とあるオタク女の受難(Fate/Series編)。 作:SUN'S
ゑ月∂日
今朝、調律を終えたトンプソン・コンテンダーを依頼人のところへ運んでいると骸骨の仮面を着けたムキムキの男が道を塞ぐように立っていた。
私の目の前に立つ男は人間ではない異質な存在だと理解するのは簡単だった。
彼の振るう豪腕は、私の運転していた軽自動車のボンネットを叩き潰し、天井を引っくり返すように剥がしている。
とりあえず、鶴野さん達へ襲撃を受けていることを連絡しておこう。
そんなことを思いながらも私の首を掴もうと伸びてきた巨腕を弾きあげ、微弱ながらガンドを纏わせた五指を叩き込んでおいた。
私は助手席のアタッシュケースを取り、私のことを掴もうとしてくる男に向かって「お前はもう死んでいる」と告げておいた。
私のガンドは物理的破壊力を有しているが、基本的には呪詛の一種、他にも指先を相手の身体に押し付けることで魔術回路を塞き止めることが出来る。
ただ、あんまりガンドを使いたくない。
傍から見れば北斗百裂拳にしか見えないんだよね。私は北斗神拳の伝承者でもないし、四兄弟の一員でもない。
さっさと仕事を済ませよう。
ゑ月〒日
たぶん、昼頃だろうか?
私の工房を物色している雁夜さんを見付けた。
しっかりと説教しながら物色していた理由を尋ねるとバーサーカーへ与える武器を探していたそうだ。
とりあえず、私の作った作品を使わせようとするのは止めるように言い聞かせておいた。
だいたい、窃盗するのは犯罪ですよ?
もしも桜さんが真似したらどうするんです。
そんなことを言いながら雁夜さんを工房の外へ押し出し、魔力を循環させることで高速移動を可能とするローラーシューズを雁夜さんに手渡す。
まだ、改良を加えるつもりですけど。雁夜さんが死んでしまうと桜さんが悲しむので逃げる時にでも使ってください。
あと、壊したら弁償ですからね?
そんなことを雁夜さんに言えば苦笑いを浮かべながら「ありがと、義姉さん」と言ってきた。
たぶん、雁夜さんが私のことを姉と呼んでくれたのは初めてだと思う。
ゑ月⇔日
お義父さんが遠見の魔術を応用したモノをリビングの壁に取り付けたスクリーンに投射している。
私のとなりで鶴野さんが「雁夜の英霊は何処だ?」なんて言いながらスクリーンに映った人達を食い入るように見ている。
もう、心配してるなら心配していると言わないと伝わりませんよ?そんなことを思いながらもスクリーンを観ていると金ぴかが現れた。
ふむ、どこの英雄だろうか?
そんなことを考えていると数多の刀剣を黄金の波紋から射ち放ち、真っ黒い英霊と小競り合いを繰り広げている。ひょっとして、あの真っ黒い英霊が雁夜さんの英霊なのかな?
しかし、あのランサーはバカなのだろうか?今の一瞬、ほんの一瞬だけしかなかった。セイバーを討ち取る好機を逃すとは呆れてしまう。
とりあえず、雁夜さんを応援するとしよう。
この聖杯戦争を終えれば家族全員で遊園地へ行こうと話したし、死亡フラグをへし折るために亜音速の領域まで到達できるアイテムも渡している。
雁夜さん、死ぬ気で頑張るのです。