とあるオタク女の受難(Fate/Series編)。 作:SUN'S
○月%日
今朝、私の夫である間桐鶴野の養子として遠坂桜を迎え入れることになった。私の息子は海外留学しているため、彼女と会うのは半年ほど経ってからになるのかな?
そんなことを思いながらも桜さんの不安を取り除くために歓迎会を開こうと思っていることを、お義父さんに相談すると「カカカッ、善哉善哉」と嬉しそうに承諾してくれた。
うむ、お義父さんは孫LOVEな人だな。
とりあえず、私は間桐家の一室でソワソワしている桜さんを連れて買い物しよう。
私の魔術と間桐の魔術の相性は抜群だとお義父さんは言ってるけど。やっぱり、桜さんと息子には「間桐」の魔術を引き継いで欲しいんだと思う。
ただ、桜さんと手を繋ごうとすると困ったようにキョロキョロしている。もしかして、おばさんと手を繋ぐのは嫌なのだろうか?
私はマシュマロを籠の中へ入れつつ、桜さんに「好きなお菓子を持ってきていいよ」と目線を合わせながら言うとプリンを取ってきた。
やっぱり、プリンは至高の産物だと思う。そんなことを桜さんに言うと「わ、わたしもおんなじです」と賛同してくれた。
うん、私の娘はかわいいな。
○月゜日
間桐家の正門にて口論している鶴野さんとジャージ姿の男の人を見掛けた。私の後ろで桜さんは「かりやおじさん」と呟く声が聴こえてきた。
ん?ああ、鶴野さんの弟の間桐雁夜さんだったんだ。何年も会ってないし、結婚式にも出席してくれなかったから顔とか知らなかった。
とりあえず、口論している二人を止めよう。
あんまり騒ぐのは御近所迷惑だし、子供に悪影響を与えてしまう可能性だってある。なにより実家を蔑ろにしていたのに、連絡も寄越さず帰ってくるのは可笑しい。
絶対、なにかヤバいことを隠してる。
そんなことを思いながらも膝の上に座っている桜さんの頬っぺたをうにうにしているとお義父さんが二人を仲裁するために向かっていくのが見えた。
やっぱり、お義父さんも大切な家族が喧嘩を見るのは嫌なんだろうな。
桜さんに食べたいものを聞きながらテレビを観ているとゴリラのような料理人が飛び出してきた。おお、すんごい大胸筋だね。
そんなことを桜さんに言うと「だいきょーきん?」と首を傾げている。桜さん、あなたの一つ一つの仕草があざとくて可愛いのは神秘級だよ。
うう、私の家族は愛しすぎるよぉ……。
○月₩日
不満そうな表情を隠そうとしない鶴野さん、桜さんのことをチラチラと見ている雁夜さん、桜さんの口元に付着した汚れを拭き取るお義父さん、男の人の密度が増えすぎじゃね?
そんなことを考えながら食器を片付けていると鶴野さんの「俺の妻を悪くいうのはやめてもらおうか?」という声が台所まで聴こえてきた。
また、喧嘩してるのかな?なんて思いながらもリビングへ向かうと雁夜さんが桜さんの親権を渡せと騒ぎ立てていた。うん、定職すら持っていない中年のところに嫁がせるつもりはない。
とりあえず、あの三人の話し合いに突っ掛かるのはやめておこう。桜さんの頭を撫でながらマフラーを作ろうと提案すると「やって、みたいです」と答えてくれた。
むう、そろそろ敬語をやめてほしいけど。
不安を取り払えていない桜さんに無理強いするのも可哀想だし、なにより情緒不安定の雁夜さんが居座っている間は桜さんを積極的に庇うとしよう。
私のことを「あんた」とか「おまえ」とか呼ばない中年男の話を聞くつもりはない。
だいたい、鶴野さんに雁夜さんのことを聞けば幼馴染みの娘だった桜さんを自分好み女の子に育てようとしているそうじゃないか。
さっさと変質者は大地へ還るといい。