ハヤテのごとく! オリ主もの   作:生きた屍

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主人公のキャラが固まらない。


第二話

 笹井は陽の光を感じて目を覚ました。

 ――……ああ? んだここは? 天井があるじゃねえか……。それにシャンデリア……? 何つー豪華さだよ……。

 目を覚ました笹井は思わず飛び起きた。

 そして周囲を警戒する。

 そうしていると、少しずつ、今までのことを思い出してきた。

 ――確か、あの嬢ちゃんを助けた後、俺が仕事を紹介してくっれつったら、ここを紹介されたんだったか。

 とりあえず危険がないことが分かった笹井は、ベッドから離れ、用意してあった服に着替え廊下に出た。

 ――……金持ちってのはすげえなあ、おい。

 廊下に出た笹井が見たのは、先が見えないぐらいの長さのある廊下。

 モノクロのカーペットが敷かれていた。

 そしてところどころに規則正しく置かれた壺などの嗜好品。

 ――模範的な金持ちだわなあ……。こんだけ長ぇんだったら、いっちょ走ってみっか。

 

「カカッ。そ~っれっと!」

 

 笹井は最初から全力で走り出した。

 ――カカッ! 窓から射す光が心地いいぜぇ!

 全力で走ること数秒、案外呆気なく端までついてしまった。

 

「……ケッ。思ったより狭ぇな~」

「何やってるんですか、笹井さん……」

 

 いつの間にか側にいたハヤテに、笹井は呆れられていた。

 

「おっ、ハヤテじゃねえか。お前も走んねえか?」

「いやいや!? 僕に雇われ先でいきなり全力疾走する勇気はありませんよ!」

「カカカッ! まあ、そんなもんか」

 

 そして笹井とハヤテは、適当に話しながら歩いて、屋敷の中を散策し始めた。

 

「かあ~! ほんっとに、ここは広ぇなあ……。一度でいいからこの屋敷の主になってみてえもんだぜ」

「ですね~。……僕は明日の身も保証できないので、ちょっとアレですけど……はあ」

「そういやお前借金あるんだったか。幾らなんだ?」

「……一億、五千万です……」

「……お、おう」

 

 予想以上の額に、笹井は思わず足を止めた。

 

「流石の俺でもそこまでの額はねえな」

「笹井さんも借金したことあるんですか?」

「おうよ。ああ、後、俺のことは一条でいいぜ。笹井さんってのは言いにくいだろ」

「あ、じゃあ一条さん」

「そうさな~、確か一億はいってたっけか」

「僕とあんまり変わらないじゃないですか!?」

 

 今度はハヤテが驚き足を止めた。

 そうやって話し続けていたため、あまり屋敷の散策は進まなかった。

 

「あれ? もうお二人とも起きてたんですか」

 

 背後から声がかけられた。

 二人は振り向く。

 

「おっ、おはようさん。今日から働かせてもらうぜ。ああ~……確か、マ、マ……」

「マリアさんですよね。よろしくお願いします」

「お、そうそうマリアだマリア。よろしくな」

「はい。よろしくお願いします。ハヤテくんと……笹井さん、でいいのかしら」

「一条でいいぜ」

「では一条さん。早速仕事をお願いしますわ」

 

 マリアはそう言って、二人に後をついてくるように促した。

 

 そして、ある部屋の扉の前で止まった。

 

「ハヤテくんにはこの部屋を、一条さんには右隣の部屋をお願いします」

「分かりました!」

「了解っと」

「終わりましたら声をかけてください。では」

 

 マリアはそう言うと去って行った。

 

「んじゃ、各々頑張ろうぜ、ハヤテ。ここまで来たら一蓮托生だ。失敗すんじゃねえぞ」

「任せてください! 掃除は得意ですから!」

 

 ハヤテはいい笑顔で言葉を返した。

 そして二人は部屋に入っていった。

 ――さあて、やれるだけやろうかねえ。 

 

 

 

 

 ――――――――― 

 

 

 

 

 マリアは二人に仕事を伝えてから、ナギと話していた。

 

「本当にあの二人を雇うんですか?」

「ん? 何か問題があるのか?」

「いえ、今まで使用人三人だけでもなんとかなっていましたし、いきなり二人というのも。それに執事として」

「前々から姫神の後任として執事が欲しいって言ってたじゃないか。クラウスが」

「まあそれもそうですね。そこらへんはクラウスさんに任せましょうか」

「うんうん。それがいい。そういえば二人はもう働いてるのか?」

「ええ。先ほど仕事を伝えてきましたから。見てきますか? 場所を教えますよ」

 

 ナギが二人の掃除している部屋に行くまで、あと少し。

 

 

 

 

 ―――――――――

 

 

 

 

「やりゃあできるもんだな、こりゃ」

 

 笹井は掃除しながら呟いた。

 掃除用具は部屋に置いてあったものを使っている。

 マリアが置いていったのだろう。

 ――順調なのはいいが……如何せん一部屋がでかいぜ。

 

「……まさか俺が真剣に仕事するたぁな~。これもあのガキ共に会った影響か? ……カカッ、らしくねえなぁ、おい」

 

 そんなことを言いながらも、棚を拭く手は休めない。

 なんだかんだ言いながら、仕事はやるのだった。

 

「おおっ、結構いいじゃないか。見かけによらず掃除が上手いな!」

「ああ?」

 

 笹井が大きな声に振り向けば、雇い主のナギがいた。

 

「んだよ、嬢ちゃん。邪魔しに来たのか?」

「むう……そういう言い方はないだろう。これでも私は主なのだぞ」

「主ぃ? 誰が、誰の?」

「私が、お前の」

 

 しばしの沈黙。

 ――……まあ、俺の雇い主であるわけだから、間違っちゃいねえんだが……。こいつのはなんかニュアンスが違う気がすんだよなぁ。

 ナギはこの沈黙を肯定と受け取ったのか、話を続けた。

 

「お前は私の執事にすることにしたからな。ハヤテもそうだぞ」

「執事ぃ!? この俺が!?」

「うむっ!」

 

 ナギは胸の前で腕を組み、少し仰け反った。

 すごく偉そうである。 

 実際偉いのではあるが。

 ――こいつ今執事とかいったか、おい。

 

「給金は弾むぞ」

「やらせてもらうぜ!……はっ!」

「くくく……言質は取ったぞ。さらばだ!」

 

 そう言って、ナギは去って行った。

 ――……ま、金が入るんならいいか。それより掃除だ掃除。終わらせちまわねえと。

 

 

 

 

 ―――――――――

 

 

 

 

「出ていけえ!」

 

 大声が館内に響き渡った。

 ――なんだ?

 笹井はもう終わりの見えた掃除を一度中断し、廊下に出た。

 だが人影は見当たらない。

 ――結構遠くか?

 そのまま笹井は隣で掃除しているはずのハヤテを見に行く。

 何か今の大声の理由を知っていないか、程度のことだったが、部屋に入って状況は一変した。

 

「いねえ……。もしや……」

 

 笹井は部屋の窓に近づき、屋敷の入り口を見た。

 ――おいおい……。

 ハヤテはこの屋敷を追い出されたらしかった。

 そして最悪なことに。

 ――借金取りの連中のお出ましか。

 ハヤテは屋敷前に置かれていた車に乗せられ、どこかに連れ去られていた。

 普段の笹井なら、このまま見捨てて掃除を続けるはずだったのだが。

 ――一蓮托生つっちまったしなあ……。嘘は言いたくねえんだよなあ、俺。

 

「はあ……仕方ねえ。嬢ちゃんに頼むか……」

 

 

 

 

 ―――――――――

 

 

 

 

 ――とある港。

 そこにハヤテと借金取りの連中は居た。

 

「あ、僕急に用事を思い出しました……というわけで帰ります!」

「逃がすわけねえだろ!」

「やっぱりぃ!?」

 

 ハヤテは逃げ出そうとしたが失敗。

 目つきのやたら鋭いチワワに噛みつかれていた。

 

「大丈夫。殺しはしねえよ……多分な」

「多分!? いやだー! 誰か助けてー!」

「はっ、そんな叫んだって誰も――」

「とぉころがどっこい!」

 

 突如借金取りとハヤテの後方から、声が聞こえた。

 そう笹井である。

 ――昨日からこんな役目ばっかだな俺……。……ああ、悪人としてお俺がどんどん消えて行っちまうぜ……。

 辟易しつつもしっかりと助けに来ている笹井。

 片手には銀色のアタッシュケースを持っていた。

 笹井は静かにハヤテに歩み寄る。

 

「よう。助けに来たぜ相棒」

「い、一条さん!? どうやってここに……」

「ま、そこらへんの話は無事帰ってからにしようや」

 

 それだけ言って笹井は、周りに集まってきた借金取りの連中に目を向ける。

 

「……何の用だ、笹井。今お前に用はねえぞ」

「お前らに用っつったらこれだけだろうがよ」

 

 笹井は持っていたアタッシュケースを前に出す。

 

「それは?」

「金だ」

 

 そう言ってアタッシュケースを開くと、ボトボトと、たくさんの札束が落ちてきた。

 

「その小僧の借金をお前が払うってのか? ……なんか裏があるんじゃねえだろうな」

「そんなかには俺の分も入ってる。それに、今のアイツは仲間だからな。仲間に嘘はつけねえんだよ。悪人としての俺の矜持だ」

「……けっ。行くぞお前ら。金さえもらえばもう用はねえ」

 

 借金取りたちは金を集め、車に乗って帰って行った。

 

「あ、あの一条さん……ありがとうございました……死ぬかと思いましたよ……」

「礼を言われるのは俺じゃあねえよ。とっと屋敷に帰んぞ」

「で、でも僕お嬢様に追い出されちゃって……」

「馬鹿かハヤテ。お前の借金返したの誰だと思ってやがる」

「え?」

「ちゃんと帰って礼言えや。まだ待ってるだろうしよぉ。あの嬢ちゃん、思った以上にお人よしだ」

 

 笹井は振り返らず港を後にした。

 笹井には、後ろから足音が聞こえてきた。

 どうやら、ハヤテも帰りたかったようだ。

 ――カカカッ。儲けた儲けた。ハヤテの借金ってことで俺の分まで返しちまえた。ナギの嬢ちゃんには感謝しねえとな。

 笑いが出るのを我慢しながら、笹井は夜道を歩く。

 ――とりあえずは、後ろのこいつと執事でもやるとすっかねえ。 

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