自由な世界の探偵事務所   作:水無月 驟雨

12 / 20
バチクソ遅くなりました水無月です!申し訳ない!
勉強とか勉強とかネタ被りの対処とかに追われまして、6日も経ってしまいました。
ちょっとストーリーに無理があるかもしれませんが、それは僕のせいではありません。嘘です。僕の確認不足です。


推理と見込み

 □【探偵】 コウ

 

 

 ゆっくりと、海に潜る。

 

 深い深い、記憶と思考の深海へと──。

 

 ──まず第一に、地面の血痕は残っている。これが本当にキャロルさんのものかは定かでないが、少なくともまだ生きていることを示している。

 あの(さっきの)クランの誰かが流血しながら敗走したとすれば、ディルガルドさんがキルした時点で血痕は消えるはずであり、かつ長距離に血痕があったことから、無関係者、つまりキャロルさんの可能性が高い。

 

 ──次に、血痕が要塞へと向かっていた理由。自ら山賊のアジトへ向かう訳が無いし、傷つけられた上で攫われたというところか。だがあの血痕は一人分。行方不明になっていたティアンの人数は5人ほどなので、明らかに数が合わない。それとも、4人は既に死んでしまったのだろうか。

 

 ──そして、あのクランがティアンを攫う理由。もしかすると戦力増強に人命が必要な<エンブリオ>なのかもしれないが、俺が人質にされていた際に放った「キャロルさんたちをどこへやった」という問に、奴は「何言ってんだ」と返した。

 更に、思えば【探偵】のパッシブスキルである『真偽判定』に奴のその言葉は引っかからなかった。高レベル故に無効化された可能性もあるが、あの様子は本当に知らない様だった。

 

 ──最後に、居なくなった人達は全員衛兵、騎士だということ。たまたまかもしれないが、夜間にあの門付近を通る商人のティアンも居たらしいし、攫うなら戦闘経験の無い商人の方が良いだろう。つまり、意図的に攫ったと思われる。

 

「──俺の長考癖、役に立った……か?」

 

 長い考察を終え、状況を整理し終える。

 

 そして、これらの考察に、デンドロに詳しいだろうディルガルドさんの知識を加える。

 今まとめた考えをディルガルドさんに伝え、その上で知識を分けてもらう。

 

「あの、騎士、もしくは戦闘経験のあるティアンを攫う理由に何か心当たりありますか? しかも、人身売買とかじゃなく命に関わる方向で」

 

 ディルガルドさんはしばらくうんうん唸ったあと、ふむ、と呟く。そして指を1つ立て、先生が生徒に教える様に懇々と説明する。

 

「ボクが思いつくことと言えば2つかな。……まず、()()。戦闘経験があるイコール少なからずレベルの高いティアンだから、良い贄にはなる」

 

 ──生贄、か。ここはゲームのはずなのに、楽しむ為の場所なのに。こんなことがあっていいものなのか。

 思う合間に説明は進み、ディルガルドさんはもう1本立て、次の考えを説いた。

 

「そして2つ目、()()()()()()()()。【死霊術師】のスキルの中に、生きていた生物をアンデッド化させて操るものがある。アンデッドの強さは生前の強さに強く影響されるから、確かに商人なんかよりよっぽど強いものが出来るだろう」

「生贄と、アンデッドの素材…………」

「そう。……まぁ、どちらにしても胸糞悪い話だよ」

 

 珍しく、いつもはクール(?)なディルガルドさんの口調が乱れる。──いや、戦闘中は『下郎』とか『〜風情』とか言うが、まぁなんにせよ、ディルガルドさんが犯人に対して怒りを燃やしているのは確かなようだ。

 

「しらみつぶしに探すには広すぎるフィールドだ。一度街に戻って情報収集しよう」

「分かりました」

 

 興味だとか楽しそうだとか言ってる暇は無いが、最初は興味本位で着いてきたディルガルドさんも、今は真剣な表情で俺を手伝ってくれている。

 

 ──最初はよく分からない人だったけど、仲間になると心強いな。

 

 敵には回すまいと思いながら、俺達は街へ戻った。

 

 

 ◇

 

 

 道中、出来るだけ全力疾走で戻る。着いたのはアルターにある<DIN>(情報屋クラン)の支部の一つだ。ディルガルドさんに情報収集をするならここだねと言われてやってきた。もちろん、事件の手掛かりを探す為に。

 そして、その建物の受付っぽいところで()()()()を呼び、待っている。

 しばらくすると、凄い速さで──俺主観だが。ディルガルドさんの戦闘を見たあとだと数段見劣りする──こちらにやってくる影が。

 そして軽く挨拶すると、俺、俺の横に立つディルガルドさん、俺、と交互に見比べ──

 

「……うげっ。オニーサンさ、なんであんなヤツ(ディルガルド)と一緒にいるにゃ? 仲間斡旋してやるから、さっさとパーティ解散した方がいいにゃ」

「────はい?」

 

 開口一番の、ウルフの言葉がそれだった。

 ちなみにだが、挨拶の時点でディルガルドさんは捌けてもらっているので、少し離れた壁の方にもたれかかっている。今のが聞こえていないことを祈るばかりだ。

 

「…………はい?」

「あーそうだったにゃ。そもそもオニーサンはデンドロ歴浅いから分かんにゃいのかぁ」

「いや、分かる訳無いだろ」

 

 これだからトーシロ(素人)は困るといった風に、大袈裟にため息。

 

 今のところ、俺が知っている『あんなヤツ』と言えるところと言えば、笑顔が薄っぺらいことと、あと戦闘中に口が悪いところか。

 

「アイツ、古参勢には結構有名人なのにゃ。本人は無宗派のクセに<月世の会>のナンバー5やってるし、しかも元諜報部隊副隊長だし。それと、昔よっぽどにゃんかあったのか、PKとか悪役ロールの<マスター>を見かけたらすぐ殺すし」

 

 そう評し、最後に薄く笑いながら、「ま、変人というより奇人だにゃ」と締めた。

 

 要約すると、『害は無いけど迷惑』というなんとも意味不明な扱いらしい。

 

 ん、待てよ? ()()()()5()だと?

 

「……んん?」

 

 今、<月世の会>のナンバー5って言ったか? あの現実(リアル)宗教(カルト)団体の?? いや、確かにさっき戦ったクランの人たちも言ってたけど、にわかに信じられないのはある。

 しかも、元諜報部隊副隊長。あの人一体何者なんだ……?

 失礼だけど。

 

 な、なんか……何されるか分かんないから、今後ディルガルドさんへの当たりは控えめにしておこう。多分、そんなことする人には見えないけど。

 

「ま、まぁとにかく! ディルガルドさんそんな悪い人じゃないから、うん。」

「にゃーんか歯切れ悪いにゃー……」

 

 という訳で、俺達(俺とディルガルドさん)+ウルフ(曰く監視)の3人で、もう一度現場に向かう前に聞き込みをすることになった。

 

「──キミがコウくんのお知り合いのウルフさんかい? どうも、ディルガルドと申します。はじめまして」

「『お知り合い』じゃなくて『お友達』ですにゃ〜。それに、ウルフの方ははじめましてじゃないにゃー」

「なんでそんなケンカ腰なんだよお前」

 

 ナンバー5だって聞いて以後、現実(リアル)の危険を感じつつあるから刺激するのは()めてほしい。

 

 どうも数回、ディルガルドさんは<DIN>に訪れたことがあるらしく、ウルフは一度だけ担当したことがあるそうだ。

 やたら喧嘩腰なせいでひと悶着ありそうだったが、ウルフの挑発(?)を柳に風と受け流すディルガルドさんの顔は涼しげ。

 

「まずは、ウルフの先輩に聞いてみるにゃ。……ウルフ、役に立つにゃ!」

「なーんか張り切ってんだよなぁ……」

 

 ともあれ、デンドロ最大規模の情報屋クランらしい<DIN>に頼れるのならかなり嬉しい。たとえ確実でなくとも、有用な情報である可能性はとても高いだろうからだ。

 

 ディルガルドさんが俺の方へ数歩寄り、小声で話しかけてくる。

 

「なんかあの子、やけにキミに懐いてるね」

「え、そうですか? 多分ディルガルドさんのことを良く思ってないんだと思いますよ。さっきもなんか言ってたし」

「ふぅん」

 

 どんな内容かは口が裂けても言えないが。

 というか、だったら(言えないのなら)なんで良く思ってないことは伝えたんだ俺。

 

 俺にそんなことを言われても、ディルガルドさんは終始笑顔。特に怒った様子は無い。ただ、何も感じていないというより、微笑ましく思っているといった風だ。

 

 それがなにより怖かったりする時もある。そして、今の俺がその時だ。

 

 ともあれ、そんなに怒ってないようならわざわざ刺激する必要もないだろう。

 

「…………」

 

 話が終わり、沈黙が流れる。ウルフはまだのようだ。

 俺自体は特に沈黙が辛い人種ではないのだが、なんとなく気になるので適当な話題を振る。

 

「あ、あの〜。ディルガルドさんの<エンブリオ>って、どんなのなんですか?」

「それ、聞いちゃうかい?」

 

 後で知ったのだが、こういったゲームで相手の手の内を聞くのはマナー違反らしい。そういったもの(個人情報)を専門に扱う情報屋が居るほどらしく、特に高レベルのプレイヤーほど、そういった配慮、バレないようにする努力が必要らしい。

 ともあれ、そんなことを知らない俺は普通に聞いてしまい、いかなディルガルドさんも流石に眉根を寄せる。

 ディルガルドさんの表情を見て自身の失言を察し、あぁ! やっば! カルト団体に現実(リアル)を侵食される!! と失礼なことを考えていると、ディルガルドさんが口を開いた。

 

「別に、良いけどね」

「え? そうなんですか?」

「ただし、キミが()()()()()()()()()ね。合計レベル4のキミには、僕のチカラを知るのはかなり早い」

「は、はぁ」

「キミは『伸びる』。ボクは人を見る目には自信があるからね。保障する。──キミは、いつかおもしろいプレイヤーになれるよ」

 

 よく分からないが、どうやらお墨付きをもらえたらしい。

 なんだか変な人だし、言ってることもふわふわしてるが、その言葉には、不思議な『芯』があった。あるいは、狼や山賊などに遭遇した時。いや、俺を外敵から守るときに、瞬間的に怒気を見せるディルガルドさん。あれも、何か信念なんかに基づいたものなのかもしれない。

 

 ──普通に、ただの正義感カンストの人だとは思うけど。

 

「別に、ボクを超えろとは言わない。キミは戦闘には向かない<エンブリオ>なようだし、その方向(戦闘)には期待してない。けど、キミは必ず、()()()()で強くなるよ。そんな、予感がしたんだ」

「……分かりました。いや、理解出来てないけどとりあえず、人助けと、ディルガルドさんの<エンブリオ>を教えてもらうことを目標に頑張りますね」

「足掻き(たま)若人(わこうど)よ。……なんて。ちょっとカッコつけてみただけさ。何度も言うけれど──この世界でキミらしく生きれば自ずと、キミは強くなれるよ」

 

 本っっ当に、ディルガルドさんが見えているモノは分からないけど、俺に何かを見出してくれるのなら、その期待に応えなきゃいけないな。

 強くなる、ね。ステータス上なんかじゃないなら……メンタル? 勇気? 他にも幾つか浮かぶが、何だろう。

 けど、一先ずはステータス面の強化もしなくちゃな。いくら推理できても、狼一匹に手間どっているようじゃ一向に解決できない。

 

 

 ────でも俺、戦闘面には期待されてないんだよなぁ。これゲームなのに。

 

 




遅れた上に、特にストーリーが動かないシーンでごめんなさい!
今後も不定期になります!2週間はかからないはず。では!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。