あの夜から少し時間が経ち、今俺は地下街へとパトロールに来ていた。しかし俺の今の格好を見ると、腕章は付けているものの、
───何故俺がこんな格好をしてパトロールをしているかと言うと、現在学園都市では夏季都市水害防止プログラムというイベントが開催されている。このイベントの概要はと言うと、地下街の排水設備のチェックや緊急時におけるシャッターの水圧テスト等が実施される。
これにより、地下街は一時的に浄化施設を通した川の水により水没している状態だ。無論、水位はそこまで高いという訳では無く、せいぜい膝下位までの水位しかないので、溺れる心配は無い。·····まあ、テストとは言っているけども実質地下街の中で巨大な流れるプールが出来ている為、小学生等の幼い子供達が周囲で水遊びやらなんやらで盛り上がっている。
その為、地下街を利用する人は基本的には濡れても問題ない水着姿をしている。·····まあ、そのせいか中高生の女子に対してのセクハラを行おうとする馬鹿共がいる為、俺達
·····俺達にもあんな元気な時期があったんだよなあ、と俺は前世の時と、今世に転生した時の少年時代を思い出す。精神年齢だけで言えば、もう既に30代後半に差し掛かっているおっさんだ。だからこそそう思ってしまうのかもしれない·····そう思っていると、隣でパトロールをしている固法先輩が俺を呼んできた。
「軍丞君、とりあえず次のポイントへと向かいましょうか」
「うっす、了解です。───にしても、小学生達の元気さには驚かされますねえ。俺が同い年の時でも、ここまで元気ではなかったかもしんないですよ」
「そういう事を言うにはまだ早くないかな? まあ、確かに小学生のパワーには圧倒されちゃうってのは分かるわぁ。でも、あれくらいの子達だったらそんなものじゃないかな?」
そんな雑談をしながら、俺と固法先輩はパトロールを続ける。今の所大きな問題は無いので一安心だけど、気は抜けないな。こういう状況で、水系統を操る能力者にとっては武器がそこらじゅうに転がってるようなもんだ。そんな奴らが暴れだしたら大惨事だよ全く·····。
ちなみにだが、俺と一緒にパトロールしている固法先輩も当然水着姿なのだが·····うん、どこがとは言わないけどデカいよね。特に高校生になってからが凄かったなあ·····気づいたらエベレストが出来てんだから。どうしたらそんなに成長するんですかと聞きたい自分がいるが、セクハラになってしまうので、心の奥へと仕舞っておく。
───て言うか、良くもまあ先輩は平然としてるよなあ。結構道行く人から視線を集めているんだが、先輩は気づいていないっぽい。多分、パトロールに集中しているからなんだろうけども·····女性ってのは視線を感じ取りやすいって聞いていたが案外そうじゃないのかも? と、俺が考えていると何やら声が聞こえてきた。·····今会いたくはないと思っていた人の声が。
「あら、何か問題でも起きたのかな? 軍丞君、向かいましょうか」
「·····了解です」
あぁ·····行きたくねえなあ·····。そう思ったけれども、先輩についていかなきゃなので、俺は仕方はないけどもついていったのである。
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「記憶を消去!! 私の無様力に関する記憶をみーんな消去ぉ!!」
「おまっ、暴君過ぎねえかそれ!?」
先輩と一緒に騒がしくなっている場所へと向かうと、案の定食蜂さんが何かをやっていた。しかも、その隣には当然かのよう当麻もいた·····これは面倒な事になりそうだぜ全く。今度は一体何をやらかしたんだ?
食蜂さんの手にはリモコンがあり、それを周囲へと向けて能力を行使している。その様子から分かることといえば、多分食蜂さんにとってイメージダウン的な事をやらかしたんだんだろう。あの子、結構我儘っつーか傍若無人的な所あるからなあ。·····バレたくは無いが、仕事だししっかりしねえと。そう思い、ホイッスルを鳴らしながら食蜂さんへと先輩と一緒に向かって行く。
「そこの生徒、街中での能力行使は規則で基本的に禁じられています。即座に能力行使をやめてください!」
「はあ? 一体どなた·····って、この前の
俺に気づいた食蜂さんは、そう言いながら俺の方へと怒っています的な視線を向けてくる。その様子を見た固法先輩が俺に小声で尋ねてきた。·····こうなるから来たくなかったんだよね·····。
「一体どうしたの軍丞君。あの子って確かこの前の子でしょ? ───君、一体何をしたの?」
「あー·····えっとですね、これには色々と事情がありまして·····」
そう固法先輩と話していると、食蜂さんはさっきよりもヒートアップしながら俺へと詰め寄ってきた。·····あー、あん時失礼な事を考えたせいっつーのは有るけども、こんなに根を引く事だったか?
「ちょっと、聞いてるんでしょぉ!? 私、あの時の謝罪をまだ聞いていないんだからぁ!」
「あー·····はい、あの時は失礼な事を考えていてすみませんでした·····これでいいか?」
「軍丞君、本当に何しちゃったの? ·····まあとりあえず、
先輩のその言葉で「うっ·····」と言葉を詰まらせる食蜂さん。───違反していたっていう自覚はあるみたいだが、見つかった時の事を何も考えていなかったのか? まだ中学生だからしょうがないかもだけど、一応
「私が能力を行使していた記憶を削除!!」
「ええ!? 何やっちゃってんだよお前!?」
「───? 一体何が·····って、当麻と食蜂さんじゃないか。こんな所で会うとは奇遇だな?」
「うーん·····私、今何をしていたっけ? 確か、パトロールの途中だった筈だけど·····?」
───何かをしていたとは思うけど、頭にモヤが掛かっているのか思い出せない。うーん、何かを固法先輩と一緒に食蜂さんへと何かを聞こうとしていた気がするが·····気の所為か? 何か思い出せないが、とりあえず先輩にも聞いてみるか。
「先輩、俺達何しに来たんでしたっけ?」
「え、確かパトロールの途中だった筈よ? それがどうしたの? ·····とりあえず、私はこの先のブロックへと向かうから、軍丞君は別のブロックの見回り頼めるかしら?」
「·····分かりました、別のブロックのパトロールに行ってきます。んじゃあこれはやっぱり俺の気の所為か·····? 」
固法先輩は別のブロックへとパトロールへと向かっていった·····とりあえず、腑に落ちないがパトロールへと戻るか。そう思っていると、当麻が俺の側へと近づいてきて
「───思い出したか軍丞?」
「───ああ、思い出したぜ。サンキューな当麻。おい食蜂さんよお·····いくらなんでもこれは酷すぎねえか?」
「·····!? やっぱり、あなたの右手おかしいわぁ!? なんで
「いくら不都合だったとはいえ、能力を使っちゃダメだろ!? ·····ていうか、レベル5?」
「そうよぉ!!」
「
「だから何よ、文句がある訳ぇ!?」
そう食蜂さんが言うと、当麻はいきなり地面へと項垂れた。·····つーか、今の今まで気づいてなかったのかよこいつ。どんだけ鈍感なんだよ·····朴念仁どころじゃないぞ。
「う、嘘だ·····。聞きしに勝る精神系最強の
「お姉様でしょうがよぉ!! これでもクラスの中では随分大人っぽいねの位置を常にキープしているんだから!!」
そう食蜂さんが言うと、当麻はいきなり立ち上がり優しい表情を浮かべながら食蜂さんへと言い聞かせるかの様に話し始めた。·····嫌な予感がする。
「食蜂君、食蜂操祈君。俺はね、確かに先程どんなに慎ましくても女性の胸は女性の胸だ、と言った事を発言させて頂いたのだがね」
「な、何よぉ」
「いいか小娘、お姉様とは学生寮の管理人を務め、みんなの相談を聞いてくれる位の包容力があってこそのお姉様だ。その点、キサマにはどうしても足りないものがある。───ここまで言えば分かるね小娘?」
おいおい、そこから後の事は言わねえ方が───
「こんな陳腐な胸はお姉様サポートの対象外だ。せめてさっきの
「なぁんですってぇッッッ!!!?!?」
───そう当麻が言うと、食蜂さんは持ちうる限りの力を込めて当麻の顔を殴った。·····悪い当麻、こればっかりは援護は無理だわ。っつーか先輩を引き合いに出すんじゃないよ全く·····俺はそう思いながら、後ろの惨状を放っておきパトロールへと戻って行ったのだった·····。
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あれから凡そ1週間は過ぎた頃だっただろうか、俺は
帰宅途中、何気なく俺は路地の方へと視線を向けていた。何やら音が聞こえてきた気がしたからだ。その音は、路地裏だと言うのにまるで
それを見た俺の行動は早かった。すぐに走れる準備と能力行使の用意を済ませ、路地裏へと走り始めた。·····一体、当麻達は何に追われてるんだよ!? だが、きっと碌でもないもんだろうけどな。多分追いかけているのはスキルアウトとかの奴らか? ·····スキルアウトにしては装備しているもんが高価すぎるがな。普通のスキルアウトだと用意は出来ん代物·····俺がそれについて考えていると、1つの結論に至った。
追いかけられているのは、当麻じゃなくて多分食蜂さんだ。大方
「まずは、当麻達に追いつかねえとな。───
俺がそう言うと、能力が発動する。これにより、俺の走力は凡そスポーツカー並に強化される。しかし、まだ
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「我らから全てを奪った
わたくしこと上条当麻は、絶賛ピンチに追い込まれていた。何故こんな状況になってしまったのかと言えば、偶然外を出歩いていたら食蜂に遭遇したのだが、暫くした後に後方から何やらエンジンの様な音が複数近付いてきていた。
そっちの方へと視線を向けると、真っ赤なバイク用のフルフェイスヘルメットを被っていて更には全身をライダースーツで、腕とか膝とかに何かごちゃごちゃ付けている集団がこっちへと向かってきていた。つーか、なんであんな速さで追ってこれるんだ? と思っていたけど、よく見たら背中にジェットエンジンみたいな物を背負っていた。·····学園都市の技術ってこういう時本当にうんざりする。はあ、不幸だ·····。
嫌な予感がした俺はすぐに食蜂の手を掴み、路地裏へと急いで走り出した。ああいう手合いの奴らは直線だとめっちゃ速いけど、こういう小道だと速度はそんなに出ないはず·····そう思ったから路地裏へと向かったんだ。一応、食蜂に追われる原因になった事が最近あったかとは聞いたものの、全く覚えの無い事らしい。
───もしかして、また上条さんから溢れ出んばかりの不幸が原因なのか? だとしたら、なんつー不幸だよ·····とにかく、食蜂に何かあったらいけないし、絶対に捕まらねえようにしねえとな。
そう思ったのも束の間、路地裏に入ってから10分位で追いかけてきている奴らに囲まれちまった·····増援を連絡で送ってきたのか? くそ、もう少し時間が稼げれば良かったんだけどな。せめて食蜂だけでも逃がせるようにしないとなと俺は決意した。·····蜜蟻は助けれなかったけど、今度は絶対に助ける。
「───さあ、覚悟してもらおうか
「悪ぃが、それはさせねえぞ」
「·····!?」
いきなり路地裏に声が響く。その声はいつも聞いている声。·····俺の親友である軍丞京介が、そこにいた。
「ぐ、軍丞!? 何でここに───」
「ふう、やっと追いついたぜ全く·····いやな、偶然お前らを見つけてな。何かに追われているみたいだから、何か嫌な予感がして追いかけてたんだよ」
「───貴様、一体何者だ?」
リーダー格っぽい奴がそう言うと、軍丞は左腕に付けていた
「
「
「スピード違反に暴行未遂等の罪がお前達には掛かっている·····今の内に投降し、素直にお縄につくことをお勧めするが?」
「·····悪いが、我らの目的を邪魔する者には消えてもらう。例え、
「───そうか、そりゃ残念だ」
そう言うと、軍丞はスキルアウトらしい奴の1人に一気に肉迫し、地面へと叩き付けた。地面に叩きつけられた奴は「ぐふう!?」と声を上げ、動かなくなった·····多分、気絶しただけだよな!?
「それじゃあ制圧に取り掛かる。怪我しても後悔するんじゃねぇぞ?」
「くっ、ぶっ飛ばせ!」
そう言い、奴らは集団を2分して襲いかかって来た。·····やるしかねえよなあ·····よし、絶対に食蜂はやらせねえ。そう思った俺は食蜂の前に立ち塞がり、スキルアウトっぽいやつらへと向き合う。
「ちょ、ちょっとぉ·····?」
「大丈夫だ食蜂、俺と軍丞が絶対に守るからな」
俺が身構えると、奴らの1人が突撃してきた。機械のサポート有りの機動で右手に持っていた槍の様な武器を思い切り突き出してくる。当たれば一撃で死にかねない位の威力、それを俺はギリギリのタイミングで躱す。·····やべえ、思っていたよりも速い! これじゃあそんなに長く持たせられるか分かんねえ·····だけど、簡単に食蜂を殺させてたまるかよ!
俺はすぐに体勢を戻し、突っ込んできた奴に思い切り右ストレートをぶち込む。頭はヘルメットで守られているのでまだ攻撃が通りそうな胴体部分·····肝臓付近を思い切り殴り付けた。すると、どうやら攻撃が効いたらしくそいつは腹部を抑えて激痛で悶絶している。よっし、どうやら軍丞から教えて貰ったことが通用するみてえだな。なら、まだやれる!!
そう、実は俺は軍丞から
「死ねよてめぇ!! 能力者の味方は俺達の敵だぁ!!」
「死んでたまるかよ!? くっそ、なんでお前達はそんなに能力者を目の敵にしてんだよ!?」
「簡単な事さ·····いくら頑張っても能力が伸びる事はない俺達にとっては、
「───ふざけんな。はなっから諦めてんじゃねえよてめえら!! 確かに
「うるせえ!! てめえに何がわかるってんだよ!!」
「·····分かるよ、俺だって
「同類·····? じゃあなんで、
「決まってんだろ、女の子に寄ってたかって襲うより、女の子を助ける側でいたいだけだ!! なんでお前らは、その力を暴力でしか生かせねえんだよ!!」
「うるせえよ·····やっぱここで死ねや
「俺はお前らとは違う!!」
そう言い、飛びかかってきた奴の攻撃を逸らし、左右と交互に拳を腹目掛けて思い切り入れる。食らった奴は「ぐあぁッッ!!!?」と声を上げ地面へと転がっていく。どうやらかなりのダメージを与えることが出来たみたいだ。
「───なん、でお前は、·····そう正しく、いられるんだよ·····!?」
「·····俺は、俺がやるべきだと思った事に従ってるだけだ。ただ、それだけなんだよ·····さあ、それでもてめえらがただイタズラに暴力を振るうってんなら、まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!! ·····かかって来やがれッッッ!!!!」
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「───ここで死ね、能力者!!!」
「死んでたまるかよ!! 意地でもてめえら無力化してやるっつの!!」
「うおおおおおおおおおおお!!!!」
突っ込んできた奴に思い切りカウンターの拳を叩きつける。頭部はヘルメットで覆われているが、能力でブースト掛かっている俺の拳なら、十分ダメージは入る!!
「がッ、はあッッッ!!?」
俺の一撃により、奴が付けていたヘルメットのバイザーは砕け、後ろへと勢いよくぶっ倒れて行った。·····多少怪我してるかもだが、手加減出来る状況じゃあなかったのでこればかりはしょうがない。まあ、凄い大怪我だとしても学園都市の医療技術だったら何とかなるだろう·····多分。
「
「悪ぃけど見えてんだよ───おらぁ!!」
「何ぃ!? うおあッ!?」
俺の後ろから奇襲しようとしていた奴の攻撃を避け、そいつの着ているライダースーツの出っ張り部分を掴み、前方にいるスキルアウト目掛けてぶん投げる。これにより前方の奴らはなぎ倒されて行った為、前方からの攻撃は少しの時間だけだが止んだ。
この隙を利用し、後ろにいるやつへと近付き、全力を込めたラリアットをぶちかます。死ぬまでは行かねえが、悶絶しやがれクソ野郎共!!
「ぐッ、があッ!!!?」
「なんだと·····ぐはッ!?」
後方から食蜂さんへと接近しようとしているスキルアウト、しかし当麻はそれに気づいていないらしく、前にいるやつの対処でいっぱいいっぱいだ。しかも食蜂さんも気づいていない様子だ。まずい、あの一撃を喰らっちまったら俺だったらともかく、食蜂さんは持たねえ!! そう思った俺は急いで能力を発動する。
「
能力の発動より、撃ち出された砲弾の様な速度で食蜂さんの方へとぶっ飛ぶ俺。スキルアウトも攻撃まで秒読み体勢に入っている。クソッタレ、やらせる訳ねえだろうがよぉ!!!!
ズドォォォン!!!!
「なッ、軍丞ぉ!!」
「は·····えぇ!?」
「───ぐはぁ、ゲホッ·····クソ·····ッタレが。効いたぜ、畜生·····ッ」
───何とか紙一重のタイミングで食蜂さんとスキルアウトの間に割込めた。しかし、瞬時に能力を使用して耐久性を上げたにも関わらず、俺の腹には槍の穂先らしい部分が深々と突き刺さっていた。その時の痛みは、まるで熱せられた鉄の棒を直接傷口にぶち込まれたかの様な熱さに俺は襲われていた。·····クソっ、クソ痛え·····ッ!!
「てめえ、軍丞から離れやがれぇ!!!!」
「うごォあぁッ!!?」
当麻が俺に槍をぶっ刺したスキルアウトをノックダウンさせる。その瞬間、俺はダメージのせいか立ってられず、すぐに地面へと倒れそうになる所、食蜂さんが支えようとする。
「ねえ、大丈夫なの貴方ぁ!?」
「あ、あぁ、まだ大丈夫·····ゲホッ」
「大丈夫な訳ないじゃないの!! すぐに治療しないと死んじゃうわよぉ!!」
あー、やべえ。意識がだんだん遠のいてきた。クソッタレ、
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「───ちょっとぉ、聞こえているのかしら?」
その声で俺は現実へと意識が戻される。どうやら、食蜂さんと話をしていたが、途中で昔を思い出し始めていたせいか話を聞き逃していたらしい。
「ん? ああ、悪ぃ。考え事っつーか、昔の事思い出してたもんで聞いてなかった。ごめんな?」
「そうなのぉ? 全く·····まあ、別にいいけどね。ちなみになんだけど昔の事って何を思い出していたのかしらぁ?」
「あれだよあれ、食蜂さんに出会った時とかの事思い出してた」
「あー、あの時の事ねぇ。·····ほんの少し前の事だったのに、今じゃ結構前に感じるわねぇ」
そう食蜂さんはクスクスと笑いながらそう言った。───あの後、すぐに
そして、入院から2日程経った後に俺は意識を取り戻した。これは意識を取り戻した後に聞いた話だが、どうやら食蜂さんと当麻を襲おうとしていたスキルアウトの集団はデッドロックと言われている集団で、俗に言う〝能力開発で行き詰まり、全てを諦めた集団〟だったらしい。んで、そいつらへと食蜂さんの事を殺す様に依頼した奴らから試験運用が始まっていた装備である
まあ、俺的には食蜂さんと当麻の2人を大怪我させずに出来たので結果オーライだと目覚めた時思っていたが、俺のお見舞いに来た固法先輩からは「生徒を守る事は大事だけども、自分の命も守れるようにしなさい!!」と説教を食らい、当麻からは生きてて良かったと喜ばれ、食蜂さんに至っては守った事のお礼と、何故か携帯の番号を交換を頼まれた。
食蜂さんに理由は聞いたものの、「こっ、これはこれから何か起きた時の相談用のだから、それだけよぉ!!」と言われた。·····まあ、人生初の女の子との番号交換だったので普通に問題は無い。(固法先輩とも電話番号の交換を一応しているが、これはあくまでも
「いやー、あん時はやばかったなあ。普通に死んだなこれって思ってたわぶっ刺された時」
「んもぅ·····あの時は凄い心配したのよ? それで、今回も同じ様に怪我したって上条さんから聞いた時、凄いびっくりしたんだから」
「悪ぃ悪ぃ、まああん時より軽傷の方だったから問題はないよ」
「全く·····それじゃ切るわねぇ? 仕事の方、頑張りなさいよ?」
「ハイハイ·····んじゃ、またなー?」
そう言い、俺は電話を切る。さてと、さっさと書類仕事終わらせちまうとするかあ。
はい、今回はここまで!次回からは超電磁砲のレベルアッパー編から書いていこうと思っています。それでは、また次回をお楽しみに!
※前書きにも書きましたが、専門学校のオンライン授業が開始されたので、これからの更新が不定期になります。そこの所ご了承ください!