深い森(SEKAI NO OWARI)を最後の最後にやった蛍。
「いや、楽をしすぎでしょう…。」
「まぁ、荒い筋だからね!では、本編どーぞ!」
先日に行われたライブCircle史上最大級の盛り上がりを見せた。
やはり、最初の彼等──────"Bad Actors"による圧倒的なパフォーマンスが原因だろう。
まりなは是非ともあのバンド達と彼等を引き合わせたかった。
きっとお互いがお互いを高め合ってくれるだろう、と。
そんな事を考えていると──────
「まりなさん、ちょっといいかしら?」
友希那がやってきていた。
「あれ?どうしたの?」
「実は会わせて欲しい人達が居て──────。」
蛍は困惑していた。
というのも、いつもの如くCircleで練習を終わらせて帰ろうとしたところを、このライブハウスのスタッフである月島まりなに止められたからだ。
「君達の同業者で会いたいって言ってる子達が居るんだけど…少しあそこのラウンジで待っていてくれないかな?」
と言われて待ち始めて凡そ30分。
次々と少女達が入ってきた。
おおよそ25人。蛍は男女比3:27という空間が出来上がりつつあるのに戦慄を覚えた。
入ってきた少女の中に自分達のステージを見ていた人物が居ると気付いたとき、何故かその少女に睨まれた気がした。
「始めまして。"Bad Actors"リーダー、ボーカルとギター担当の坂田 蛍です。」
「同じく、ドラム担当の金田 将人だ。」
「同じく、ベース担当の小尾 雄です。」
「キーボード担当、波原 夕奈です。」
「ギター担当、木原 絵里よ。」
とりあえずの自己紹介を済ませる。
そうして彼女達に自己紹介と彼女達が何をやっているのかを聞いた。
「つまりは、なに?何であんなに盛り上げられるか聞きたい、と…。」
そういうことか。
ならば話が早い。
「楽しむ。ただそれだけさ。」
蛍に言えるのはこれ位だ。
ただただ楽しめばいい。
蛍は"雰囲気は伝染するもの"という考えを持っている、ということを少女達に伝えた。
「伝染、ですか?」
と、とある少女が口にした。
その声音は蛍を疑っているようだった。
「千聖さん…だっけ?人ってその場の雰囲気に流されやすいでしょ?僕はそれが雰囲気の"伝染"というものの一つだと思っているんだ。」
「なるほど…。」
と、先程疑問を上げた少女────千聖が納得したように頷いた。
しかしまだ思う所は多いだろう。
雰囲気がどれくらい大事か。
これは盛り上げに関する重要な事だ。
そう、蛍は認識している。
「なるほどなぁ…」
と感心している将人は分かってなかったようだ。
「いや…同じ話してたわよ…!?」
将人に突っ込む絵里。
「絵里、将人は鳥頭だってこと忘れてないか?」
雄はそれが当然というような感じだった。
「ね、蛍君、後ろはほっとこうか。」
呆れたように夕奈が蛍に呟く。
「………だね。」
一通りの話をした。一通り話を聞いた。
「…で、疑問は解決できた?」
「は…はい…」
そして全員の疑問に答えた。
蛍は息を大きく吐く。
そして、つい、思った事を口にしてしまった。
「ああ…、すっごい居づらい…」
と。
「…ああ…。」
とライブを見ていた少女────友希那が額に手をやった。
彼女は、他のメンバーに
「彼らは疲れたようだから、私達ももう帰りましょうか。」
そう声を掛けてくれた。
了承の声が上がると、こちらに一礼をして全員が退出した。そして────
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
緊張が解けたからか、蛍の口から変な声が出た。
聞かれてませんように。
そう祈ることしかできなかった。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
友希那は個人的にボーカルの少年───蛍と話をしてみたいと思っていた。
そのために、ラウンジの外で待っていたのだが───
ラウンジから奇声が聞こえた。
その声を聞いた瞬間、嫌な予感がして、ラウンジのドアを勢いよく開けた。
「ちょっと!?だい…じょう……ぶ…ね。」
心配して出した声が少しずつ尻すぼみになっていく。
最悪だ。やってしまった。
まさか、本当にただの奇声だったとは。
「ああ…うん。大丈夫だと思うけど…。」
奇声の主と思われる少年──蛍が苦笑いしながら自分に聞いてきた。
「そっちこそ…大丈夫?」
これが後に音楽界を(色々な意味で)ちょっとだけ揺るがすことになるかもしれない二人の出会いだった。
ここで軽いキャラ紹介
・坂田 蛍 17歳 元高2 168cm 58kg 4月2日生まれ
Bad Actorsのリーダーでボーカル。曲によってはギターもやる。
1話目でのギター使用曲は、Feed the fireとMAGIC。それと深い森。
重度の中二病患者で、選曲センスにそれが現れることが多い。深い森とかDIE SET DOWNとか。
使用機材はホワイトファルコン。
モットーは
心の中で決めたならそれは終わっている。
ようするにプロシュート兄貴である。