やはり俺に義妹が出来るのはまちがっている。 作:マッキーガイア
今朝、起きたら彼女が居なかった。
親父は大丈夫だって言ってたし大丈夫なんだろうが少し心配というのが実だ。小町によるとなんだかわからないが非常に真剣な顔をしていたという。
「やっはろーヒッキー!」
時刻は8時半、もうすぐ先生がホームルームを始めると言った時間帯だった。由比ヶ浜が珍しくグループから離れて俺の所に来る。
「どうした?」
「昨日、先生が言ってたあれ、なんだろうね?なんでも今日重大ニュースがあるとかって」
「…さぁな、わからん」
「ヒッキーも分からないんだ。」
まぁなと返すと不完全燃焼の様に少し拗ねて戻っていく。…正直察しはついている。きっと神田の事だろう、嗚呼そうか、俺のクラスだったか…この後起こるであろう祭りに少し溜息を吐く。
そう言えば小町のやつなんだか楽しそうだったな…なんでも仲良くなったって自慢してたっけ、流石は我が妹、俺に似なくてよかった
しばらくするとガラガラと扉が開く音が聞こえる。
寝ぼけながら顔を上げると、何故か担任では無く平塚先生だった。
「おはよう、皆んな…今日は重大法表がある。まぁ、一部のものは気付いているだろうが…」
一部の者の部分で俺を睨みつける。怖いっす、怖いっす先生…
「あー、じゃあ、紹介しよう。転校生だ。」
瞬間、ざわざわと周りに驚きの声が漏れる。驚きよりも意外性が重視された様だ、男子も女子も中々に良い反応をする。
「では、入れ」
手招きしたそれに少し間が空き。扉の窓から影が落ちる。
「女子か?」「…男じゃないんだ」「ラブコメの予感!?」「腐…腐……」「自重しろし…」
各々の反応に少し耳を向けつつ、なんだ、この茶番…と少し呆れた。
次第に足音は扉の前で止まり、ガラガラと扉が開いた。
「………うっそ」
そう誰かが言った。
前回、俺は彼女を見て確かにこう言った。『とうに美少女の枠組みを超えている』…と。
それは明らかな敗北だった。
蹂躙され尽くされた乙女たちがそこらに散らばっている。
彼女たちには少なからず自信があった。昔からこの学校の顔面偏差値は高いと言われ続けたおかげで自分が美少女だと思い込んでいたのだ。
男達も少なからず自信があった。女子たちの顔面偏差値が高いおかげか、自分はもう耐性が出来ている。そう、思い込んでいたのだ、
しかし、贋作は真作に劣る
クラス全員が目を瞑らざる得なかった。
この空間にアレ(真作)は眩しすぎる。
、、、なんだ。この茶番…
「……あー、、、良いか?つづけても」
平塚先生はそう聞くと。少しして少しずつ全員が首を縦に振る。それに安心したのか紹介を始めた。
「わかった。では紹介しよう。今日からうちのクラスに転校となった。"神田心"さんだ。」
「"神田 心"です。よろしくお願いします。」
ちらほらと拍手が聞こえてくる。ついでに少し喝采も入ってるが…後で潰した方が良いかもしれない
「では、質問あるか?」
そう平塚先生が問うと手が次々と上がる。
「じゃあ。田中…」
「はい!彼氏っていますか!?」
「いません。」
「じゃあ、気になってる人とかって…」
そう聞かれると「うーん、」と唸り、一つ答えを出した。
「…お兄ちゃん…ですかね、」
次の瞬間、驚きの声が出る。俺も少し焦る。
「ブラコン…だと?」「なんて、属性の持ち主だ!」「あれ?兄弟で結婚ってダメじゃなかったっけ?」「愛にそんな物はゴミも同然!」
いや、ゴミだったら世の中滅亡してるわ、
「お、お兄さんのこと…好きなんですねぇ(LOVEな意味で)」
「まあ、そうですね…(今まで会って来た人の中では)好き(likeな意味で)ですかね」
なんか圧倒的に言葉が足りていない気がするんだが、気のせいか…否、気のせいじゃないな…
「じゃあ、神田はあの席に座ってくれ」
「はい………………あ、」
平塚先生に指を刺した場所は常に空いている俺のとなりだった。ところでさっきから俺の方を凝視してるのはなんでかな?神田さん…?
ちょっと…見ないで…辞めて、
スタスタと俺の席に近づき睨み付けてくる。
「今朝ぶりですね。"お兄ちゃん"…」
賑やかだったクラスが静かになった。
『お兄ちゃん』クラスの全員が彼女からこの言葉を聞いたのはこれで合計二回。
一つは純愛(一般的に)報道で、
2回目は…
「……ひ、ひっきー?」
どこかの誰かがそう呟いた瞬間、俺は返事を返す。
「…よ、よう…"心"」
この呼び方になってから久しい、まるで昨日のように思い出せる(昨日の事だけど)
曰く、家族で苗字呼びは虚しいと小町が言った事から始まり、神田が泣きそうになりこう落ち着いた。簡単に言うとこうだ。
妥協の妥協である。最初はもっとやばいのを強制されていたけどここまでに落ち着いたのは俺の頑張りのおかげだろう…小町よ、兄妹でハニーは可笑しいだろ…
「ヒキタニが…」「お兄ちゃんだと……?」
その衝撃はクラスを包み込んだ。
「でも…お世辞にも全然、むしろ、比べるのも痴がましいくらいに似てないし」「たしかに以前妹がいるとは聞いたことはあったけど…まさか…こんな」「しかし、どうなんだこれ…まじで似てねぇぞ」
右折左折さまざまな憶測が飛び交う中、しばらくして平塚先生が言う。
「あー、お前ら。何を勘違いしているかは知らんが、比企谷と神田は義兄妹だからな?」
「じゃあ!じゃあ!良くネット小説にあげられる、アレみたいな状況じゃん」「でも、ヒキタニだぞ?騙されてるんじゃ」「それあるー、可哀想に」「目が腐ってる以外はクラスでも顔だけは良いしな」
真っ直ぐに直されたのに、また左折した。そんな光景に少し呆れつつ。俺は頭を下に下げた。
☆☆☆☆☆☆☆
休み時間、神田の周りには人が集まっていた。ただ隣に俺は座っているのをいい事に肘を頭にぶつかったり、散々だったので、戸塚の元まで逃げていた。
「ちっす俺、戸部翔、」
「……あなたが戸部さんですか…」
「えっ!?俺のこと知ってんの!?」
「ぇ……いえ、……ごめんなさい」
「神田さんって綺麗だよねぇ」
戸塚がそう呟く。
「まぁ、あれは天性の物だろう…しかし、なんか気の毒だな…」
「どうして?」
「ん、いやな、あそこまでチート級だとな…前の学校でも色々問題があったのだろうなってな。特に男関係で…」
「あー、たしかにね。ちょっと色っぽいし」
「いや、それは戸塚に言われたくないと思うぞ。」
「……?どうして?」
朝チュンか!?朝チュンなのか!?
あの時の作画は異常だった。そう心の中で呟いた。
「皆んな、落ち着けよ。神田さんが困っているだろ?」
そんな声が聞こえた瞬間、周りの人は少しずつ消えていく。
……葉山だ。
いつものイケメンスマイルで奴は彼女の前に現れた。
「初めてまして、葉山隼人っていいます。よろしく」
「は、はい、よろしくお願いします…」
挨拶を交わした後、葉山は手を差し出すと、握手を求めているようだった。
「ご、ごめんなさい、握手はちょっと…」
「何?隼人が握手してやるって言ってるのに出来ないん?」
ごめん、あーしさん…口調これであってる?
痺れを切らしたように三浦がそう言うと由比ヶ浜と海老名さんが押さえる。
「ごめん、不快だったかな?」
「い、いえ、すいません。」
「やっぱりな…」
俺がそう呟くと戸塚は不思議そうに見上げる。
「どうしたの?」
「ん…あぁ、心の事だ。あれはかなりの男性不信だと思ってな…」
「、なんか、ちょっと嫌そうだったね」
…全員にああいう態度って訳じゃないのは知っている、何か規則性があるのか…それとも…
「…今考えても無駄か。」
この人生の中で察しは良い方になった。なんだか、今は触れてはいけない気がする。
俺はしばらく顎を支えると時計を見た。