕方ねぇか」
そう言ってエボルドライバーを取り出し、腰につける。コブラエボルボトルとライダーエボルボトルをドライバーにセットしレバーを回す。
すぐさま仮面ライダーエボルに変身した俺は、弾幕を放ってきた霊夢に向かってトランスチームガンで撃つ。だが、さすがは巫女の勘。一発も当たらない。
『お前⋯⋯⋯⋯ホントに人間かよ』
「ええ、間違えなく人間よ。ただ、ちょっと普通の人間よりも強いだけ」
『それは人間やめてるっていうんだが、もちろん知っているよな?』
知らないわ、と言ってサマーソルトキックを繰り出した霊夢に、後ろに跳ぶことで回避する。
こりゃあ、一筋縄ではいかなそうだな。