やはり俺に義妹が出来るのはまちがっている。 作:マッキーガイア
今回はひじょーに短いです。
放課後。
テスト前だからか、部活動は休止をしていて、学校がシーンと静かになっていた。ある日
頼まれていた先生への手伝いが終わり帰ろうかと廊下を歩く。心は先に帰っていた。
「なぁ、比企谷!」
後ろから知らない声がする。
「ん?」
「お前、あの神田心の義兄なんだろ?
心ちゃんの連絡先おしえてくれよぉ〜」
誰だよお前。
そんな事が最近頻発して起きるようになって来た。今まで俺に目もつけなかった癖に、今になって、心に付け入ろうとしている輩だ。
嗚呼、ウザい。
「誰だよ、お前」
「えー?同じクラスだろ!俺だよ俺!寒川優斗!」
「知らねえよ。」
「とりあえず、俺の連絡先渡しとくから」
男は俺の手に奴の連絡先であろうかみをポンと乗せた。
「しつこいな、絶対渡さないからな。ほら帰れ。」
俺はそう促し、無視を決め込み歩いて行く。
俺はああいった輩が嫌いだ。煩いし、煩いし、煩い。俺みたいなボッチにはああいうタイプは無縁であった筈だった。まったく心が転校してきて数ヶ月でこのネームバリューはやばいなとしみじみ思う。
「…あいつも苦労してるんだなぁ」
俺は自販機でマッカンを買いベンチに座るとそう呟いた。
少し前に此処に転入してから何回告白を受けたか、なんて事を何気なく聞いてみたのだが、あらびっくりその時点で両手じゃ数え切れない程受けていたのだ。その時は驚いたより先に身体の内からドロドロと煮えたぎるものがあったのだが、今再び思い出してみるとあれ?この子モテすぎて後々酷い目に遭うのでは?と思ってしまう。
もし、そうなったら俺は多分その"酷い事をした奴"を許せなくなる。きっと社会的に殺す事になるだろう。
正直にいう。
比企谷八幡は現在進行形で
シスコンを拗らせていた。
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優しいお父さんと
優しいお母さんと
優しい妹と
そして優しいお兄ちゃんと
みんなで笑って毎日を過ごして、
みんなで笑って美味しいものを食べて
みんなで笑って美しい物を見る。
ある時、好きになった人と結婚して、
そして子供が出来て、
時が経ち、おじいちゃんおばあちゃんになって二人で一緒に沢山の孫に囲まれて笑って死ぬ
そんなささやかな人生、それが私の唯一の夢だった。
数ヶ月前まで私にはそのどの一つも手元に無かったのに、いつの間にか私の前にその全てが揃っていた。
優しい家族も好きな人も、みんなみんな
心の底から欲しかった物が今手元にあって、私は今幸せを噛み締めている。
今更だけど、信じられない。
私にこんな幸せな日が来るなんて信じられなかった。
だからだろうかこの恐怖は、何も無かった私にいきなりこれだけの物をくれたのだ。いつかこの幸せが滑り落ちるんじゃいかってそんな事を考えてしまう。
大丈夫かな、今日も私笑えてたかな。
私は頬の表情筋に触れながら、また笑顔を作った。
今実感できているのはこの感覚だけだ。この笑顔だけが、私が幸せだって実感させてくれる。理解されてくれる。
やっと、夢が叶ったんだって思わせてくれる。
だから、この笑顔が崩れた時きっと私は…私はまた失ってしまうだろう。
だから私は頬に力を入れた。
学校から比企谷家への帰路、いつもは隣に兄さんがいたのだけれど、今日は先生の手伝いとかで一緒に居ない、はじめての経験だった。
もう帰路は頭に入っている。
何ヶ月も歩いているんだ兄さんが居なくても一人で帰れるよ。
物凄い兄さんが心配していたけど、そんなに不安なのかなぁ、
ちょっとムスッとしてしまうが、兄さんの優しさはよくわかっているつもりだ。
兄さんは前まで自転車で通学していたらしい、けど最近はもっぱら徒歩で通学している、私が来たからって事はわかっているけどそれを聞いた時、心の底から愛おしい気持ちでいっぱいになった。
やっぱりカッコいいなぁ、兄さんは
そのいつも言ってる言葉に今日はいつも以上の愛を込めて放った。
神田心は現在進行形で
ガッツリ、ブラコンを拗らせていた。
「はぁー、早く帰って小町ちゃんとコーヒータイムしよ」
そう呟く私のとなりに黒い塗りワゴン車が止まった。
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